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ターミナルケアとは?特徴・費用・メリットや注意点・ホスピスケアなどとの違いを解説

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目次

ターミナルケアとは

ターミナルケアとは終末期医療です。命に限りが見えている方のために行います。

そんなターミナルケアの特徴・費用・メリットや注意点・ホスピスケアなど、一致点の多い医療体制との違いについて解説します。

終末期を意味する

ターミナルケアが意味する終末期とは、老衰や病気などで、医療による処置ができないケースです。

延命治療はせず、なるべく苦痛を与えないようにすることが目的です。QOLと呼ばれる生活の質を出来る限り向上させます。

その起源は、1960年代のイギリスでした。日本で定着したのは1980年代なので、比較的新しい医療ケアです。

病院、介護施設、自宅などで行われます。平成30年に厚生労働省が策定した「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」では、ターミナルケアに関する指針が示されています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197701.pdf

ターミナルケアの特徴・費用

ここでは、ターミナルケアの特徴として3つのケアがあること、受け入れ先による費用の目安をお伝えします。

3つのケアがある

ターミナルケアの特徴は、3つのケアがあることです。身体ケア、精神ケア、社会ケアそれぞれの特徴をご紹介します。

身体ケア

身体ケアは、主に医療従事者によって行われます。

病気による痛みなどを和らげるためには、適切な薬を飲ませる投薬治療が必要です。痛みのために眠れなくなったり、精神的につらくなったりすることを防ぐための処置です。

仮に体が弱って食事や水分が取れなくなった場合は、胃ろうや点滴で栄養補給することもあります。

胃ろうとは、胃に穴をあけて食物を注入する医療処置です。他には、チューブから胃に栄養を送る「経管栄養」を行うこともあります。

また、自力で動けなくなった場合は、床ずれになるのを防ぐためのケアを行ったり、酸素吸入、点滴を行ったりすることもあるでしょう。

精神ケア

精神面でのケアは、医療従事者のみでなく、家族やボランティアによっても行われます。

患者の不安を少しでも取り除けるように、話を聞いたり、趣味を楽しんだりする時間を作ります。好きな本を読む、好きな音楽をかけてリラックスする、手芸を楽しむなど。

また、ベッドの周囲に患者の好きな絵や家族の写真を飾る、お人形などを置く、思い出の品を置くという工夫をすることもあります。

このように、精神ケアは患者が笑顔でいられるように力を尽くします。

社会ケア

社会ケアとしては、医療ソーシャルワーカーとの関わりがあります。ターミナルケアの費用に関する負担を減らすためです。

医療ソーシャルワーカーは、療養中の費用負担の軽減や福祉制度の利用について相談に乗ります。また、遺品相続や遺品整理などのサポートも可能です。

費用はケアを受ける場所によって異なる

ターミナルケアの費用は、病院や自宅、施設によって異なります。それぞれのケースで説明しましょう。

病院(1日あたりの目安)30日以内:49,260円31日以上:44,000円61日以上:33,000円※3食分の食事医療費360円がプラスされる。これらの金額に健康保険が適用される。
自宅でかかる費用の目安(医療保険が適用される場合もある。)在宅医の往診費用:1回2~3万円訪問看護:1回1万円介護に使う車椅子等の費用
介護施設での点数(看取り加算として介護報酬にプラスされる点数)4~30日:144点亡くなった日の前日または2日前:680点亡くなった日:1,280点※利用者が支払う額は、通常の介護保険サービスと同じで1~3割です。

病院の場合

病院の場合は、厚生労働省で「緩和ケア病棟」の承認を得ているのであれば、一定の金額に定められています。(治療内容によって異なることはありません。)

30日以内であれば、1日あたり49,260円、31日以上ならば1日44,000円、61日以上になると1日33,000円です。この金額に3食分の食費医療費の360円がプラスされます。(平成28年の資料による)

これらの費用には健康保険が適用され、それぞれの負担割合に応じて1~3割の金額を払います。ただし、個室の場合は別途料金が発生することがあります。

ターミナルケアは、※高額療養費制度の対象になるので、予め「限度適用認定証」を健康保険組合、または協会けんぽの事務所で確認しておくと良いでしょう。

※高額療養費制度:1ヶ月の医療上限額を超えた分を支給してもらう制度。年齢や所得により上限額は異なります。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

自宅の場合

自宅の場合は、利用する在宅医によって異なることもありますが、一般的には以下の費用がかかります。往診費用には、交通費が適用される場合もあります。また、その他に各種書類の発行の手数料が発生するケースも。

  • 在宅医の往診費用として1回に2~3万円くらい(医療保険が適用され、高額療養費制度の対象になる。)
  • 訪問看護の費用:1回1万円くらい
  • 介護に必要な物に使う費用:介護用ベッドや車椅子、訪問介護など、介護保険が適用される。

施設の場合

介護施設の場合は、場所によっても異なりますが、看取り介護加算といわれる終末期加算が発生するケースが多いものです。

仮に医師が終末期ケアの必要性ありと判断し、家族が同意すると、死亡した日から30日間を基準にして以下の点数が加算されます。

  • 4~30日:144点
  • 亡くなった日の前日または2日前:680点
  • 亡くなった日:1,280点

この点数は、介護報酬に足されます。利用者が支払う額は、通常の介護保険サービスと同じで1~3割です。

ターミナルケアのメリット・注意点

ここからは、ターミナルケアのメリット・注意点をお伝えします。それぞれ、ケアが行われる場所により異なります。

ターミナルケアのメリット

メリットは病院や施設の場合は、常に見守ってもらえる、家族の負担が少ない、自宅の場合は最期まで一緒にいられることです。

病院や施設の場合:常に見守ってもらえる

病院や介護施設でターミナルケアを行う場合は、常に医師や看護師、介護士といった立場の方々に見守ってもらえます。

万が一、容態が急変した場合でも、適切な処置をしてもらえるので、家族としては安心できるでしょう。

また、病気に関する質問をしたり、本人の状態を聞いたりすることもできます。

病院や施設の場合:家族の負担が少ない

病院や施設であれば、24時間見守ってもらえるので、家族の負担はありません。介護疲れにならずに済むのは、ありがたいものです。

また、本人にしても、家族が自分のために疲れている姿を見たくないはずです。家族が元気でいてくれれば、うれしいものでしょう。

自宅の場合:最期まで一緒にいられる

自宅でターミナルケアを取り入れるのであれば、最期まで一緒にいることができます。本人にとっても、家族にとっても幸せなことです。

一緒にいられる時間に、思い出話をしたり、今後のことを頼んだりすることもできます。

また、会いたい人に自宅に来てもらうこともできるでしょう。

ターミナルケアの注意点

ターミナルケアには、注意点もあります。本人の意思表示が難しいこと、病院や施設の場合はいつでも一緒にいられないこと、自宅の場合は家族の負担です。

本人の意思表示が難しい場合が多い 

本人の意思表示が難しいケースも多いものです。医療方針や延命措置など、本人の意思が分からない場合は、家族で決めなければなりません。

時には、つらい決断を下さなければならないこともあります。

できれば、本人が意思表示できるうちに、大事なことを確かめておいた方が良いでしょう。

元気なうちにエンディングノートに書いておくのもおすすめです。

病院や施設の場合:いつも一緒にいられない

病院や施設の場合は、いつも一緒にいることはできません。本人や家族にとっては、寂しいものです。

特にコロナ禍では、お見舞いを制限する医療施設や介護施設が多いです。家族にとってはつらいことでしょう。

自宅の場合:家族に負担がかかる

自宅の場合は、家族に介護の負担をかけてしまいます。場合によっては、仕事をやめなければなりません。

また、24時間体制となると、家族は休む時間がありません。本人も家族も辛いという状況になってしまいます。家族としては、それなりの覚悟が必要でしょう。

ターミナルケアとの違い

ターミナルケアと似ている点のあるケアを挙げました。ホスピスケア・緩和ケア・看取りケアです。

それぞれ一致点もありますが、異なる部分もあります。ただ、自宅で行う場合の大変さは、どのケアにもあてはまります。

選択肢を広げるためにも、それぞれの違いを知っておきたいものです。

ホスピスケア

ホスピスケアは、命の限りが見えている患者が最期まで希望通りに生きることが目的です。痛みなどを緩和させる医療処置を行いますが、治療目的ではありません。

ターミナルケアとの違いは、宗教関係のスタッフもそろっているところです。

最期まで希望通りに生きることが目的

ホスピスケアは、患者が最期まで希望通りに生きるための手助けです。この点は、ターミナルケアとも似ています。

治療とは異なり、最期までの時間をいかに過ごすかに重点が置かれています。

治す目的ではない苦痛を和らげる治療を行う

治す目的ではありませんが、痛みなどはなるべく和らげる治療を行います。

痛みなどの苦痛があると、最期の時間をゆっくりとした穏やかな気持ちで過ごせないからです。

場所によっては費用がかかる

ホスピスケアもターミナルケア同様に病院、自宅、介護施設といった場所の選択肢があります。

緩和ケア病棟であれば、健康保険が適用できます。しかし、介護施設となると、居住費や介護費用がかさむでしょう。

緩和ケア

緩和ケアは、がんなどの病気の苦痛を和らげる治す目的の治療です。主にがん診療連携拠点のある病院で入院・通院することで受けられます。目標は、普段通りに生活することです。

ターミナルケアとの違いは、主にがん治療が目的であること、治すことに重点を置いていることです。

がん診療連携拠点のある病院で入院・通院によって受けられる

緩和ケアを受けられる病院は、がん診療連携拠点のあるところです。症状により入院や通院で受けられます。

専門のチームが組まれ、痛み以外の治療にも取り組んでいます。

苦痛を和らげる治す目的の治療

目的は、苦痛を和らげることです。化学療法、外科手術、放射線療法などを行います。

がんにおいては、痛みや倦怠感などの苦痛を感じる方は全体の70%と言われています。緩和ケアはこうした苦痛を取り除きながら、治すことも考えた治療に臨みます。

普段通りに生活することを目標とする

緩和ケアは、治すために苦痛を取り除きながら、普段通りの生活をすることが目標です。

痛みなどの苦しみがあると、普段通りに生活するのは困難になるので、緩和ケアでは苦痛を取り除くことに重点を置いています。

看取りケア

看取りケアは、その名称のとおり、いかに穏やかに最期を迎えてもらえるかを目的にしています。在宅や介護施設で、身体介助、優しい声かけを行います。治療ではなく生活が目的です。

ターミナルケアとの違いは、最期の瞬間を目的にしていること、生活場所が主であることです。

在宅や介護施設で最期を迎える人のケア

看取りケアは、在宅や介護施設で最期を迎える人のためのケアです。

治療というよりはサポートです。家族とともに過ごす時間も大事にします。

最期まで身体介助や声かけを行う

本人に対しては、職員が最期まで寄り添います。身体介助や声かけなどで不安定になりがちな本人を支えます。

残された日々の過ごし方、人としての尊厳を重視するケアです。体を清潔に保つためのケアも積極的に行います。

治療ではなく生活が目的

看取りケアは治療をしません。痛みを和らげる投薬がある際は、医師の判断を仰ぎますがそれ以外は生活が中心です。

看取りケアは、最期を迎えるためのケアと言っても良いでしょう。

まとめ:エンディングノートを活用して意思表示を残しておく

ターミナルケアは、命の限りが見えている方に行う終末期医療です。どのようにして最期を迎えるかを重点におき、病院、自宅、介護施設で行われます。

費用は場所によって異なりますが、病院の場合は健康保険が適用されます。

家族と過ごせるなどのメリットがありますが、在宅の場合は家族に負担がかかります。

また、注意したい点は本人の意思表示です。たとえば、延命措置などは本人の意思が必要です。

しかし、すでに意思表示ができない状態になっていることも少なくありません。そんな時は、家族が厳しい選択をしなければならず、心の負担になってしまいます。

大事な家族にそんな想いをさせたくないものです。それには、いざという時のために、エンディングノートに意思表示を書き残しておくことをおすすめします。

人はだれでも、いつ何が起こるのかわからないものです。元気なうちに、命の選択が迫られた時の意思表示を書いておきましょう。

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