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修行とは?修業との違い・修行僧が行う修行や大学で学ぶ修行をご紹介
修行(しゅぎょう)とは仏道を修めること
修行とは、仏道を修めることで、仏教における精神の鍛錬です。私利私欲や性欲などといった人間にある欲望を通り越し、生きていることに幸福を見出すという考え方です。
悟りの境地に至るための苦行という意味
仏教において、修行は悟りの境地に至るための苦行という意味があります。修行の折には、怒りや恨み、妬み、憎悪といった否定的な感情は抜きです。ひたすら己に向き合い、仏の道を極めます。
この記事では、修行と修業の違い、修業僧が行う修行、僧侶を目指す大学に行う修業をご紹介します。
修行と修業の違い
修行と修業は、「行」と「業」の違いがありますが、読み方が同じなので混乱しやすいです。しかし、修行と修業では意味が異なります。
ここでは、それぞれの意味をご紹介します。そして、いずれも例文を用いて使い方をご紹介します。
修業は学術などを身に付けること
修業(しゅぎょう)は学術や特定の技術などを身に付けることです。たとえば、学校での勉強、職人になるための技術の訓練や鍛錬などを指します。
学校の全課程を修業したという時などに使われます。また、修業証書というものもあります。修行に比べますと、一般的な使い方です。
「修業」の使い方
・茶道の師範になるには、まだ修業が足りません。
・結婚を控えているマリ子さんは、花嫁修業を頑張っています。
・あと2年修業して親方のような立派な職人になりたいと思います。
・コンクールで優勝するために、パリで音楽修業をしたいと思いました。
・植木職人になるための修業は厳しいものでした。
修行は仏教における心身の鍛錬
「行」を使った修行は、仏教など宗教における心身の鍛錬を指します。仏典においては、「行」と呼ぶことも多いです。
その他、武者修行といった特別な鍛錬にも使われます。
「修行」の使い方
・滝に打たれる修行を滝行と呼びます。
・僧侶になるために、お寺で修行に励んでいます。
・こんなことができないとは、まだまだ修行が足りません。
・親の後を継いで僧侶になるために、京都のお寺で修行することになりました。
・修行の厳しさに弱音を吐きそうになりますが、立派な僧侶になるために頑張ります。
修行僧の行う修行
修行を行う僧を修行僧、または、行者と呼びます。ここでは、修行僧が行う修行の内容を一部ご紹介します。
曹洞宗智源寺専門僧堂の修行を参考にしました。
座禅
修行の基本といえば座禅です。
智源寺には、座禅堂といわれる場所があり、そこで座禅を行います。1回40分で朝1回、夜1回、合わせて一日に2回です。
座禅は、姿勢を正して座って行う精神を集中させる鍛錬です。仏教の開祖であるお釈迦様が行ったと言われています。心を静かにして自分と向き合う修行で、その人の集中力が試されます。
応量器(おうりょうき)を使った食事
応量器という食器を使った食事も修行の一つです。禅寺では、食事の際に応量器を使用します。智源寺では、三食とも使っています。
応亮器は入れ子になっている5つの器です。使い方が厳格に決められているので、マナーを守って使うことが修行の一環になっています。
お袈裟(けさ)を縫う
智源寺では、僧侶にとって大事なアイテムであるお袈裟を縫うことも修行の一つになっています。
お袈裟を縫うのはなかなか大変です。特に今まで、お裁縫をやったことのない人であれば、余計に難しいものです。
講師に教わりながら、だんだん自分のみで縫える技術を身に付けます。
知識を身につける
知識を身に付けることも修行の一つです。
智源寺では、漢詩や漢文、仏教の基本などを学びます。いずれも、僧侶としてお寺の仕事を行う上で必要な知識です。
読経の練習
僧侶というと、読経を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。智源寺でも、読経の練習は欠かせません。
また、お経のみでなく、鐘のつき方や太鼓の練習も行います。
ある修行僧の1日
智源寺でのある修行僧の1日をご紹介します。早寝早起きが特徴です。
時間 | 行うこと |
4:30 | 朝の座禅や読経、小食(しょうじき)と呼ばれる朝食、昔の高僧の著作を読む勉強 |
8:30 | 作務(さむ)とよばれる清掃 |
11:00 | 昼の読経 |
12:00 | 中食(ちゅうじき)と言われる昼食 |
13:00 | 各自の勉強や練習 |
16:00 | 夕方の読経 |
17:30 | 薬石(やくせき)と言われる夕食 |
19:00 | 夜の座禅 |
21:00 | 就寝 |
僧侶を目指す大学で教わる修行
僧侶を目指す学生が通う仏教系の大学でも修行が行われます。ここでは、高野山大学の修行をご紹介します。
得度(とくど)という修行儀式
得度という修行儀式があります。仏門に入るための出家の儀式です。師匠となる師僧を見つけて弟子になることから始まります。
高野山大学の場合は、総本山金剛峯寺でこの儀式を行っています。
戒律を守るための受戒(じゅかい)
戒律を守るために行う儀式、受戒があります。僧侶として守るべきことを誓います。
高野山大学では、毎年6月に3日かけて行います。たとえ戒を授かっても、戒を守ることを徹底させる儀式です。
仏と向き合う四度加行(しどけぎょう)
四度加行は、仏と向き合う大事な修行です。
約100日行う修行で、高野山真言宗の僧侶になるためには必至です。高野山大学の場合は、春や夏の長期休暇の間に、それぞれ50日間実修します。
伝法灌頂(でんぽうかんじょう)という最高の儀式
伝法灌頂とは、真言密教の法を授かるために最高の儀式です。これを受けて「阿闍梨位(あじゃりい)」を得ることができます。
この位によって、真言宗の僧侶としての僧階を得られます。
まとめ:修行は悟りの境地で僧になるためにも必要な鍛錬
修行とは悟りの境地のことで、僧になるために必要な鍛錬です。
混乱されることの多い「修業」は、学術や特定のスキルを習得する際に使う言葉です。悟りの境地を極める「修行」とは意味が異なります。
修行の内容は、座禅や読経、僧になるための勉強や練習、僧独特の食事などです。早寝早起きも特徴の一つです。
また、僧侶になるための大学でも、特定のカリキュラムで修行が行われます。