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介護におけるIADLとは?介護を始める人が知っておきたい知識と心構え
IADLとは判断能力を伴う日常生活の動作のこと
IADLとは「Instrumental Activities of Daily Living」の略語です。
介護の世界でよく使われる言葉の一つで、判断能力を伴う日常生活の動作のことを指します。
IADLは、QOL・ADLなどと共に使われることが多く、家族の介護に初めて関わる方にとっては、『何やら意味の分からない単語』と捉えてしまいがちです。
専門用語を全て理解することは大変なので、頻繁に使われるIADLの意味だけでも知っておくと、専門家の話がよく分かるようになります。
IADLとは
IADLとは、手段的日常生活動作のことです。
※手段的日常的生活動作:掃除・料理・洗濯・買い物・更衣・洗面・電話対応・服薬管理・金銭管理の8項目
IADLは、掃除・料理・買い物など、日常生活における単純な動作ができることに加えて、動作に伴う判断・意思決定ができるかどうかという点が含まれます。
在宅介護であれば、高齢者が一人になる状況もふまえ、ADLだけでなくIADLの状態を把握しておくことも必要です。
IADLの意味
IADLとは「Instrumental Activities of Daily Living」の略語で、判断を伴う日常生活の動作という意味を持ちます。
IADLと似た言葉にADL(もしくはBADL)・QOLという言葉があります。
判断を伴う日常生活の動作(IADL)が低下すると、日常的な生活動作(ADL/BADL)も低下し、生活の質(QOL)全体が下がってしまうといわれています。
IADLをできる限り維持していくことが、人生100年時代を生き抜くためにとても大切です。
IADLとADL・QOLの違い
介護の分野で使われているIADL・ADL・QOLは、似て非なる言葉ですが、密接な関係があります。
それぞれの違いと関係性はどのようなものなのでしょうか。
ADLとは
ADLとは、日常生活動作という意味です。
※日常生活動作:食事・排泄・着脱衣・入浴・歩行(移動)など
ADLは、日常生活を送るために必要な基本的な動作のことで、習慣的に行っている行動なども含まれます。
介護や医療の分野において、以前はADLが中心に考えられていました。
しかし、高齢者の自立・介護予防の観点から、近年ではIADLが重視されています。
QOLとは
QOLとは、生活の質という意味です。
生活の価値観や幸福感、満足な生活をしているかどうかを指す概念のことで、人間らしく満足した生活を送れているかという判断基準になります。
- 心身の健康状態
- 良好な人間関係
- 生きがい
- 自己表現
QOLは加齢や病気などに伴って低下しやすくなりますが、いかに生活の質を維持するか、ということは非常に大切です。
IADLとADLの違いと関係性
IADLとADLの違いは、動作の領域です。
食事を例に挙げると、下記のようになります。
- ADL:自分で食べられるかどうか・飲み込みや咀嚼(かむ力)に異常はないか
- IADL:買い物に行き献立を自分で考えられるか・料理を行い盛り付けまで行えるか
IADLはADLを基にさらに複雑な動きの動作能力のことを指し、ADLは動作そのものを指すことがわかります。
IADLとADLは、密接な関係があり、IADLが低下すると、ADLの低下を招きます。
計算力や判断力・記憶力といった複雑な認知能力が必要なIADLを低下させないようにすることで、ADLの低下を予防することができるという関係性を持ちます。
IADLとQOLの違いと関係性
IADLとQOLは、概念が異なりますが、在宅介護においてはバランスが必要です。
QOLに含まれる生きがいや自己表現は、IADLの複雑な認知能力が欠かせません。
高齢者自身が自立できること、IADLを低下させないことでQOLを維持・向上させるという関係性があります。
IADLとQOLは、高齢者自身で高めることが可能です。
介護をする家族も、関係性を理解し、高齢者を自立できるようなサポートを行うことが必要だといえるでしょう。
家族と一緒に考えるIADLとは
家族が介護を必要とする状態になると、さまざまな専門家とのやり取りが始まります。
要介護者だけではなく、家族も一緒にIADLについて考えなくてはいけません。
家族に介護が必要になったときの注意点
介護は要支援1・2、要介護1~5まで、介護度によって区分され、使えるサービスの単位やレンタルできる福祉用具の種類などが決まります。
介護が必要になったからといって、何もできない状態…というわけではありません。
介護をする上で注意したいのは、できない箇所のみをサポートするということ。
これは予防やリハビリにも直結し、自尊心を傷つけないためのポイントです。
また、介護保険のサービスを受けるようになると、さまざまな専門家が関わってくれるようになります。
介護に必要な用語は、最低限理解できるようにしておくと良いでしょう。
「何を言っているのかわからない」「言葉が難しすぎて…」という状態では、介護者の状態を観察したり、報告したりすることができなくなってしまうからです。
IADLは、一緒に生活している人が一番判断しやすい分野です。
どんな基準で判断すれば良いのかを知り、適切に報告できるようになることが望ましいといえます。
どんな基準で判断すれば良い?
IADLには、客観的に判断する基準として、
- Lawton(ロートン)の尺度
- 老研式活動能力指標
- DASC-21
などの評価方法があります。
中でも一般的なのはLawtonの尺度・8項目です。
※Lawtonの尺度:買い物・電話対応・家事・食事の準備・洗濯・移動・服薬の管理・金銭の管理
Lawton(ロートン)の尺度の評価方法は、8項目の項目ごとに、行動が3~5段階で分けられています。
どれに当てはまるのか該当する数値の合計で採点をする方式です
例えば買い物の場合は、
- すべての買い物を自分で行うことが出来る
- 少額の買い物は自分で行うことが出来る
- 誰かが一緒でないと買い物が出来ない
- 全く買い物は出来ない
というレベルに分けられています。
このような細かい状況は、一緒に住んでいる家族だからこそわかることです。
評価の方法を知ることで、変化に早く気付くことができます。
家族ができるIADL低下防止のポイント
家族が在宅で介護をする場合、専門家のプランがあったとしても、何をどうすれば良いのかわからずに悩んでしまうことがあります。
一緒に生活している家族だからこそ、IADLの低下を防止させることが可能です。
日々の生活の中で注意したい3つのポイントをご紹介しましょう。
1・介護しすぎない
介護する側の家族は、介護をしすぎないようにすることがもっとも重要なポイントです。
できないことだけをサポートするように心がけましょう。
「大変そうだから」「自分がやった方が早いから」と先回りしてやってしまうことで、高齢者の自立を妨げ、やりがいや達成感を奪ってしまう可能性があります。
例としては、
- 重たい物だけを持ってあげる
- 時間がかかってもできるまで待つ
- 銀行まで連れていき見守る(金銭管理は任せる)
- 病院の送迎だけ行う(診察・支払いは任せる)
などです。
年を重ねたり、病気を患ったりしても自尊心は失っていません。
介護をしすぎないということは、非常に大事なポイントになります。
2・生活環境を整える
自分でできる・自立がしやすいように、生活環境を整えてあげましょう。
- バリアフリーなどのリフォーム:家の中を安全に移動できる
- 福祉用具の活用:自立した生活を送ることができる
要介護認定を受けていれば、住宅改修は9割相当額が支給されますし、福祉用具はレンタルすることができます。
※住宅改修の種類:手すりの設置・段差の解消・引き戸への取り換え・洋式便器への取り換えなど
※レンタルできる福祉用具:手すり・歩行器・歩行補助杖・介護用ベッド・スロープなど
生活環境を整えることは、要介護者の自立をサポートするだけではなく、介護者の負担を軽減することにもつながります。
IADLの低下を防止するためにも、生活環境の整備は重要です。
3・家庭内での役割を見つける
家庭内での役割を見つけてあげるのも良い方法です。
役割の内容は、簡単なことでも構いません。
『これはあなたがいないと困る』という、他人に必要とされている充実感は、誰にとっても重要です。
洗濯物を畳む・お皿を洗う・ペットの世話をするなど、できれば毎日行うことを任せてあげてください。
重要なのは、うまくできなかったときに責めたり、先回りして行ったりしないこと。
コミュニケーションをしっかりと取りながら、自尊心を満たしてあげることがポイントです。
まとめ:IADLは自立した生活を送るための予防策
IADLとは、判断能力を伴う日常生活の動作のことで、自立した生活を送れるようにするための予防策です。
一緒に住んでいる家族だからこそ、できることやしてはいけないことがあります。
人生100年時代…加齢や病気などで介護が必要になっても、自尊心を持ち、豊かな生活を送るために、IADLの低下は予防することが大切です。