本ページはプロモーションが含まれています。
0葬とは?0葬が求められる背景と流れや費用について解説
0葬(ゼロそう)とは葬儀も骨上げもせずお墓も作らない弔い方
0葬とは、通夜や葬儀は行わず、火葬が済んだら骨も持ち帰らず、お墓も持たないという全く新しい弔い方です。もともとは宗教学者の島田裕巳氏が著書「0葬 ――あっさり死ぬ 」の中で究極の死の形として提唱した形式で、メディアでも取り上げられ大きな話題となりました。
葬儀をせずに骨も持ち帰らないなんて、罰当たりだと感じる方は多いと思いますが、遺族の希望だけでなく、自分の葬儀を0葬にしたいという人も増えているのです。
0葬が求められるようになった背景や、メリットとデメリット、実際の流れや費用について解説していきます。
なぜ今、0葬なのか?
0葬の提唱者である島田裕巳氏は、0葬が求められる背景について次のポイントを挙げています。
●団塊の世代が、死の“適齢期”に。
●中江兆民や夏目漱石も、自身の葬式や墓は要らないと主張した。
●人が一人死ぬと、かかる費用は葬式と墓を合わせて平均500万円以上。
●一方、病院から火葬場に直行する「直葬」は、いまや関東地方では約4分の1に。
●葬儀は業者に頼らずできる。たとえば、棺桶も通販で売っている。¹
島田氏は自身の葬儀やお墓をどうするか悩む日本人が増えていることに触れ、費用や手間など遺族に迷惑をかけない死に方として、0葬を提唱。0葬は葬られる側にとって、死後の不安を解消するための有効な方法だと説いています。
その一方で、0葬を依頼する遺族の中には、故人の遺志とは関係なく送る側の都合で0葬を希望するケースも。その結果、0葬をしたことを後悔したり、家族とトラブルになったりする場合もあるようです。
ここでは0葬の特徴について、メリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
0葬のメリット
- 費用が安い
都内で一般的な葬儀を行うと、費用が150~190万円ほどかかります。さらに、お墓の建設費が200~300万円と言われる中で、0葬の費用相場は10~30万円ほどと非常に安価です。
- 逝去から2日ほどで終わる
一般的な葬儀は、通夜から葬儀・告別式、火葬までを行うと3~4日かかるのが一般的です。しかし0葬は、早ければ1日半ほどで済むのも特徴です。遺体は亡くなってから24時間経過すると火葬ができるので、火葬場の予約が空いていれば2日以内に0葬が終わります。
- お墓を継承する必要がない
0葬は火葬後に遺骨を火葬場で処分してもらうので骨は残らず、そのためお墓も必要ありません。お墓は建設費がかかるというだけでなく、菩提寺との付き合いやお墓を代々受け継ぐ責任が発生します。その点、0葬はお墓を守ることからも解放されます。
- 疎遠な家族の葬儀がしやすい
ほとんど会ったこともない親族や別居や離婚で疎遠になっていた元夫婦が亡くなった時など、遺体の引き取り手がなく、葬儀を任される場合があります。生前の付き合いが希薄で、故人に他の親族がいない場合、費用を抑えお墓もいらない0葬は理にかなった弔い方と言えるでしょう。
0葬のデメリット
- 親族の理解を得にくい
0葬は新しい弔いの形なので、違和感を抱く人の方が多いのが現実です。たとえ故人が0葬を希望していたとしても、葬儀に呼ばれなかった親族が不愉快に思って非難される可能性があります。
- お墓がないことを後悔する
0葬後に、やはりお墓に埋葬しておけば良かったと後悔する可能性があります。人の気持ちは移ろうので、故人を偲ぶために手を合わせる場所が欲しくなることもあります。
0葬ができる地域とできない地域
0葬は、実はどこでもできるわけではありません。火葬場が遺骨を処分することを認めている自治体では、0葬ができます。
できる地域は、西日本が中心です。西日本ではもともと遺族は遺骨の一部を持ち帰り、残りは火葬場が処分する習慣が定着していることもあり、0葬の際に遺骨の処分を受入れてくれる火葬場もあります。
その他の地域は、全ての遺骨を引き取ることを義務付けている場合が多いので、希望しても0葬ができない場合があります。北日本から東日本の都道府県は、遺骨の全引き取りが原則の地域がほとんどです。0葬を希望する場合は、他の地域の火葬場へ遺体を移送する必要があるので、その分費用は高くなる傾向があります。
とはいえ、自治体や条例ごとに違うので、必ずしも「東日本ではできない、西日本ではできる」というわけではありません。まずは、火葬場や自治体への確認することをおすすめします。
0葬の流れと費用
0葬は一般的な葬儀とは流れが異なります。葬儀の重要な部分は火葬のみ。さらに、火葬に最後まで立ち会わなくても良い場合さえあります。葬儀社に一任する分、費用も安く抑えられるのが特徴です。
流れ
0葬の流れは、以下の通りとてもシンプル。希望しなければ僧侶の読経もありません。
- 遺体の移送と安置
病院から自宅や安置施設に遺体を移送して安置し、遺体を棺に移します。
- 死亡届
医師の死亡診断書を役所に持参し、死亡届を提出し、火葬の許可を得ます。
- 火葬
死亡から24時間以上が経過したら、火葬場へ遺体を移送し、火葬します。
- 収骨
収骨に遺族が立ち会う必要はありません。
費用
0葬にかかる費用は地域によって異なります。というのも、遺骨の引き取りを原則としている地域では0葬ができないため、0葬ができる地域の火葬場に遺体を移送しなければならず、その際に追加の費用がかかるためです。
東京、神奈川、千葉は遺骨の全引き取りが求められるケースが多いので、近場での0葬は難しいでしょう。その場合は、0葬が可能な地域に移送することになり、大阪まで移送した場合には30万~40万円ほどかかる可能性があります。火葬に家族が立ち合う場合は、交通費や宿泊費もかかるので、その分の費用も考慮する必要があります。
なお、関東に近いところでは、長野県の東信州エリア(佐久市、小諸市、北佐久郡、南佐久郡)では0葬プランを提供している葬儀社があります。
一方、大阪は遺骨の一部引き取りを認めているため、0葬が可能な火葬場もあります。葬儀社によっては0葬プランとして10万円以下を設定している業者もあり、平均で10~15万円前後が費用相場と言えるでしょう。
0葬にかかる費用の内訳は、遺体搬送料、棺、火葬料、ドライアイスなどです。故人が生前に購入していた棺を使う場合は、その分の費用が割り引かれる可能性があるので相談すると良いでしょう。
0葬と直葬の違い
直葬とは火葬のみを行う葬儀で、0葬との大きな違いは骨上げをする点です。直葬は遺骨を遺族が引き取り、埋葬するのが原則です。お墓に埋葬する人もいれば、散骨を希望する人もいます。
直葬の注意点
菩提寺に納骨する場合は、直葬では受け入れてもらえない可能性があります。改めて葬儀を行ったり、戒名をつけたりするよう求められる場合もあるので、直葬後の納骨が可能かどうか確認していくことをおすすめします。0葬も直葬も宗教儀式にのっとった弔い方ではないので、宗教者にはあまり良い心象は持たれません。
また、散骨をする場合もトラブルにならないように注意が必要です。遺骨とわからないように骨を粉末状に砕くことや、住宅地に散骨しないなどマナーを守りましょう。
森林などに散骨する場合も、土地の所有者に許可を取る必要があります。海に散骨する場合は、専門の業者に散骨を依頼して、後から散骨の様子を写真や動画で見る方法と、船をチャーターして直接散骨する方法があります。直接散骨する場合、単独で船をチャーターすると20~30万円、合同散骨は10万円、委託散骨は5万円が費用相場です。
まとめ
新しい弔い方として注目される0葬。とはいえ認知度は未だ低く、情報も多くはありません。費用の安さだけで0葬を決めると、後で後悔する場合もあるので、じっくり検討したうえで決めましょう。
自分が亡くなった時に0葬を希望する場合も、家族に相談し親族の理解も得るようにしましょう。家族に負担をかけないために0葬を希望したのに、自分の死後に親族がもめることになっては意味がありません。0葬の目的である、「何も残さない」を叶えるために、遺族に心労をかけない配慮も大切です。
¹参考文献 島田裕巳(2014)『0葬 ――あっさり死ぬ』集英社