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菩提寺とは?役割、メリット・デメリット、檀家や壇那寺との違い・わからない場合にすべきことを解説
菩提寺とは先祖代々のお墓があるお寺
菩提寺(ぼだいじ)とは、先祖代々のお墓があるお寺です。菩提所や氏寺と呼ばれていた時もありました。菩提はサンスクリット語で「さとり」「めざめ」を意味します。
過去は菩提所や氏寺と呼ばれていた
現在では、菩提寺という呼び名がはびこっていますが、菩提所と呼ばれることもあります。また、古代や中世は、氏寺と呼ばれていたことも。
そもそも菩提寺や菩提所にある「菩提」とは、死後の冥福を意味します。そこから、死後の冥福を願うお寺と解釈して良いでしょう。
たとえば、江戸幕府を築いた徳川家の増上寺、寛永寺が有名です。
菩提はサンスクリット語で「さとり」「めざめ」の意味
菩提とは、※サンスクリット語で「さとり」「めざめ」の意味があります。「さとり」「めざめ」に漢字をあてて菩提になったと考えられています。
そんなところから、菩提寺は「亡くなった肉親がお釈迦様のようなさとりを得て目覚めてほしい」という家族の切なる思いが込められたお寺と言えます。
しかし、最近では、そういった願いよりも、先祖代々のお墓のあるお寺、仏事を行うお寺という意味合いが強くなっています。
この記事では、そんな菩提寺の役割、メリット・デメリット、檀家や壇那寺との違いについてお届けします。
※サンスクリット語:古代インド・南アジア・東南アジアで用いられた言葉。
菩提寺の役割
菩提寺の役割を紹介します。先祖を弔う他に、四十九日法要、三回忌などの仏事の相談に乗ってくれます。
先祖を弔う
菩提寺の主な役割は、先祖を弔うことです。檀家は、菩提寺と何代ものおつきあいが続いているケースが多いものです。
そんな菩提寺は、故人の家族とともに先祖を弔い、先祖代々のお墓を守ってくれます。そして、弔いの一つとして、故人に戒名を授けます。
戒名を頂き、供養をしてもらえれば、故人は仏様の弟子として、成仏できると考えられています。
仏事の相談に乗る
菩提寺では、あらゆる法要の相談に乗ります。以下は、菩提寺で相談できる事柄です。
- 葬儀
- お墓
- 法要
- 戒名
- お布施
【事例】
①Aさん:70歳 東京在住
所帯を持った子供たちも都内やその周辺に在住
故郷に菩提寺はありますが、行き来が少なくなり、親戚とのつきあいもほとんどありません。自分に何かあった時、お墓をどうしたらよいのか悩んでいます。
Aさんの場合、故郷の菩提寺に相談しましょう。
②Bさん:50歳 地方在住 長男、所帯を持っている
近くに80代の両親が住んでいる。
Bさんの家の近くには、菩提寺がありますが、仏事についてはすべて親任せでした。
しかし、両親が年老いてきて、認知症の症状が出たり、病院に入院したりしています。もしも、親に何かあった場合、どうしたらよいか不安になっています。
この場合も菩提寺に相談しましょう。正直にわからないことなどを尋ねると、住職が親切に教えてくれます。
菩提寺のメリット・デメリット
菩提寺には、メリットも多いのですが、デメリットもあります。お墓の心配なしなどの3つのメリット、お金に関するデメリットを紹介します。
3つのメリット
お墓の他、法事の相談など、菩提寺があると安心できることが多いものです。
お墓の心配がいらない
先祖代々のお墓があるので、これから新しいお墓を購入するなどの心配がいりません。
お墓購入となると、なかなかの出費です。しかし、菩提寺があれば、そんな出費はいりません。また、入るお墓があるということで、安心感もあるでしょう。
法事などを相談できる
法事を行う際に相談できるのは、ありがたいものです。
たとえば、親が亡くなり、仏事を取り仕切るとなると、不慣れでわからないことが多いものです。そんな時、頼りになるのが菩提寺。
子供の時から知っているお寺であれば、安心していろいろなことを聞けるものです。しかし、あまりつきあいがなかったとしても、相談すれば、力になってくれます。
また、檀家であれば、お盆などの繁盛記に優先的に対応してくれることもあります。
お墓の管理をしてもらえる
お墓の管理をしてもらえるのも、大きなメリットです。
主なお墓の管理は以下が挙げられます。
- 水汲み場、トイレなど共有部分の清掃
- 壊れた個所の修理、修繕
デメリットはお金がかかること
菩提寺のデメリットは、お金がかかることですが、具体的にどんなことにお金がかかるものでしょうか。考えられることを挙げます。
- 葬儀や法要などのお布施
- お寺から求められる寄付金(ケースバイケース)
- 檀家の年会費
- 新規で檀家になる場合の入壇料
- 志納金を求められることがある。
菩提寺と檀家、壇那寺の違い
菩提寺は、檀家や壇那寺とは、どのような違いがあるものでしょうか。それぞれの違いについて、解説します。
檀家は菩提寺にお墓がある家のこと
檀家とは、菩提寺に先祖代々のお墓がある家、お寺を経済面で支えている家を指します。菩提寺はお寺を指すので、檀家とは意味が異なります。
菩提寺にお墓がある檀家がほとんどですが、中には菩提寺にお墓はなく、お布施などでお寺を支えている場合もあります。
壇那寺は信者として支援しているお寺のこと
旦那寺と書く場合もある壇那寺は、信者として支援しているお寺を指します。
菩提寺との違いは、お墓の有無、檀家であるか否かです。
相違点 | 共通点 | |
菩提寺 | 先祖代々のお墓がある。檀家とは限らない。 | 仏事や供養をしてもらう。お布施や寄付でお寺を支える。 |
壇那寺 | お墓があるとは限らない。檀家になっている。 |
菩提寺が分からない場合にすべきこと
仮に菩提寺が分からない場合は、親戚に尋ねる、故人の戒名から宗派を探し、菩提寺に結びつけるといった探し方があります。
親戚に尋ねる
菩提寺は、自身の親に教えてもらうことが一番ですが、親が亡くなっていたり、年老いて認知症を患っていたりする場合も考えられます。
そんな場合は、親戚に尋ねるといった方法が一般的です。帰郷の際などに、尋ねてみましょう。
菩提寺の存在は、いざというときのために知っておきたいものです。
戒名から宗派を探す
事情により、親戚や親族に菩提寺を聞けない場合も考えられます。
そんな時は、戒名を調べましょう。戒名がわかれば、そこで使っている漢字により、宗派を探します。
たとえば、浄土宗であれば、「信士・信女」「居士・大姉」「院信士・院信女」といった戒名を使います。
こうした戒名から目星をつけて、菩提寺を探す方法ですが、時間はかかるでしょう。
よくある質問
- 必ず菩提寺に供養してもらうものですか?
-
信教の自由があるので、必ずしも菩提寺に供養してもらう必要はありません。
- 菩提寺の変更はできますか?
-
可能です。その際は、移動先のお寺で受け入れ証明、元の菩提寺には埋蔵証明をもらいます。元の菩提寺には、今までお世話になったことの感謝を伝えましょう。
- 菩提寺が遠方にある場合、葬儀社に僧侶を紹介してもらうことはできますか?
-
可能ですが、まずは菩提寺に相談しましょう。後のトラブルを防ぐことができます。
- 家族が亡くなった場合は菩提寺に連絡するのですか?
-
はい。すぐに連絡して葬儀での読経をお願いしましょう
まとめ:菩提寺は先祖代々のお墓があるお寺のこと
菩提寺は、先祖代々のお墓があるお寺で、先祖の弔いやお墓の管理をしてくれたり、仏事の相談にのってくれたりします。
また、檀家であれば、お盆など込み合う時期に優先的に対応してもらえるという利点も存在します。しかし、一方でお布施や寄付など、かかる費用も少なくありません。
昨今は、故郷に帰ることが少なくなり、菩提寺がわからないという方も増えてきました。そんな場合は、帰郷の際に親族に聞いたり、ご先祖様の戒名を調べたりして、菩提寺を知っておきましょう。