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清拭とは?初めての在宅介護で知りたいポイントをピックアップ!
清拭とは身体の汚れを拭いて清潔さを保つケアのこと
清拭とは、要介護者の身体の汚れを拭いて清潔を保つケアのことです。
介護業界では、要介護者の身体に直接触れる『身体介護』の一つとして認知されています。
清拭とは
清拭とは、病気・ケガ・寝たきりで入浴ができない要介護者の身体を清潔に保ち、皮膚の傷口からの感染症や尿路感染症など、感染症を予防する目的があります。
また亡くなった方に対する清拭は『エンゼルケア』と呼ばれ、死後の処置として行われるものです。
清拭の読み方
清拭は『せいしき』と読みます。
清拭には拭いて清めるという意味があり、『病人などの体をふいて清潔に保つこと』という意味の言葉です。
清拭の目的
介護における清拭の目的は主に3つあります。
- 傷口を清潔に保つことで細菌感染を防止すること
- 皮膚や身体の状態を定期的に観察すること
- 外出・他者との交流への意欲を促すこと
寝たきりで過ごしている方は、褥瘡(じょくそう=床ずれ)が起きやすくなります。
褥瘡は継続した圧迫によって血行が妨げられることが原因です。
清拭によって血行を促すことや、異常の早期発見のための全身チェックを行うことは、清拭の重要な目的として知っておきましょう。
清拭の効果
清拭を行うことで得られる効果は複数あります。
- 異常の早期発見
- リラックス効果や筋肉の硬直の防止
- 床ずれの防止
- 血行の促進
寝たきりの方や入浴ができない方にとって、清拭はとても気持ちの良いものです。
気分転換につながり、リラックス効果は非常に高くなります。
またコミュニケーションを取りながら行うことで、脳の活性化も期待できるといわれています。
在宅介護における清拭の注意点
施設や病院で行う清拭とは異なり、在宅介護は自宅のベッド上で清拭を行うことになります。
設備や備品が整っていないケースも多くあるため、介護者は在宅ならではの注意点を知っておくことが肝心です。
忘れてはいけない注意点を4つご紹介しましょう。
体温・血圧の確認は必須
病院や施設で必ず行われるのがバイタルチェックです。
バイタルチェックとは、健康状態を数値化して観察するということ。
体温・血圧・脈拍・呼吸数などを観察します。
在宅介護で清拭を行う際にも、体温と血圧のチェックは必ず行ってください。
最近の血圧計は脈拍を一緒に計測できるものがほとんどです。
少しでも普段と異なる様子があれば、清拭は行わないようにしましょう。
食後1時間以内はNG
清拭を食後1時間以内に行うことはNGです。
清拭を行うと血行が促進され、末梢血管の循環血液量が多くなります。
末梢神経に血液が多く流れてしまうことで、消化機能が低下する恐れがあるからです。
食事が終わってから1時間以上経った状態で行うようにしてください。
室温・プライバシーへの配慮
在宅で清拭を行うときは、室温とプライバシーの配慮に注意が必要です。
全身の清拭は、室温を22℃~24℃に保ちましょう。
また介護者側は『家族だから』と思っていても、要介護者にとっては恥ずかしいという意識があります。
身体にタオルをかける・カーテンやドアを閉めるなど、プライバシーへの配慮もわすれてはいけません。
特に陰部洗浄を行う場合は配慮が必要です。
できないことを無理に行わない
できないことを無理に行わないのも在宅介護における清拭の注意点です。
特に拘縮している(固まっている)関節を無理に広げるのは絶対にNG。
高齢者の場合は骨折してしまう可能性があります。
家族は介護のプロではありません。
自分でできないことは無理をせず、訪問介護士やかかりつけ医などに相談してください。
在宅介護の清拭で準備したいもの
病院や施設は設備も整っており、備品も十分にあります。
しかし在宅では家にあるものを上手く利用して行わなくてはいけません。
在宅で清拭を行う際に準備したいものをご紹介しましょう。
タオルやガーゼ
タオルやガーゼは多めに準備する必要があります。
- タオル:バスタオル(身体に掛けるもの+髪や身体を拭くもの)
- ガーゼ:身体を洗ったり流したりするときに使う
バスタオルの数がない・洗濯が大変という場合は、フェイスタオルでもOKです。
タオルで体をこすると痛いことがあるので、やわらかいガーゼがおすすめです。
ゴム手袋
薄手のゴム手袋は陰部洗浄の際に必要です。
特に便で汚れてしまっている場合などは、汚れを拡大させないためにもゴム手袋を使いましょう。
蒸しタオルが必要な時に熱いお湯を触ることもあるので、台所用のゴム手袋と薄手の手袋、2種類用意するのがおすすめです。
石鹸・シャンプー
清拭や頭髪の洗浄を行う際に必要なのが石鹸やシャンプーです。
ただしベッド上でたくさん使ってしまうと、泡切れが悪くお湯を大量に使うことになります。
ドラッグストアなどで市販されている『水のいらないシャンプー』や『清拭用ボディフォーム』などを利用すると非常に便利です。
要介護者の方の好みもありますので、注意しましょう。
陰部洗浄用のペットボトル
陰部洗浄の際に便利なのが、ペットボトルです。
ペットボトルの蓋に穴を開け、少しずつお湯が流せるようにすると陰部を気持ちよく洗うことができます。
便で汚れてしまった場合にも利用できるので、使い終わったペットボトルを再利用してください。
ブルーシート・レジャーシート
ベッド上で清拭を行うのであれば、ブルーシートやレジャーシートは必需品です。
慣れないうちはお湯をこぼしてしまったり、タオルやおむつで床を汚してしまうことがあります。
おすすめは大きめのブルーシートです。
床に1枚引いておくだけで汚れや水濡れを防ぐことができます。
軟膏・パウダーなど皮膚を保護するもの
皮膚の疾患や傷がある場合は、塗布する軟膏など皮膚を保護するものを用意しておきましょう。
一度服を着てから再度行うのは要介護者にとって大きな負担になります。
万が一、清拭中に異常を発見した場合に対処するために、大きめのガーゼなどを準備しておくと便利です。
清拭でチェックしたい身体状況
清拭は身体状況の異常を早期発見できる最大のチャンスです。
特に寝たきりの方の場合は、下記の身体状況をチェックするようにしましょう。
皮膚の状態
皮膚の状態は目視でわかることが多いです。
- 皮膚が赤くなっているところはないか
- 腫れているところはないか
- 傷口や傷口が膿んでいるところはないか
高齢者の方ならではの皮膚疾患も多くあります。
少しでも普段と異なる点がある場合は、訪問看護やかかりつけ医に相談してください。
発汗・呼吸状態
発汗や呼吸の状態は清拭を行う前に確認するべきポイントです。
- 普段よりも汗をかいている
- 呼吸が早いもしくは遅い
- 顔が赤いのに汗をかいていない
発汗や呼吸に異常がある場合は、熱が出ていることも考えられます。
全身状態が良くない場合は、清拭を無理に行うことは避けてください。
表情
要介護者の方の表情もチェックしたいポイントの一つです。
- いつもは気持ちよさそうにしているのに顔をゆがめている
- 一定の場所を触ると眉をしかめる
など、身体に痛みがある場合や体調が思わしくない場合は、表情が曇りがちです。
また身体を触るのを嫌がったりする場合も要注意です。
関節の拘縮(こうしゅく)
拘縮とは、関節が何らかの形で固まってしまった状態のことをいいます。
寝たきりの方に起こることが多く、指・手首・股関節・膝などに見られます。
動かして痛みのある関節がないか、清拭の際にチェックしましょう。
すでに拘縮が起きている場合は、無理に動かすことはNGです。
予め訪問介護のスタッフなどに拘縮している関節の清拭方法を聞いておくことをおすすめします。
在宅介護の清拭に関するよくある質問
初めての在宅介護はわからないことが多く、戸惑ってしまうことがあります。
清拭に関するよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
まとめ:清拭は身体状態のチェックに絶好のチャンス!
清拭は要介護者の身体の汚れを取る以外にも、血行の促進やリラックス効果が期待できるケアです。
そして介護者にとっては、身体の異常を早期発見できる絶好のチャンスともいえるでしょう。
在宅介護での清拭は介護者にとって大きな負担になりますので、万が一負担が大きい場合はケアマネージャーに相談し、訪問入浴など介護サービスの力を借りてください。
在宅介護の清拭は病院や施設のように設備や備品が充実しているわけではありません。
使えるものを上手に使い、清拭用のシャンプーなど便利なものを頼ってみるのもおすすめです。