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磬とは?仏具?楽器?意味や読み方、磬の役割を簡単に紹介
磬は楽器と宝具 両方の意味を持つ
「磬」は「石」と「殸」が組み合わされています。「殳」には打つという意味があるため、磬は「打ち鳴らす石製の楽器」を指していると言えるでしょう。
また、磬は「けい」と「きん」という二つの読み方があります。読み方によって意味するものも以下のように異なります。
磬=古代中国の打楽器・日本仏教で法要の際の合図として打ち鳴らすもの
磬を「けい」と読む場合は、古代中国の打楽器を指します。
枠の中に「ヘ」の字形をした石製などの板を吊り下げ、バチで叩いて音を出します。殷(中国大陸最古の王朝)代の代表楽器となり、時代の流れを経て、雅楽の楽器として使用されるようになりました。
日本では奈良時代以後に仏具として用いられるようになり、平安時代には密教で必須のものに。その後、他宗派でも用られるようになり、現在では法要の際の合図として儀礼の合間に打ち鳴らされています。
磬=読経のときに僧侶が打ち鳴らす仏具
磬を「きん」と読む場合は、仏教寺院で見られる布団状の敷物の上に置かれた銅などの金属製の鉢形をした法具を指します。
主に禅宗で用いられ、読経の際に木製の棒で縁を打って打ち鳴らされます。磬子といいます。
大きさもさまざまで「さわり・お鈴・打鳴らし・なまりん」などの別称もあります。携帯用として柄のついたものは「引磬」と呼ばれています。
重要文化財とされる磬
磬は、仏教の伝来と共に日本に伝えられたとされ、重要文化財などとして大切に残されているものも見られます。
金銅孔雀文磬/千葉県指定有形文化財
千葉県の県指定有形文化財『金銅孔雀文磬』は、上の縁は六つの弧を、下の縁には五つの弧を縁取っており、全体の鋳造が精緻という特徴があります。撞座の左右には片足を上げた孔雀が左右対称に配置され、表裏ともに同じ図柄がデザインされています。
この磬の制作の経緯を表す銘文はありませんが、様式などから南北朝時代のものとみられており、千葉県内では最古に属するものとされています。
銅孔雀文磬/奈良国立博物館
奈良国立博物館に収蔵されている「銅孔雀文磬」は、山形の中央に蓮華形の撞座が設けられ、上縁に紐を通すための鈕をつけた一般的な形式の磬と言われています。
表裏には羽を広げて向かい合う一対の孔雀が描かれていますが、片面の向かって右の1羽のみ脚を交差させているという特徴があります。制作された時代は明確ではありませんが、少なくとも平安時代に遡ると推測されています。
磬に関してよくある質問
まとめ:磬とは法要の際に用いられる仏具の一種
磬には、「けい」と「きん」という二つの読み方があり、どちらであっても日本仏教の法要の際に用いられる仏具の一種です。
「けい」と読む場合は、木製の磬架に金属製の板を吊り下げたもので、法要の際の合図として儀礼の合間に打ち鳴らされます。
「きん」と読む場合は、仏教寺院で見られる布団状の敷物の上に置かれた金属製の鉢形をした法具を指します。主に禅宗で用いられ、読経の際に木製の棒で縁を打ち鳴らします。
また、重要文化財などに指定される貴重な磬も残されています。