本ページはプロモーションが含まれています。
【動画付き】ホルンフェルスとは?どんな物か・須佐ホルンフェルス・分類方法・大理石との違い・産物をご紹介
ホルンフェルスは変成岩の一種
ホルンフェルスは変成岩(へんせいがん)の一種です。
変成岩とは、火成岩、たい積岩などのすでに存在する岩石のグループが熱や強い力で変えられた岩石のことです。
この記事では、須佐ホルンフェルス、ホルンフェルスの分類方法、大理石との違い、ホルンフェルスの産物、よくある質問をお届けします。
ホルンフェルスは接触変成岩
ホルンフェルスは代表的な接触変成岩の一つです。
接触変成岩とは、マグマの熱によって変成した岩石のことです。この際の熱の温度は500~600℃ほどです。
こうした接触変成岩は、幅数cm~数kmといった狭い範囲に分布しています。元々マグマだった火成岩がそのような分布になっているからです。
須佐ホルンフェルスは変成岩地形
出典:photo AC
須佐ホルンフェルスは、名の知れた変成岩地形です。日本地質百選としても知られています。ここでは、1400万年前に入り込んだマグマによって作られたこと、日本の地質百選に選ばれていることを中心にお伝えします。
須佐ホルンフェルスが位置する山口県萩市で作られたショート動画もお楽しみ下さい。
約1400万年前にマグマが入り込んで作られた
須佐ホルンフェルスは、約1400万年前にマグマが入り込んで作られたとされている変成岩地形です。
特徴的なのは、美しい縞模様です。この模様は下記のような成り立ちで作られたと考えられます。
海底に高く積み上げられた砂泥互層(さでいごそう)※の須佐層群が存在
↓
高温の火成岩体である高山はんれい岩が入り込んだ
↓
火成岩の熱で変成作用が起こった
縞模様が見られる辺りは、変成温度が低く、元々の須佐層群に近い外観だったのではないかと考えられています。
※砂泥互層:砂岩と泥岩が重なり合っている構造
日本の地質百選に選ばれている
灰白色と黒の縞模様の美しさから、須佐ホルンフェルスは、日本の地質百選にも選ばれました。また、国指定の天然記念物で名勝ともされています。
日本の地質百選は、「特定非営利活動法人 地質情報整備・活用機構」と「社団法人全国地質調査業協会連合会」が発案しました。発案後にその他の団体の協力を得て設立し、「日本の地質百選選定委員会」の協力のもとに地質学から見た日本の貴重な自然資源を百か所選定。須佐ホルンフェルスは、選定された自然資源の一つです。
ホルンフェルスの分類方法は2つ
ホルンフェルスの分類方法は以下の2つです。
- 原石による分類
- 鉱物による分類
それぞれについて、詳しく解説します。
原石による分類
原石によって分類すると以下の2種類のホルンフェルスがあります。
- 泥質(でいしつ)ホルンフェルス
- 砂質(さしつ)ホルンフェルス
それぞれの特徴を下記で説明します。
泥質ホルンフェルス | 砂質ホルンフェルス |
---|---|
泥石の変化によってできた黒っぽい色、褐色を帯びた黒雲母が特徴 | 色は薄め、少量の黒雲母や長石を含む硬さがある |
泥質ホルンフェルス
出典:山口県立山口博物館
- 別名:斜方輝石塊状泥質ホルンフェルス
- 産地:萩市須佐高山北方海岸
泥質ホルンフェルスは、泥岩が変化してできました。黒っぽい色や接触変成作用によって生じた褐色を帯びた黒雲母が特徴的です。
また、その他にも白に近い紅柱石や無色や灰青色等のきん青石も存在します。
砂質ホルンフェルス
出典:斜面防災対策技術協会
山口県岩国市美和町深
砂質ホルンフェルスは、泥質ホルンフェルスよりも色が薄いです。中には、泥質薄層や岩片を含んだ原石も存在します。石英には少量の黒雲母や長石類などがあります。
そして再結晶作用で硬化しているものもあります。そんなタイプは、ハンマーでたたくと火花が飛び散るほど硬くなっています。
鉱物による分類
鉱物による分類もできます。ここでは、以下の分類を紹介します。
- 紅柱石ホルンフェルス
- 菫青石ホルンフェルス
紅柱石ホルンフェルス | 菫青石ホルンフェルス |
---|---|
白や灰色などさまざまな色がある形は桂状か粒状 | 灰青色~透明までさまざまな色がある形は粒状が多いが、花弁状などもあり |
紅柱石ホルンフェルス
出典:倉敷市
紅柱石(こうちゅうせき)の色、光沢、硬さ、形、へき開、成分を挙げます。
- 色:白や灰色、白雲母に変質したものは白色不透明、変質していない物は透明感があり、赤~褐色
- 光沢:白雲母変質の物は光沢無しだが、無変質の物はガラスのような光沢がある
- 硬さ:白雲母に変質した物は傷つきやすいが、変質していない物はナイフよりも硬い
- 形:柱状か粒状
- へき開:柱の伸びた方向に平行
- 成分:アルミニウムのケイ酸塩Al2O(SiO4)
菫青石ホルンフェルス
出典:倉敷市
菫青石(きんせいせき)は、ケイ酸塩鉱物の一種です。泥岩ホルンフェルスに多く見られる鉱物です。
色透明度などを挙げてみます。
- 色:変質していない物は無職から灰青色、半透明~透明、緑泥石に変質すると灰緑色不透明、白雲母に変質すると白色不透明
- 光沢:変質していなければガラスのような光沢あり。変質した物は光沢無しか脂肪光沢
- 硬さ:白雲母に変質した物は傷つきやすいが、変質していない物はナイフよりも硬い
- 形:粒状だが、6角短柱状の物もあり、変質すると6花弁状の模様がある場合も。
- へき開:ほとんど見られない
- 成分:マグネシウム、アルミニウムのアルミノケイ酸塩Mg2Al3(AlSi5O18
ホルンフェルスと大理石の違い
ここからは、ホルンフェルスと大理石の違いを解説します。主な違いとして以下を挙げました。
- 大理石は不純物を取り除いた結晶質の石灰岩
- ホルンフェルスは代表的な接触変成岩
どちらも接触火成岩の一種です。不純物を取り除いて商品化した物が大理石です。
大理石は不純物を取り除いた結晶質石灰岩
出典:倉敷市
大理石は再結晶した石灰岩の中で不純物が取り除かれた物のことです。元々は石灰石が接触変成作用で変化して出来ました。
純白の色が多いのは、取り除き作業によって不純物が存在しなくなったからです。
泥岩や砂岩に比べると、粒度は洗い物が多く、硬さは柔らかく傷がつきやすいです。有機化学工業やセメントの原料として使われます。
ホルンフェルスは代表的な接触変成岩
ホルンフェルスは代表的な接触変成岩全体を言います。マグマの熱によって岩石が変化したため、別名で熱変成岩とも言われます。変化の際に要する温度は500~600℃ほどです。
火成岩の分布に伴って狭い範囲に分布しています。種類も多岐に渡るので、不純物を取り除かれた結晶石灰石である大理石とは異なります。
ホルンフェルスの産物
ここでは、ホルンフェルスの産物として、以下の3点を紹介します。
- お墓
- 銀閣寺山門前の敷石
- 東京上野のパンダ橋
お墓
お墓の墓石にホルンフェルスを使用する場合があります。
お墓に使われる中間色の石としてホルンフェルスが使われます。ホルンフェルスの他に中間色として使われる石は以下です。
- 片麻岩
- 結晶片岩
- 花崗岩
- 泥岩
- 石灰岩等
この他にもさまざまな種類の石が採用されています。
銀閣寺山門前の敷石
出典:銀閣寺
京都にある銀閣寺の山門前の敷石は、ホルンフェルスが使われています。
近くにある大文字山にホルンフェルスが堆積しているためと考えられます。過去に長い年月をかけたマグマの上昇があり、高熱による熱変成作用が起こりました。その結果、周囲の泥岩や砂岩がホルンフェルスに変化したという説が有力です。
東京上野のパンダ橋の看板
出典:photoAC
ホルンフェルスは、不均質な構造のために商用としては利用されにくいものです。然し、画像にあるパンダ橋の看板は、その不均質な模様をうまく利用し、趣のある雰囲気に仕上がっています。
パンダ橋を通るときに目に付きやすい位置にあるのも、印象深いものです。
よくある質問
- ホルンフェルスの切り口はどんな感じですか?
-
ハンマーで割ると板状にはならず、角ばったような形の切り口になります。
- ホルンフェルスの構成鉱物は何でしょうか?
-
代表的な構成鉱物として石英、黒雲母があります。その他、特徴的な物として紅柱石や菫青石などが挙げられます。
- ホルンフェルスの産出地は?
-
産出地は世界各地、日本各地と幅広く存在します。山口県萩市の須佐ホルンフェルスなどが有名です。
- ホルンフェルスの名前の由来は?
-
割れるとホルン(角)のようになるところが由来です。
- ホルンフェルスはどうやって作られたの?
-
マグマの熱による変成作用を受け、泥岩や砂岩などが変化したと考えられます。
まとめ
ホルンフェルスは、マグマの熱による変成作用で誕生した変成岩です。その種類は原石によって泥質ホルンフェルス、砂質ホルンフェルスに分類できます。また、鉱物による分類では紅柱石と菫青石に分けられます。
用途としては敷石やお墓などに使われています。長い年月をかけて変化を繰り返してきた貴重な岩石として、今後も広く利用されることでしょう。