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薬師如来とは?真言や印相・得られるご利益・薬師如来像(国宝)を祀っている寺院・十二大願を一覧で紹介

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目次

薬師如来とは病気などで苦しむ人々を救ってくれる如来

薬師如来(やくしにょらい)は正式名を「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」といい、病気などから人々を守り、心身を健康へと救う仏様です。

大医王仏(だいいおうぶつ)、医王如来(いおうにょらい)と呼ばれることもあります。

「十二大願」を果たし如来となった

如来とはお釈迦様同様に「悟りを得た人」を指しています。そのため、薬師如来も悟りを開いた人物の一人。

菩薩の時に「十二大願(じゅうにたいがん)」又は十二誓願(じゅうにせいがん)を立て、その大願を果たしたことで悟りを得たと言われています。

大願とは、仏や菩薩が衆生(しゅじょう)を救おうとし掲げた願いを指す仏語です。この大願を果たすことで悟りを得ることができ如来になれると考えられています。

十二大願一覧

言葉読み方意味
第一願  光明普照  こうみょうふしょう     自らが世界を照らし、民衆を悟りへと導く
第二願随意成弁ずいいじょうべん瑠璃の光り(仏教の七宝のひとつに該当する)を通じて仏の心を目覚めさせる
第三願施無尽物せむじんぶつ悟りを得たいと願う人々にあたゆる物品を施す
第四願安心大乗あんしんだいじょう 人の道や道徳から外れた者を正し、民衆を仏道へと導く
第五願具戒清浄ぐかいしょうじょう戒律を破ってしまった者も戒律を守れるようにたすける
第六願諸根具足しょこんぐそく生まれつきの病気や身体的な苦痛を癒す
第七願除病安楽じょびょうあんらく困窮や苦悩を払拭できるようにたすける
第八願転女得仏てんにょとくぶつ成仏するために男性への転生を願う女性をたすける※仏教では女性の成仏が認められていないため「女性が成仏するために一旦男性に転生したい」と考えることに基づいている大願
第九願安心正見あんしんしょうけん精神的な苦痛や煩悩を浄化するようにたすける
第十願苦悩解脱くのうげだつ重圧に苦しむ民衆を解き放つよう、たすける
第十一願  飲食安楽おんじきあんらく著しい飢えや渇きから民衆をたすけ、苦しみを取り除く
第十二願美衣満足みえまんぞく   困窮や寒さに悩む民衆へ衣類を施す

注目は第七願の「除病安楽」

薬師如来が立てた十二大願のうち、注目したい願いが第七願である「除病安楽」。人々を困窮や苦悩からたすけるという、この願いを果たしたことが「医薬を司る仏」となった理由だとされています。この他の大願からも、常に人々の心身の苦しみを解くことを祈念していることがわかります。

薬師如来の真言

真言とは、サンスクリット語の「マントラ」を略した言葉であり「真実で偽りのない仏の言葉」との意味があります。

薬師如来の真言は「オン・コロコロ・センダリマトウギ・ソワカ」。真言を唱えることで、さまざまな苦難から救われると言われているため、一心に念じ口に出すことが大切です。

薬師如来のご利益

薬師如来のご利益は「現世利益」として生きている間に受けられるとされています。たすけられる時は「今」であり「未来」ではないことが、他の仏様のご利益との違いです。

得られるご利益としては、

●病気治癒(特に眼の病気に効く)

●健康長寿

●安産祈願

などがあります。

薬師如来像の特徴

古来から医薬の仏として多くの人々が信仰してきた薬師如来。日本では多くの薬師如来像が造られ、現代でも多くの仏像や画像が残されています。仏像は、坐像もあれば立像もあります。

薬師如来の印相は「施無畏(せむい)の印」を結ぶ

印相とは仏が手や指で様々な形を作っている仕草のこと。

薬師如来像はどの仏像も、左手に薬壺(やっこ)を保持し、右手の印相が「施無畏(せむい)の印」を結んでいることが特徴的です。施無畏(せむい)の印とは、手を上げて手の平を前に向けた仕草のこと。「恐れなくてよい」と民衆を励ましているサインだとされています。

薬壺には「その人が望むもの」が入っている

薬師如来が持っている薬壺には、真言を唱える人が求めているものが入っていると言われています。どんな苦しみや苦難をも光に変える薬は、求める人により異なります。同じ人でも、救いを求める時々で入っているものが違うため、薬師如来はいつどんな時でも救いを差し伸べてくれるといえます。

日光菩薩・月光菩薩を脇侍に掲げる薬師三尊(やくしさんそん)

薬師如来像には、日光菩薩(にっこうぼさつ)・月光菩薩(がっこうぼさつ)を脇侍に掲げている姿もあります。この場合は薬師三尊と呼ばれます。

日光菩薩からは太陽の光が、月光菩薩からは月の光が人々を照らし、薬師三尊にはどんなときも民衆の健康を見守るという意味が込められているのです。

国宝の薬師如来像を祀っている寺院

多くの人々が健康を願ってきた薬師如来は、たくさんの寺院に祀られ、中には国宝となっている仏像もあります。

奈良県の薬師寺

奈良県の薬師寺(やくしじ)は、天武天皇(てんむてんのう)が皇后である鵜野讃良皇女(うののさららのひめみこ)の病気平癒を願い、建立の計画を進めたた寺院です。しかし、薬師寺の完成を待たずに天武天皇は崩御(ほうぎょ)され、持統天皇(じとうてんのう)として即位した鵜野讃良皇女により造営されました。697年には本尊である薬師如来の開眼を行い、710年の遷都に伴い薬師寺も現在の場所に遷ったとされています。

参照 薬師寺公式HP https://yakushiji.or.jp/

薬師寺の薬師三尊像

薬師寺の創建当初から本尊として祀られている薬師如来。左右に日光菩薩・月光菩薩が安置された薬師三尊像は、戦により仏が背中に掲げている光りのことを意味する「光背(こうはい)」を消失していますが、仏像自体は当初のままです。254.7㎝の増高さを誇る薬師如来像は、白鳳時代(はくおうじだい)※を代表する金銅仏です。

※白鳳時代とは、645年に起きた大化の改新から平城京に遷都する710年までの間のことを指しています。

奈良県の新薬師寺

聖武天皇(しょうむてんのう)の病気平癒を願い、747年に光明皇后(こうめいこうごう)により創建された奈良県奈良市の「新薬師寺(しんやくしじ)」。歴史ある寺院としても有名ですが、現代でも毎年1月8日と4月8日には薬師如来へ罪を懺悔(さんげ)し、同時にご利益を得る「薬師悔過(やくしけか)」という行事を開催しています。

参照 新薬師寺公式HP:https://www.shinyakushiji.or.jp/

薬師如来坐像

新薬師寺に祀られている薬師如来坐像は、増高254.7㎝と、とても迫力があることが特徴です。度重なる火災により、現状の釈迦如来坐像は黒く光った姿ですがもともとは金色に輝いていたと考えられています。日本随一の金剛仏でもあります。

さらに、日光菩薩・月光菩薩を脇侍に抱え、薬師三尊とも国宝に認定されています。

福島県の勝常寺

東北を代表とする古刹、「勝常寺(しょうじょうじ)」。807年に福島県河沼郡湯川村に創建され、法相宗(ほっそうしゅう・ほうそうしゅう)の硯学徳一上人(せきがくとくいつしょうにん)により開かれたとされています。

※硯学とは「立派なこと(硯)を学んだ(学)」という意味です。

創立された当時は百カ所を超える子院を有し、一大寺院であったと伝えられています。

参照 湯川村公式HP:https://www.vill.yugawa.fukushima.jp/kyouikuiinkai/historic.html

薬師如来三尊

東北地方初の国宝に登録された仏像です。胸板が厚く、どっしりした様子で仕上げられ、厳しい表情の釈迦如来像は、ケヤキを使用した木造。製作は平安時代初期とされ、脇侍に日光菩薩・月光菩薩を抱えています。

薬師如来とは病や困難から人々を救い、現世利益を施してくれる仏様

悟りを開いた如来の一尊である、薬師如来は大医如来との別名があり、病や困難に悩む人々を救う仏様です。菩薩の時に掲げた「十二大願」で「人々を困窮や苦悩からたすける」ことを願い、これを果たしたことで「医薬を司る仏」となったと考えられています。

国内には、多くの薬師如来像が残されており、脇侍に日光菩薩・月光菩薩を抱えることも多いです。太陽や月の光が人々を照らすように、常に民衆の健康を願っていると言われており、国宝に認定されている薬師三尊もあります。

薬師如来に手を合わせ、真言を唱えることで病気治癒や健康長寿などの現世利益を得られることが最大の特徴だといえます。

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