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遺体感染管理士は今後需要が増えていく資格! 受験資格や資格取得方法についても解説
遺体感染管理士は死後処置のプロ
遺体感染管理士とは、遺体に適切な処置を施し、遺体に接する人や建物、器具などを感染症のリスクから守るために作られた民間資格です。
看護師や介護福祉士などの医療従事者を対象とした「遺体感染管理士」と、葬祭や搬送、納棺などを葬儀に関わる業者を対象とした「遺体感染管理士2種」の2つの資格があります。
現在、資格を得るためには有限会社エル・プランナーの認定講座を受講し、受験する必要があります。
この記事では、遺体感染管理士と遺体感染管理士2種の仕事や資格の取得方法とあわせて、今後の遺体感染管理士の必要性についても解説していきます。
遺体感染管理士は看護師と介護福祉士を対象とした資格
遺体感染管理士は、看護師や介護福祉士など医療従事者を対象とした資格です。
病院や介護施設では患者や入居者の死に立ち会う機会は多く、遺体の感染対策がとても重要です。
感染対策をせず遺体を扱うと、施設内に感染症が広がる恐れがあるからです。
遺体感染管理士は遺体に適切な処置を施し、遺族や搬送業者を感染症のリスクから守ることはもちろん、故人の尊厳を守るという大切な役割も担っています。
ここでは、遺体感染管理士が行う仕事や資格の取得方法などを解説します。
遺体感染管理士の意義
遺体感染管理士の役割は、医療機関や介護施設などで遺体を扱う際の処置を安全に行えるようにすることです。
次のような処置が含まれます。
- 遺体の傷の手当
- 排泄物の処置
- 医療器具がついている場合はそれらを取り除く処置
- 口腔ケア
- 腔部(口や肛門など体の中空になっている部分)への詰め物
- 清拭(遺体をふき取る作業)
- 死装束を着せる
遺体のケアを適切に行うことで、遺体の尊厳を守りつつ、安全に移送ができます。
遺体の傷が手当されていなかったり、搬送中に体液や血液が漏れ出したりしては、搬送に関わる人や遺族にに感染症を広げてしまう恐れがあり、安心して遺体を扱うことができません。
これでは、故人の尊厳を保つことは難しく、遺族の悲しみも増すことにもなるでしょう。
以前は、死後の遺体ケアは看護師やスタッフの経験値によるところがありました。
そのため手技や方法には個人差があり、必ずしも遺族が納得する遺体ケアが行われているとは限りませんでした。
適切な遺体ケアを普及するために、遺体感染管理士が求められるようになっているのです。
遺体感染管理士の仕事
遺体感染管理士の仕事は、施設内での看護師やスタッフへの教育指導です。
病院であれば、看護部長や看護師長などの承認のもと、遺体ケアの技術指導や教育研修、遺体ケアのマニュアル作成などを行います。
遺体感染管理士だけで施設内の全ての遺体ケアを行うことには限界があるので、スタッフが適切なケアができるよう教育することが重要です。
なお、遺体を扱う可能性がある病棟や施設には、遺体感染管理士1人を配置するのが理想とされています。
遺体感染管理士の取得方法
遺体感染管理士になるためには、職業と経験年数が指定されています。
残念ながら、誰でも受験資格があるわけではありません。
ここでは、遺体感染管理士の取得方法について解説します。
受験資格
受験資格があるのは、医療または介護に関わる仕事に3年以上勤務経験がある有資格者に限られます。
具体的には次の資格を持って3年以上勤務している人が対象です。
- 看護師
- 助産師
- 介護士
- 介護福祉士
受講内容と期間
遺体感染管理士を受験するためには、まず有限会社エル・プランナーの講座を受講する必要があります。
講座は講義と演習の全6時間30分からなります。1日で学ぶスケジュールで、2021年はオンライン講習となっています。
講習では、死後現れる遺体の変化と冷却に関する知識、医学的見地からの遺体への携わり方、感染予防をしたうえでの搬送業者への安全な遺体の引き継ぎなど、実践的な内容を学びます。
エル・プランナーのホームページで公開されている講座内容は以下の通りです。
【学習内容】講義 1. 死後処置の定義 2. 死後処置の目的 3. 感染予防対策上の処置 ・遺体から血液・体液が漏れ出る理由 ・標準予防策の考え方 ・遺体からの感染リスクと対策 ・血液・体液が流出するケース 4. 死後処置の実際 (1) 準備するもの (2) 死後処置の手技 a. 医療器具抜去後の処置 縫合 / 吸引 / 遺体用圧迫固定法 【医療器具抜去痕別 具体的手技】 注射針痕/CVカテーテル痕/気管切開痕/ドレーン抜去痕/胃ろう・腸ろう痕/ストマの処置 b. 創傷の手当て 膿のある創 / 浸出液のある創 c. 腔部の詰めもの 鼻腔 / 口腔 / 肛門 d. 遺体用口腔ケア:消毒剤を使用 e. 全身清拭:感染症が判明している場合 5.エンゼルメイク(死化粧)の実際 (1) 死後変化とメイク 早期死体現象 / 晩期死体現象 / 体温の低下 / 血液の就下(死斑形成) / 死後硬直 / 皮膚の乾燥 (2) 化粧材と化粧法 医療における化粧材の条件 / 手作りスキンケアクリーム(身近な材料でできる) / 死化粧の成り立ち / スキンケア / ベースメイク / ポイントメイク 6. 遺体に携わる従事者の役割 医療者・介護士の役割 / 搬送業者・葬祭業者の役割 7. 遺体に関する基本事項 遺体に発現する現象 / 死体因子 / 環境因子 / 医療機関に見られる死後の変化 / 医療機関以外の場所で死亡した遺体 / 検案対象となる遺体 8. 従事者の感染予防対策に関する基本事項 遺体の感染リスクの考え方 / 感染を成立させる要因 / 感染経路別予防対策 / 標準予防策 / 標準予防策における血液・体液排泄物等の取扱いのポイント / 感染防御物品(グローブ・死体袋) / 手洗い / 消毒剤の選び方 / 抗微生物スペクトルと消毒剤の適応対象 9. 感染予防チェックリスト 感染予防チェックリストとは / 感染予防チェックリスト作成時のポイント 10. 疾患別遺体からの感染予防対策 遺体に携わる従事者が注意する感染症 / 血中ウイルス感染症 / 疥癬 / 結核の取扱い / 外国の病院における死後処置 11. 遺体の冷却管理 遺体安置の環境 / 院内・施設で預かる際の注意点 / 冷却のポイント / ドライアイスの使用における基礎知識 / 事故・災害による損傷のある遺体の取扱い 12. 遺体感染管理士認定資格 受験対策 |
資格取得にかかる費用と流れ
資格取得費用は68,500円です。
この費用には、受講料・受験料・教材費・テキスト代・消費税が含まれます。
講座受講後に遺体感染管理士認定資格試験問題が郵送されてくるので、自宅で受験し解答用紙を返送します。
約1か月で合否の通知が届き、合格の場合は資格証が郵送で送られてきます。
遺体感染管理士2種は葬祭業者を対象にした資格
遺体感染管理士2種とは、葬儀社や搬送業者を対象にした資格です。
葬儀や遺体の搬送に関わる業者は、常に多くの遺体を扱います。それだけに遺体からの感染リスクも高い職業です。
そのため、医療従事者や介護施設職員に準ずる資格として、遺体感染管理士2種が設けられました。
ここでは、遺体感染管理士2種に求められる役割や資格の取得方法などを解説します。
遺体感染管理士2種の意義と仕事
遺体感染管理士2種が設置されたのは、葬儀社の従業員と遺族の安全を守るためです。
遺体に直接死後ケアや処置を施すことは多くありませんが、遺体に携わり、遺族の安全や遺体の尊厳を守る点では、遺体感染管理士と同様に重要な役割を担います。
標準的な予防策の実施や適切な冷却措置、遺体の安全な引き継ぎなど、科学的根拠に基づいた知識を身に着けることが、安全に葬儀を執り行うことにつながるからです。
葬儀は故人の死因や遺体の状況によって、必要な処置や装具、日程などが変わるため、葬祭関係者は臨機応変な対応が求められます。
特に葬儀までに日程が空く場合は、遺体の損傷や腐敗が起こらないように適切に冷却することが重要です。
自社の従業員の安全を守るためにも、遺体感染管理士2種の資格者がいれば安心ですし、それは葬儀を依頼する遺族にとてっても同じです。
遺体感染管理士2種の取得方法
遺体感染管理士2種になるためにも、受験資格には職業と経験年数が指定されています。
遺体感染管理士2種の取得方法について解説します。
受験資格
受験資格は次の職業に3年以上勤務経験がある人に限られます。
- 葬祭業者
- 搬送業者
- 湯灌業者
- 納棺業者
- メイク業者
- 葬儀専門人材派遣業者
受講内容と期間
遺体感染管理士2種を受験する場合も、有限会社エル・プランナーの講座を受講する必要があります。
講座内容は、遺体に関する基礎知識や感染リスク、予防策の重要性や遺体の状態に応じた管理方法などの講義を中心に演習も行います。
2時間の講座が2回と、3時間30分の講座1回の全7時間30分の講習で、2021年はオンライン講習となっています。
エル・プランナーのホームページで公開されている講座内容は以下の通りです。
講習時間 | 学習課題 |
2時間 | 遺体に関する基本事項、受持者の感染予防対策に関する基本事項、遺体の管理 |
2時間 | 疾患別遺体からの感染予防対策、感染予防対策に関する具体的実践 |
3時間30分 | 感染予防対策上の死後処置、実技実習 |
資格取得にかかる費用と流れ
資格取得費用は68,500円です。
この費用には、受講料・受験料・教材費・テキスト代・消費税が含まれます。
受講後の流れは、遺体感染管理士の場合と同じく、試験問題が郵送されてくるので、自宅で受験し解答用紙を返送するだけです。
約1か月で合否結果通知が届き、合格者には資格証と認定バッヂが郵送されます。
講習が3回に分かれている関係で、2種資格の取得には最短でも2か月がかかります。
遺体感染管理士の需要は増えていく
新種の感染症の出現などで、感染症に対する人々の危機意識は年々高まっています。
それと同時に、院内・施設内の感染対策と合わせて、故人の尊厳を守るための適切な死後ケアの重要性も認識されるようになりました。
遺体感染管理士はそうした需要から設立された資格です。
これまでは亡くなった患者のケアについては治療ではないことから、さほど重要視されてきませんでした。
そのため、看護師が簡単なエンゼルケアを施して、葬儀社に遺体を引き継ぐというのが主流でした。
しかし、新型コロナウィルスをはじめ感染症が増えていく中で、遺体からの感染予防が重要視されるようになってきています。
公衆衛生の観点からだけではなく、死後適切な処置がなされることで、遺族は安心して故人を見送ることができるのです。
その意味では、遺体感染管理士は遺族が故人と心置きなく最後の別れをするためのサポートをする仕事とも言えるでしょう。
まとめ
あまり聞きなれない遺体感染管理士ですが、実際は誰もがお世話になる可能性がある職業です。
遺体感染管理士は、全ての人が大切な人の死と安心して向き合える環境を整える重要な役割を担っているのです。