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塔葬はダライ・ラマだけに許される名誉ある葬儀!? チベット伝統の5つの葬制についても解説

目次

塔葬とはチベットでもっとも名誉ある葬制

塔葬はチベット仏教の5つの葬制の中の一つで、もっとも名誉あるものです。

チベット仏教では故人の身分や亡くなった状況などによって、塔葬、鳥葬(天葬)、水葬、火葬、土葬が行われます。

いずれの葬制も日本人の感覚からは驚くような方法ですが、チベット仏教の教えに基づいた方法として現在も大切に受け継がれています。

この記事では、塔葬をはじめチベットの葬制や死生観について解説していきます。

塔葬を行えるのは限られた偉人のみ 

塔葬はダライ・ラマやパンチェン・ラマなどの高僧や法王、生き仏と呼ばれる人が亡くなった時だけに行われます。

チベット仏教の中でもっとも崇高な葬制で、遺体あるいは遺骨は特別な霊塔の中に納められます。

世界遺産にも登録され観光客に人気のポタラ宮には、五世以降のダライ・ラマの霊塔があり、巨大な宮殿内に豪華な霊塔が建てられています。

もっとも大きいダライ・ラマ五世の霊塔の高さは約15m。

塔の中には、ミイラ処理をしたダライ・ラマ五世と経典などの宝物が納められています。

塔の外装は全て金で覆われていて、実に3721㎏もの黄金を用いたと言われています。

さらに真珠やトルコ石などの宝石を散りばめ、実に絢爛豪華な霊塔です。

チベットでは庶民は墓を持たないのが一般的で、これだけ豪華な霊塔を建てるということは、それだけ地位が高い人であったことの証でもあるのです。

塔葬の方法

塔葬は遺体を乾燥もしくは火葬したうえで、その遺体や遺骨を塔に納めます。

ここでは、遺体を乾燥させる場合の方法についてご紹介します。

  1. 僧侶の手によって、遺体を香料の入った水薬で清める。
  2. 遺体を宝壇に座らせまる。
  3. バター油の灯明を灯す。
  4. 信者の参拝を受ける。
  5. 儀式後に再び香料の入った水薬で遺体を清める。
  6. 遺体に塩を繰り返しもみ込みミイラ化させる。
  7. 仏師が遺体の顔に特別な泥を塗り、顔の模型を取る。
  8. 模型から土の仏像を作り、寺院に納める。
  9. ミイラ処理が完了した遺体に豪華な服や帽子を着せる。
  10. 遺体に番紅花・香料をふりかけ、様々な色の旗を巻きつける。
  11. 遺体を霊塔に納める。

チベットのその他の葬制

チベットには、塔葬以外に4つの葬制があります。

鳥に遺体を処理させる鳥葬が有名ですが、水葬、火葬、土葬が行われることもあります。

それぞれの葬制の特徴についてご紹介します。

鳥葬(天葬)

チベットの葬制の中で、もっとも有名なのが鳥葬です。遺体を鳥に空に運んでもらうことから、天葬とも呼ばれます。

鳥葬は多くの一般人に行われる葬制で、人里離れた山の上の鳥葬台に遺体を運び、野生のハゲワシに遺体を食べさせます。

遺体を残さずハゲワシに食べさせるため、専門の職人が遺体や骨を切断します。

一見、残酷な方法のようですが、肉体を天に届けることと生前の殺生に報いるなどの目的があります。

また、高地のチベットでは火葬のための薪の確保が難しく、寒冷地であるために土葬しても遺体が分解されにくいなどの物理的な理由もあるようです。

水葬

水葬はインドのヒンドゥー教の葬制として有名ですが、チベットでも水葬が行われています。

チベットの水葬は火葬はせず、遺体の一部あるいはそのままで川に流すのが特徴です。

水葬を行うのは、身寄りの無い孤児や経済的に恵まれない人、ハゲワシが生息していない地域に住む人などです。

火葬

火葬は塔葬に次ぐ名誉ある葬制です。

法王や貴族、生き仏のような身分の高い人に行われるのが一般的です。塔葬の際に遺体をミイラ処理せず、火葬を行うこともあります。

火葬後の遺骨は塔葬として塔に納められるか、山や川から散骨されます。

土葬

土葬は伝染病で亡くなった人に行われる葬制です。

鳥葬や水葬は感染を広げるリスクがあり、火葬は身分の高い人以外は行えないからです。

また、犯罪者や犯罪に巻き込まれて亡くなった人も、土葬にされるようです。

チベットの死生観 

チベットでは、日本と同じく輪廻転生が信じられています。生き物は生と死を繰り返すという思想です。

チベット人にとって死は生の一部。死んでも意識は残ります。亡くなって初めて仏に近づき、根源的なものに触れられると考えられています。そのため、死は必ずしも忌むべきことではありません。

また、生きているうちにできる限り善行をして穏やかに死を迎えることが、来世への徳を積むことに繋がると考えます。そのため、日頃から死を積極的に考える機会を持つ文化があります。

チベットに伝わる「死者の書」と呼ばれる仏典は、臨終から49日間死者の耳元で、あるいは荼毘に付した後も唱えられる枕経で、そこには死後に精神が見る世界が描かれています。

死者の書には、臨終から次の母胎を探す旅に入るまでの過程が記されていて、死者はこれを頼りに現世の死を受け入れ、来世に向けて進むのだそう。

このように、チベット人にとっては精神こそがもっとも重要です。そのため、家族や財産、肉体さえも、現世限りの仮のものという意識が根付いています。

一般人が行う鳥葬や水葬なども遺骨や遺灰を残さず、土葬をしても墓を建てることがないのは、目に見える物質に執着しないという精神が根源になっているのでしょう。

まとめ

塔葬はチベット仏教の最高峰とも言える葬制です。

葬儀の簡素化が進む日本とは対照的に、儀式の過程や費用の負担が大きい葬制ですが、そこに根付く価値観には興味深いものがあります。

死はおろか、生きることさえも不安が多い現代人には、チベットの生き方や死生観から学ぶこともあるのではないでしょうか。

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