MENU

介護老人保健施設とは?介護老人福祉施設との違い・入所条件・月の費用・受けられるサービスについて紹介

本ページはプロモーションが含まれています。

目次


介護老人保健施設は高齢者の在宅復帰や在宅療養の支援を目的とする施設

介護老人保健施設(略して「老健」)とは、高齢者の在宅復帰や在宅療養の支援を目的としとした施設です。

居宅で可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、リハビリテーション(機能訓練)や必要な医療、介護などを提供しています。(介護保険法第8条)

なお、在宅復帰率を上げるため、介護老人保健施設には

・超強化型老健

・在宅強化型老健

・加算型老健

・基本型老健

・その他

の5種類があります。自分自身がどのように自宅で過ごしたいと思うかにより、施設を選ぶと良いでしょう。

 介護保険とは?

要介護となった人の尊厳が保持され、持っている能力に応じた自立生活が営めるよう、必要な保健医療・福祉サービスの提供を目的として、平成12年4月に創設された制度のこと。

市区町村を保険者、40歳以上の全国民を被保険者として、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みです。

介護老人保健施設に入所できる条件

介護老人保健施設に入所するには、以下の要件に該当する必要があります。

・年齢が65歳以上(特定疾患による要介護認定者の場合は40歳〜64歳)

・要介護認定者(要介護1〜5)

・病状が安定し入院治療の必要がなく、リハビリテーションに重点をおいた介護を必要としていること

長期入院していた人が退院となり、「自宅での生活に戻るにはまだ不安が」という場合に、退院から家庭に戻るまでの間に利用されることも多いです。

また、介護老人保健施設は「在宅復帰」を目的としていることから、入所期間は原則3ヶ月と定められています。終身的に入所し続けることはできません。

介護老人保健施設で利用できる入所以外の介護保険サービス

介護老人保健施設では、病状が安定していれば、入所して受ける施設サービスの他にも、利用できるサービスがあります。その内容は以下のとおりです。

サービス名利用できる人サービスの内容と特徴
デイケア(通所リハビリテーション)・要介護認定者・日帰りで施設に通い、食事や入浴、生活機能向上のための機能訓練、栄養改善指導や口腔機能向上サービスなどを受けられる。

・送迎費を含めた費用(利用者負担額)は、施設の規模や要介護度、サービスメニューなどによって異なる。

・食費代などの日常生活費は別途負担
介護予防通所リハビリテーション・要支援認定者・日帰りで施設に通い、食事や入浴、生活機能の維持向上訓練、運動器機能向上訓練、栄養改善指導、口腔機能向上サービスなどを受けられる。

・送迎費を含めた費用(利用者負担額)は、施設の規模や要支援度、サービスメニューなどによって異なる。

・食費代などの日常生活費は別途負担
医療型ショートステイ(短期入所療養介護)・要介護認定者・要支援認定者・施設に短期間入所し、医療によるケアや介護、機能訓練などを受ける。

・送迎費を含めた1日あたりの費用(利用者負担額)は、施設の規模や要介護度・要支援度などにより異なる。

・食費代などの日常生活費は別途負担

・入居期間は連続最大30日まで

・家族による介護が困難な場合(病気や冠婚葬祭など)に利用することが多い。

・介護者が介護を休息するための利用も可能

介護老人保健施設と介護老人福祉施設の違い

介護老人保健施設とは別に「介護老人福祉施設」という施設があります。

介護老人福祉施設とは、特別養護老人ホーム(略して「特養(とくよう)」)のことで、介護度の重い高齢者を対象とする介護施設です。

介護老人保健施設も介護老人福祉施設も介護保険による施設サービスが受けられるという点では同じですが、施設の目的や入所期間、入所できる条件などに違いがあります。

施設の目的

介護老人保健施設の主な目的は「高齢者の在宅復帰」であり、安心して自宅で生活できるよう、看護や介護、リハビリを受け、自宅復帰を目指す施設です。

一方の介護老人福祉施設の主な目的は「高齢者の介護」です。自宅でつねに介護を受けられない人が入居し、食事・入浴など日常生活の介護や健康管理を受けながら生活していく施設です。

入所期間

介護老人保健施設の入所期間は、原則3カ月です。3カ月に1回の頻度で入所を継続するかの判定がありますが、長期にわたる入所はできず、また、在宅復帰が可能と判断されると退所しなければなりません。

入退所が3ヶ月という期間で巡るため待機者は、介護老人福祉施設に比べて比較的少なめで、入所しやすい傾向にあるといえます。

介護老人福祉施設は「終の棲家(ついのすみか)」とも呼ばれるとおり、終身利用を前提としています。このためか、昨今では入居待機者が非常に多く、入所までに数ヶ月から数年かかるという場合も少なくありません。

入所条件

介護老人保健施設は、要介護1以上の人であれば入所が可能ですが、介護老人福祉施設の場合は、原則要介護3以上の人を入所の対象としています。

なお、要支援の人は、どちらのサービス(入所して受ける施設サービス)も利用することができません。

介護老人保健施設における費用は9万円〜20万円

介護保険サービスにかかる費用負担(利用者負担)は1割(一定以上所得者は2割または3割)です。施設サービス(入所して受けるサービス)を利用するときは、入所時の一時金は不要ですが、毎月9万円〜20万円程度の費用がかかります。

費用の内訳は、

・施設サービス費(利用者負担分は1〜3割)

・居住費(室料、光熱費相当)

・食費(食材料費、調理費)

・日常生活費(理美容代)等

です。

このうち、施設サービス費・居住費・食費は医療費控除の対象となります。

施設サービス費:部屋のタイプや介護度で費用が異なる

毎月の費用のうち、施設サービス費にかかる利用者負担分は、利用者の介護度と居住する部屋のタイプにより異なります。

■部屋のタイプ■

①ユニット型個室(複数の1人部屋+共同生活室(リビングスペース)を一つのユニットとしているタイプ)

②ユニット型個室的多床室(多床室を間仕切った個室+共同生活室(リビングスペース)を一つのユニットとしているタイプ)

③多床室(1部屋で複数人が一緒に寝起きする大部屋タイプ)

④従来型個室(共同生活室(リビングスペース)を併設していない個室)

施設サービス費は、①に入居する場合が最も高く、続いて②、③、④の順で安くなっていきます。また、どのタイプの居室とも介護度の重い人ほど高く設定されています。

居住費・食費・日常生活費:介護度による違いがない

居住費は①が最も高く、続いて②、④、③の順で安くなっていきます。介護度による違いはありません。

食費についても、介護度に関係せず、一定額が定められています。また、日常生活費は、洗濯や理美容・娯楽・電話・新聞といった生活にかかる費用で、利用者の実費負担となります。

居住費・食費の負担軽減措置

費用が過重な負担にならないよう、生活保護受給者や所得が低い人で一定の要件をクリアしている場合には、居住費・食費にかかる負担を軽減する措置(利用者負担額減額措置)が設けられています。

この措置を受けるには

・生活保護受給者であること

・世帯全員が市区町村民税非課税であること

・預貯金等資産の状況

など、いくつかの要件があります。まずは、市区町村役場で確認することが必要です。

介護老人保健施設の入所手続きから入所までの流れ

入所を希望する場合は、以下の流れに沿って申し込みや手続きを進めましょう。

①介護認定を受ける

介護老人保健施設など介護保険施設に入所して施設サービスを受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。

まずは要介護認定に向けて、市区町村役場または地域包括支援センターに相談することから始めましょう。

要介護認定の申請手順

1)市区町村役場の窓口で要介護認定の申請をする

2)市区町村役場の担当職員などにより訪問調査が行われる

3)主治医による意見書の作成

4)一次、二次の判定を経て要介護度が判定される

※要介護ではなく、要支援と判定される場合もある

5)申請者に判定結果が通知される

②入所を申し込む

要介護1以上の認定を受けたら、希望する施設の見学、サービス内容や費用などを確認し、施設に直接入所を申し込みます。

入所申込みは、利用者または利用者の家族が直接行います。

病院に入院している場合は医療ソーシャルワーカー、在宅介護の場合はケアマネージャーに相談してから入所申し込みを進めると良いでしょう。

③入所についての面談を受ける

申し込み後は利用者と家族が面談を受けます。その際は

・要介護度

・利用者の体の状態

・生活の様子

・医療ケアの有無

などが確認される項目です。

④必要書類を提出、入所が判定される

面談が終わったのちに、必要な書類を提出します。

施設側は書類や面談を基に、入所の可否を判定します。

必要な書類は、

・施設利用申込書

・診療情報提供書(または健康診断書)

・健康保険証

など。

他の施設や病院からの転院の場合は、看護サマリー(病歴や治療・看護等の情報を要約した書類)なども提出します。

⑤入所が決定する

入所可の判定が出れば、施設のケアマネージャーと相談しながらケアプランを作成し、入所契約を結びます。

入所日からケアプランに沿って施設サービスが開始されます。不明点や不安な点があれば、入所日までに施設側に確認しておきましょう。

介護老人保健施設についてよくある質問

介護老人保健施設と介護老人福祉施設の違いはなんですか?

介護老人保健施設は「高齢者の在宅復帰」を目的に看護や介護、リハビリなどを受けられる施設ですが、介護老人福祉施設は「高齢者の介護」が目的の施設です。

このほか入所期間や入所できる条件などに違いがあります。

詳しくはこちら

費用はどのくらいかかりますか?

介護老人保健施設は、月額9万円〜20万円程度の費用がかかります。費用には、施設サービス費、居住費や食費などが含まれ、利用者の介護度や居住する部屋のタイプなどによって負担額が異なります。

詳しくはこちら

入所申込みはどのように進めれば良いですか?

介護老人保健施設の入所には、要介護1以上の認定を受けていることが必要です。まずは、市区町村役場の窓口で要介護認定の申請から進めましょう。

詳しくはこちら

まとめ:介護老人保健施設とは高齢者の在宅復帰を目的とした施設

介護老人保健施設とは、要介護者に看護や介護、リハビリなどの施設サービスを提供し、在宅復帰を目的とする施設です。

入所期間は原則3ヶ月で、長期入院していた人が「自宅に戻って生活するには不安がある」という場合にはうってつけの施設だといえます。

また、入所を伴う施設サービスだけでなく、デイケアや介護予防通所リハビリ、医療型ショートステイなど、自宅を中心に利用するサービスも用意されています。利用者の介護度やニーズによりサービス内容を選べることも特徴です。

介護老人保健施設を利用するには、要介護認定を受けていることが必要です。利用を希望する場合は市区町村役場に要介護認定を申請し、それと並行して利用したいサービスの相談を始めると良いでしょう。

また、かかる費用は施設によって異なります。この点についても施設やケアマネージャーに確認することが必要です。

目次
閉じる