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葬送曲とは?定番はどんな曲?葬儀で人気の曲を紹介

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葬送曲とは死を悼む曲

葬送曲は故人の死を悼む曲のことで、葬儀に流されることもあります。重々しい和音を連ねた曲が多いです。

テンポがゆったりとした「葬送行進曲」も葬送曲と同じ意味です。葬儀の際に遺体を墓地まで運ぶときの行進の様子を表した曲。軽快な2拍子で展開される行進曲とは正反対の曲と言ってよいでしょう。

この記事では、そんな葬送曲の意味、定番の曲、葬儀で人気の曲を紹介します。

「葬送」という曲名の葬送曲

曲名に葬送と名付けられている葬送曲を紹介します。ピアノソナタ、交響曲の2楽章などの有名なものです。

ショパン ピアノソナタ第2番「葬送」第3楽章

葬送曲というと、この曲を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。重苦しい暗い和音が鳴り響いて始まる冒頭部分は特に有名です。全体にゆったりとしたテンポで重々しく進んでいきますが、中間部でのソプラノのメロディーの響きが哀しくも美しく響き渡り、あたかも天国での美しい音楽を連想させるようです。

テンポを保ちながらも旋律の美しさを出し、細部にも気を配るという点など、演奏者にとってはかなりの技巧を問われる曲です。

ベートーヴェン作曲 交響曲第3番「英雄」第2楽章

この曲は当初、ナポレオンの偉業に感動したベートーヴェンが彼に捧げるために書いたと言われています。しかし、皇帝になったと知るや否や怒り、献辞を破り捨てたという逸話がありますが、事実かどうかはわかりません。

第2楽章は英雄の死と葬送を意味して作られたという説から、葬送になっています。暗く哀しい重々しい旋律から始まり、一時的に中間部で甘く明るい旋律も流れますが、全体を通して悲しみに満ちた曲想です。繰り返される哀しみを帯びた重々しいテーマは心に残ります。

ベートーヴェン作曲 ピアノソナタ第12番第3楽章

この曲もピアノソナタの3楽章です。重々しい和音で始まり、悲痛な雰囲気を帯びます。中間部の速いパッセージは一瞬の明るさを取り戻したかのようになりますが、再び重苦しい和音のテーマに戻り消えるように終局部を迎えます。

始終、和音に支配される曲なので、演奏者にとっては気の抜けないものでしょう。そして終始漂う重苦しさを表現するセンスとテクニックがいる曲です。

モーツァルト ピアノのための12の小葬送行進曲 K6.453a

モーツァルトというと、「アイネクライネナハトムジーク」や「トルコマーチ」のような軽快で明るい曲を思い浮かべる人が多いでしょうが、この曲は葬送曲らしい暗い和音に支配され重々しい雰囲気です。けれども、比較的高音が多いので、ベートーヴェンやショパンに比べると陰鬱な雰囲気ではないかもしれません。

リスト 詩的で宗教的な調べ 第7曲「葬送」

リストの曲というと華やかな雰囲気を思い浮かべる人は多いでしょう。たとえば、「ラ・カンパネラ」「愛の夢」のような高音が美しく華やかに奏でられるメロディーが有名ですが、葬送曲ではいぶし銀のような低音の魅力を存分に発揮しています。そして、高音を使ったリストらしい華やかな一面もある魅力的な曲です。

有名な部分は冒頭の暗く響き渡る弔いの鐘の音のような和音、中間部分のショパンの「英雄ポロネーズ」の中間部に似た左手による和音の激しい反復です。弾きにくい部分が多く難曲ですが、多くのピアニストに愛され演奏される曲。副題が「1849年10月」となっているのは、故郷ハンガリーの1848年の10月の革命によって1849年に処刑されてしまった知人、同じく1849年10月に亡くなった敬愛する作曲家ショパンへの追悼の意味と思われます。

レクイエムも葬送曲として用いられる

レクイエムは死者の魂を慰めるキリスト教のミサの曲ですが、葬送曲としても用いられます。

モーツァルト、フォーレ、ヴェルディの3大レクイエム

レクイエムには多くの作品がありますが、その中でも傑作と言われているのが、モーツァルト、フォーレ、ヴェルディの3大レクイエムです。

①モーツァルト作曲「レクイエム」K.626

明るく軽やかな曲が多いモーツァルトのミサ曲レクイエムというと、イメージしにくいでしょう。このレクイエムは死の直前に書かれました。しかし、本人が未完で亡くなってしまいましたので弟子が加筆しています。死神に依頼されたという逸話もあるほどに有名なもので、激しい生命の息吹を感じさせるような旋律です。

②フォーレ作曲「レクイエム」二短調作品48

フォーレはフランスの作曲家です。この「レクイエム」は彼の作品の中で一番演奏される機会が多い傑作といわれています。

父を亡くしたことをきっかけに作曲したという説もありますが、真相はわかりません。マドレーヌ寺院での初演では、従来のレクイエムの曲調と違うということで不評でした。死への恐怖感を感じられないことが不評の理由でしたが、フォーレ自身は死を永遠の喜びと解釈していました。

③ヴェルディ作曲「マンゾー二の命日を記念するためのレクイエム」

ヴェルディが敬愛していたイタリアの文豪マンゾー二を追悼するために作曲されたレクイエムです。彼が亡くなって1年たった命日1874年5月22日、イタリアのミラノのサン・マルコ教会で初演されました。しかし、宗教曲としては華やか過ぎる、オペラの一場面みたいだという批判が多かったようです。

ヴェルディ自身はオペラと完全に違った見地で書いているため、このレクイエムをオペラのように歌わないようにと書簡で書いています。また、彼の妻であり良き理解者のジュゼッピーナが他の作曲家と比較せずに彼なりの作品として理解してほしいと書いた友人あての書簡も残っています。

ブラームス ドイツレクイエム

ブラームスはドイツのハンブルク生まれの作曲家です。そのため、従来のレクイエムがカトリック教会で死者の魂を慰めるミサの曲とされ、ラテン語の祈祷文で書かれていたのとは違う手法をとりました。彼自身の信仰がドイツから始まったとされるルター派だったことから、ドイツ語版のルター聖書を利用したのです。

作曲のきっかけは1856年の自らの師であり、恩人でもある作曲家シューマンの死だったとされています。そして、2楽章まで完成した後に自身の母の死もありました。いったん止まった作曲も母の死によって先が作られたと言います。さまざまな思いの詰まったミサ用というよりもコンサート用のレクイエムです。

葉加瀬太郎のレクイエム

バイオリニスト葉加瀬太郎がインターネットで頼めるお葬式「小さなお葬式」の会社とコラボレーションでレクイエムを作曲しました。テレビCMでも流される宗教の枠を超えた美しいバイオリンの曲です。悲しみに寄り添う気持ちを表すような優しい雰囲気の曲は故人を亡くした遺族の気持ちを和らげるでしょう。

その他葬儀でよく流される曲

葬送という曲名でなくても葬儀で流されることが多い曲があります。千の風になって、川の流れのようになどの人気曲を紹介しましょう。

千の風になって

秋川雅史が歌う「千の風になって」は、故人の気持ちを歌うような温かく優しい歌詞が人気です。合わせて優しく美しいメロディーは遺族や故人とゆかりのある人たちの心に届くでしょう。人の死とは悲しみだけではない、ということを考えさせてくれる曲です。

川の流れのように

故・美空ひばりが歌う「川の流れのように」が好きだったという年配の人は多いのではないでしょうか。美空ひばり独特のしっかりとした歌声に力づけられるような曲です。前向きに生きて行きたいと思えるような歌詞も魅力的。後世に残したい歌ですね。

中島みゆき 時代

中島みゆきの「時代」は人気曲なので、故人が好きだったという場合もあるでしょう。「今はこんなに悲しくて」と始まる冒頭で涙が出そうになりますが、前向きな気持ちで残された遺族の今後を応援してくれるような歌です。カラオケで好きだったという人も多いのではないでしょうか。

ショパン 別れの曲

「別れの曲」と言われますが、悲しみよりも温かく優しい感じの曲です。ピアノの詩人といわれるショパンの曲だけあり、訴えかけるような美しいメロディーは、故人を亡くした悲しい気持ちに寄り添ってくれます。ショパン特有の揺らぎの旋律に耳を傾けながら、故人との思い出を反芻したいものです。

葬送曲の英語名は「Funeral march」

葬送曲の英語名は「Funeral march」です。Funeral は「葬式、告別式、葬列」という意味。marchは行進曲でよくカタカナで「マーチ」とも書かれます。因みに行進はmarchの他にparadeとも言います。

まとめ:故人を悼む気持ちが大事

葬送曲は故人を悼むための曲ですが、葬送曲という名がなくても故人との思い出の曲や故人が好きだった曲でも、その人なりの葬送曲になるのではないでしょうか。大事なのは故人を悼む気持ちです。

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