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霊柩車とは?最近の霊柩車の傾向は?使用価格は?宮型霊柩車を見なくなった理由は?霊柩車の今と昔を解説
霊柩車とは遺体を搬送する車
霊柩車とは遺体を葬儀場から火葬場まで搬送する特殊用途車両をいいます。ナンバープレートは緑で8ナンバー。白いナンバープレートで遺体を搬送するのは違法ということになります。
昭和の時代には、お寺のような造りの装飾を乗せた霊柩車をよく見かけましたが、最近は見なくなりました。火葬場が隣接している斎場で葬儀を行うことが多くなったこともあり、霊柩車の需要は減っています。また宮大工が減ってきたこともあって、シンプルな霊柩車を希望するケースが増えています。
最近の霊柩車事情を含めて、霊柩車の今と昔を解説します。
最近の霊柩車
霊柩車と言うとお寺のような装飾がある霊柩車を思い浮かべる人も多いと思いますが、最近はシンプルな霊柩車の需要が増えています。
車体の傾向
霊柩車は棺が入るように車体を伸ばす必要があります。そのために車体を切断して何枚ものパネルを貼ることで、車体が引き延ばされるのです。ただし切り貼りしたところは時間が経つとヒビとなるため、最近は耐久性を重視し、車体延長をしないノンストレッチのものが造られるようになりました。
遺体を病院から葬式の会場まで乗せる寝台車と、葬式の会場から火葬場まで乗せる霊柩車を兼用する車両も増えてきています。兼用の霊柩車にはストレッチャーを積み込めるようにスロープがついています。
霊柩車の色
以前は黒塗りが当たり前でした。ただし最近ではピンクや赤などのボディーカラーも登場しています。またラッピングフィルムを貼って、車体の色を簡単に変えることもできるようになってきました。本人が好きな色だったことや、賑やかに送り出したいという遺族の願いが込められているのです。
家族も一緒に音楽を聞きながら
霊柩車は基本的に運転手の他に1人しか同乗できませんでした。大抵喪主が位牌や遺影を持って同乗し、他の家族はタクシーなどで追いかけていたのです。
一方、最近は4人までなら家族が一緒に乗れて、車内で音楽を流せる霊柩車もあります。遺族はもちろん、故人の希望があるのなら、どんな希望でも一旦は葬儀会社に相談してみるといいですね。
霊柩車の使用価格
遺体を搬送する料金は、国土交通省への届出が必要です。ですから国土交通省が適性と認めた金額が設定されていて、無料や低価格、あるいは高額など大きな価格の差はありません。
基本料金はどのくらい?
使用価格は葬儀代に含まれていますが、事前に葬儀会社に確認をとっておきましょう。
だいたい0~10㎞で13,000~50,000円となります。
追加料金ってどんなとき発生するの?
10Kmを超えた場合や、遺族の事情で出発時間が遅くなった場合、冬の時期、深夜・早朝などは追加料金が発生します。また、運転手に心づけを渡す人もいますが、それを受け取らない葬儀会社もあります。
病院から自宅や斎場まで遺体を搬送したいときは?
葬儀を執り行う会社が決まっていれば、その葬儀会社に搬送を依頼します。まだ決まっていないときは、病院と連携している葬儀会社に依頼することになります。
ただしその際は、自宅や斎場までの搬送だけをお願いする旨をはっきり伝えましょう。でなければ葬儀会社は全てを任されたと思って、段取りなどの話をどんどん進めていきます。一旦遺体と一緒に自宅や斎場に移動してから、料金面など納得いく葬儀会社を選んだほうがいいでしょう。
霊柩車の起源と歴史
日本でまだ土葬だったころ、葬儀のあと寺の屋根のような形の棺に遺体を入れて輿(こし)に乗せて運びました。輿とは時代劇でみる、何人かで担いで運ぶ乗り物のことです。葬儀をあげた家から埋葬地まで遺体を輿に乗せて運んだことが、日本における霊柩車の起源だと考えられます。
世界的には霊柩車は、イギリスの「霊柩馬車」がルーツと言われています。馬車がアメリカで自動車に移り変わり、それが日本に入ってきて、大阪の葬儀会社が宮型に改造したことが日本での霊柩車の始まりとされています。
また、1922年(大正11年)に大隈重信の国民葬で、神社の屋根のような荷台をつけたトラックが使われたことも、その後の霊柩車につながったと言われています。
霊柩車を見ると親指を隠すのはなぜ?
あのお寺のような霊柩車を見ると「親指を隠す」ように言われたものです。
これは江戸時代に「葬列を見たら親指を隠せ」と言われていたからだそうです。人は亡くなってもすぐには成仏しないで、魂が親指の爪の間から入ってくると考えられていました。
霊柩車の4つの型
宮型霊柩車
お寺のような造りを乗せた車を宮型霊柩車といいます。仏式や神道の葬儀で使われます。
洋型霊柩車
普通の黒塗りのリムジン型の車です。一見霊柩車とは気がつかないかもしれませんが、昭和天皇の大喪の礼で使われたことで広まりました。
洋型霊柩車は仏教や神道に限らずどの宗教の葬儀でも使われます。宮型よりも目立ちにくい、価格が安いなどの理由から使われることが多いです。
バス型霊柩車
バスのような霊柩車なので遺族と参列者が同乗できます。葬式をあげた場所から火葬場まで距離があるときなどに使われます。
寝台車
ストレッチャーがついているので、病院などで最期を迎えたとき遺体を病院から自宅または斎場まで運ぶことがでときに使われます。
宮型霊柩車を見なくなった理由と海外での活躍
かつてよく目にしていた宮型霊柩車ですが、最近はめっきり見かける機会が減りました。その理由は様々です。
①一目で霊柩車とわかり「縁起が悪い」ということで敬遠されるようになりました。
②装飾寺の部分を造れる宮大工が減ってきたことも深刻な理由です。宮型霊柩車は、1年に3~4台ぐらいしか納車できません。とにかく手間がかかることに加え、造り手の不足が大きく影響しています。
③国土交通省は自動車の安全化をより厳しくする方針で、宮型霊柩車の突起物は制限される可能性が高いです。今後ますます宮型霊柩車の需要は減りそうです。
ただ、宮型霊柩車で遺体を搬送されることは高齢者にとっては憧れでもあり、そのことを知っている若年層からあえて宮型霊柩車を指定されることもあります。
使われた霊柩車のその後の活躍
宮型霊柩車にはその外観に日本の特徴が盛り込まれているので、海外では人気があります。モンゴルでは「移動できるお寺」と称されているほどです。もともとモンゴルでは死者を弔う儀式は盛大に執り行う慣習があり、力士が祖国に宮型霊柩車を伝えたことで広まりました。
また遠い地のアフリカ・ウガンダでも遺体搬送で宮型霊柩車は喜ばれています。
まとめ
霊柩車と言えば宮型霊柩車を思い浮かべる人が多いのですが、この20年で需要が3分の1に減ってしまいました。明らかに霊柩車とわかることがかえって「縁起が悪い」と敬遠され、宮大工が減ったことや自動車の安全基準が厳しくなることが、需要が減った理由です。
一方、洋型霊柩車は昭和天皇の大喪の礼で使われたことで広まり、見た目もシンプルなことや価格が安いことで需要が増えています。
時代が変わり霊柩車も様変わりしています。霊柩車はただ遺体を搬送する車というだけでなく、故人や遺族の思いも一緒に運ぶのです。
故人にとってどういう選択をすればいいのか、遺族は一つひとつ悩んでしまいます。自身の葬儀について、その思いを周囲に伝えておくといいですね。