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金剛杵とは?帝釈天の武器?意味・種類・密教との関係を紹介

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目次

金剛杵とは密教系の宗派で用いられる法具の一つ

金剛杵とは日本仏教の密教系の宗派(真言宗・天台宗)で用いられる法具の一つです。読み方は「こんごうしょ」。

他にも、禅宗(曹洞宗そうとうしゅう黄檗宗おうばくしゅう)における施餓鬼会せがきえなどでも用いられています。

また、ダイヤモンドを日本語では金剛石と呼ぶことからわかる通り、金剛は「ダイヤモンドのように非常に硬い物質」を表しています。

金剛杵の役割:煩悩を砕き菩提心を示す

金剛杵の役割は「煩悩を打ち砕き、菩提心ぼだいしん(悟りを求める心)」を表すことだと考えられています。

金剛杵はサンスクリット語でvajraヴァジュラと言います。ヴァジュラは、インド神話で雷神インドラ(帝釈天)が所持する武器のこと。それが日本仏教の密教系において、法具とされるようになったと言われています。

金剛杵のモデル:帝釈天の武器

金剛杵のモデルとなったものは、インド神話にも登場するヒンドゥー教の雷神インドラ(帝釈天)が持っていた神話上の武器です。

現在でも、帝釈天の持物じもつには金剛杵が描かれています。代表的なものは、京都の真言宗総本山東寺とうじに祀られている帝釈天半跏像たいしゃくてんはんかぞうです。東寺は、国内初の密教寺院として歩みをスタートさせた歴史のある寺院としても有名です。

奈良時代以降に中国から伝来

金剛杵は、奈良時代から平安時代にかけて中国から日本に伝わったとされています。

平安時代以降になると、日本でも製造されるようになり、現在では金銅製のものが多いと言われています。

金剛杵の種類と基本的なデザイン

金剛杵には様々な形のものがありますが、基本的なデザインは、細長い棒状で手杵てぎね(長さ15~20cm程度)に似ています。

両方の切っ先には 「」 という尖った槍状の刃が付いていて、把手の部分を「つか」と呼び、その中央には大日如来を思わせる「鬼目きもく」という柄が入っています。

金剛杵の形状と名称

鈷は、漁に使うもりが変化したものとして、悟りの妨げとなるものを払うという意味を持つと言われています。

さらに、この鈷の本数(基本奇数個で増えていく)や、形状の異なるいくつかのバリエーションがあり、それぞれに固有の名称がついています。

一般的に用いられているものは、次のとおりです。

名称鈷の本数効力
独鈷杵(どっこしょ、とっこしょ)両方の先端の鈷がそれぞれ1本(棒状)念仏を唱えて祈りを捧げる時に傍に置くと仏と一体となれる。
三鈷杵(さんこしょ)両方の先端の鈷がそれぞれ3本祈る人の三業(身口意)に通ずることを表す。この身口意のバランスをとることで人生を明るく過ごすことができる。
身口意しんくいとは、身(行い)、口(言葉)、意(心の動き)の3つを指します。
五鈷杵(ごこしょ)両方の先端の鈷がそれぞれ5本祈る人と仏、それぞれの五智が本来一体であり、煩悩に振り回されることなく自ら内面を制御するという意味が込められている。

また、金剛鈴こんごうれい(金剛杵の片方の鈷の部分が鈴になっているもの)と呼ばれるものもあります。これについても、独鈷鈴どっこれい三鈷鈴さんこれい五鈷鈴ごこれいなどいくつかの種類があり、御詠歌を唱える際に鳴らすことや、巡礼者が持ち歩くこともあります。

この他、金剛杵には、人形杵、塔杵、宝杵など多くの種類がみられます。

有名な金剛杵:東大寺の金剛力士像

金剛杵は、日本では仏の守護のために帝釈天、執金剛神しゅうこんごうしん金剛力士こんごうりきしらの手に握られていることでも知られています。

中でも東大寺南大門に二体一対で安置されている金剛力士像こんごうりきしぞう (1952年に国宝指定)は国内最高レベルの迫力を誇っているとして大変有名です。

門に向かって左側の口を開いた阿形像あぎょうぞうは右腕を下げて長大な金剛杵を肩に寄せかけるように持ち、右側の口を閉じた吽形像うんぎょうぞうは左手に金剛杵を持っています。

東大寺(華厳宗大本山 東大寺)

住所:630-8587 奈良市雑司町406-1

電話番号:0742-22-5511

公式HP:https://www.todaiji.or.jp

アクセサリーにアレンジされることも

金剛杵には、お守りや厄除けの効果があると言われています。そのユニークなデザインや美しい装飾から、ブレスレットやストラップなどのアクセサリーにアレンジされているものもあります。この他、インテリアとして飾られ、精神統一や煩悩を払うアイテムとして多くの人々に親しまれています。

中でも金剛杵天珠こんごうしょてんじゅを象徴したものは、ブレスレットなどに用いられ、魔除けのお守りとして人気を集めています。

密教と金剛杵の深い関わり

密教では、すべての煩悩を破る仏智ぶっちあるいは菩提心の標示として、法具金剛杵を用いています。これには、

・基本の形である「独鈷杵」がもっとも重要だ

・弘法大師空海がいつも手に持っていた「五鈷杵」こそが重要だ

などと、複数の説があり、密教と金剛杵の関係はとても深いものであると考えられています。また、密教における儀式では、祭壇に金剛杵が置かれることもあります。

しかし、認められた者だけに口伝えで伝承されてきた密教だけに、正確な用途ははっきりとわかっていません。

まとめ:金剛杵とは帝釈天の武器をモチーフにした法具のこと

金剛杵とはインド神話に登場する雷神インドラ(帝釈天)が持っていた武器をモチーフにした法具です。密教系の仏教宗派で用いられていますが、秘儀なだけにその用途ははっきりと分かっていません。

また、精神統一や煩悩を払う目的で、インテリアやアクセサリーにアレンジされ、魔除けのお守りとしても人気を集めています。この他、ゲームの武器として登場する姿もあります。

帝釈天や金剛力士像などの持物でもあり、これらの仏像を参拝する際は、邪念を払って手を合わせると良いでしょう。

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