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羅刹とは?十二天の一つ?羅刹女の意味・羅刹天を描く国宝についても紹介
羅刹とは仏法を守護する十二天の一尊
羅刹とは「らせつ」と読み、お釈迦様の教えである「仏法」を守護する十二天の一尊に数えられた善神です。
元々の羅刹は、インド神話に現れる大力で足が速く、人をたぶらかして血肉を食べるといわれる悪鬼という存在でした。
これが、のちに仏教に取り入れられ、十二天の一尊「羅刹天 (単に羅刹とも言われる)」として祀られるようになりました。
羅刹天は、手にした剣で凶悪な煩悩を断った(食べつくした)と言われています。
十二天とは?
十二天とは、天部(六道の最上位の天道のこと)を守る12種の諸尊のことです。
12種の諸尊は、八方(東西南北の四方と東北・東南・西北・西南)に天・地・日・月を加えた方位を守護するもので、その関係は次のとおりです。
東・・・帝釈天
西・・・水天
南・・・焔摩天
北・・・毘沙門天
東北・・・伊舎那天
東南・・・火天
西北・・・風天
西南・・・羅刹天
天・・・梵天
地・・・地天
日・・・日天
月・・・月天
羅刹はサンスクリット語の音写
羅刹は、サンスクリット語の「raksasa」、パーリ語の「rakkhasa」の音写とされています。
ラークシャサとは、暴悪で恐ろしいという意味。英語では「Rakshasa」と表記されます。また、女の羅刹はラークシャーシーと呼ばれ、羅刹女と訳されます。悪鬼には変わりありませんが、きわめて美麗と言われていました。
仏教で描かれる羅刹の姿
羅刹天は、甲冑を身につけ、右手に刀を持つ姿で描かれています。獅子に乗った姿のものもあります。
有名な仏画:絹本著色十二天像(国宝)
羅刹天は、京都の東寺が保有している「絹本著色十二天像」(1953年に国宝指定)に描かれる姿が有名です。
この絹本著色十二天像は、建久2年(1191年)に絵仏師の「宅間 勝賀」によって描かれたもの。密教の重要儀式である灌頂(悟りの位に進んだことを証する儀式)で行われる十二天の行列に変わるものとして用いられていました。
六曲屏風に、坐像ではなく立像で描かれているという特徴も併せ持っています。
説話集に登場する姿:羅刹女
羅刹は、仏典や今昔物語集のような説話集にも登場しています。中でも、羅刹女の話は、恐れられていた話の一つです。
しかし、羅刹女も仏教の守護神となった一尊です。例えば、法華経の陀羅尼品では十羅刹女(10人の羅刹女)が登場しています。これらは鬼子母神とともに法華経修行者の守護神(善神)とされています。
鬼のような様子を表現する言葉としても用いられる
羅刹は、相手の性格や態度を表現する言葉として用いられることがあります。この場合は、守護神としてではなく「恐ろしい」、「残酷だ」など、鬼としての羅刹の姿が優先されることが多くみられます。
このようなイメージで、漫画やテレビドラマ、楽曲のタイトルなどにも起用されています。
例)
凄絶!嫁姑戦争 羅刹の家:漫画原作のテレビドラマ
結ンデ開イテ羅刹ト骸:楽曲のタイトル
まとめ:羅刹とは仏法を守護する十二天の一尊
羅刹とは、元々はインド神話に登場する凶暴な人喰い鬼ですが、仏教に取り入れられてからは、煩悩を食べ尽くす善神となった神(羅刹天)のことです。
羅刹天は、十二天(六道の最上位である天道に住む者を守る、12種の諸尊)の一尊に数えられ、国宝となった屏風絵にも登場しています。
また日本では、羅刹は鬼というイメージで恐れられ、古来は説話集にも登場。現代ではアニメや漫画、ドラマのタイトルに起用される姿もみられます。
鬼のようだ、残酷だ、という表現で用いられることもあり、登場人物を表現する言葉としても使われています。