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開帳とは?使い方・善光寺の御開帳・秘蔵の仏像・よくある質問をご紹介
開帳とは厨子の扉を開くこと
開帳とは、厨子(ずし)の扉を開くことです。
厨子は、仏像、仏舎利、経典、位牌といった、仏教にとって大切なものを納める箱です。元来、仏龕(ぶつがん)という仏像や経文をしまっておくために塔の内部に造られた小部屋だったという説もあります。
また、元は仏龕の形が中国の厨房で調度品を納めた容器だったという考え方も存在します。厨子の「厨」は「厨房」にちなんでいるという説です。
この記事では、開帳の使い方、善光寺の御開帳、開帳で見られる秘仏、よくある質問を紹介します。
中にある秘仏を公開する
開帳には、厨子の中にある秘仏を公開するという意味もあります。秘仏は、そのお寺によって異なります。
秘仏を見るために多くの人が、お寺を訪れます。地域活性化に繋がる可能性も考えられるものです。
特定の日のみ公開する
秘仏の公開は、お寺によっても異なりますが、決められた特定の日のみというところが多いものです。
たとえば、1ヶ月に1回、1年に1回、7年に1回、33年に1回、60年に1回という周期的なケースがあります。
開帳の使い方
開帳は、どのような使い方をするのでしょうか。ここでは、有名なお寺の秘仏公開、出開帳としての使い方を紹介します。
有名なお寺の秘仏公開
開帳は、有名なお寺の秘仏公開にも使われます。ここ最近行われた開帳を下記に挙げてみます。
- 浄瑠璃寺:三重塔初層開扉・薬師如来坐像(国宝・重文)さんじゅうのとうしょそうかいひ・やくしにょらいざぞう
毎月8日開催(2022年7月現在開催中)
- 當麻寺中之坊(たいまでらなかのぼう):平安時代・重度美術品 導き観音
毎月16日開催(2022年7月現在開催中)
- 薬師寺:西寺初層内陣 釈迦四相像 特別公開
終了
- 薬師寺 西僧房:東塔水煙特別公開
終了
- 薬師寺:食堂特別公開
終了
- 玄奘三蔵院伽藍 大唐西域壁画殿 特別公開
終了
他にもさまざまな開帳があります。
出開帳として使われることもある
出開帳(でかいちょう)とは、お寺の本尊や秘仏をよそで開帳することです。江戸時代から、行われていた行事でたいそう人気がありました。参拝客目当てのお店も多く開いていたようです。
そんな出開帳を題材にした落語「開帳の雪隠(せっちん)」が有名です。内容を紹介します。
「近くのお寺の出開帳で人が出ているので、トイレ(雪隠)を有料で貸すことにした老夫婦。かなり儲かったのですが、同じ値段でもっときれいなトイレを貸す業者が現れ、お客を取られてしまいました。
そんなある日、おじいさんが弁当を持って一日出かけ、なかなか帰ってきません。その日に限って、お客さんがひっきりなしに訪れ、おばあさんは大忙しでした。
何と、おじいさんは、ライバルのきれいな貸しトイレ屋で1日中座っていたのです。そこのトイレが空かないため、お客さんが老夫婦のお店に集中したというわけです。」
こんな話が生まれるほどに、出開帳の時期は参拝で賑わっていたことが窺えます。
対義語は自分のお寺で開帳を行う「居開帳」です。
7年に1度の善光寺の御開帳が有名
7年に1度行われる、長野県にある仏教の総本山善光寺の御開帳が有名です。どんな本尊を公開するものか、また、どんなご利益があるのか紹介します。
前立(まえだち)本尊を公開する
善光寺の御開帳では、前立本尊を公開します。
前立本尊は鎌倉時代の重要文化財です。絶対秘仏の御本尊の身代わりで、まったく同じ姿をしています。
善光寺の御本尊は「一光三尊(いっこうさんぞん)阿弥陀如来」です。光背の真ん中に阿弥陀如来、その右側に観音菩薩、左側が勢至菩薩が並んでいます。この姿は、善光寺ならではと言われています。
白雉5年(654年)からの絶対秘仏。その身代わりに造られたのが前立本尊です。御開帳の時期以外は、御宝庫に安置されているので、拝むことができるのは、御開帳の時期のみです。
回向性に触れることでご利益がある
回向柱(えこうばしら)は、御開帳の間、本堂前に建てられる高さ10mほどの柱のことです。前立本尊の真ん中に位置する阿弥陀如来の右手と白い「善の綱」で結ばれています。
したがって、この回向柱に触れることで、前立本尊に触れることになると考えられます。つまり、ありがたいご縁が生まれるなど、ご利益が期待できるということです。
善光寺の御開帳の醍醐味と言えるでしょう。
開帳の日のみお目見えする秘蔵の仏像
開帳の日のみお目見えする秘蔵の仏像は、お寺により異なります。ここでは、法隆寺、法華寺、興福寺で見られる秘蔵の仏像を紹介します。
法隆寺で見られる観世音菩薩立像「救世観音」
1年に2回、法隆寺の御開帳で見られる観世音菩薩立像「救世観音」は、聖徳太子の等身像と言われています。
長い間、厨子に安置されており、開扉されたのが明治17年でした。東京大学教師のアーネスト・フェノロサと当時の弟子、岡倉天心によって数百年の眠りから目覚めたと伝えられています。
御開帳は、毎年4月11日~5月18日、10月22日~11月22日です。
法華寺で見られる「十一面観音菩薩立像」
奈良県法華寺で1年に3回、御開帳によって拝めるのが「十一面観音菩薩像」です。
天平17年(745年)開創したとされる法華寺の本尊。造られたのは、平安時代と言われています。
木の温もりを感じる榧(かや)の一本造りです。高さ1mほどの小柄な仏様で、お寺の建立に尽力した光明皇后がモデルという説が有力です。
御開帳の日は、法華寺のサイトでご確認ください。
興福寺で見られる国宝「無著菩薩立像」
1年に2回の御開帳で見られるのが、興福寺の国宝「無著菩薩立像」です。
鎌倉時代初期、興福寺北円堂の復興時に造られた僧形像は、桂材の寄木造です。その写実性が価値の高いものとされています。
モデルとなった無著は5世紀にガンダーラで活躍しました。唯識教学を確立した人物で弟の世親と共にその功績を高く評価されています。
作者の運慶は、古代インド人を日本の老人の姿で見事に表現しました。見ごたえのある僧形像です。
開帳についての質問
開帳についてのよくある質問を集めました。
- 開帳とは何ですか?
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秘仏、経典など、仏教にとって大切な物が安置されている厨子を開き、一般の人々に公開することです。
- 善光寺の御開帳はなぜ7年に1回なのですか?
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7年に1度という周期に、特に意味はありません。過去には、不定期に行われていたとも言われています。因みにこの7年は数え年なので、ご注意ください。
- 開帳の周期はお寺や神社によって異なりますか?
-
お寺や神社によっていろいろです。たとえば、下記のような周期が考えられます。
・1ヶ月に1回
・1年に1回
・7年に1回
・33年に1回
など。
- コロナウイルスのために開帳が中止になることはありますか?
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2022年の善光寺の場合、コロナ感染拡大のため、1年延期になりました。さらに混雑を避けやすいように1ヶ月延長。異例づくめの御開帳でした。
まとめ:開帳はお寺に安置している秘仏を公開して多くの人に拝んでもらうこと
開帳は仏教にとって大事なものが安置されている厨子の扉を開けることです。お寺によってさまざまな特色があります。
中でも有名なのは長野県の善光寺の御開帳です。その他にも法隆寺や法華寺など、多くのお寺で開帳が行われます。
お寺にとっては、大切な秘仏をより多くの方々に拝んでもらいたいものではないでしょうか。