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灯明とは?意味・類語・教え・形式・マナー・有名なお祭りも紹介

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目次

灯明とは神や仏に供える火を指す言葉

灯明は「とうみょう」と読み、神や仏に供える火を指す言葉です。

仏教では「灯明」は重要な供養とされ、灯明の明かりは仏さまの智慧(ちえ)の象徴といわれています。

智慧とはすべての物事の特性を理解する力であり、真理を見極める認識力を指します。対する暗闇は仏教用語で「無明(むみょう)」といい、無知や迷い、煩悩や愚かさをあらわします。

灯明が暗闇を明るく照らすように、仏さまの智慧の明かりが無知や迷い、煩悩や愚かさを照らし出し、全てを消滅するとされています。

灯明の形の移り変わり

昔は皿に油を入れ、麻や綿の紐から作られた灯芯を油に浸し、火を灯していました。

出典:ひろしまWEB博物館

その後はロウソクが主流となり、更に現在では電気や電池式のロウソクも用いられています。

灯明の類語

灯明の類語には、法灯と神灯があります。

法灯は「ほうとう」または「のりのともしび」と読み、仏像や仏壇の前に供える灯火を指す言葉です。また 仏の教えがこの世の闇(やみ)を照らし煩悩に迷う人を導くとし、仏法そのものを意味する場合もあります。

神灯は「しんとう」または「みあかし」と読み、神前に供える明かりを指します。

灯明にまつわる四字熟語 ー 貧者一灯 ー

「貧者一灯」という灯明にまつわる四字熟語を紹介します。

貧者一灯は「ひんじゃのいっとう」と読み、「長者の万灯より貧者の一灯(ちょうじゃのまんとうよりひんじゃのいっとう)」ということわざを略した四字熟語です。

貧者の一灯(ひんじゃのいっとう)または貧女の一灯(ひんにょのいっとう)ともいわれ、「阿闍世王授決経(あじゃせおうじゅけっきょう)」の中の話がベースになっています。

それでは「阿闍世王授決経」に出てくる貧者一灯にまつわる話しと、その意味を紹介します。

阿闍世王授決経の話しと貧者一灯の意味とは

古代インドビハール州の王様、阿闍世王がお釈迦様を王宮に招くにあたり、その通り道に一万を超える灯明を灯しました。

灯明の中には、貧しいおばあさんがわずかなお金を工面して灯明を一つ供えました。王様が用意した灯明は消えたり油が尽きたりしましたが、貧しいおばあさんの灯明は夜通し燃え続けたといわれています。

このことから、お金持ちが見栄を張り多くの寄進を行うよりも、貧しい人が心をこめたわずかな寄進のほうが功徳が大きいという意味です。また「形式よりも真心が大切である」というたとえに使われます。

自灯明・法灯明の教え

自灯明・法灯明は「じとうみょう・ほうとうみょう」と読み、お釈迦様が亡くなる前に弟子に伝えた言葉です。

それぞれ解説していきます。

自灯明とは自分自身を信じて生きること

自灯明とは人に頼るのではなく、自分自身を信じて生きていくという意味です。

自分を信じ自分の考えや価値観を大切にし、他人の意見に左右されることなく、自分を拠り所として生きるという教えです。

法灯明とは法(真実の教え)を拠り所とし生きること

法灯明とは、法(真実の教え)を拠り所とし生きるという意味です。

困った時や迷った時は、仏法や仏の教えが自分自身の進む道を教え導いてくれるという教えです。

自灯明・法灯明とは

自灯明・法灯明には、自分自身を信じ、自分の考えや価値観を大切にし、他人の意見に左右されることなく前に進みなさい。

それでも困った時や迷った時、自信がなくなった時は、仏の教えを頼りに前に進んで行きなさいという教えです。

三具足・五具足とは

三具足・五具足は主に仏壇や仏画に供える仏具を指し、三や五は供える仏具の数を示しています。具足とは道具や装飾品を意味する言葉です。

灯明はこれら仏具の中の燭台(しょくだい)に関わります。燭台とは、ロウソクを立て火を灯す台です。

燭台は宗派によってデザインが指定されている場合があり、買い揃える際はお寺や仏具店などに相談するとよいでしょう。

三具足を構成する仏具と並べ方

三具足は「さんぐそく」または「みつぐそく」と読みます。具足の中でもっとも基本となるのが三具足です。

三具足は以下の3つの仏具で構成されています。

① 香炉 1つ
② 燭台 1つ
③ 花立 1つ

並べ方も決まっており、仏壇に向かって左から花立、香炉、燭台の順番に並べます。

出典:イキカタ編集部

五具足を構成する仏具と並べ方

五具足は「ごぐそく」と読み、具足の正式な形式であるとされています。

五具足は以下の5つの仏具で構成されています。

① 香炉 1つ
② 燭台 2つ
③ 花立 2つ

並べ方は、仏壇に向かって左から花立、燭台、香炉、燭台、花立の順番に並べます。

出典:イキカタ編集部

灯明を消す際のマナー

灯明を消す際、息を吹きかけて消す行為はマナー違反となります。その理由は、人間の口は穢(けが)れやすく、人の息は不浄のものという仏教の考えからきています。

灯明を消すには
手を仰いで消す、または専用の道具を使用して消します。

専用の道具には、小さな柄杓(ひしゃく)の形をした「ロウソク消し」や「仏扇(ぶっせん)」と呼ばれる小さなうちわがあります。

どちらもインターネットや仏具店で購入可能です。

灯明が有名なお祭り

灯明が有名なお祭りは、福岡県にある太宰府天満宮の「神幸式大祭」です。太宰府天満宮の三大大祭の一つといわれています。

神幸式大祭は例年9月に5日間行われ、菅原道真公を偲び、五穀豊穣を神様に感謝するお祭りです。最終日には、境内にある心字池の周囲に千本のロウソクに火を灯す「千灯明」が行われます。その様子は大変幻想的だと有名です。

まとめ:灯明は重要な供養の一つであり祭儀にかかせないもの

灯明は仏教において重要な供養の一つであり、神道においても祭儀にかかせないものです。私たちの身近なところでは、仏壇の燭台が該当します。

灯明は一般的にロウソクが使用され、ロウソクの炎のゆらめきは「1/fゆらぎ」という自然現象や人間の鼓動と同じリズムがあり、人に癒しを与えるといわれています。

しかし昨今では、火災などの心配から電気や電池式のロウソクが主流になりつつあります。

灯明は、昔からその形を変えながら現代にも伝わっている事実から、日本の宗教や祭儀に深く根付いているといえるでしょう。

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