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氏子とは?神社との関係と役割、歴史や減少問題について解説
氏子は同じ地域で、その地の氏神を信仰する人たちのこと
氏子とは同じ地域で氏神を信仰した神社に関わる人たちのことを言います。
氏神とは神道の言葉で同じ氏の人たちの祖先の神や守護神のことです。または地域で共同で祀る(まつる)神様を指し、鎮守と呼ばれることもあります。
神社では神社の維持に協力する信者を氏子、または崇敬者として登録することが規則です。しかし、実情はそれぞれの神社で定めた区域の居住者を氏子といい、それ以外の信者を崇敬者としています。
氏子の歴史
氏子の歴史は室町時代中期に遡ります。
町中や農村に氏子と呼ばれるようになる同じ氏姓の血縁者や地縁者の集団ができ、住む区域がつくられるようになりました。
明治時代になると行政の管理による氏子制度が地方の行政組織と一緒につくられ、現在まで続く神社運営組織の元になったのです。
しかし大東亜戦争後、宗教法人法の成立のために氏子制度は行政に管理されなくり、個人の信仰や地域のしきたりで存続するようになりました。
檀家との違い
檀家はお寺に自らがお布施を渡し、お葬式や法事、お墓の管理などをお寺に任せています。
一方、氏子は同じ地域の氏神様を崇敬して神社の維持などに関することを自らが行う集団です。
氏子の場合、お布施ではなく寄付を募って神社が維持するために必要なお金を集めます。(寄付については下記「氏子の役割」で詳しく書きます。)
檀家と氏子の違いは、関わる先がお寺か神社かという点、お布施といわれる金銭を渡すか否か、お寺や神社の運営に自らが関わるかどうかという点です。
氏子になるには
氏子になるには、かつてはその土地の神社で氏子入りの儀式を受けることが前提でした。
しかし、最近は生後1ヶ月のお宮参りで神主の祈祷を受けることが氏子入りの儀式を兼ねており、その時点で氏子になる地域が多いです。
もしもある地域の氏子になりたいのであれば、氏子が住む区域の定めがあるのでその場所に住むことが大事になります。
また、地域によっては氏子会という組織があり、神社の祭典に関わるなど広く活動していところが多いです。
そんな氏子会は神社を崇拝していれば、崇敬会員として外部の人でも協力できる地域もあります。
こうしたさまざまな人の協力により、神社や地域活性化に尽力する氏子会の取り組みが支えられているのでしょう。
氏子の役割
氏子の役割は多々ありますが、この記事ではお祭りや寄付、神社総代を取り上げてみます。
お祭りの担い手
氏子になると居住する氏子地域の祭事に参加して、神社に協力することが望ましいとされています。
たとえば、年に一度ある大きな祭祀(さいし)の際は、寄付や運営の補助の他に山車(だし)を引いたり、神輿を担いだりすることが多いです。
こういった協力をすることで、氏子と神社は地域と通じる良い関係を保っています。
寄付で神社の運営を支える
氏子の寄付は神社の経営になくてはならないものです。
たとえば古くなった神社を修繕するとなると費用がかかるものですが、この費用は神社が賄うもので国からの補助はありません。
しかし、たいていの神社は金銭的な余裕がなく経営が厳しい場合が多いです。
お賽銭などは微々たるものなので、修繕にかかる多大な費用を賄えるような額にはほど遠いものでしょう。
そこで神社の護持(ごじ)運営に関わる氏子総代が、氏子たちに寄付を頼み、多くの氏子が寄付をおこないます。
また、修繕の他に先ほど書いた祭典の際にも氏子の寄付が必要です。
中心的な役割を担う氏子総代
氏子総代は神社総代のことで、神職や巫女の上に立つ神社の長(おさ)である宮司(ぐうじ)によって任命される名誉職です。
氏子と神社の連携をはかり、神社の運営にも大きな力があります。また、祭典を担い神社の運営に関する発言権があり、役員選出にも関わるだけでなく、本人が役員になることも可能です。
氏子の減少問題
昨今、人口減や高齢化の進展により氏子は減少傾向にあります。
特に地方ではその傾向が顕著とされ、氏子は減る一方です。人口減に加え、祭典などの手伝いや寄付などが負担なので、氏子になりたくないという人も増えています。
経営が厳しくなる神社も
氏子の減少に伴い、経営が厳しい状況に置かれている神社も増えています。
その中には、経営改善に向け境内の一角をマンション用地として企業に貸し、その賃料で修繕費などを賄う神社もあります。
たとえば、1階2階に社務所が入る地上19階建てマンションを神社の境内を借りて建て、70年たったら土地を更地にして神社に返却することになっている事例もあります。
氏子の寄付に頼らない工夫
神社の中には氏子の寄付に頼らない工夫をしているところもあります。
たとえばオリジナルの絵馬を作って売る、クラウドファンディングで資金調達をする、縁結びとして男女の縁を結ぶ合コンを企画するなどさまざまな方法を試行錯誤で行っているのです。
まとめ:氏子は神社との結びつきが深い
深い歴史のある氏子は、地域の神社を経済面や経営面などで支えるサポーターとして神社との結びつきが深いです。
昨今は氏子が減少し神社の経営が厳しい場合も多いですが、神社ごとの工夫で資金調達をするなど、今後の存続のために力を注いでいます。