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略肩衣とは?読み方や意味・大谷派・帰敬式・色や形の画像・結び方を紹介
略肩衣は首から下げて着用する法具で真宗大谷派門徒の正装
略肩衣は「りゃくかたぎぬ」と読み、仏教の真宗大谷派(しんしゅうおおたには)の門徒が、首から下げて着用する法具を指します。
仏教で用いられるあらゆる道具や仏具を「法具」と呼びます。
真宗大谷派の門徒は、行事や儀式の際は以下の3つが必須とされています。
① 念珠(ねんじゅ)
② 勤行集(ごんぎょうしゅう)
③ 略肩衣(りゃくかたぎぬ)
葬儀や法事では、男女共喪服やスーツの上から「略肩衣」を首に下げて着用します。
この記事では、普段あまり聞きなれない「略肩衣」について解説していきます。
真宗大谷派では門徒は「略肩衣」・僧侶は「畳袈裟」「輪袈裟」を着用する
真宗大谷派では、門徒は行事や儀式には正装として「略肩衣」を着用します。同じような形の「畳袈裟」や「輪袈裟」は僧侶が着用します。
門徒は「畳袈裟」や「輪袈裟」は着用しませんので、購入の際は注意しましょう。
略肩衣は肩衣(かたぎぬ)を略したもの・法具として丁寧に取り扱う
略肩衣は、もともと裃(かみしも)の肩衣(かたぎぬ)を略したものです。
男性の正装であった肩衣は、大きく持ち運びが不便なため簡略化が認められました。これにより、男性だけでなく女性や子供も「略肩衣」を身に付けられるようになりました。
裃は鎧(よろい)と同様に数える単位は「具(ぐ)」や「領(りょう)」を使用します。
具:ひと揃いの衣服や用具を数える単位
領:着物の襟(えり)を指し着物を数える単位
略肩衣を数える単位は、「領」が適当といえるでしょう。
また略肩衣は「念珠」や「勤行集」とともに「法具」ですので、丁寧に取り扱いましょう。
以下に注意点をまとめました。
・略肩衣はそのまま持ち歩かず、念珠と同様に専用の袋に入れる
・畳や床に直接置くことは避け、鞄や専用の袋の上に置く
・着用したままトイレにいかない
そもそも真宗大谷派とは?
真宗大谷派はもともと浄土真宗という宗派でした。
しかし戦国時代織田信長との戦い「石山合戦(1570年~1580年)」が原因で、真宗大谷派と浄土真宗本願寺派の2つに分裂しました。
分裂の原因は織田信長が和議を申し入れた際に、和議を受け入れる勢力と徹底抗戦を主張する勢力が対立したためです。
VS織田信長 | 対立 | 宗派 | 総本山 |
徹底抗戦派 | 教如(顕如の長男) | 真宗大谷派 | 東本願寺 |
和議受入れ派 | 顕如と准如(顕如の3男) | 浄土真宗本願寺派 | 西本願寺 |
分裂後、真宗大谷派と浄土真宗本願寺派では儀式や法具の呼び方が異なり、また仏壇で用いる仏具の装飾に違いがあります。
真宗大谷派の宗紋は「抱牡丹」・浄土真宗本願寺派の宗紋は「下り藤」
先述したように、真宗大谷派と浄土真宗本願寺派は同じ法具でも呼び名が異なります。
真宗大谷派:略肩衣
浄土真宗本願寺派:門徒式章(もんとしきしょう)
「略肩衣」と「門徒式章」は一見すると見分けるのが難しいですが、「宗紋」でどちらの宗派なのかを見分けられます。
真宗大谷派の宗紋は「抱牡丹」
宗紋 | 宗派 | 法具名 | 総本山 |
抱牡丹 | 真宗大谷派 | 略肩衣 | 東本願寺 |
浄土真宗本願寺派の宗紋は「下り藤」
宗紋 | 宗派 | 法具名 | 総本山 |
下り藤 | 浄土真宗本願寺派 | 門徒式章 | 西本願寺 |
略肩衣を購入する際は、宗紋が「抱牡丹」であるか必ず確認しましょう。
「抱牡丹」と「下り藤」の刺繍を紹介
実際の刺繍は以下の通りです。
宗紋の刺繍の色は金色の他、白色もあります。
抱牡丹紋の略肩衣はオンラインで購入可能・男女兼用・色・サイズ・価格を紹介
抱牡丹紋が刺繍されている略肩衣は、お近くの仏具店の他、各種オンラインショッピングサイト(Amazonや楽天市場)や東本願寺のオンラインショッピングサイトでも購入可能です。
大人用の略肩衣は男女兼用、子供用は青地やピンクなどの色味があり男女で使い分けられます。
色合いは濃い色から淡い色まで種類が豊富。ご自身の好みの「略肩衣」を選択できます。
オンラインショッピングサイト | サイズ | 販売価格帯 |
東本願寺 願生舎 物品販売オンラインショッピング | 縦24.8×横7×高さ3.4cm | 2,200円~3,300円 |
Amazonの一例 | 幅:約5cm/全長:約90cm(※房含まず) | 約2,000円~10,000円 |
楽天市場の一例 | 幅:約5cm/全長:約90cm(※房含まず) | 約2,000円~10,000円 |
「外向五鐶紋」入りの略肩衣は帰敬式を受けた方へ授与される特別なもの
「外向五鐶紋(そとむきいつつかんもん)」が刺繍されている略肩衣は、真宗大谷派の帰敬式(ききょうしき)を受けた方へ授与される特別な略肩衣です。
そのため「外向五鐶紋」が刺繍されている略肩衣は、店舗やオンラインショッピングサイトでは販売していません。
ここからは「帰敬式」とはどういった儀式なのか、また「外向五鐶紋」について紹介します。
帰敬式とは真宗門徒として新たな人生を歩み出すことを誓う大切な儀式
帰敬式は「ききょうしき」と読み、意味は以下の通りです。
帰敬式は、「おかみそり」とも言われ、「仏」「法」「僧」の三宝に帰依し、宗祖親鸞聖人が明らかにされた「教え」に自らの人生を問いたずね、真宗門徒として新たな人生を歩み出すことを誓う大切な儀式です。
引用元:真宗大谷派東本願寺 帰敬式とは
帰敬式は、「仏」「法」「僧」の三宝に帰依し「法名」をいただく儀式です。「戒名」も「法名」も仏弟子の名を表す言葉ですが、法名は生きている時にいただく名前を指します。
・ 男性:「釋(しゃく)〇〇」
・ 女性:「釋尼(しゃくに)〇〇」
釋は、お釈迦様の弟子という意味です。
帰敬式で授与される略肩衣の紋は「外向五鐶紋」
外向五鐶紋は「そとむきいつつかんもん」と読み、帰敬式を受けた方へ授与される略肩衣に刺繍されています。
記念品として渡されるため、仏具店やオンラインショッピングサイトなどでは購入できない非売品です。
「外向五鐶紋」のデザインは以下の通りです。
略肩衣の小威儀(こいぎ)の結び方を紹介
略肩衣の小威儀(こいぎ)の形状は、現在では房状のものが一般的となっています。しかし紐状の小威儀の結び方はどうしたらいいのか悩んでしまいます。
真宗大谷派東本願寺では、公式YouTubeにて「畳肩衣の結び方」を動画で紹介していますので是非参考にしてください。
結び方の手順
① 左右それぞれ、小威儀の根本に近いところで外から内に回して輪を作ります。
② 左右の輪を重ね合わせます。
③ その輪に小威儀折り曲げてを通します。
④ 形を整えます。
コツをつかむまで動画を何度も見返して練習しましょう。
また小威儀の「威儀」は、ことわざの「威儀を正す」に使われ、身なりやかたちをととのえて、作法にかなった立ち居振舞いをする。また、居ずまいをただす。という意味があります。
略肩衣に関するQ&A
- 略肩衣と輪袈裟は同じものですか?
-
いいえ、同じものではありません。
真宗大谷派では、略肩衣は門徒が行事や儀式において、正装として着用する法具を指します。輪袈裟は僧侶が着用する法具ですので、門徒は着用しません。 - 略肩衣は男性用、女性用がありますか?
-
男女の区別はなく、兼用できます。
略肩衣のまとめ
真宗大谷派の門徒が着用する「略肩衣」を紹介してきました。
ここでポイントを振り返ります。
・「略肩衣」は真宗大谷派の門徒の正装
・法具として丁寧に扱う、床や畳に直接置かない・着用したままトイレにいかない
・男女兼用で着用できる
・色合いが豊富、好きな色合いを選択できる
・宗紋は「抱牡丹」
・抱牡丹が刺繍されている略肩衣は市販されている
・外向五鐶紋が刺繍されている略肩衣は帰敬式を行った人に授与されるため非売品
略肩衣を購入する際や、行事や儀式で使用する際は以上の点に注意し、仏前における門徒の正装として正しく着用しましょう。