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禅問答とは?どんな問答?例文、公案、禅宗の流れ、一休さんで有名な掛け声、英語も紹介

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目次

禅問答とは禅僧が悟りを開くために行う問いかけと答えのやり取りを指す

禅問答は「ぜんもんどう」と読み、仏教の禅宗を修業する人が迷いの世界を超え、真理を体得するために行う問いかけと答えのやり取りを指す言葉です。

何が起こったのか、何が起こるのかではなく、本当に重要なことは何かを熟考するように求めることで、真理を体得するために行います。

禅とは「心を集中して座禅を組む」という仏教の修行法の一つ

禅はサンスクリット語(梵語)のdhyāna(ディヤーナ) の音を漢字で表したものです。もともとの意味は「瞑想」や「静慮」で、「心を集中して座禅を組む」という仏教の修行法の一つ。

お釈迦様から数えて28代目の弟子「菩提達磨(ぼだいだるま)」によって、禅を重視する「禅宗」がはじまり、インドから中国へさらに日本へと伝わりました。

最も有名な禅問答は「隻手音声(せきしゅおんじょう)」です。禅の問題は「公案(こうあん)」と呼ばれています。

日常生活において禅問答は「会話が成り立っていない様子」を指す言葉

禅問答は真意がとらえにくく、かみ合わない会話をしているように見えることから「禅問答のようだ」と揶揄するときに用いられます。

古典落語の「こんにゃく問答」は、禅問答をしていた二人が実はお互い別々のことを考えていたというお話です。かみ合っていない様子が滑稽で非常に面白いストーリーになっています。

この記事では禅問答の有名な例文、一休さんで有名な「そもさん・せっぱ」の掛け声、禅宗の成り立ち、英語表現などさまざま紹介していきます。

禅宗は栄西(えいさい)・道元(どうげん)・隠元(いんげん)が日本に広めた

禅宗は鎌倉時代の僧、栄西と道元が広めました。また江戸時代には中国の僧、隠元が黄檗宗を広めました。

宗派開祖本山
臨済宗(りんざいしゅう)栄西(えいさい)建仁寺(京都府)
※現在は14派にわかれている
曹洞宗(そうとうしゅう)道元(どうげん)永平寺(福井県)・總持寺(神奈川県)
黄檗宗(おうばくしゅう)隠元(いんげん)萬福寺(京都府)

「臨済宗」は座禅の最中公案を思索工夫する

臨済宗と曹洞宗どちらも修業方法は同じ禅ですが、座禅に対する心構えが異なります。

宗派座禅に対する心構え座禅を示す名称支持層
臨済宗公案禅(こうあんぜん)
さとりを開くという目的のために座禅を行い、
その最中公案を思索、工夫する
看話禅
(かんなぜん)
鎌倉幕府
上級武士層
曹洞宗只管打座(しかんたざ)
座禅に目的も意味も求めず、壁に向かって座禅をする
黙照禅
(もくしょうぜん)
一般民衆

臨済宗は鎌倉幕府の庇護を受け、上級武士などのエリート層に広まりました。

その一方、曹洞宗は権力と距離を置き一般民衆に広まり、その様子は「臨済将軍、曹洞土民」といわれました。

禅は4つの根本思想を土台としている

日本には3つの禅宗の宗派があり、座禅に対する心構えが異なりますが、禅の根本的な思想は同じです。

4つの根本思想は以下の通りです。

① 不立文字(ふりゅうもんじ)

「立」つことは「不」「文字」ではです。

文字やことばによる学びだけで成り立つのではなく、実際に修業をし経験をする過程で、はじめて教えを習得していくという意味です。

② 教外別伝(きょうげべつでん)

「教え」は「外」に出さずとも「別」の人にも「伝わる」です。

心の中で思っている事柄は声に出さずとも、お互いに理解し合えるという意味。禅の教えは文字やことばで伝えるのではなく、人から人へ、心と心を通じ合わせて伝えることが大切だという意味です。

③  直指人心(じきしにんしん)

「直接」「指す」「人」の「心」です。

外見や物にとらわれず、人の心を見極めろという言葉。人の心と仏の心は本来同じもの、それを理解した上で仏の心を体得せよという意味です。

④ 見性成仏(けんしょじょうぶつ)

「見る」「性質」を「仏」がなにから「成り立つ」です。

仏が成り立つ本性を見る、すなわち自分の内面を見つめ、自分と深く向き合うという意味です。

禅問答の掛け声「作麼生(そもさん)」「説破(せっぱ)」の意味

アニメ「一休さん」でお馴染みの掛け声「そもさん」「せっぱ」ですが、どのような意味があるのか解説します。

作麼生(そもさん)

「作麼生(そもさん)」は「什麼生」や「怎麼生」と表します。

中国の宋の時代(960年~1279年)に日常的に使用していた言葉。「いかに」「さあどうだ」を意味し、禅問答で相手に問いかける際に使われます。

説破(せっぱ)

「説破(せっぱ)」は禅問答において「説き伏せる」、「議論して、言い負かす」という意味の言葉です。

一休さんは臨済宗の僧侶、「一休宗純(いっきゅうそうじゅん)」がモデルとなったアニメ。

その他には漬物の「たくあん」の由来といわれる「沢庵宗彭(たくあんそうほう)」や、公案体系を完成させた「白隠慧鶴(はくいんえかく)」も臨済宗の有名な僧侶です。

最も有名な禅問答は「隻手音声」

最も有名な禅問答は「隻手音声(せきしゅおんじょう)」です。

禅の問題は「公案(こうあん)」と呼ばれていますが、公案とは「公府の案牘(こうふのあんどく)」を略したもので、公府は中国の役所の名前を指し、案牘は公文書の意味です。

隻手音声(せきしゅおんじょう)

隻手音声は、「両掌(りょうしょう)相い打って音声あり、隻手に何の音声ある」と問い、「両手を打ち合わせると音がする。では片手ではどんな音がしますか?」という意味です。

白隠慧蔓(はくいんえかく)が創始した有名な公案です。

音や声は耳で聴くものと云う固定観念を捨て去り、音声を目や鼻や肌、全身全霊で受け止めることが大切なのだと、示してくれています。

引用元:光真寺 法話2302「隻手音声」

禅問答は英語で「Zen dialogue」

禅問答は英語では「Zen dialogue」と表します。その他には以下の3つの表現もありますので参考にしてください。

・Zen questioning and answering
・Zen question and answer
・Zen riddle

まとめ

仏教や禅宗、修業や公案と聞くと自分とはかけ離れたイメージがありますが、実は禅を由来とする言葉や教えは生活の中に根付いています。

挨拶や我慢、退屈や油断など普段使っている言葉も禅に由来する言葉です。「放下着(ほうげじゃく)」という言葉は「すべての執着を捨て去れ」という意味があり、昨今のミニマリストや捨て活にも通じています。

禅問答はたしかに難解ですが、自分なりの答えを思考する時間を作ってみるのもいいでしょう。

座禅会を開催している寺院もありますので、是非参加してみましょう。

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