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のしとは?意味や歴史・場面に合わせた使い方・知っておきたいマナーを解説
のしは贈答品などに添える折りたたんだ色紙
熨斗(のし)は贈物や祝儀袋の右上に付いている、六角形の折りたたんだ色紙を言います。
最近はのし紙に直接印刷されているものも多いです。この記事ではのしの歴史や場面に合わせた使い方、諸注意の他、入手方法を説明します。
中に入っているのは「のし鮑(あわび)」
のしの中に入っている黄色く細長いものはのし鮑と言い、元来は縁起が良いとされる鮑をのして乾燥させたものでした。
鮑を細長くするには繰り返しの動作が必要です。薄く切った肉部分を水洗いした後に乾燥させ、押したり伸ばしたりして細長くします。
現在では、のしは鮑の部分も含めて袋や紙に印刷されています。
おめでたい場面での贈答品やご祝儀に使う
のしの中に入っている鮑は、不老長寿をもたらすと言われる縁起の良いものです。そのため、神様へのお供え物である神饌(しんせん)として伊勢神宮にも奉納されました。
のしがおめでたい場面での進物やご祝儀の目印として使われるのは、縁起の良い鮑が使われているからです。
のしの由来は「日本書紀」に登場する
720年に書かれたとされる「日本書紀」によると、天照大神(あまてらすおおみかみ)の命令により伊勢に出向いていた倭姫命(やまとひめのみこと)は志摩の国崎(くにざき)という場所で海女から鮑をもらいました。
感動した倭姫命が鮑を伊勢神宮に献上してほしいと海女に頼んだところ、生では腐るので薄く切って乾かした方が良いと言われました。これが神饌として供えられたことがのし鮑の始まりだったということです。
こののし鮑が江戸時代になると贈答品に添えて渡されるようになり、中期には定着していきました。
それがやがて「折りのし」となり、明治時代にはのし袋(祝儀袋)も出てきました。
のしを使う場面と一緒に使う水引は?
のしは結婚式や出産などのおめでたい場面で、贈答品を包むのし紙や祝儀袋に添えられます。
その時に一緒に使う水引という飾りひもの色や結び目についても知っておくと良いでしょう。お祝い事の内容によって水引や、その結び目は異なります。
結婚式
結婚式のお祝いを贈る場合です。のしのついた祝儀袋にお祝い金を入れたり、のし掛け(のし紙で包むこと)をした贈答品を相手に渡したりします。
- 表書き:御結婚祝、御祝、寿
- 渡す時期:結婚当日まで
- 水引の色と本数:金銀または紅白10本
- 結び目:結び切り(固く結ばれることを意味する。)
出産祝い
出産のお祝いを贈る場合です。結婚式同様、のしのついた祝儀にお祝い金を入れて渡したり、のし掛けした贈答品を渡したりします。
- 表書き:御祝、御出産御祝、祝御出産
- 贈る時期:赤ちゃん誕生後にできるだけ早く
- 水引:紅白7本
- 結び目:蝶結び(何度も結び直せることから、何度繰り返してもいいお祝いに使う。)
子供関連のお祝い
たとえば七五三や入学祝などのお祝いを贈る場合です。結婚や出産のお祝い同様の扱いをします。
- 七五三:御祝、祝七五三、七五三御祝
- 入学、入園:御祝、祝御入学
- 水引:紅白7本
- 結び目:蝶結び
一般的なお礼やお祝い
たとえば知り合いの就職祝い、子供の受験でお世話になった先生へのお礼、お世話になった人が仕事や趣味で表彰された場合などです。ご祝儀を渡す場合も贈答品を渡す場合もあります。どちらも「のし」のついた祝儀袋やのし紙を使います。
- 表書き:御祝
- 水引:紅白7本
- 結び目:蝶結び
快気祝い・快気内祝い
入院中にいただいた御見舞いのお返しです。お金の場合も贈答品の場合もあり、どちらものしを使います。
- 表書き:快気祝、快気内祝
- 渡す時期:病気が快復したとき
- 水引:紅白5本
- 結び目:結び切り
季節のご挨拶
お年賀や御中元、御歳暮です。のし紙を付けた贈答品を渡す人が多いです。
- お年賀:御年賀
- 御中元:御中元
- お歳暮:御歳暮
- 渡す時期:正月三が日(お年賀)、7月上旬から15日(お中元)、12月20日まで(お歳暮)
- 水引:紅白7本
- 結び目:蝶結び
のしに関する諸注意
のしは、使ってはいけない場面、気を付けて使いたい場面などのさまざまな注意事項があります。
大事な場面で相手に失礼のないように、またご自身も恥をかかないように覚えておきましょう。
お悔みやお見舞いに「のし」は使わない
のしは場面での贈答品などにつけるものなので、お悔みやお見舞いといった品には付けてはいけません。水引のみを使います。
その場合は仏教で使うことが多い黒白5本の結び切りを使うのが一般的ですが、黄色と白、黄色と銀の黄水引を使うこともあります。
黄水引は関西地方や仏教以外の神道やキリスト教で使われることが多いです。
表書きの文字がのしや水引にかからないように
「御祝」など表書きを書く場合は、字がのしや水引にかからないように気を付けて書きましょう。
また水引を境にして上側に書く表書きは、贈り主名よりも大きく書くようにします。
書くものは毛筆や筆ペンが望ましいです。
生ものが入っている場合はのし掛けをしない
のしに元来生ものである鮑が使われていたことから、贈答品の中身が生ものであれば、のし掛けをしません。たとえ、御中元やお歳暮であっても基本的には付けないことがマナーなので、違和感があると思う人もいるかもしれません。
たとえばお中元やお歳暮で良く贈答するハムや肉、カニなどの他に鰹節も生ものになります。特に鰹節は生ものだと思わない人も多いので要注意です。
こういった食品を季節の挨拶で贈りたい場合は、のしのついていないのし紙を使います。
リボンがついているときはのしを付けない
二重のお祝いになってしまうので、リボンをつけたらのしは付けません。
お店で買う場合は店員さんに「のしとリボンのどちらにしますか。」と聞かれる場合もあるでしょう。
一見、リボン+のしとなると贅沢で良い感じに思えますがマナーとしてはよろしくありません。
のし紙やのし袋を買える場所はさまざま
のしがついたのし紙やのし袋を買える場所は100均、コンビニなどさまざまですが専門店もあります。好みに応じて買う場所を考えましょう。
コンビニや100均、量販店で手軽に買える
コンビニや100均、量販店などでのし袋は手軽に手に入ります。ただしのし紙は店舗によっては売っていないお店もあるので店員さんに確かめてみましょう。
他にはインターネットショッピングでも購入可能です。
手に届くまで時間がかかるケースもあるため、早急に必要な時は避けた方が良いでしょう。
きちんとしたものがほしいならば専門店に行こう
手軽に買える物も良いのですが、本格的なものが欲しい場合は専門店に行って見るのもおすすめです。
例えば、東京の日本橋にある和紙のお店「はいばら」には、様々なこだわりののしが揃っています。近くの人は行ってみるといろいろなものを見られて楽しいでしょう。遠方の場合はオンラインショップを利用してみてください。
まとめ:マナーに気を付けてのしを使いたい
不老長寿の鮑をとりいれている「のし」はおめでたい贈答品に使う日本の古き良き文化です。
ただし、お悔みの品や生ものが入った贈答品には使わないなどの細かいマナーがあるので気を付けて使いましょう。