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弥勒菩薩とは?弥勒菩薩半跏思惟像とは?得られるご利益や真言について解説
弥勒菩薩とは人々を救うために現れると信じられている未来仏
弥勒菩薩とは、仏になることを約束された未来に現れる仏様のことです。読み方は「みろくぼさつ」。弥勒は「慈悲・慈しみから生まれたもの」を意味し、慈氏菩薩(じしぼさつ)やマイトレーヤという別名で呼ばれることもあります。
弥勒菩薩が現れるのは56億7千万年後の未来
弥勒菩薩が現れるのは、お釈迦様の没後56億7千万年たった世界。これは釈迦が「私の亡き後、弥勒菩薩が56億7千万年後に人間界へくだり仏となり、人々を救うであろう」と説いたことに理由があります。
弥勒菩薩は現在「兜率天(とそつてん)」という天界で仏のさとりをひらくための修行をしている最中です。
弥勒菩薩像の特徴
弥勒菩薩像は、観音像などに見受けられる腕や腕が多い様子はなく、私たちと同じような容姿であることが特徴です。また、個性的に着飾られていることや、派手な装いでもなく、動物などに騎乗している様子もありません。
日本で代表的なものは半跏思惟像
日本で有名な弥勒菩薩像といえば「腰をかけ、足を組み、右手を頬に当てている半跏思惟像(はんかしゆいぞう)」。オーギュスト・ロダンが制作したブロンズ像「考える人」の像に似ており、弥勒菩薩といえば「物思いにふけっている仕草」とイメージしているかたも多いのではないでしょうか。
どうすればいいか考えている仕草といわれている
弥勒菩薩像が物思いにふけっているのは「どうすれば釈迦の救いから漏れてしまった人々も救うことができるのか」と、思索しているためだといわれています。
いつでも立ち上がる準備ができている
思索にふけっているとはいえ、足元はいつでも人々を救うために立ち上がれるよう準備している姿。目を閉じ静かに悩みながらも、救済への行動を起こそうとしているともいえるでしょう。
座位や立位の姿も
弥勒菩薩の仏像は、半跏思惟像だけではありません。世界文化遺産にも登録されている京都・醍醐寺に祀られている座位である「木造弥勒菩薩坐像」やアメリカ・ボストン美術館で保護されている立位の「弥勒菩薩立像」もあります。
国により容姿が異なる
弥勒菩薩像の特徴には「国によって容姿がことなる」点にもあります。
パキスタン・・・人間に近く容姿がとても整っている姿(立位)
台湾・・・貫禄があり口をあけて笑っているような姿(座位)
国が変わると人種もことなり、習慣や考え方も変わってきます。もちろん、仏に対する願いも多様化するため、仏像の容姿が変わっている理由だと考えられています。
とはいえ、人々の状況や願いに応じた役割を担っていることに変わりはなく、姿や容姿が違っていたとしても弥勒菩薩が人々を救おうとしている意志は変わらないといえるでしょう。
有名な弥勒菩薩像
弥勒菩薩の仏像は、多くの人が救いを求めたことでも有名です。そのため、
●醍醐寺(京都府伏見区) 木造弥勒菩薩坐像(もくぞうみろくぼさつざぞう)
●待暁山 弥勒寺(愛知県東海市) 弥勒菩薩像坐像(みろくぼさつざぞう)
など、国内のお寺の多くに弥勒菩薩像が納められています。そのなかでも有名な寺院が京都右京区の広隆寺です。広隆寺には歴史の教科書などにも掲載されている「弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)」が本尊として祀られています。
広隆寺「弥勒菩薩半跏思惟像」
京都市右京区に建立されている広隆寺(こうりゅうじ)は、聖徳太子から賜った仏像を本尊に建立された京都最古の寺としても有名な場所です。
この本尊となった仏像こそが、弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)です。これは国宝第一号に指定された仏像でもあり、多くの人に認知されている仏像だといえるでしょう。
参照 京都観光協会 京都観光オフィシャルサイト
https://ja.kyoto.travel/tourism/single02.php?category_id=7&tourism_id=2759
弥勒菩薩半跏思惟像の特徴
約125センチのお姿は、右足を左膝にのせ、右手を頬にあて思想にふけっているもの。この姿は、釈迦の姿を模し、参考に造られたものと言われています。そっとほほえんでいる表情が美しく「どのように人々を救えばよいかを思い悩んでいる表情」としても有名です。
醍醐寺「弥勒菩薩坐像」
京都市伏見区に建立されている醍醐寺(だいごじ)は、世界文化遺産にも認定されている歴史のある場所です。
醍醐寺境内にそびえる国宝五重塔は、醍醐天皇の冥福を祈るために平安時代に完成したもので、1,100年以上もの間、時の流れを見守っていることでも有名です。
また、長い歴史を持つ醍醐寺は、多くの国宝を保有しているだけでなく、木の文化や紙の文化の伝承の宝庫だとされています。
弥勒菩薩坐像
不動明王坐像(ふどうみょうおうざぞう)や薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)と共に醍醐寺に祀られている「木造弥勒菩薩坐像(もくぞうみろくぼさつざぞう)」。広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像とちがい、思索しているのではなく静かに座っている姿です。如来になる事を約束されているためか、華やかな冠や袈裟姿であることも大きな違いだといえるでしょう。
この仏像の作者は、有名な仏師である快慶(かいけい)が担ったものであり、1192年に制作されたこともわかっている傑作です。
参照 醍醐寺 文化財アーカイブス
https://www.daigoji.or.jp/archives/cultural_assets/NS011/NS011.html
弥勒菩薩のご利益
弥勒菩薩のご利益には
●弥勒菩薩をを信仰すれば、死後は兜率天(とそつてん)に生まれ変われるといわれている
●兜率天にいけば、苦しい思いをせずに人間界に生まれ変われる
●弥勒菩薩が人間界に現れる56億7千万年後には、一緒に人間界に生まれ変われる
などがあります。
兜率天(とそつてん)とは、仏教の世界の中心ある須弥山(しゅみせん)という山の上空にある天界のことです。弥勒菩薩は、現在兜率天にて釈迦の後継者となるべく、悟りの境地を得るために修行をしている最中だといわれています。
弥勒菩薩には減罪の力が大きいとされており、釈迦が救えなかった人たちも救われると信仰すれば皆が救われ成仏できるといわれています。
弥勒菩薩の真言
真言はサンスクリット語の「マントラ」を略した言葉で「偽りのない仏の言葉」との意味があります。短い言葉の中に「仏の教え」が込められているといえます。
弥勒菩薩の真言は「オン・マイタレイヤ・ソワカ」です。サンスクリット読みでは「オーム・マイトレーヤ・スヴァーハー」となります。
弥勒菩薩は釈迦の次に人々を救うとされる尊い存在
京都の広隆寺に納められている「弥勒菩薩弥勒菩薩半跏思惟像」を代表に、国内多くの寺院に祀られている弥勒菩薩。釈迦が亡くなってから56億7千万年後に現れ、人々を救うとされている未来の仏様です。
減罪のご利益が大きく、釈迦が救えなかった全ての人を救うといわれていることも弥勒菩薩の特徴。
現存する弥勒菩薩の仏像は半跏思惟像が多く、目をつむりやわらかなほほえみを浮かべているものが目立ちます。どの弥勒菩薩も見る人の心を落ち着かせてくれることが大きな魅力だといえます。