本ページはプロモーションが含まれています。
軽石とは?分類の仕方、どのようにしてできたか・移動の仕方・さまざまな用途について解説
軽石とは火山砕屑物(かざんさいせつぶつ)の一種
出典:西日本新聞
軽石とは火山砕屑物の一種です。多孔質で密度が小さく、浮石(ふせき)や浮岩(ふがん)と呼ばれることもあります。
火山砕屑物とは、火山から噴出された溶岩以外の物を指します。火砕物(かさいぶつ)とも言われます。溶岩を含まないので、火山噴出物とは異なるものです。
この記事では、そんな軽石について、火山ガラスに分類されること、どのようにできたか、移動やお墓の外柵に使われること、軽石の用途、よくある質問を解説します。
多孔質で密度が小さい
軽石は多孔質で密度が小さいです。因みに多孔質とは、小さな穴が多数あいていることです。密度の小ささは軽さを表しています。
つまり、軽石は小さな穴が多数ある、水に浮かぶほど軽量の火山砕屑物です。
浮石や浮岩と呼ばれることも
軽石は浮石や浮岩とも呼ばれます。言葉は異なりますが、意味は同じです。
兵庫県高砂市の生石(おおしこ)神社の巨大な浮石は有名です。浮いているような巨石が浮石(軽石)です。御神体とされ、パワースポットとも言われています。
軽石は火山ガラスに分類される
軽石には結晶構造がありません。そのため、火山ガラスに分類されます。
そして、そんな火山ガラスがマグマのアモルファス生成物であることについても説明します。
火山ガラスとはマグマのアモルファス生成物
火山ガラスは、アモルファス生成物です。ガラス同様に整合された結晶とガスのように無秩序な構造の中間の物質です。
一般的には、シリカを多く含む流紋岩系ガラスを指します。シリカは無水のものがほとんどですが、自然界においては不純物を含む色のついたものも存在します。
軽石は、そんな火山ガラスとして分類されています。
軽石はどのようにできたか
ここからは、軽石がどのようにできたか、その成立の過程を紹介します。一般的には、マグマの噴出が成立のきっかけと見られています。
ここでは、マグマの噴出や軽石噴出後の流れ、特殊な原因の軽石について紹介しながら、軽石成立の過程を説明します。
マグマの噴出
軽石の発生は、流紋岩や安山岩によるマグマが噴出したことが原因です。マグマが地下の深い場所から外部に飛び出す噴火の際、溶けていた水分などが発砲しました。そのために、軽石は多孔質になったと考えられます。
そんな軽石は火山ガラスに分類されるのでガラス質です。その性質上、脆く壊れやすい特性があります。
噴出後の流れ
上記のようにマグマの噴出でできた軽石が、その後どのような経過をたどるか、その流れを紹介します。
火口から軽石になって噴出
↓
・火山灰と混ざり噴煙となる
↓
・火砕流として、火山灰や溶岩の破片と共に流れて行く
特殊な原因の軽石
中には特殊な原因でできた軽石も存在します。たとえば、1989年、手石海丘噴火の際に報告された軽石などがあります。
その特徴は以下の通りです。
- 外側に黒い溶岩(噴火の原因となったマグマ)が貼り付いている
- 内側は白っぽい
- 伊豆半島に広く分布した第三紀の凝灰岩の発砲に影響されている
上記の事実により、手石海丘噴火のため、古い岩石に熱が加わったことがわかります。そして、その一部分が融けて発砲したという考え方が一般的です。
軽石の移動
軽石は移動します。ここでは、移動の仕方についてお伝えします。
降下軽石として移動する、漂流するといった方法があり、沖縄での大漂流や水没についても説明します。
降下軽石(こうかかるいし)として移動
隆下軽石は、膨大な噴出物が作られるプリニー式噴火などで放出された軽石です。噴出物である降下軽石は、その名の通り降下してあちらこちらへ移動します。
たとえば、天明3年の浅間山大規模噴火では、中規模のブルカノ式噴火の後、3週間ほどの休止期間がありました。そして、その後に北側に軽石が降下し、大きな噴煙が上がったと言われています。
さらにその10日後には、断続的ではあるが、プリニー式噴火があり、北東方向に軽石の降下が見られたと言います。
漂流
漂流による移動も知られています。ここ最近は沖縄での大移動が話題になりました。ここで詳しく紹介します。
沖縄での大漂流
令和3年8月、海底火山噴火が原因と考えられる軽石が沖縄に流れ着きました。あまりに大量であるため、船舶の航行や漁業、観光などに被害が出ました。
この軽石は、沖縄や奄美地方、鹿児島県を経て関東や伊豆諸島沿岸にも流れ着きました。時間の経過で軽石の移動は収まりましたが、今後も油断ならないと言われています。
この軽石の大量漂流で迷惑を被ったのは、人間だけではありません。スナガニの一種であるシオマネキにも被害が出ました。シオマネキは干潟を掘って生活していました。しかし、軽石の大量発生のため、干潟が軽石に覆われ餌である微生物を食べられなくなったのです。そのため、衰弱してしまうシオマネキも出てきました。
水没することも
軽石は比重が水より軽いので、水面に浮かびます。しかし、場合によっては、水没して他の場所に移動することが考えられます。
水没する理由は、波による軽石同士や砂との摩擦が考えられます。以下にその例を挙げてみます。
- 小さくなって気泡が少なくなり沈下
- 気泡に水が入り込んで比重がおもくなったために沈下
- 固着動物のフジツボが取り付いたために重くなって沈下
軽石はお墓の外柵に使われる
出典:photoAC
軽石はお墓の外柵(がいさく)に使われることがあります。そんな場合は経年劣化に気を付けたいものです。ケースバイケースですが、リフォームしなければならないことも考えられます。
経年劣化に注意
かつては大谷石という軽石の一種でお墓の外柵を作ったものです。しかし、軽石の脆さから、経年劣化が見られるようになっています。
場合によっては、倒れかかってしまい、お隣のお墓に迷惑をかけてしまうことも考えられます。
リフォームの必要がある場合も
経年劣化が目立つようになったら、外柵のリフォームを考えたいものです。以下にリフォームのやり方の一例を紹介します。
- お墓のリフォーム会社を探す
- 良さそうな業者が見つかったら、外枠リフォームとして依頼する
- 業者による現地調査
- 業者が完成予定図を見せてくれた後に見積を出す
- 工事の発注を行う
リフォームは、信頼できる業者に依頼しましょう。
軽石の用途
ここでは、軽石の用途をしょうかいします。ボディケアや園芸・農業など様々な分野で軽石は役に立っています。
ボディケア
出典:AMAZON
軽石は足の角質ケアなどに使うことが多いものです。上記の画像のような角質ケア商品は広く出回っています。「軽石」というネーミングの商品が多く存在するため、軽石というとこういった商品を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
園芸や農業
出典:楽天
園芸や農業でも軽石は使用されます。野菜を収穫するために使う培養土には、軽石が入っています。
また、細かい穴が多く空いているため、通気性が良いので、園芸用として重宝します。「軽石」という商品名で園芸用としても売っています。
建設
軽石は断熱性や遮音性にも優れています。そのため、浴槽の断熱材や壁材として使用できます。また、軽量コンクリートの骨材にも利用されます。
さらに、ここ最近では、軽量の人工軽石も存在し、軽量資材として活かされています。こうした人口軽石は、粒状の廃ガラスや発泡剤を利用して製造されます。
医療
軽石は漢方薬に使用されることがあります。たとえば海浮石です。花山の岩礁(がんしょう)とも言われるマグマで形成された軽石。二酸化ケイ素、アルミニウム、カリウム、マグネシウムなどが含まれています。
効能は清肺、去痰などがあります。海浮石の他に水花、水泡石なども漢方薬として使用されています。
また、西洋医学においては、上記の漢方薬の影響から、18世紀半ばから使用されました。ハーブや薬用鉱物と組み合わせ、胆嚢ガンや泌尿器疾患、咳、精神の病などに適用されたと言われています。
その他
その他には以下の用途で使われています。
- 脱毛用
- 陰毛を切る毛切石として使用
- ペン先を研ぐ
- 砂糖の固化防止
- 木工製品の目止め
- ろ過助剤
このように、軽石は人々の生活に役立っています。
よくある質問
- 軽石は何色ですか?
-
白、淡褐色、淡灰色など明るめの色が多いです。
- 天然軽石の使い方を教えてください。
-
たとえば、足の角質を取るフットケアなどに使用できます。軽石に石鹸を付けて軽くこすって使います。
- 軽石はどこでとれますか?
-
主な生産国はトルコです。埋蔵量は世界の45%ほどと言われています。ここで取れた軽石の90%は建材として使用されます。
その他、研磨剤や宝飾品としても出回っています。
- 軽石に小さな穴があるのはなぜ?
-
軽石に穴があるのは、マグマのガスが発泡したためです。つまり、マグマの中にある気体の成分が抜け出したために開いた穴です。
- 軽石はなぜ浮くの?
-
軽石はスポンジのように、あちこちに穴が開いているので、水より体積が大きくなるからです。
- 軽石の特徴を教えてください。
-
主な特徴です。
・水に浮く
・多孔質
・通気性や排水性に優れている
- 軽石の大きさは?
-
物によってさまざまです。大きい物だと直径1mほど、小さい物は数mm単位です。
- 軽石の別の言い方は?
-
火山砕屑物(かざんさいせつぶつ)です。火山から噴出された固形物で溶岩以外の物の総称です。
まとめ:軽石は火山の噴火によって放出された
火山砕屑物の一種で火山ガラスに分類される軽石は、火山の噴火によって放出されます。また多孔質で水に浮き、通気性や排水性にも優れているという特徴もあります。
そんな軽石は降下や漂流によって移動します。沖縄での大量漂流は、記憶に新しいものです。
そして、軽石はその特徴を活かした、さまざま用途があります。
たとえば、かかとケア商品、園芸や農業で培養土、漢方薬、建材などです。今後も軽石の特性を利用したさまざまな製品がつくられると考えられます。