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不動明王とは?真言やご利益・不動明王像の特徴・祀っている有名寺院について解説

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目次

不動明王とは心の迷いや煩悩を絶ち、全ての人を救いへと導く密教の仏様

不動明王(ふどうみょうおう)とは、迷いの世界から煩悩を絶ち、全ての人々に仏の道を教え、救いへと導いてくれる尊い仏様です。元々はインド神話に登場する三大神の一人「シヴァ神」だといわれています。

日本には弘法大師空海が持ち込んだ

日本には弘法大師空海(こうぼうだいし くうかい)が持ち込んだとされ、多くの不動明王像や画像などが残されています。

密教最高位である大日如来(だいちににょらい)の化身

密教(みっきょう)とは、仏教の教えの中から「仏典をだれでも自由に閲覧できるのではなく、修行を経た一部の人だけに師資伝承によって教義や儀礼を伝えていく」大乗仏教の流れを受けた一派のことです。国内で代表的なものは、真言宗です。

密教の中で最高位に位置する仏様が「大日如来」であり、不動明王は、大日如来の化身だと考えられています。

梵名は「アチャラナータ」

梵名とは「サンスクリット語での「名前」という意味で、不動明王の梵名は「アチャラナータ」。その意味は「動かない(不動の)守護神」であり、王の中の王として揺るぎない尊格であることが分かります。

密教「五大明王」の中心的な存在

明王(みょうおう)とは、密教特有の称号であり、如来の変化身と言われています。その中心的存在を司っているのが五名の明王を組み合わせた「五大明王(ごだいみょうおう)」。

不動明王は、五大明王の中でも中心的な存在であり、彫像・画像などでは中央に位置します。

その他の明王は

東に「降三世明王(ごうざんぜみょうおう)」

西に「大威徳明王(だいいとくみょうおう)」

南に「軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)」

北に「金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)」※宗派により烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)である場合もある

が配置され、祀られています。

参照 高野山真言宗 幡山 尊延寺 Webサイトより 五大明王とは: https://sonenji.jp/about.htm

不動明王の真言

真言とは、サンスクリット語の「マントラ」の略語。「偽りのない仏の真実の言葉」と解釈でき、仏の教えがこもった言葉だといえます。

不動明王の真言は「ノウマク・サンマンダバザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン」です。

この他にも

●ノウマク・サンマンダバザラダン・カン

●ノウマク・サラバタタ・ギャティビャク・サラバボッケイビャク・サラバタタラタ・センダマカロシャダ・ケンギャキギャキ・サラバビギナン・ウンタラタ・カンマン

があります。

真言を覚え、導きを求めながら唱えると良いと言われています。しかし不動明王の真言のように長く覚えられない場合は、メモに書いた物を読み上げることでも守護を受けることは可能です。

不動明王のご利益は?

不動明王は信仰すると現世利益(げんせりやく)があるとされ、生きている間に多くのご利益を得られるといわれています。

期待できる現世利益

ご利益   概要
煩悩退散人には108もあるとされている、煩悩(ぼんのう)。この煩悩が人の心を悪へと誘うのです。不動明王は煩悩を断ち切り、仏の道へと人々を導いてくれる仏様。祈願することで悪しき心を燃やし消してくれることが期待できます。
厄除け不動明王が持っている剣には「あらゆる物を打ち砕くことができる」と言われています。このことから厄除けのご利益が期待できます。
学業成就明王の「明」は、サンスクリット語で「知識や学問」の意味があります。そのため不動明王に祈願することで、学業はもちろん仕事で必要としている技術なども向上すると言われています。
外敵退散鎌倉時代、元寇として敵国が攻め入ったとき、不動明王に退散を祈願したところ、見事退散したことから外敵退散の守護神としても信仰されています。
国家安泰元寇を見事退散に納めたことから、不動明王には国家を安泰に導くご利益もあると考えられています。

不動明王像の特徴

不動明王像は、穏やかな表情であることが多い他の仏像に反し「忿怒(ふんぬ)の相」という威圧的に恐ろしい表情であることが大きな特徴です。また、険しく人々を見つめている目は「天地眼(てんちがん)」と呼ばれ、天と地の隅々までを見守っていることを表していると言われています。

険しい表情だが、怒りの形相ではない

大変険しい表情である不動明王ですが、これは怒りの表情ではありません。とても慈悲深く「なんとしてでも人々を救おう」と考えているため、あえて怒りの形相をしているのです。

右手の利剣(りけん)

右手に持つ剣は「利剣(りけん)」と呼ばれ、心のあらゆる迷いを断ち切ることができ「悟りの智慧の象徴」だとされています。腕は2本の場合と4本の場合があります。

左手の羂索(けんさく)の縄

左手には、物事を正しい方へ導くために煩悩を縛り上げ封じる「羂索の縄(けんさくのなわ)」を持っています。

安座する盤石(ばんじゃく)の岩

不動明王像が安座するのは「盤石(ばんじゃく)の岩」。救済を求める人々を救うまでは、この場を動かないという決意の表れでもあり、迷いがない安定した心を表現しています。

背中に背負う迦楼羅炎(かるらえん)

不動明王は「迦楼羅炎(かるらえん)」という炎を背負っています。この炎が煩悩や欲望を燃やし尽くすと言われています。

有名な不動明王像

国内でも多くの寺院に納められている不動明王像。国宝として保管されているものもあり、「お不動さん」や「不動尊」として多くの人々から慕われています。中でも、成田山新勝寺は不動明王が本尊であり、弘法大師・空海が一刀三礼(一彫りごとに三度礼拝すること)の祈りを込め、大切に仕上げた仏像として有名です。

千葉県の成田山新勝寺

古来から民衆の信仰を集めてきた千葉県成田市の新勝寺(しんしょうじ)。歴史上に名を残す著名人からも信仰されてきた寺院です。

弘法大師空海自らが開眼した不動明王を棒持し、関東を守る霊場として成田山を開山したという歴史を持つ場所でもあります。

参照 成田山新勝寺公式HP:https://www.naritasan.or.jp/

大本堂に奉安される御本尊不動明王

成田山で最も重要な御護摩(おごま)祈祷を行う中心道場である大本堂に、奉安されている不動明王像こそ、新勝寺の御本尊。この不動明王像は右に矜羯羅童子(こんがらどうじ)、左に制咤迦童子(せいたかどうじ)を脇侍(わきじ)に従えています。

矜羯羅童子は不動明王に使える八大童子の七番目の尊格、制咤迦童子は八番目の尊格にあたり、不動明王の持つ、慈悲と忿怒を表していると伝えられています。

京都市の東寺

平安京の遷都で寺院建立を許された、京都府京都市の東寺(とうじ)。東寺は、時の天皇であった嵯峨天皇から任命された弘法大師空海によって、真言宗の総本山として建立されました。その後、幾多の戦火・戦乱をかいくぐり、現代まで残されています。京都駅からも見える五重塔がシンボルとして有名な場所です。

参照 東寺公式HP:https://toji.or.jp/

不動明王坐像の特徴

東寺には数多くの国宝として認定を受けている仏像が納められていますが、五大明王や不動明王坐像もそのひとつ。

東寺に納められている不動明王坐像は839年に造像された日本最古の不動明王像。右手に持つ剣は諸刃であり、刃は外に向いています。命がけで人々を救おうとしている表れであり、救われる人も命がけで向かわなくてはならないと剣が示していると言われています。

不動明王とは慈悲深いからこそ厳しいまなざしで人々を律している仏様

恐ろしい表情で人々を見つめているとはいえ、現代では、ゲームのキャラクターにも登場し、人気を集めている不動明王。その表情は怒りからくるものではなく、迷いや煩悩、心の悪を力ずくでも絶ち、全ての人々を救いへと導こうとしているためだと言われています。

古来から「お不動さん・不動尊」と多くの人々に親しまれ、現代でも多くの寺院に祀られており、真言を唱えることで現世利益が得られることも不動明王の特徴です。

天地眼と呼ばれる眼で天地の隅々まで見守り、常に人々を救おうとしています。とても慈悲深く、尊い存在の仏様だといえるでしょう。

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