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廟とは?墓との違いは?霊廟って?|廟の意味や種類の違いを解説

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「廟」とは死者を祀る建物のこと

「廟(びょう)」とは、先祖や先人の霊を祀る建物のこと。この意味が転じて墳墓や神殿、寺院などを「廟」と指すこともあります。なお「霊廟(れいびょう)」や「御霊屋(みたまや・おたまや)」、「霊屋(たまや)」という言葉も同じく、死者を祀る建物を意味する言葉です。

「廟」と「墓」の違い

亡くなった人を祀る場所、という意味では「廟」も「墓」も同じです。ただしこの時、「廟」は建造物であることが必要です。一方「墓」は墓石や埋葬された地を「墓」とすることもあり、建造物である必要はありません。さらに「墓」とは別に、霊を祀る「廟」が存在する場合もあります。このように似たようなイメージを持つ「廟」と「墓」ですが、それぞれ区別されているのです。

「廟」には王宮の正殿という意味もある

「廟」という言葉には霊を祭る建物、という意味のほか「王宮の正殿」という意味もあります。「正殿」とは宮殿などの中心の建物。政治などを行うとても重要な場所です。「廟儀(びょうぎ)」などという言葉の場合は、こちらの意味で使われています。

日本における「廟」は大きく三種類

日本においては、「廟」は大きく、神式霊廟、仏式霊廟、儒式霊廟の三種類に分けられます。いずれも「特定の死者の霊を祀る建物」という意味は共通するものの、解釈や考え方は宗教などによっても異なるためです。それぞれの特徴について説明していきます。

神式霊廟

神道の考え方による「廟」が「神式霊廟」。神式の「廟」は通常の神社とほぼ同じです。神格化された人物を神と崇めるようになったのが「神式霊廟」です。ただし日本全国の神社には八百万(やおよろず)の神が祀られている神社もありますが、これらは特定の人物を祀るものではないため「神式霊廟」とは言えません。

神式霊廟の代表的なものには、豊臣秀吉を祀る豊国神社や、徳川家康を祀る日光東照宮などがあります。また霊廟としての神社は、建築様式に権現造(ごんげんづくり)が多く用いられるのも特徴です。

仏式霊廟

仏式の霊廟は、仏教の教えによる「廟」のこと。仏式霊廟では、有力な檀家(将軍や藩主など)や宗祖を、寺院に付随して祀っているものが多いです。代表的なものでは、伊達政宗を祀る瑞鳳殿(ずいほうでん)や、天台宗の祖である天海を祀る慈眼堂(じげんどう)が仏式霊廟にあたります。

儒式霊廟

「儒式霊廟」は儒教に基づいた「廟」を指します。儒式霊廟の代表は「孔子廟(こうしびょう)」。儒教の創始者である孔子の霊を祀る建物で、孔子を祀るだけではなく、儒学を学ぶための場として開かれました。儒教の総本山として中国山東省にある孔廟は、世界遺産としても知られています。なお孔子廟は中国だけでなく、日本国内の湯島聖堂や長崎孔子廟を含め、世界各地に存在します。

「廟」の起源

「廟」は世界各国にそれぞれ存在するものです。ですがその中でも東アジアにおける「廟」の起源は、中国と言われています。

中国における「廟」

中国における「廟」とは祖先の霊を祀る場であり、墓所とは別に存在します。その点では仏教の仏壇のようなものですが、仏壇とは違って母屋の中には存在しません。母屋以外に、霊廟専用の別の建造物があるのです。祖先を深く敬う中国では、この霊廟が家のなかでも非常に重要な場所とされていました。さらに、祖先の霊だけではなく、孔子や関羽といった人物を祀る廟も中国では各地に存在します。

世界でも有名な「廟」の紹介

「廟」は日本やアジアだけではなく、世界各国に存在するものです。なかには世界遺産や観光スポットとして非常に有名なものもあります。

孔廟

中国山東省曲阜市の中心部に位置する「孔廟」は、孔子を祀った孔子廟のなかでも中国最大の孔子廟です。歴代の皇帝たちにより増築や補修を繰り返し、今では壮大な建築群となりました。1994年にはユネスコの世界遺産にも登録された廟です。

タージ・マハル

インド北部、アーグラにある総大理石の建造物である「タージ・マハル」も「廟」のひとつです。「タージ・マハル」は、ムガル帝国第5代皇帝のシャー・ジャハーンが、1631年に亡くなった王妃ムムターズ・マハルのために建設した霊廟と言われています。

マウソロス霊廟(ハリカルナッソスの霊廟)

マウソロス霊廟とは、アケメネス朝ペルシア帝国においてカリアを支配した王マウソロスと、その妻アルテミシアのための霊廟です。別名「ハリカルナッソスの霊廟」とも知られ、その壮麗さから世界の七不思議のひとつにされています。今では遺跡となっていますが、遺跡の横には博物館があり、実際に霊廟に合った遺物を見ることが可能です。

まとめ:特定の人物を祀る「廟」は世界各地に存在する

死者を祀り大事にする「廟」。とはいうものの、実際の考え方や解釈、種類は幅広く存在します。身の回りにある神社やお寺のなかで「廟」にあたるものがないか、改めて見てみると新しい発見につながるかもしれませんね。

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