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観音菩薩とは?仏像の特徴・ご利益・真言・観音菩薩立像(国宝)を祀っている寺院を紹介

目次

観音菩薩とは様々な姿に変化し、人を苦しみから救ってくれる仏様

観音菩薩(かんのんぼさつ)とは、人々の苦しみの声を聞き、その人に合った救いの手を差し伸べてくれる仏様です。般若心経や観音経の一節にも登場することでも知られています。

各地に観音菩薩を祀っている寺院が多いことも特徴的だといえるでしょう。

見聞一致の考え方から「観音」と呼ばれる

仏教では「観る=聞く」との教えがあります。この教えを仏教では「見聞一致(けんもんいっち」といい、音を聞くことと、音を観ることは同じことだと考えられています。

観音菩薩の「観音」は音を観ると書きますが、音を聞くことを示しています。音には「人々の苦しみ」という意味が込められ、人々の苦しみを聞き、救いを施す菩薩のため「観音菩薩」と呼ばれるようになったのです。

10通りの自在力から「観自在菩薩」と称されることも

観音菩薩は、自分の心を自在にコントロールし、世間のありのままを観察できる10通りの力を獲得しています。その力は①寿自在、②心自在、③財自在、④業自在、⑤生自在、⑥勝解自在、⑦願自在、⑧神力自在、⑨智自在、⑩法自在の10通りです。

自在にコントロールできる力を獲得していることから「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」とも呼ばれ、般若心経の一説にも登場しています。

他にも、観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)、観世自在菩(かんぜじざいぼさつ)、薩施無畏大士(せむいだいし)など、複数の呼び名があります。

三十三の姿に変化する

観音菩薩は、あらゆる人々の苦しみや願いを聞くため、三十三の姿に変化するとも言われています。その姿は、老人や子どもなどの衆生だけでなく、政治家や僧侶に変わることも。時には鬼や天女など、人ではない姿に至るまで臨機応変に変化し、救いの手を差し伸べます。

相手に応じた姿に変わった上で相手に合った説法を説き、慈悲を授けると言われています。

観音菩薩像の特徴

観音菩薩像の特徴は

●六観音と呼ばれる、6つに変化した姿

●阿弥陀如来の脇侍としての姿

があります。

どの姿も、慈悲深く微笑を浮かべている事が多いです。その姿から女性ではないかととらえられることもありますが、相手にあった姿に変化することから性を超えた存在だと言われています。

観音菩薩が変化した姿である、六観音(ろくかんのん)

多くの人々を救済するべく、多様な姿に変化することも観音菩薩ならではの特徴のひとつ。変化している観音像は「変化観音(へんげかんのん)」と呼ばれ、多くの種類の仏像が存在します。

中でも作例が多い仏像が以下の6つであり、これらの6つの観音像は六観音(ろくかんのん)と呼ばれます。

聖観音(しょうかんのん)

数ある観音菩薩の中で原型とも言える作例が「聖観音(しょうかんのん)」です。地獄道に迷う衆生を救済する力を備えています。

仏像の特徴としては1つの顔に、2本腕があり、私たちと同じような姿で表現されていること。他にも、宝冠に小さな阿弥陀如来(あみだにょらい)像が置かれていることが作例として共通しています。

千首観音(せんしゅかんのん)

千首観音(せんしゅかんのん)とは「どんな衆生も漏らすことなく、救済したい」という慈悲の力を多くの腕に込め、表現された姿の仏像です。

しかし多くの千首観音像は、2本の本手と40本の脇手を合わせた42本の腕を持っています。この腕の数は「脇手の1本が25の俗世間で生きものの救済ができる」ことが大きな理由。40×25=1000になるため、40本の脇手の作例が多いのです。

とはいえ、中には名前の通り1000本の腕が表現されていただろうと考えられている姿の千首観音像や、1000本を越す数の脇手が表現されている千首観音像もあります。

【参考】

■唐招提寺:千首観音隆像(せんしゅかんのんりゅうぞう)

国宝である、千首観音隆像(せんしゅかんのんりゅうぞう)には大脇手42本、小脇手911本、合わせて953本の腕が表現されている。もともとは1000本合ったと考えられている。

公式HP:https://toshodaiji.jp/ 

■葛井寺:十一面千首千眼観音菩薩像(じゅういちめんせんしゅせんがんかんのんぼさつぞう)

国宝である十一面千首千眼観音菩薩像(じゅういちめんせんしゅせんがんかんのんぼさつぞう)は、小手1001本、正面にある合掌手の40本を合わせ、1041本の腕が表眼されている。国内で唯一1000本以上の手が表現された像例である。

公式HP:https://www.fujiidera-temple.or.jp/

馬頭観音(ばとうかんのん)

馬頭観音(ばとうかんのん)は、名前の通り馬の頭を持った姿であり、馬の守護仏としても多くの民衆から信仰をあつめた観音像です。

人間以外の動物を指す畜生道(ちくしょうどう)を救済すると言われており、他の観音像とは違い、怖い表情である憤怒(ふんぬ)の相で表現されていることも特徴的です。

十一面観音(じゅういちめんかんのん)

十一面観音とは、十一通りの顔を持った観音像です。変化観音の中でも古さを誇り、阿修羅(あしゅら)が住む世界とされる修羅道(しゅらどう)の衆生を救うと考えられています。

大きな顔が本面といい、その上に十一の小さな頭上面と呼ばれる頭を乗せた姿の像容が特徴的です。

現世では10種の利益を得られる他、来世では4種の幸せを得られるとされています。

如意輪観音(にょいりんかんのん)

如意輪観音(にょいりんかんのん)は、前世で良い行いをした天人(てんにん)の世界である、天道の衆生を救うと考えられている観音菩薩です。

現存する如意輪観音像は、坐像(すわった姿)か半跏像(腰をかけ、片足をもう片方のひざに乗せた姿)で表現されています。

この他、如意宝珠(にょいほうじゅ)という願いを叶える玉のようなものを持っていることも特徴的です。

准胝観音(じゅんでいかんのん・じゅんていかんのん)

准胝観音(じゅんでいかんのん・じゅんていかんのん)は別名を「准胝仏母(じゅんでいぶつも・じゅんていぶつも)」とも言い、「仏の母」と親しまれている仏像です。安産、子授けの功徳もあると考えられています。

一つの顔に三つの目、十八本の腕がをもつ姿が特徴で、腕の数の多さから千手観音像と混同されることもあります。

阿弥陀如来(あみだにょらい)の脇侍

観音菩薩は、阿弥陀如来(あみだにょらい)の脇侍として祀られていることもあります。

この場合は「阿弥陀三尊(あみださんそん)」と呼ばれ、観音菩薩は阿弥陀如来の向かって左側に安置されます。右には勢至菩薩(せいしぼさつ)が祀られ、両菩薩で阿弥陀如来の慈悲と智慧を表現しているといわれています。

勢至菩薩は阿弥陀如来の智慧を、観音菩薩は阿弥陀如来の慈悲を表現しています。

観音菩薩のご利益

観音菩薩のご利益は「七難を免れること」と天台宗の開祖である智鎧(ちぎ)がまとめています。

この七難とは

①火難(かなん):火による災難

②水難(すいなん):水による災難

③羅刹難(らせつなん):悪い鬼による災難

④刀杖難(とうじょうなん):武器による災難

⑤鬼難(きなん):死んだ物の例による災難

⑥伽鎖難(かさなん):投獄される災難

⑦怨賊難(おんぞくなん):悪人による災難

を意味しています。

この他

●健康長寿

●病気平癒

●夫婦円満

●極楽往生

など、幅広いご利益があります。

観音菩薩の真言

真言とは、サンスクリット語の「マントラ」のを略した言葉です。「偽りのない仏の真実の言葉」と解釈でき、短い中にも仏の教えがこもった言葉だといえます。

観音菩薩の真言は、オン・アロリキヤ・ソワカです。この真言は聖観音のものであり、変化観音それぞれに真言があります。

他の六観音の真言

千首観音:オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ

馬頭観音:オン・アミリトウ・ドハンバ・ウン・ハッタ・ソワカ

十一面観音:オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ・オン・ロケイ・ジンバラ・キリク・ソワカ

如意輪観音:オン・バラダ・ハンドメイ・ウン

准胝観音:オン・シャレイ・ソレイ・ソンデイ・ソワカ・オン・シャレイ・シュレイ・ジュンデイ・ソワカ

国宝である観音菩薩を祀っている寺院

観音菩薩は、変化した姿の仏像も多く現存し、各所の寺院で本尊として祀られています。中には国宝に認定されている物もあり、豊富なご利益を得たいと多くの人々に親しまれています。

奈良県の法隆寺

正岡子規(まさおかしき)の代表句「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」にも登場する、奈良県の法隆寺(ほうりゅうじ)。国内で初めてユネスコの世界遺産に登録された寺院でもあり、広大な境内を有する寺院です。

境内には、国内最古とされる木造建築である「五重塔」を筆頭に貴重な建造物や仏像が納められており、その数は国宝・重要文化財を合わせ190件に及びます。

法隆寺公式HP:http://www.horyuji.or.jp/

観音菩薩立像

法隆寺に納められている観音菩薩立像は、大宝蔵院の中にあります。

この中には、

●百済観音(くだらかんのん)

●夢違観音(ゆめたがえかんのん)

●九面観音(くめんかんのん)

があり、この他にも阿弥陀如来の脇侍として祀られている観音菩薩像もあります。全てが国宝に認定されており、その貴重さと迫力は圧巻です。

奈良県の薬師寺

薬師如来を本尊とすることで有名な奈良県の薬師寺(やくしじ)にも、国宝である観音菩薩が納められています。

建立が697年と、長い歴史をもつ寺院ですが幾多なる火災や戦火で本堂などが焼け落ちてしまいました。現在は無事再建され、1998年にはユネスコの世界遺産に登録されています。

薬師寺公式HP:https://yakushiji.or.jp/

観音菩薩立像

薬師寺に祀られている観音像は「聖観音像」であり、とても美しい姿として有名です。しなやかな召し物をまとい、静かに下げた右手、やわらかな印象で上げている左手は気品にあふれた姿。凛と立った姿も印象的であり、日本屈指の「美しい観音像」と言われています。

観音菩薩とは姿を変え多くの人々に救いの手を差し伸べる慈悲深い仏様

観音菩薩とは、多くの人々を救うために、相手に応じた姿に変わり慈悲を授けるといわれている仏様です。その慈悲深さから、阿弥陀三尊として阿弥陀如来の慈悲を表す脇侍として祀られることも多いです。

観ることと聞くことは同じという「見聞一致」という仏教ならではの考え方から、人々の苦しみの音を観て、救う仏として「観音菩薩」と呼ばれるようになりました。

さらに、さまざまな姿に変化することから多くの腕や顔をもつ仏像もあり、代表的なものは千首観音や馬頭観音、十一面観音などの六観音。このように観音像が変化した姿を変化観音と呼ばれています。

一方で、人に近い姿の像容を聖観音と呼び、全ての観音像が多くの人々からの信仰を集めています。

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