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遺体とは?|意味と類義語、処置方法について解説

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遺体とは故人の亡骸をあらわす言葉です

遺体とは、亡くなった人の身体を意味します。類義語の「死体」は生物の死骸全般に使いますが、遺体は人の亡骸だけに使うのが特徴です。死者への敬意を込めた表現として、死体より遺体の方がより丁寧な印象になります。ここでは遺体の意味や類義語との違い、遺体のケアや安置方法について解説します。

遺体の意味と関連用語をチェック

遺体は人間の亡骸をあらわす言葉です。一方、他の生物全般には死体を使います。

遺体と死体の使い分けについて、NHK放送文化研究所は次のように解説しています。

「死体」の対語は「生体」で、どちらも即物的な語感が強いことばです。これに対して、「遺体」は人格を主体にした言い方で、辞書の中には「死体よりもていねいな言い方」「死体に比べて、死者への敬意がこめられた表現」などと説明しているものもあります。このため、一般的には「遺体」を使うほうがよく、放送でもできるだけ「遺体」を使うようにしています。ただし、生死がそのニュースの主要な内容である場合などは、生死を端的に伝えるために「死体」を使うこともあります。

NHK放送文化研究所|放送現場の疑問・視聴者の疑問|「遺体」と「死体」、使い分けは?

状況によっては、ニュースでも人の亡骸に死体を使う場合がありますが、基本的には死者への敬意を払うために「遺体」を使うのがベターと言えるでしょう。

遺体は英語で『body』

遺体は英語では、「body」と表現するのが一般的です。「dead body」と表現することもありますが、bodyだけで十分意味は通じます。また、より直接的な表現として「corpse」を用いることも。こちらは、ドラマでは警察の捜査場面で出てくる単語です。残っている状態を意味する「remain」にも遺体の意味があります。

例文1:彼は倉庫で遺体を見つけた

He found a body in the warehouse.

例文2:母の遺体を荼毘(だび)にふした

I attached the body of the mother to the crematorium.

遺体の処置

遺体の処置には、まずは医師の死亡確認が必要です。死亡確認後、ただちに遺体の処置がはじまります。遺体はそのままでは腐敗が進んでしまうので、衛生的に保存するために、スムーズに処置を進めることが大切です。

末後の水(死に水)

息を引き取った直後に行われるのが「末後の水(まつごのみず)」の儀式です。遺体の口元を湿らせた脱脂綿で軽くふく儀式で、臨終に立ち会った家族や親しい親族が行うのが一般的です。末後の水は、死後の世界で故人の喉が渇くことのないように祈念する儀式で、「死に水をとる」とも言います。

末後の水は仏教の儀式なので、故人の宗教によっては行わない場合もあります。

遺体の清拭(せいしき)

清拭は、遺体を清める儀式です。かつては、遺体をぬるま湯で洗い清める湯灌(ゆかん)の儀式が行われていましたが、現代ではアルコールに浸した脱脂綿で、遺体の顔や手足などの露出している部分をふき取る「清拭」を行うことが多いです。さらに、口や鼻や耳に脱脂綿を詰めて体液が漏れださないように処置を施したり、場合によっては紙おむつをはかせたりします。こうした処置は病院で施されますが、自宅で亡くなった場合は葬儀社などに処置を依頼しましょう。

エンバーミング

エンバーミング(Embelming)とは、遺体を長期間保存するための処置で、土葬を行う欧米では遺体からの感染防止の目的もあり一般的に行われる方法です。日本では腐敗や感染防止の目的だけでなく、故人を生前に近い表情のまま見送りたいという想いからエンバーミングを希望する遺族が増えています。費用は20万円ほどです。

エンバーミングは、まず遺体から血液や体液を抜いてから、防腐剤を注入して腐敗を防ぐ処置が施されます。エンバーマーライセンスを持つ人か資格を持つ医療従事者のみ、処置が可能です。エンバーミング処置は、遺体を安置している場所から専用施設に移送して施します。作業時間は3~4時間ですが、移送距離が長い場合は遺体が戻ってくるまでに1日程かかる場合も。

死化粧(しにげしょう)や死装束(しにしょうぞく)

死化粧とは、遺体の顔や髪の毛を美しく整えるための化粧です。生前の姿に近づけることで故人の尊厳を尊重し、遺族を慰めることが目的です。病院で亡くなった場合は、看護師または提携している葬儀社によって、遺体が搬送される前に施されます。

死装束は遺体に着せる衣類で、白い着物を使うことが多いです。白は死をあらわす色でもあり、故人がけがれない身体で旅立てるようにとの願いが込められています。とはいえ、これといった決まりはないので、白以外の衣類を着せても問題ありません。死装束はかつては家族が着せていましたが、現在は葬儀社が用意した衣装をスタッフに着せてもらうのが通例となっています。

最近は死化粧や死装束を施す専門家として、納棺師が行う場合も。納棺師は通称「送り人」とも呼ばれます。

遺体の安置

病院で亡くなった場合、仮の場所として霊安室に遺体を安置しますが、長時間の使用はできません。安置場所を決めて、速やかに搬送する必要があります。

多くの場合、自宅もしくは斎場から選択することになるでしょう。自宅は、故人を家に連れ帰り、故人のそばでゆっくり時間を過ごせるのが特徴です。一方、斎場の場合は、温度調節をはじめ遺体を安全に管理できることや、スペースが十分確保できるので弔問客に対応しやすいというメリットがあります。

どちらの安置方法も、遺体の腐敗を防ぐためにドライアイスの手配が必要です。葬儀社に依頼した場合は、2日間で5~10万円程度がかかります。

遺体の搬送

遺体の安置場所が決まったら、遺体を搬送します。遺体は貨物の扱いになるので、搬送は国の一般貨物自動車運送事業の認可を得た事業者に依頼しましょう。タクシーは貨物を運ぶ認可を受けていないため、遺体を搬送するのは法律違反です。

また、自家用車で遺体を搬送することは法律違反ではありませんが、車の揺れによって遺体を傷つける恐れがあり、さらに体液などが流れて車内を汚す可能性があるのでおすすめしません。

宗教別の遺体の安置方法

遺体の安置方法は、宗教によって違います。用意するものや遺体を寝かせる向きなど、しきたりが異なるので注意しましょう。

仏教の遺体安置方法

仏教では遺体を敷布団の上に安置します。頭の向きは、北か西に向けるのが決まりです。自宅の場合は、寝室やリビングではなく、仏壇のある部屋に安置し、枕元には燭台(しょくだい)や水を供えましょう。故人の顔には白い布をかけ、手には数珠(じゅず)を持たせて合掌の形に整えます。

キリスト教の遺体安置方法

キリスト教は他の宗教に比べて、遺体の安置方法に厳しいルールはありません。遺体の頭を北向きに寝かせ、枕元には聖書や十字架を飾る場合も。

神式の遺体安置方法

神式では、遺体の頭は西か東向きに寝かせます。枕飾りには、ろうそくや榊(さかき)を用います。榊は神式の葬祭に使うつばき科の常緑樹で、神棚に供えたり神社の神事にも使われる枝付きの緑葉です。なお、数珠やお香は神式では使いません。

まとめ:遺体は故人への敬意を込めた言葉

遺体は亡くなった人を敬い、慰めの気持ちを込めて使う言葉です。だからこそ、遺体の処置に関係する一連の流れも、故人を偲び尊ぶ気持ちを忘れないことが大切です。

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