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馬頭観音とは?ご利益・真言は?馬頭観音像を祀っている寺院や競馬場との関係性を解説

目次

馬頭観音とは憤怒(ふんぬ)の相をもち、馬の守護神と知られる仏様

馬頭観音(ばとうかんのん)とは、馬頭観世音(ばとうかんぜおん)とも呼ばれ、馬の守護神として知られる仏様です。他にも、「馬頭明王(めずみょうおう)」と呼ばれることもありますが、仏法を守る守護神である「明王」のグループではありません。

馬が草を食べるように、人々の煩悩を食つくし、災難を取り除いてくれると言われています。

成り立ちはヒンドゥー教の神話

馬頭観音の成り立ちは、ヒンドゥー教の神話だとされています。その神話は「ヒンドゥー教の最高位に位置するヴィシュヌ神が馬の頭に変化し敵を倒した」というもの。

インドでは馬は四聖獣(しせいじゅう:馬・獅子・象・牛)に該当し、神聖視されていたことも神話の成り立ちの背景にあります。

六道における畜生道を救う仏様

仏教では、現世の行いにより死後にめぐる世界が六つに分かれると考えられています。この世界のことを「六道(ろくどう・りくどう)」と呼んでいます。

六つの世界は、楽しみや幸福が多い世界から順に、天道(てんどう)・人間道(にんげんどう)・修羅道(しゅらどう)・畜生道(ちくしょうどう)・餓鬼道(がきどう)・地獄道(じごくどう)に分けられています。

畜生とは鳥や獣、虫などを意味しており、畜生道は生前、動物や植物などの生き物を大切にしなかったり、命を粗末にしたりした人が生まれ変わる世界です。

知性がなく、本能のみで生きているため、いつになっても仏の教えを得ることができません。さらに弱肉強食の世界であり、強い物の恐怖に怯え、救いはなく苦しみが多い世界だと考えられています。

馬頭観音は、憤怒の相で畜生道に生まれた人々を見つめ、救済する仏なのです。

観音菩薩が変化した六観音に属する

馬頭観音は「観音菩薩(かんのんぼさつ)」が変化した姿でもあります。

観音菩薩は「音を観る(=人々の声を聞く)」仏様であり「その人に合った救いの手を差し伸べる」と考えられています。あらゆる人々の苦しみや願いを聞き、手助けをするために、三十三の姿に変化することも観音菩薩の大きな特徴。その中でも代表的な姿だと考えられている姿を「六観音(ろくかんのん)」と呼び、現在でも多くの仏像が残されています。

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馬頭観音はこの六観音の一体に属し、この他には

●聖観音(しょうかんのん)

●千手観音(せんじゅかんのん)

●十一面観音(じゅういちめんかんのん)

●如意輪観音(にょいりんかんのん)

●准胝観音(じゅんでいかんのん・じゅんていかんのん)

が該当します。

なお「観音菩薩」と称して祀られている観音像は、多面多臂(ためんたひ:多くの顔や多くの腕を持っている姿)などの人間とかけ離れた姿ではなく、一面二臂(いちめんにひ:ひとつの顔と二本の腕)という人間に近い姿で表現される聖観音というケースがほとんどです。

馬頭観音の真言

真言とは、サンスクリット語の「マントラ」を略した「偽りのない仏の真実」を表した言葉です。短い文言の中にも仏の教えが十分に込められており、唱えることでご利益を得られるとされています。

馬頭観音の真言は「オン・アミリトドバン・ウン・パッタ・ソワカ」です。

馬頭観音のご利益

馬頭観音のご利益には

●無病息災

●厄除け

●動物救済

●五穀豊穣

●道中安全、旅行安全

などがあります。

さらに「馬=俊足」のため、即効性があり、悩んでいることもすぐに解決するというご利益もあります。

他にも、大切なペットを失った後に馬頭観音に祈りを捧げると、ペットたちをお釈迦様のもとまで連れて行ってくれるとも言われています。

馬頭観音像の特徴

馬頭観音像の特徴は

●逆立つ髪と憤怒の相

●三面六臂もしくは、四面八臂

●馬口印を結び頭上には馬を表現

●競馬場に祀られるケースもある

などです。この他、木造や銅造の仏像ではなく、石仏や石碑として残っているものが多いことも馬頭観音像の特徴。この石仏は、道ばたや忌み地(事件や事故などがあり、祟りがあると考えられている場所)に祀られていたり、昔に馬の供養塔として建てられていることもあります。

逆立つ髪と観音像唯一の「憤怒の相」

馬頭観音の髪は燃えさかる炎の方に逆立ち、他の観音像と大きく違う表情で表現されています。その表情こそが怒りに満ちた「憤怒の相」であり、優しく穏やかな表情で表現されている観音像とは全く異る特徴です。

憤怒の相で表現されているのは、観世音菩薩三十三化身(かんぜおんぼさつさんじゅうさんけしん)の内、馬頭観音のみ。怒りの表情が強ければ強いほど、人々を救済する力が強いと考えられています。

三面六臂や四面八臂の像が多い

馬頭観音像は、聖観音のようにひとつの顔に二本の腕という像容ではなく、三面六臂(さんめんろっぴ)と呼ばれる「三つの顔に六本の腕」の場合や、四面八臂(よんめんはっぴ・しめんはっぴ)と呼ばれる「四つの顔に八本の腕」で表現されていることが多いです。この多くの顔や腕であらゆる生き物を見守り、救済する役目であることを表しているそうです。

腕が多い分、持物(じもつ:仏像が手に持っている仏具のこと)が多いことも特徴的で、煩悩を打ち砕くための剣や斧、棒を持っており戦闘的である様子も他の観音像との大きな違いです。

馬口印を結び、頭上の馬が表現されている

馬頭観音は、人差し指と薬指は折り、他の指を立てる「馬口印(まこういん・ばこういん)」と呼ばれる印相(仏の手の形のこと)を結んでいます。

頭上には馬が表現され、この馬が煩悩を食べ尽くし、打ち砕くと考えられています。

競馬場付近に祀られていることも

馬頭観音は、人間を救うだけでなく人々の生活になくてはならない存在である「家畜の安全と健康を祈る仏様」だとも考えられています。

中でも、馬は武家では戦に出向き、農家では農耕を務め、人々の移動手段としても活躍する存在であり、人々の生活とは切っても切れない動物。そんな馬を掲げた姿であるため、いつしか馬の守り神としても信仰されるようになりました。

今でも、競馬関係者からは篤い信仰を集めており、レース中の事故などで亡くなった馬を供養するためなどに競馬場の近くに祀られる場合もあります。

馬頭観音像を祀っている寺院や施設

木造の仏像より、石仏や石碑が多い馬頭観音像ですが、中には重要文化財に認定されている馬頭観音像も残されています。

この他、東京競馬場には馬頭観音像を二体も祀り、馬の供養や競走馬の無事を祈願しているのです。

福岡県の観世音寺(かんぜおんじ)

福岡県太宰府市にある観世音寺は、斉明天皇の冥福を祈るために天智天皇の発願により80年の時を経て746年に完成した歴史ある寺院です。

さらに、日本最古の梵鐘を有している寺院でもあり、環境庁の「日本の音風景100選」に選ばれた場所でもあります。

観世音寺公式HP:https://www.kanzeonjihouzou.com/

馬頭観音立像(重要文化財)

観世音寺の馬頭観音像は、日本最古のものであり、四面八臂で表現されています。約五mの圧巻の像高は、国内でも他に例がない珍しい作例です。

正面と左右、後頭部に4つの面があり、それぞれの額に第三の眼を表現。左右に三本ずつある手はそれぞれが異なった持物を持ち、正面の手は馬頭観音特有の馬口印を結んでいます。

東京競馬場 

所在地から「府中競馬場」とも称される東京競馬場は、日本中央競馬会が管理・施行者である競馬場です。1933年に開場し、日本ダービーや天皇賞、ジャパンカップなどのレースが行われることでも知られています。

東京競馬場付近には二カ所の馬頭観音像がある

命を落とした馬の供養や、競走馬の無事を願い競馬場に馬頭観音像があることは珍しくなく、その多くはパドック(レースに出走する馬がファンの前を歩き、様子を見せる場所のこと)付近にある一方で東京競馬場は敷地外の二カ所に安置されています。

一カ所には寄贈旗や供養塔もあり、レース前に立ち寄るファンも多い様子。もう一カ所は宅地化が進んだ住宅街の中に位置します。当時はその場所まで競馬関係者の住居や厩舎(馬を飼っていた場所)が位置しており、多くのレースを見守っていたことが伺えます。

馬頭観音とは馬の守護神と知られ、六観音の中で唯一「憤怒の相」で表現される仏様

馬頭観音は、観音菩薩が変化した姿である六観音に属しています。他の観音像が穏やかな表情であることに対し、怒りの形相である「憤怒の相」で表現されており、怒りの表情が強ければ強いほど、人々を救済する力が強いと考えられている仏様です。

さらに、馬頭観音が馬の守護神として知られることは、人々の生活に馬がなくてはならない存在であったことに由来しています。「馬=俊足」にあやかり、ご利益が早く得られることやペットの供養にも一躍勝っていることも馬頭観音の特徴のひとつ。国内で数が少ない馬頭観音像ですが、石仏や競馬場付近に祀られていることも多いです。

立ち寄った際は悩みや迷いをサッと落すべく、静かに真言を唱えてみましょう。

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