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帝釈天とは?読み方・ご利益・真言は?帝釈天像を祀っている代表的な寺院についても紹介!
帝釈天とは天上界最高位に住む仏様のこと
帝釈天とは「たいしゃくてん」と読み、天界の最高位に住む仏様のことです。仏法守護の主神であり、対で祀られている梵天とともに仏教の二大護法神とされています。
仏教世界の中央にそびえる須弥山から、命あるもの全てを見守っているといわれています。
帝釈天の前身はインド神話に登場する「最強神インドラ」
帝釈天は、古代のインド神話に登場する最強の英雄とされるインドラ神が前身です。インドラ神は「インドラの矢」と呼ばれる雷を操り、凶暴な魔神と戦ったことでも知られている存在。
仏教に取り入れられてか神のインドラ神は、戦いの神ではなく慈悲深く柔軟な性格となり、釈迦を助け、仏教の教えを外敵から守る役割を担ったといわれています。
仏像は梵天と一対で祀られる
帝釈天と対とされる仏様が梵天 です。この二体の仏像は、両者をあわせ梵釈と呼ばれ、奈良時代から制作されています。
梵天は古代インドのバラモン教におけるブラフマー神が前身とされ、仏法の守護神とされています。
帝釈天の真言:「オン・インドラヤ・ソワカ」
真言は、サンスクリット語のマントラを訳した言葉であり「仏の真の言葉・秘密の言葉」という意味の言葉です。短い言葉の中にも、仏の真意が込められているといえるでしょう。
帝釈天の真言はオン・インドラヤ・ソワカです。
真言を唱えることで、戦勝祈願や国家安泰、災難から守られるなど、帝釈天のご利益を得られると考えられています。
帝釈天にまつわる逸話
帝釈天は修行中から悟りを開くまでの釈迦をサポートしただけでなく、様々な勇ましい逸話の持ち主です。
修羅場の語源となった「阿修羅との戦い」
帝釈天には、六道の一つである修羅道の主「阿修羅」との戦いの逸話があります。
阿修羅は、帝釈天が主である忉利天に住んでおり、とても美人と知られていた娘(舎脂)を帝釈天に嫁がせたいと考えていました。しかし、帝釈天は舎脂を力づくで奪ってしまい、これに激怒した阿修羅は、帝釈天に戦いを挑み、結果として天界全体を巻き込む大戦闘になってしまいました。
また、この戦いの最中舎脂は帝釈天の正式な妃となってしまい、それを知った阿修羅はさらに逆上。「修羅場」という言葉は、この出来事から生まれたとされています。
過去を水に流し、人を許すことを伝えた話でもある
帝釈天と阿修羅の戦いは、娘を思う父親の気持ちから起きた出来事であり、発端は帝釈天が舎脂を奪ったことにあるといえます。帝釈天=悪・阿修羅=正義といえるのかもしれません。
しかし戦いの最中、舎脂は帝釈天の正式な妃になっています。阿修羅は怒りで我を忘れ、相手を許す心を失ってしまったのです。
このことから、たとえ正義であっても固執することで善を忘れ鬼になってしまう、過去を水に流し、人を許すことの大切さを表現している逸話だともいわれています。
帝釈天像の違いと帝釈天像を祀る有名な寺院
帝釈天像は、私たちと同じように一つの顔と二本の腕(一面二臂)で描かれ、武勇神をイメージさせるような甲を身につけているものが多いです。
しかし、密教(言葉や経験などをもとに仏教の教えを伝承している宗派)の姿と顕教(密教ではない他の仏教の宗派)の姿とでは若干の違いがあります。
密教では額に第三の目が作られ、象に乗る坐像で表現される一方、顕教では中国・唐時代の貴婦人をイメージさせるような装いでハスの茎を持つものが多いです。
坐像と立像という違いがあるものの、両者とも貴重な姿であることに変わりはありません。梵天と対で祀られているものの他、国宝に指定されているものや本尊として祀られている像もあります。
東京都 経栄山題経寺(きょうえいざんだいきょうじ)
日蓮宗の寺院である「経栄山題経寺」は、江戸時代初期に二人の僧侶により帝釈天を本尊として創立されたといわれています。
帝釈天は梵天と並んで天部の最高位に位置し、単尊で祀られることはほとんどありません。しかし、経栄山題経寺では本尊として単尊で祀られているという、大変珍しいケースです。
「男はつらいよ」のセリフにも登場
映画「男はつらいよ」の主人公、フーテンの寅さんが「生まれも育ちも葛飾柴又、帝釈天で生湯を使い・・・」と自己紹介の口上で伝えている場所こそが、経栄山題経寺です。古くから「葛飾柴又帝釈天」という通称で今も多くの人々に親しまれているお寺です。
肝心の帝釈天はというと、宗祖である日蓮自らが刻んだとされる板本尊(帝釈天本尊が片面に掘られた板)が帝釈堂に安置されています。
経栄山題経寺(葛飾柴又帝釈天)
住所:〒125-0052 東京都葛飾区柴又7丁目10番地3号
電話番号:03-3657-2886
京都府 真言宗総本山 東寺(とうじ)
1994年(平成6年)に世界文化遺産に登録され、歴史を物語る場所である京都府の東寺。創建は平安時代にまで遡ります。
国立の寺院として建立された東寺は、弘法大師空海が嵯峨天皇より託され、国内初の密教寺院として歩みをスタートさせました。1200年がたった今もなお、当時の文化を物語っています。
《国宝》 帝釈天半跏像
密教の帝釈天像を代表する東寺の帝釈天半跏像 は国宝に認定されています。片足をたらし白象に乗り、額には第三の目を持っています。右手に金剛杵と呼ばれる雷の武器を持っていることも特徴的です。
立体曼荼羅(曼荼羅を立体の仏像で描いたもの)として祀られています。
まとめ:帝釈天とは天界最高位から仏教を守護する仏様
天界最高位から命あるもの全てを見守っている帝釈天。対で祀られる梵天とともに、釈迦を助け、仏教の伝承を護る役割を担っています。
帝釈天には、阿修羅との壮絶な戦いが「修羅場」の語源になったことや、過去を水に流し、人を許すことを伝えた学びの由来になったことなど、さまざまな逸話が残されています。
映画「男はつらいよ」で知られる葛飾柴又帝釈天が有名ですが、国宝として祀らているものもあり、参拝する際は真言を唱えながら手をあわせてみましょう。