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個人墓地とは?無許可の個人墓地はどうなる?個人墓地の墓じまいや改葬方法についても解説
個人墓地とは個人が所有する墓地
個人墓地とは個人が管理する墓地のことです。
個人の私有地である山や畑、林の中にいくつかの墳墓が建てられていることがありますが、これらは個人墓地の可能性があります。
墓地は管理運営する団体によって呼び方が異なり、自治体が管理する「公営墓地」、お寺が管理する「寺院墓地」、民間企業が運営する「民営墓地」、地域や集落で管理する「共同墓地」などがありますが、「個人墓地」は文字通り個人が管理する墓地で、規模は家単位のように小規模な場合がほとんどです。
この記事では、個人墓地の合法性や相続について、さらに個人墓地を墓じまいして改葬する場合の方法についても解説していきます。
個人墓地の合法性
墓地の扱いについては、昭和23年に施行された「墓地・埋葬等に関する法律」で定められています。
墓地として使用するためには、都道府県知事から許可を受ける必要があり、原則として法律施行後に個人墓地の設置は許可されていません。
つまり、今から家の敷地内に個人墓地を作るのは、認められない可能性が高いのです。
しかし、法律の施行前からあった墓の中には個人墓地もあり、それらについては「みなし墓地」と「無許可墓地」に分けられています。
みなし墓地とは、法律施行前から墓があり、以前から行政の許可を得ている墓で、こちらは合法とされています。
一方、無許可墓地は法律施行の前と後に関わらず、行政の許可を受けていない墓で、違法になります。
無許可墓地を使用していると「6か月以下の懲役刑または5千円以下の罰金」が課されますが、一般的には罰則が課せられることは少ないようです。
現状では、たとえ無許可墓地でも遺骨がすでに埋葬されている墓地を強制的に更地に戻すことは難しいうえに、罰則を課したところで無許可墓地の根本的な問題解決にはならないからです。
無許可墓地の問題解決については、自治体が法律の周知徹底をはかることと、個人墓地の所有者がみなし墓地の申請をすることの、両者の努力が必要です。
法律施行後に作られた個人墓地は本来は違法ですが、すでに墓地として長年使われている場合は、自治体が相談に応じてくれる可能性があります。
さらに、地域の共同墓地についても法律施行前からあるものについても、無許可墓地の可能性があります。
自分の家の墓が個人墓地なのか、さらにみなし墓地として許可されているかどうかは、自治体の墓地台帳で確認できるので、不安がある人は一度確認しておくと良いでしょう。
これから個人墓地を作ることはできる?
繰り返しになりますが、個人墓地をこれから作ることは、基本的にはできません。
例外として認められるのが「山間等人里遠く離れた場所で、墓地が存在していない場合」です。
近くに墓地がない地域で、遠方に墓を作った場合に今後の管理が難しい場合は、個人墓地の設置について自治体に相談してみると良いでしょう。
個人墓地の相続
個人墓地はその他の墓と同じく祭祀財産で、相続財産には含まれません。
そのため、相続税や固定資産税は発生しませんが、条件としてみなし墓地として行政から許可を受けていることが必要です。
墓地として認められない場合は、たとえ墓地が存在しても一般の土地と同じ扱いになり、相続財産になる可能性があります。
なお、一般的には墓地の売買はできないことになっています。
公営墓地や寺院墓地は、墓所内の区画を永代使用権を得て使用しますが、権利の売買は法律で禁止されています。もちろん墓地の永代使用権も祭祀財産で相続税や固定資産税はかかりません。
もし自宅の敷地内に個人墓地があり、みなし墓地として認められている場合は、相続税や固定資産税がかかりませんが、その土地を売却することはできません。
個人墓地への埋葬
みなし墓地として許可を得ていれば、遺骨の埋葬は可能です。
無許可墓地の場合は、まず自治体に相談して、みなし墓地として認めてもらう必要があります。
法律では、遺体や遺骨の埋葬は都道府県知事の許可を得た墓地でのみ行うことと定められているので、無許可墓地への埋葬は違法になります。
みなし墓地と認めてもらえない場合は、許可を受けた墓地への埋葬も検討する必要があるでしょう。
個人墓地を墓じまいする方法
みなし墓地の許可を得られない場合や、墓の管理が難しくなった場合は、墓じまいを検討する必要があります。
墓じまいとは、墓から遺骨を取り出して墓地を更地に戻すことで、まさにお墓を片づけてお終いにする方法です。
個人墓地でも先祖代々の墓である場合は、墓じまいについて親族への説明が必要です。
お墓への思い入れが強い親族がいる場合は、反対される可能性がありますが、墓じまいをする理由を丁寧に説明することが大切です。
墓じまいをして更地に戻すと、墓地ではなくなるので個人の所有地とみなされ相続や固定資産税の対象になります。
その際の手続きについても自治体に確認することをおすすめします。
個人墓地の改葬
改葬とは、簡単に言えば墓の引っ越しのことです。
具体的には、現在の個人墓地を墓じまいにして、取り出した遺骨を他の墓地に埋葬することを意味します。
改葬には、新たに墓を作る場合と永代供養にする場合などがあります。
ここでは、改葬の基本的な流れや手続きに必要な書類について解説していきます。
改葬の流れ
改葬は以下の流れで行います。
- 改葬先を探す
- 改葬先とは、新たな墓や永代供養先のことです。無理なく供養を続けられる場所や方法を選択しましょう。
- 改葬許可証を役所から発行してもらう
- 現在、個人墓地がある地域の自治体に埋葬証明書と受入証明書を提出し、改葬許可証を発行してもらいます。
- 石材店に墓石の撤去を依頼する
- 石材店に依頼する場合は、改葬許可証の提示を求められることがあります。
- 閉眼供養の法要を行い遺骨を取り出す
- 閉眼供養とは墓石から仏の魂を抜くための儀式で、僧侶に読経をあげてもらいます。閉眼供養が済むと、遺骨を取り出すことができます。
- 墓じまい(墓の撤去)完了
- 墓石を撤去して更地に戻せば、墓じまいは完了です。
- 改葬先に改葬許可証を提出し遺骨を納める
- 改葬先の墓の管理者に改葬許可証を提出して、遺骨を納めます。
- 墓石の設置
- 墓を新たに建てる場合は、石材店に墓石の製作や設置を依頼します。
- 開眼供養の法要をする
- 新たに建てた墓石に仏の魂を宿らせるための儀式で、僧侶に読経をあげてもらいます。
改葬に必要な書類
改葬許可申請書
個人墓地のある自治体の役所の窓口またはホームページなどから、申請書を入手します。
遺骨1体につき、申請書が1枚必要になる場合と、複数の遺骨を1枚にまとめて申請できる場合とあり、自治体によって書式は異なります。
埋葬証明書(埋蔵証明書)
誰の遺骨が埋葬されているのかを証明する書類で、墓地の管理者が発行することになっています。
個人墓地の場合は、管理者は自分自身なので自分で埋葬証明書を作成する必要があります。
先祖代々の墓で全ての記録を追えない場合は、その旨を役所に説明しましょう。
受入証明書
改葬先から発行してもらう書類です。
遺骨の受け入れを承諾したことを証明するもので、改葬先が決まらなければ改葬の許可申請はできません。
まとめ
個人墓地は個人が管理する墓地のことで、厚労省の統計によれば墓地の約8割が個人墓地だという報告もあります。
さらに、個人墓地が無縁墓になっている問題や、個人墓地の所有者と土地の所有者が異なる問題など、課題が多いのが現状です。
少子高齢化や地方の過疎化などが進むと、個人墓地の問題はさらに深刻になっていくことが予想されます。