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煩悩とは?数は108?除夜の鐘との関係・煩悩の意味を簡単に紹介

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目次

煩悩とは悟りに至る道を妨害する心の働きのこと

煩悩とは、欲望や欲求、執着心などを筆頭に心身を乱し、煩わせる心の働きのことです。

仏教では、煩悩は悟りに至る道を妨害する作用でもあると説かれています。

「煩悩=欲求=全て悪」ではない

煩悩=欲求であり「全てが悪だ」と捉えがちですが、人が持っている

・お腹がすいたから何か食べたい

・憧れの人のように成長したい

・疲れたからゆっくり眠りたい

などの感情は欲求であっても、煩悩ではありません。

これらの「食べたい」「眠りたい」などは、生命の維持に必要不可欠なもの。また、「成長したい」という気持ちは、日々の勉強、そして何らかのかたちでの社会貢献につながっていくものと考えられます。

そのため、煩悩=欲求=全て悪ではないと言えます。

煩悩に振り回されると悪になる

煩悩=悪と言われる理由は、煩悩(欲求)に振り回されることにあります。

例えば、

・ダイエット中なのに、食欲を抑えられない

・今も高級な外車に乗っているのに、もっと高級な外車が欲しい

・過去の失敗を悔やみ、チャレンジできない

・老いたくない、歳をとりたくない

・子どもの将来がとても心配でたまらない

など。

「人や物に執着しすぎ」「過去や未来にとらわれすぎ」という感情や「こうありたい・これが欲しい」という過度な欲求は、現実を受け入れず、煩悩に振り回されている状態と言えます。

また、前述した「成功したい」という気持ちも、これに執着しすぎると周りが見えなくなってしまったり、体を壊してしまうことにつながりかねません。

煩悩の中にある根本的な要因は3つ

たくさんの種類があると言われている煩悩。その中でも、仏教では貪瞋痴とんじんちと言われているものが、煩悩の根本的な要因だとされています。

貪瞋痴とは?

貪欲とんよく:無限の欲、執着のことでむさぼりの心(例:金銭欲、物欲、性欲など)

瞋恚しんい:自己中心的な怒りの感情、憎悪のことで怒りの心(例:腹を立てる、キレる、羨ましい気持ちや妬みの気持ちなど)

愚痴ぐち:いい加減な情報や嘘、デマなどに振り回されて物事を正しく判断できない状態、真理を知らず愚かなこと(例:愚痴を言うなど)

この3つは三毒さんどくとも言われ、煩悩を正しい心を壊してしまう毒に例えたものです。人の心に毒を盛る悪しきものだと考えられています。

煩悩が108つあると言われる説4つ

前述した通り、煩悩にはたくさんの種類があると言われています。その定義は時代や宗旨によりさまざまですが、少ないもので三毒だけ、多いところでは84,000種を超えるとの教えもあります。

その中でも比較的知られている数は108種でしょう。これには、以下の4つの説があります。

①六根を基準にしている

六根ろっこんとは、人が持つ「げんしたしん」の6つの感覚能力のこと。これらは、人に迷いや欲を与えるものでもあります。

まず、六根によって生じた感覚や状態を表すものが「こうあくへい」です。好は快感、悪は不快感、平はどちらでもない状態のことです。

これに、きれいと感じる「じょう」、汚いと感じる「せん」、三世を意味する「過去(前世)」「現在(今世)」「未来(来世)」を組み合わせ、これらすべてをかけ合わすと、

六根(6)×好・悪・平(3)×浄・染(2)×過去・現在・未来(3)=108

となります。

これが、六根を基準としているという説です。

②四苦八苦に由来している

大変苦労するという意味で日常会話でも使われる「四苦八苦しくはっく」。実はお釈迦様の教えであり、仏教用語の一つです。

本来の意味は人間にある8種の苦しみのことで、生・老・病・死という根本的な4つの苦しみと、人生である愛別離苦あいべつりく怨憎会苦あいおんぞうえく求不得苦ぐふとっく五蘊盛苦ごうんじょうくを表しています。

四苦八苦の「苦」を「9」と捉えると、

四苦(4×9で36)+八苦(8×9で72)=108

これが、四苦八苦に由来しているという説です。

十纏じってん九十八結くじゅうはっけつを足したもの

十纏じってんとは無慚むざん・②しつ・③無愧むき・④・⑤みん・⑥惛沈こんじん・⑦けん・⑧忿ふん・⑨掉挙じょうこ・⑩ふくと言われる、人の中にある悪い心のことです。

九十八結くじゅうはっけつは、人を縛り付ける煩悩のことで、98種類あると言われています。九十八随眠くじゅうはちずいめんとも呼ばれます。

十纏(10)+九十八結(98)=108

になります。これが十纏と九十八結を足したものとする説です。

④暦に由来している

四季をそれぞれ6つに分けたものを二十四節気にじゅうしせっき と呼びます。春分や秋分、夏至、冬至なども二十四節気のひとつに当たります。

さらに暦の表し方は他にもあり、二十四節気を三等分し、細かく分けたものが、七十二侯(しちじゅうにこう)。3月10日〜3月14日頃は「桃始笑ももはじめてさく」、11月3日〜11月7日頃は「楓蔦黄もみじつたきばむ」など、季節ごとの鳥や虫、花などの様子を表現する暦名がついていることで知られています。

この2つの暦に12カ月を加えると、

二十四節気(24)+七十二侯(72)+月の数(12)=108

となります。これが暦に由来しているという説です。

煩悩は捨てられない:自分の心をコントロールする

仏教では、自分を苦しめるもの(煩悩)は、環境などから受ける外的要因ではなく、自分自身の内面にある心理的なもの(過度な欲求)が原因だと説いています。そしてまた、煩悩をなくすこと、あるいは捨て去ることは、できないものとも考えられています。

そのため、罪悪感を招くような欲へと変容させないことが必要です。すなわち、自分自身と向き合い、自分の心をコントロールできることが重要だと言えます。

欲求や欲望が湧いてきたとしても、それを無理に押さえつけるのではなく、制御する心がけが大切です。

煩悩を抱えたまま幸せになる「煩悩即菩提ぼんのうそくぼだい

自分自身の煩悩と向き合い、それをコントロールすることは、煩悩を捨てることとは違います。

例えば、煩悩を抱えたまま幸せになれることを「煩悩即菩提ぼんのうそくぼだい」と呼びます。

これは「幸福でありたい」という煩悩(欲求)があるからこそ「幸せを掴み取れる」ということに繋がると捉えることもできますね。

煩悩と除夜の鐘の関わり

大晦日に耳にする「除夜の鐘」。これも実は煩悩と深い関わりがあります。

除夜の鐘は、寺院にある梵鐘ぼんしょうを打ち鳴らすもの。梵鐘は、寺院にとってとても重要な仏具であり、鐘の音そのものに悩みや苦しみを断ち切る力があると考えられています。

大晦日は、一年の締めくくり。それまで過ごしてきた1年から新しい1年へと変わっていく節目です。除夜の鐘は、梵鐘を1回撞くたびに煩悩を1つずつ消していき、来年の幸せを願って108回撞かれるものと言われています。

煩悩に関してよくある質問

煩悩はどこから生まれてくるの?

煩悩は、無明むみょう(文字通り「明かりが無い」という意味で、暗い状態のこと。そのため、目の前のことすらも正確に把握できない状況にあること)から生み出されると考えられています。

また、人が生活していく上で必要な欲求が度を越え、人や物に執着しすぎている、現実を受け入れられないなどの状況も煩悩を生み出す要因です。

詳しくはこちら

煩悩を捨てるにはどうすればいい?

仏教では、煩悩を捨てることはできないと考えられています。しかし、煩悩と向き合いコントロールすることは可能です。

この他、煩悩を持ったまま幸せになるという考え方もあるため、煩悩を前向きに捉え、正しく理解し、制御することも大切な方法だと言えます。

詳しくはこちら

108つあると言われる理由とは?

煩悩が108種あると言われている説の代表的なものは

①六根を基準としている

②四苦八苦に由来している

③十纏と九十八結に由来している

④暦に由来している

があります。

詳しくこちら

まとめ:煩悩とは度を越えた欲求から生み出される感情

煩悩とは、度を越えた欲求から生み出された欲望や執着心から生まれる感情のことです。

人が生活していく上で必要な欲求も、度を越えてしまうことで、自分自身で制御・コントロールできない状態に陥ってしまいます。これが執着心へと変容した状態が煩悩=悪と捉えられる要因だと言えるでしょう。

また、煩悩は一般的に108つあると言われていますが、これには六根を基準にするもの、四苦八苦に由来するものなど諸説あります。

仏教では、これらの煩悩を生み出す根本的な要因として「貪瞋痴」つまり「貪りの心」「怒りの心」「真理を知らず愚かなこと」の三毒をあげています。同時に人間は煩悩によって苦しめられると説き、これをなくすこと、捨て去ることはできないとも説かれています。

煩悩とうまく付き合っていくには、自分自身の心のバランスを保ち、欲求をコントロールする心の強さ、豊かさが大切なのではないでしょうか。

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