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密教とは?仏教の教えの一つ?特徴や意味、修行法を簡単に紹介

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目次

密教とは神秘的な教義を師資伝承するという仏教流派のこと

密教とは、師資伝承(師僧から弟子へ伝えること)で広めるというスタンスをとっている仏教の流派の一つです。神秘的な思想と実践の体系を持つとともに、その教義を教団の中に封鎖しているという特徴があります。

正式には「秘密仏教」ですが略称として密教と呼ばれています。

読み方は「みっきょう」、英語では「Esoteric Buddhism」と訳せられ、本尊は大日如来だいにちにょらいです。

インドで発祥し弘法大師空海によって伝承された

密教の発祥は7〜8世紀ごろのインドであり、これがやがて中国の唐を経由し、平安時代の初めに日本に伝えられました。

日本に密教を伝えたのは、弘法大師空海こうぼうだいしくうかい伝教大師最澄でんぎょうだいしさいちょうです。

密教の逆のスタンスをとるのは「顕教」

密教とは逆のスタンスをとっていると言えるのが顕教けんぎょうです。

つまり、顕教とは、広く大衆に向かってその世界観を明瞭な言葉で説くという仏教のスタイル。浄土真宗、曹洞宗など密教以外の仏教宗派がとっている教えを指します。

密教と顕教とを分けて捉えるようになったのは、密教に思想的優越性を与えるために、空海自らが分類したもの。自らの宗の教えである密教と、他の宗派の教えを分類した教相判釈きょうそうはんじゃくと言われています。

日本の密教の主軸は二つ:①真言宗②天台宗

日本における密教は

  • ①真言宗
  • ②天台宗

この二宗。真言宗は密教専修ですが、天台宗は密教と顕教を同等の立場に置く「顕密一致」を基本スタンスとしているという違いがあります。

①空海が開いた「真言宗」

空海は唐代の純粋密教を日本に持ち帰り、日本仏教の一宗としての真言宗を開きました。

真言宗は東密と呼ばれることもありますが、その由来は空海が京都市にある東寺とうじ(正式名称:教王護国寺)を真言密教の根本道場としたことにあります。

東寺は、空海が嵯峨天皇より託された寺院で、日本初の密教寺院と言われています。

②最澄らによる「天台宗」

唐から天台教学を持ち帰った最澄は、平安時代初期(9世紀)に比叡山延暦寺において天台法華宗を開きました。これが日本における天台宗の始まりだとされています。

また、最澄は同時に密教も持ち帰っており、その後、弟子であった円仁(慈覚大師)・円珍(智証大師)が唐に渡り、中国密教を本格的に学びました。

このため、日本の天台宗は法華経を根本経典とし「自分を救い他人を利する」という顕教の教え「仏と自己の一体を観念し、仏の力で仏の境地に達する」という密教の教えの二つを包含していると言われています。なお、真言宗に伝わる密教と区別する意味として、天台宗に伝わる密教を台密と呼ぶことがあります。

密教特有の言葉と意味(一例)

密教ではなかなか耳にしないような特有の言葉が教義として伝えられています。その一例をご紹介します。

言葉意味
真言しんごん大日如来が発したとされる言葉のことで、宇宙の根本や真理そのものを表していると言われるもの。
梵語(サンスクリット語)のまま唱えることで仏と共鳴し、一体化できると考えられている。
梵字ぼんじ梵語を表記するための文字のこと
一般的には仏教、特に密教と結びついて、7〜-8世紀以降に東アジアに普及した仏教寺院で伝統的に使用されてきた悉曇文字しったんもじを指すことが多い。
種子しゅし・しゅじ 密教の修得において本尊となるもので、仏を想起するためのシンボルとなるもの。如来、菩薩、天部などの尊名を象徴的に表すもので、通常は一文字の梵字で表記される。
曼荼羅など、仏尊の絵姿の代わりとして、早さや手軽さを重視して種子が描かれることも多い。
阿闍梨あじゃり伝法灌頂でんぽうかんじょう(阿闍梨が修行者の頭に水をそそぎ、真理を受け継いだことを示す密教最高の儀式)を受けた最高位の僧のこと
伝統的な正しい習慣を知り、実行する人という意味がある梵語が語源。弘法大師空海は阿闍梨位(密教最高位)である。
阿頼耶識あらやしき仏教では人間の中には眼識、耳識、鼻識など8つの意識の段階があるとされており、阿頼耶識は個人存在の根幹にあって最も深層部分に位置する識と定義されている
通常は意識することのない識とされ、仏教の瞑想はこの阿頼耶識にたどり着くために行われるものとも言われている。
灌頂かんじょう密教において仏の教えを授けるための儀式のこと。内容や目的に応じて複数の種類がある。
▶︎灌頂について詳しくはこちら
曼荼羅まんだら悟りの境地・仏の世界観を表現した絵柄のこと。「まるいもの」を意味する梵語が語源。
▶︎曼荼羅について詳しくはこちら

密教独自の修行法と意味(一例)

公に教えを説く顕教とは異なり、独自の手法で教義を伝承している密教には、さまざまな独自の修行法があります。

その一例を紹介します。

修行法意味
阿字観あじかん一般の信者が悟りを実現させるための修行法
瞑想法であり、阿字(梵語50語のうち、最初の文字のことで文字の根源とされるもの)に集中することで、自分自身の中にいる大日如来と一体化できるとされている。
三密加持さんみつかじ仏と一体化するための修行法
人は「言葉・身体・心」の働きで成り立っており、これを三業いう。同時に仏は「口密・身密・意密」の三密を持っている。真言を唱え、手に印を結び、心が静寂安穏の状態になれば、三業と三密を一体化し、大日如来の境地を観念できるとされている。
護摩ごま炎で煩悩を焼き鎮める密教ならではの祈祷の方法
供物を煩悩になぞらえ、燃え盛る炎の中にそれを投げ入れることを外護摩、瞑想の中で行うものを内護摩という。これらを同時に行うことで、悩みの原因や病魔を焼き尽くして願いが叶うと言われている。
▶︎煩悩について詳しくはこちら

まとめ:密教とは師匠から弟子へ体験や口伝えで教えを伝承する仏教のスタイル

密教とは、7〜8世紀ごろにインドで発祥した仏教の流派の一つです。やがて中国に伝わり、日本には平安時代の初めに最澄・空海によって伝えられました

教義を教団の中に封鎖し、師資伝承することで広めるというスタンスをとっています。

日本における密教は、空海が開いた「真言宗」、最澄らによる「天台宗」の二宗。その中でも、真言宗は密教専修である一方、天台宗は密教と顕教を同等の立場に置く「顕密一致」を基本スタンスとするという違いがみられます。

密教には独自の修行法やなかなか耳にしないような言葉が数多くあります。密教系の寺院を訪れる際は、独自のスタイルに触れてみることも忘れないでおきたいものです。

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