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灯篭とは照明器具?意味・提灯や行灯との違い・各部の名称・種類・知覧1036の灯など徹底解説
灯篭(とうろう)とは仏教と共に伝わった照明器具
出典:pixabay
お盆やお祭り、お墓、神社でよく見かける灯篭(とうろう)は、飛鳥時代に仏教と共に伝わった照明器具でした。当時は「献灯」と呼ばれ社寺に設置されていたと言います。それが石灯篭に変わっていったという説が有力です。
ここでは、中国から伝わった説、屋内用、屋外用があること、神仏習合により神社にも置かれるようになったいきさつについて触れます。
中国から伝わった
灯篭は仏教とともに中国から伝わりました。元々は東アジアの伝統的な照明器具だったとされています。日本や中国の他、朝鮮半島やベトナムでも使用されていました。
当初は灯の火が消えないように木枠と紙で取り囲んだ物でした。それは灯(あかり)と篭(かご)を意味する字から想像できます。当時の火は油を燃やした炎やろうそくの火だったと言います。
屋内使用と屋外使用がある
灯篭には屋内使用と屋外使用があります。やがて屋内で灯として使用するものは行燈となり、屋外使用の物は提灯となったという説が有力です。
伝わった当初は仏教としての意味合いが強かった灯篭ですが、次第に庶民の生活に溶け込んでいったと考えられます。現在のように電気が普及していない頃なので、灯篭の灯は庶民にとって貴重なものでした。
神仏習合により神社にも置かれるようになった
奈良時代から始まったとされる神仏習合の動きにより、灯篭は神社にも設置されるようになりました。仏様同様に神様に捧げる清浄な灯の献灯としてです。
神社における灯篭は、神葬祭などの夜間の神事での陰灯(かげとう)として用いられます。この灯は陰灯篭とも呼ばれます。降神、昇神、遷座の儀でかすかに一方のみの灯をともす時などに使われます。長方形の小穴がある長方形の箱で、中にあるのは灯のともったロウソクです。
灯篭の意味は邪気を払うこと
灯篭には邪気を払うという意味があります。故人があちらの世で迷わないように導くということです。詳しく説明します。
故人があちらで迷わないように導く
主に墓前に建てられた灯篭の意味は、故人があちらの世界で道に迷わないように灯を灯し、邪気を払う意味があります。明るく照らすと邪気が寄ってこないという考え方からです。一説によると、邪気は暗いところを好むとされています。
また、灯篭によって故人を神仏の元に招くという考え方もあります。その他、電灯がなかった時代、お墓参りに来る人達の目印としての役割も担っていました。
しかし、現在ではこうした考え方は薄れつつあります。
灯篭・提灯・行燈の違い
灯篭と似た言葉に提灯や行燈があります。灯として使われていた点では同じですが、用途によっては異なるものです。その違いについて検証します。
灯篭(とうろう) | お墓、神社、庭園などで使用される照明器具 |
提灯(ちょうちん) | 折りたたんで使える照明器具。 |
行燈(あんどん) | 室内で使う照明道具 |
提灯は折りたためる照明器具
出典:小田原市HP
提灯は折りたたんで携帯できる照明道具でした。和紙を使った伸縮可能な照明道具だったと考えられます。中国から渡り、室町時代の初期頃には使われていたという説があります。戦国時代には、戦場で役に立っていました。
さらに当時の絵巻には、葬列で提灯をぶらさげて歩く人の列が描かれています。仏具としても使われていたことがわかります。
行燈は室内用の照明器具
出典:photo AC
行燈は室内用の照明道具です。ロウソクや油に浸した紙に火をつけ、竹、木、金属で作った枠を和紙で覆って風除けにしました。部屋の灯として使っていたと考えられます。
普及したのは江戸時代です。一般的には菜種油などを使っていましたが、庶民にとっては高価だったので、安価なイワシ油等を使用した家もありました。魚臭い悪臭が欠点だったと言います。
灯篭各部の名称
出典:photo AC
ここからは、灯篭各部の名称を紹介します。上から宝珠、笠、火袋、中台、竿、基礎です。
宝珠(ほうじゅ)
一番上に置かれている玉ねぎのような形を指します。
笠(かさ)
光源を入れる火袋の屋根部分です。四角形や六角形が主流ですが、雪見型の場合は円形が多いです。また、宝珠から線が延びる、わらび手という装飾が施されるケースもあります。
火袋(ひぶくろ)
ここに光源を入れます。灯篭の中心部分にあたり、火を入れて周囲に明るさを提供します。
中台(ちゅうだい)
中台は、火袋の下にあります。一番下になる基礎がひっくり返った形の物が多いです。下部分に蓮の花模様の装飾がなされていることもあります。
竿(さお)
もっとも長い部分で、2~3本付いている物も存在します。角型の他、円筒型もあり、中台を支える役目です。しかし、省略される場合もあります。
基礎
竿の下部分で最下部になることもありますが、この下に基壇がある灯篭も存在します。側面に格狭間などの彫刻が刻まれているケースもあります。また竿を立てる受座(うけざ)があり、逆さになっている蓮の花が表現されている場合が多いです。
地輪と呼ばれることもあります。
灯篭は4種類
灯篭は種類が多いものですが、ここでは主な4種類を紹介します。墓前灯篭、春日灯篭、雪見灯篭、置灯篭です。
お墓に置かれる墓前灯篭
出典:小野石材店
お墓の前に置かれている灯篭を墓前灯篭と言います。かつては、お墓参りに訪れる人の目印のために建てられました。また、お墓の前に灯篭を設置すると、故人が神仏の元に無事にたどり着くとも言われています。
しかし、現在では見栄えを良くするために建てられることも多いです。一般的には一対で建てるケースが多いです。しかし、スペースによっては1つのみというケースもあります。
仏式は丸型、神式は角型がよく見られます。
春日大社で使われていた春日灯篭
出典:photo AC
春日大社で使用されていた春日灯篭もあります。長い柱と高いところにある火袋が印象的な灯篭です。現在は春日大社のみでなく、多くのお寺や日本庭園に設置されています。庭園やお庭にマッチする高級感も感じられます。
ただし、高い位置に存在するので、地震の際に倒壊すると危険です。正しい固定措置が必要です。
低く作られた雪見灯篭
出典:photo AC
雪見灯篭には柱がありません。そのため、高さはありませんが、笠部分が大きめなので、インパクトがあります。日本庭園の池付近などでご覧になったことがある方は多いのではないでしょうか。
笠の形はいろいろあり、それによって呼び名が異なります。六角形の場合は「六角雪見」、丸ならば「丸雪見」です。どんな形でも足は3本の物が多く、小さくかわいらしい感じです。
灯篭は庭に置くケースもある
登龍は庭に置くケースもあります。雪見灯篭を始め、和風の庭園に灯篭がよく合います。
和風の庭に灯篭が合う
和風の庭には、小さめの灯篭が合います。特に池などの水面のそばに置くと、ほんのりとした灯で水面を照らすことが可能です。灯篭ならではの優しい灯が良い味を出します。
その他には門付近や玄関先に置いたり、庭園に庭木と一緒に置いたりする家をよく見かけます。和のテイストが灯篭によく合います。
灯篭はどこで購入できるか
庭やお墓に設置する灯篭を購入するには、どんなところがあるか紹介します。主に通販サイトや石材店です。
通販サイト
大手通販サイトで灯篭は売られています。Amazonや楽天の他、仏具店のサイトで購入可能です。また、価格比較サイトで価格を調べるのもおすすめです。
ただし、画像のみでは判断しかねるときもあります。なるべく大きな画像で見たり、サイトの機能を使ってあらゆる方向から見たりして、納得いくまで確認することをおすすめします。
石材店
石材店で購入することもできます。石にこだわった灯篭が多く取り扱われています。
たとえば、御影石、本鞍馬石など、石材店によっても種類はさまざまです。お店のホームページから購入できる場合もありますが、実際に見たいと思うならば足を運ぶことをおすすめします。
知覧にある灯篭
鹿児島県の知覧町にある特攻勇士の灯篭を紹介します。商店街から知覧特攻平和会館へ向かう道沿いには多くの石灯篭が建てられています。
特攻勇士1036名の灯篭
知覧には、第二次世界大戦末期に陸軍特攻基地がありました。多くの若者がそこから爆弾を載せた飛行機で沖縄戦に向かったのです。彼らは特攻隊員として飛行機もろとも敵に体当たりして命を落としました。死者は1,036名でした。
そんな特攻勇士の数1,036名分の石灯篭が湊橋から知覧平和特攻観音堂までの1,700mの地に建立されています。昭和62年から建立が始まり、令和3年4月時点で1,290完成しました。
故人をあちらの世界に導く灯として石灯篭は今後もずっと光を灯すでしょう。
よくある質問
- 灯篭流しはどんなイベントですか?
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故人の魂を弔うための儀式です。火を灯した灯篭を川や海に流します。昔、故人の魂は灯篭に乗って川から海に行き、あちらの世界に戻ると信じられていました。
- 豊臣秀吉の釣灯篭について教えて下さい。
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釣灯篭は石清水神社で保存されています。秀吉は、1586年太政大臣になり、豊臣の姓をたまわりました。翌年、九州を平定した感謝の気持ちを込め、「五七桐紋」「豊臣太政大臣」の刻銘を刻んだ金銅製釣灯篭を奉納しました。
- 灯篭を処分するのにお金はかかりますか?
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処分するには、解体や搬出の費用がかかります。灯篭の体積によって費用は異なります。処分専門の業者に頼むと、1kg30~45円ほどの相場で請け負ってくれることが多いです。
- 灯篭はどのように処分されますか?
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解体して撤去され、石として扱われます。たとえば、埋め立ての砕石として使用されたり、鉱さい加工後に土木用に使われたりします。または重機で細かく砕いた後にトラックで処分場に持ち込まれます。
- 灯篭を処分する際の注意点は?
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お墓や庭園で使用していたのであれば、丁寧にお清めを行います。先祖代々から使われていたため、いろいろな想いがこめられているからです。そして、どんな方法で処分するかきちんと確認して納得することも大事です。
また、名の通った彫刻家が創った物であれば、骨董品やアンティーク商品になるケースもあります。処分する前に石材店などに確認してみてください。
まとめ:灯篭は照明以外に故人を守る役割を担っている
灯篭は中国から伝わった照明道具です。お墓参りがしやすいように辺りを明るく照らす役割のみでなく、故人を守り道に迷わず、あちらの世界に連れて行く役割も担っています。
かつては屋外用、屋内用がありましたが、次第に屋内では行燈を使うようになりました。屋外では折りたたみができる提灯も使うようになり、灯篭はお墓や庭に設置するようになったのです。
現在でも灯篭はお墓や寺社、庭に設置されることが多いです。古くから受け継がれてきた人々の想いを感じながら、ほのかな灯のゆらめきを未来永劫受け継いでいきたいものです。