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凝灰岩とは?種類・特徴・火成岩との違い・どんな物に利用されるか解説

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目次

凝灰岩(ぎょうかいがん)とは火山灰が堆積してできた岩石

凝灰岩は、火山灰が堆積してできた堆積石の一種です。因みに火山灰は、火山の噴出物の一つでマグマが発泡してできました。そんな火山灰が地上や水中に堆積されると岩石になります。それが堆積岩の一種である凝灰岩です。構成されている成分は以下です。

  • 酸化アルミニウム
  • ナトリウム
  • 石灰
  • ケイ酸
  • 第二酸化鉄
  • カリウム
  • 酸化マグネシウム
  • 酸化マンガン

そんな凝灰岩は塊状になっており、どちらかというと層状構造になっていない物が多いです。中には角ばった形の物も存在し、さまざまな色があります。

この記事では、凝灰岩の種類・特徴・火成岩との違い・利用される物・よくある質問を解説します。

さまざまな色がある

凝灰岩の色は主に以下です。

  • 灰色
  • 暗緑色
  • 暗赤色
  • 赤色
  • 暗青色

中でも緑色の凝灰岩はグリーンタフとも呼ばれます。海底火山の噴火によってできた火山灰が、火山活動で生じた熱水によって変質したものです。その作用のために、黒雲母などの有色鉱物が緑色の緑泥石に変わり、緑の凝灰岩になったと考えられます。

凝灰岩の種類

ここからは、凝灰岩の種類を紹介します。

  • 軽石凝灰岩
  • 溶結凝灰岩
  • 緑色凝灰岩
  • 輝凝灰岩

これら4つについてです。

軽石凝灰岩

出典:地質調査総合センター

軽石凝灰岩(かるいしぎょうかいがん)は、軽石が主に構成物質として含まれます

特に有名なのは、栃木県宇都宮市産の大谷石です。粗粒の軽石片を多く含み、石材として利用される事が多い軽石凝灰岩です。

約1400万年前の火山活動で、海の底に堆積した火砕物(かさいぶつ)の地層が特徴的です。また、変質により緑色の鉱物がつくられる「グリーンタフ」としても知られています。

溶結凝灰岩

出典:福井大学福井ジオスポット

溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)は、熱い火山灰が大量に降り積もり、伸びたり溶けたりしながら結合してできた硬い岩石です。そして、この結合を溶結と呼びます。

軽石などがつぶれて凍結した溶結レンズが水平方向に並んでいるのも、この岩石ならではの特徴です。そんな溶結凝灰岩は柱状節理(ちゅうじょうせつり)をつくることが多いです。

たとえば、北海道大雪山東側の層雲狭で見られるのが溶結凝灰岩の柱状節理です。また、北アルプスの穂高岳の山体は、カルデラ火山の大爆発による溶結凝灰岩でできています。

緑色凝灰岩

出典:隠岐ユネスコ世界ジオパーク

緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうせいがん)は、その色からグリーンタフとも言われます。熱変質によって緑泥石(りょくでいせき)という鉱物がつくられ、それによって緑色や灰緑色になると考えられています。

日本海側に広く分布しており、中国、中部、関東、東北地方で確認されることが多いです。およそ2000~1500万年前の川や湖で形成されたという説が有力です。

上記の写真は2008年に隠岐にあるグリーンタフの地層で発見されたワニの歯の化石です。この場所では、タニシや淡水生の二枚貝などの化石は発見されていましたが、ワニの歯は初めてでした。

輝緑凝灰岩

出典:島根大学ミュージアム

輝緑凝灰岩(きりょくぎょうせいがん)は、シャールシュタイン又は塩基性凝灰岩とも呼ばれます。変質した鉱物を多く含み、緻密で緑や赤色、暗褐色の物が多く存在します。

玄武岩、塩基性火山岩、凝灰岩が変質したと考えられています。

ただし、最近では緑色岩(りょくしょくがん)と言われることもあります。緑色岩も輝緑凝灰岩同様、玄武岩などの変成作用によってできました。色は緑に限らず、赤紫など多種多様です。

凝灰岩の特徴

ここからは、凝灰岩の特徴を紹介します。

  • 多孔質
  • 軽くて柔らかい
  • 加工しやすい
  • お墓に向かない

これら4点について詳しく考えてみます。

多孔質

凝灰岩は、多孔質で小さな穴が多数あります。スポンジや軽石をイメージするとわかりやすいです。

そんな多孔質のメリットは、保湿性の高さや耐火性です。熱しにくく冷めにくい性質や熱に強い性質があるため、商品などに利用されやすいです。

デメリットは吸水性が高いことです。そのため、ごみやほこりなどが入りやすく、汚れやすいと考えられます。

軽くてやわらかい

凝灰岩は、軽くてやわらかいという特徴もあります。そのため、独特のやわらかい石質を活かした建造物も存在します。代表的な建造物は旧帝国ホテルや松が峰教会など。

また、凝灰岩の一種である大谷石は、高い吸音率を活かし、音響空間にも利用されています。たとえば、かつて採石場だった地下空間は、コンサート会場や映画撮影などのイベントに使用されています。

加工しやすい

凝灰岩は石質がやわらかいので、形を変えやすく加工しやすいです。しかし、風化しやすいため、細かいニュアンスを表現するようなモニュメント等には不向きです。

たとえば、建造物などによく使われる大谷石は、古墳石室に用いられたり、下野国分寺・尼寺の化粧石にも利用されたりしています。このような歴史的な建造物に利用されている凝灰岩は1000年以上経っても風化していません。

お墓に向かない

凝灰岩は水を吸収しやすく、劣化しやすいので、お墓には向きません

墓石は、長い期間同じ場所に設置されます。そのため、雨風にさらされても劣化しにくい花崗岩などの石材を使うことが多いです。

しかし、昭和初期には凝灰岩で建てられたお墓は多く存在しました。したがって、古いお墓であれば、凝灰岩による物も見られます。

凝灰岩と火成岩の違い

ここでは、凝灰岩と火成岩の違いはできた過程です。凝灰岩は堆積岩の一種で、火山灰などが水中で堆積してできました。一方、火成岩はマグマが冷え固まってできました。

こうした違いについて、凝灰岩が堆積岩の一種であること、火成岩の特徴とともに説明します。

凝灰岩は堆積岩の一種

凝灰岩は堆積岩の一種で、火山灰などが積み重なってできたものです。因みに堆積岩の種類には、土が積もったタイプのれき岩、砂岩、泥岩なども含まれます。

下記では、そんな堆積岩の特徴を紹介します。

堆積岩の特徴

堆積岩の主な特徴を以下に挙げます。

  • 粒の角が丸い物が多い
  • やわらかく加工しやすい
  • 動物の殻や骨でできたタイプは硬い
  • 火山灰の積み重なりによってできたタイプはやわらかい
  • 敷石や石塀などに加工されることが多い

堆積岩は粒が丸くてやわらかく加工しやすい岩石です。動物の殻、骨、火山灰などが積み重なってできました。

火成岩の特徴

火成岩の主な特徴を紹介します。

  • 火山岩と深成岩に分かれる
  • 火山岩は地表近くで急速に冷え固まった物
  • 深成岩は時間をかけてゆっくり固まった物
  • 火山岩は粗い結晶構造で斑状組織
  • 深成岩は粒が均等にそろった等粒状組織

火成岩はマグマが冷え固まった物です。地表近くで冷え固まった火山岩と時間をかけてゆっくり固まった深成岩に分かれます。

凝灰岩はどんなものに利用されるか

最後に、凝灰岩がどんなものに利用されているか、一部紹介します。

  • 大谷石や荻野石はお墓
  • 壁材
  • 岩風呂
  • 建築用
  • 石窯など

これらについて詳しく説明します。

大谷石や荻野石はお墓に利用できる

大谷石(おおやいし)や荻野石(おぎのいし)は凝灰岩ですが、お墓に利用されています。

大谷石は軽石凝灰岩で、栃木県宇都宮市北西の「大谷町」付近で採掘されています。流紋岩質火山の噴火で軽石や火山灰が堆積されてできました。

お墓や石塀の材料として使われています。

荻野石は緑色凝灰岩です。採掘先は福島県喜多方市荻野ですが、中部、関東、東北地方にも分布しています。淡青色で大谷石の青目と似た感じです。

お墓の他には建築、土木、敷石、石塀、壁の板材などに利用されています。

壁材

凝灰岩は壁材にも利用できます。

たとえば、秋田県大館市比内町産出の緑色凝灰岩は、吸収性、防カビ性に優れているため、壁材を始めとした建築材に広く利用されています。

壁材として利用するために上記の性質を生かした緑色凝灰岩の粉砕石粒を使用した壁材を開発した業者も存在します。一般的な壁材に使用する川砂より緑色凝灰岩の方が壁材に適していることも立証されました。

特に化学物質吸着性においては、他の壁材よりも優れているという研究成果も出しています。

岩風呂

伊豆青石や十和田石は、大谷石より緻密になっています。そして、濡れても滑りにくいため、温泉の岩風呂に利用されます。ただし、カビになりやすいので要注意です。

因みに伊豆青石は、静岡県河津町、十和田石は秋田県比内町で採掘される凝灰岩です。共に温泉地などで利用されています。

建築用

凝灰岩は、色合いの美しさや優しい雰囲気から建築用としても利用されることが多いです。特に内壁や浴室に使われます。

よく利用される凝灰岩は以下の通りです。

  • 大谷石
  • 十和田石
  • 竜山石
  • 芦野石
  • 白河石

石窯

大谷石を使用した家庭用にも使える石窯があります。耐熱性や保温性といった凝灰岩の特性を活かした石窯です。

ガスバーナーを使用しています。バーベキューを楽しんだり、ピザなどの本格的な料理をつくったりするのに役立ちます。

よくある質問

酸性凝灰岩とは?

酸性凝灰岩は、シリカ含有量が約66%超えの岩石です。このタイプの凝灰岩は中国地方に多く存在します。ただ、熱水変質作用や火山の陥没(かんぼつ)によって劣化している物が少なくありません。そのため、トンネル工事の際に問題視されます。

緑色の凝灰岩があるのはなぜ?

グリーンタフとも言われる緑色の凝灰岩は、海底火山の噴火でできた火山灰の変質によってできました。火山灰の変質のため、黒雲母などの有色鉱物が、緑泥石に変わったことで緑色になったと考えられます。

凝灰岩はどこに多く存在しますか?

秋田県の十和田湖周辺や北海道にある大雪山の層雲峡、熊本県の阿蘇などで多く見られます。

凝灰岩は軽い?

凝灰岩は軽いです。そしてやわらかいので、比較的風化されやすいです。そのため、細かい細工には向きませんが、塊状や切り石のカタチで使える建築には向いています。

まとめ:火山灰の堆積によってできた凝灰岩はさまざまな物に利用されている

凝灰岩は火山灰の堆積によってできた堆積岩の一種です。多孔質、軽くて柔らかいといった特性の他、耐火性にも優れています。

そんな凝灰岩の特性を生かし、壁材、建築材を始め、岩風呂、石窯などさまざまな物に利用され、私達の生活にも役立っています。

このように、はるか昔の火山活動が、今もなお、多くの人たちの生活を支えているのです。

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