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墓守(はかもり)とは?墓守の役割や墓守がいない場合の対処法についても解説
墓守(はかもり)は墓の継承者と墓所の管理者の2つの意味がある
墓守とは、文字通り墓を守る人のことで、個人墓であれば墓の継承者(基本的には子や孫)、墓所であれば墓所の管理者が墓守ということになります。
墓守であることは同じですが、それぞれ果たすべき役割は異なります。
この記事では、墓守の役割と墓を継承できなくなった場合の対処法について解説していきます。
墓の継承者の役割
そもそも墓は誰が継承するのでしょうか。
一般的には、その家の墓守は家の継承者であり、直系の子や孫という場合が多いです。
かつては長兄が家も墓も継ぐのが一般的でしたが、少子高齢化の中で長兄に限らず、その家の子どもが継承するようになってきています。
どうしても子や孫が継承できない場合は、その他の親族に託すこともありますが、負担がかかるのであまり一般的ではありません。
ここでは墓を継承した時の墓守の役割について解説します。
役割①墓参り・墓掃除
定期的な墓参りは墓守の大切な役割です。
お盆やお彼岸には墓参りをするのが一般的で、最低でも年に1度は墓参りが必要です。
墓参りの際には掃除もして、自分の墓を整えることはもちろん、墓の設備や自生した植物などが近隣に迷惑をかけていないかも確認することが大切です。
墓の修繕が必要な場合は業者の手配をし、その支払いも墓守が負います。
役割②法事の施主
数年おきにある先祖の回忌法要の施主を務めることも、墓守の役割です。
1周忌や三回忌のような大きな節目には、親戚や知人を招いて法事を行うことがありますが、その際の僧侶や参加者への連絡や会場の手配などが施主の主な仕事です。
また、寺院の墓所に墓がある場合は、檀家として寺院の年間行事への参加が必要な場合もあります。
役割③管理費の支払い
寺院や自治体、民間が運営している墓地は、墓守が管理費を支払うのが一般的です。
管理費は年払いにすることが多く、年間で千円程度というところもあれば、有名寺院のように2万円というところもあります。
管理費の支払いが停滞すると、墓を使用できなくなることもあるので注意が必要です。
墓所の管理者の役割
墓所を管理する団体には、寺院、自治体、民間の3種類があり、それぞれ管理者が異なります。
寺院墓地は寺に勤務する人や寺の住職、自治体の公営墓地は自治体の担当者や委託を受けている関連業者、民営墓地は運営団体や団体から委託された業者などが墓守として墓所全体の管理を行います。
ここでは墓所の管理者としての墓守の役割について解説します。
役割①墓所全体の掃除と修繕
墓所全体の共用部分の掃除や修繕は管理者の仕事です。
お墓にお供えされた食べ物や花などは、基本的には個々の墓の使用者が持ち帰るのが原則ですが、残っているものについては、害獣被害などを避けるために墓所の管理者が処分をすることもあります。
さらに、共用で使用する掃除用具の管理や補充も行います。
役割②墓の使用者への連絡
個別墓の使用者(一般的には墓の継承者)への事務的な連絡も墓所の管理者の仕事です。
墓所で行う年間行事をはじめ、個々の墓のトラブルに関することも墓所の管理者が確認し、関係者に連絡をします。
たとえ自分の墓であっても、墓の使用者が参拝に訪れるのは年に数回と少ないので、墓石が倒れていたり、壊れていたりしないかを定期的に確認するのは、墓所の管理者の役割でもあります。
もし、墓の修繕が必要な時や何か問題があった場合には、墓の使用者に連絡をして対処を求めます。
役割③埋葬に関する手続きや書類の発行
墓所の管理者は、墓の使用者からの依頼で埋葬や改葬などに必要な書類発行や手続きを行います。
例えば、墓に埋葬するためには、法律で墓所の管理者は火葬許可証(埋葬許可証)または改葬許可証を確認することとされています。
また、墓の使用者が墓じまいをして改葬する際は、埋葬証明書を発行するのも墓所の管理者の役割です。
役割④墓の使用者から管理費を徴収する
墓の使用者から管理費を徴収するのも、墓所の管理者の大切な仕事です。
徴収した管理費は共用部分の修繕や必要な備品の購入、墓所の運営などに使われます。
役割⑤法要の手配
墓所の年間行事として法要を開催する場合は、その準備や利用者へのお知らせを行います。
また、墓の使用者からの依頼で、個別の法要のために僧侶や関係業者の手配をすることもあります。
墓守(継承者)がいない場合の対処法
ここでいう墓守とは、個人墓の継承者を指します。
近年では少子高齢化や人口の都市部への集中などもあり、地方を中心に墓の継承者がいない無縁墓が問題になっています。
墓の継承ができない主な理由としては、以下の3つが挙げられます。
- 子どもや孫がいない
- 子や孫が遠方に住んでいる
- 墓守の役割を果たしていけない(すでに墓を継承している人で、なんらかの事情でこれ以上の継承が難しい場合など)
墓の継承ができない場合の対処法として、墓じまいと永代供養、散骨について解説していきます。
墓じまい
墓じまいとは、文字通り墓を片付けることです。
遺骨を取り出して、墓石を撤去し元通りの更地にして、墓地の管理者に返すまでを指します。
墓じまいに対して「罰当たり」というマイナスなイメージを持っている人もいますが、必ずしもそうとは限りません。
墓を継承できない人にとっては、墓じまいこそが唯一供養を継続するための方法になる可能性があるからです。
墓じまいのメリットとデメリットは、それぞれの家庭環境や地域の事情とも関係するので、じっくり検討することをおすすめします。
墓じまいのメリット
墓じまいのメリットというと、維持管理にかかっていた費用が安くなることに目が向きがちです。
しかしそれ以上に心理的なメリットが大きいことも特徴です。
- 無縁墓の解消
- 墓じまいの最大のメリットとも言えるのが、無縁墓にすることを避けられる点です。何らかの事情で墓の管理ができずに墓が荒れているなら、墓じまいを検討する価値があります。
- 墓じまい後に、住まいの近くに墓を移したり(改葬)、永代供養や納骨堂を利用したりすることもできます。その意味で墓じまいは、供養をやめるためではなく、供養を続けるための方法とも言えるのです。
- 管理費を抑えられる
- 墓じまい後は、墓を維持するためにかかっていた費用がなくなります。墓地の管理費や墓に通うための旅費、食事代など、定期的にかかっていた費用がかからなくなります。
- 墓じまい後に改葬する場合は、再びこれらの費用が発生する可能性がありますが、埋葬する場所や方法によっては、現在の墓よりも維持費を抑えられる可能性があります。
- 維持管理の負担がなくなる
- 墓じまいをすると、墓の掃除や手入れなど、墓を管理するための手間がかからなくなります。
墓じまいのデメリット
墓じまいのデメリットは、人間関係のトラブルになりやすいことです。
墓じまいのマイナスイメージが先行して、先入観で墓じまい=罰当たりな行為と捉える人もいるので、丁寧な説明を心がけましょう。
- 親族とのトラブル
- 先祖代々の墓を継承した場合は、関係する親族が多くなるので、墓じまいについて理解をなかなか得られない可能性があります。独断で決めてしまうとトラブルになり、関係が悪くなることもあるので注意が必要です。
- 寺とのトラブル
- 特に菩提寺に墓がある場合は、檀家としての付き合いもあるので、事前の相談が重要です。墓じまい後の埋葬先を、菩提寺以外にするならなおさらです。菩提寺の多くが檀家制度に支えられているため、墓じまいを機に檀家を失うことは、菩提寺にとっては大きな痛手。トラブルが大きくなると、高額な離壇料を請求される恐れもあるので、丁寧な説明が必要です。
- 墓じまいの費用と手間がかかる
- 墓じまいには、墓石の撤去や閉眼供養などに費用がかかります。改葬(遺骨を別の墓に埋葬する)する場合は、新しい埋葬先への支払いも発生します。
- なお、改葬するためには、役所に改葬許可申請書を提出し、許可を取る必要があります。先祖代々の墓で複数の遺骨がある場合は、手続きが煩雑で時間もかかります。
永代供養
永代供養とは、墓の継承者に代わってお寺や霊園などが供養を行う供養方法です。
家族の形が多様化し少子化も進む中、永代供養の注目度も高まっています。
個別に埋葬した場合は、個別供養の期間は限られていていますが、管理の手間がなく費用が抑えられるのが特徴です。
永代供養にもメリットとデメリットがあり、永代供養が適している場合もあれば、適さない場合もあります。
墓じまいと同じく、じっくり検討した上で選択するかどうかを決めましょう。
永代供養のメリット
永代供養のメリットは、多くの人がかかえる現代の墓問題の解決策とも言えるものです。
- 費用が安い
- 一般的な墓を建てるためには、墓石の建設費、区画の永代使用料をあわせて100~350万円ほどが相場と言われます。一方、永代供養にかかる費用は、一体あたり10万~70万円ほどが相場です。
- 継承者が不要
- 永代供養は基本的には管理の必要がありません。寺院や霊園が、掃除や供養を行います。墓が遠方にあり掃除や墓参りが難しい人や、継承者がなく自分の死後に不安がある人にとっては、心身の負担を軽くできることは大きなメリットです。
永代供養のデメリット
永代供養は従来の墓に親しみがある人にとっては違和感を感じる可能性があります。
永代供養のデメリットについても理解しておきましょう。
- 期間が限られている
- 永代供養では、個別の供養については期間が定められているのが一般的です。13回忌、17回忌、33回忌などの節目ごとに期間が選択でき、期間が過ぎると合祀(ごうし)され、個別の墓標もなくなります。
- 最長で33回忌までとしている寺院や霊園が多いのは、33回忌が弔い上げ(とむらいあげ)と言われる最後の法要だからです。仏教では33回忌の法要で、全ての魂は極楽浄土へ行き、往生(おうじょう)するとされています。
- 合祀(ごうし)されると改葬ができない
- 他の遺骨とまとめて納骨することを「合祀」と言いますが、永代供養で合祀した場合は、改めて遺骨を取り出すことができなくなります。改葬(遺骨を別の墓に移すこと)をしようと思っても、合祀後はできないので注意しましょう
散骨
散骨とは、死後は自然に還るという思想を具現化した自然葬のひとつです。
細かく砕いた遺骨(遺灰)を、海や森林、山などにまき供養します。
散骨のメリット
散骨すると基本的には遺骨は残りませんが、遺骨が残らないからこそのさまざまなメリットがあります。
- 「千の風になって」を具現化できる
- 散骨は大ヒット曲「千の風になって」をまさに具現化したような供養方法です。死後は風になって世界を自由に巡りたいと憧れる人や、大好きな場所で眠りたい人、自然が好きだった人などにとって、散骨の魅力は大きいものです。
- 費用が安価
- 埋葬の必要がないので、墓や永代供養などの費用がかかりません。葬儀と火葬の費用はかかりますが、粉骨や散骨の費用は高くても50万円ほど。一般的には墓を建てる場合の相場は150万円以上と言われているので、いかに散骨が費用がかからない方法かわかるでしょう。
- 墓を管理する負担がない
- 墓を継承者がいない場合、散骨で遺骨を残さないことは物理的にはもちろん、精神的な負担を軽くできる点で大きなメリットです。
- 自分の死後に子や孫に墓の心配をさせたくない人や墓じまい後は墓の管理から解放されたい人にも、散骨はおすすめです。
- 墓に配偶者や家族と入らなくて済む
- 配偶者と死に別れた後に、義家族との付き合いを断ち切りたい人やなんらかの事情で配偶者とは同じ墓に入りたくない人などが、死後離婚を選択するケースが増えています。
- 夫婦仲が悪く、亡くなった配偶者を弔うことに抵抗がある人や、死んでまで同じ墓に入りたくはないと思っている人には、散骨は解決策になる可能性があります。
散骨のデメリット
一旦、散骨をしてしまうと、遺骨を取り戻すことはできないのでデメリットについてもじっくり検討することをおすすめします。
- お墓参りができない
- 散骨は基本的に遺骨が残らないので、お墓参りができません。日本では、お墓や納骨堂、樹木葬など、埋葬した場所に故人の魂が宿るという思想が残っています。墓に手を合わせることで、故人との繋がりを感じ、心のよりどころとしている人もいるでしょう。そんな人にとって、手を合わせる墓がないことは、喪失感や不安を招く恐れがあります。
- 散骨では全ての遺骨を散骨するのではなく、一部を手元に残すこともできるので、分骨をして遺骨を残すことも検討すると良いでしょう。
- 周囲からの理解を得られない場合がある
- 必ずしも全ての人が、散骨を受け入れるとは限りません。例えば、夫が自分の死後に散骨を望んでも、妻が反対する可能性もあるでしょう。夫婦でも希望する供養方法は違うので、複数の家族や親族が関係するとなればなおさらです。
- 特に墓じまいをする際には注意が必要です。墓じまいするだけでもネガティブな印象を持つ人はいるので、墓じまい後に散骨するとなれば、さらなる反発を招きかねません。墓じまいや散骨を選択するに至った経緯をていねいに伝え、できるだけ理解を得るように努めましょう。
まとめ
墓を継承し墓守になることは、ご先祖の墓への責任を負うということです。
金銭面だけでなく心身の負担も大きい役割ですが、ご先祖との繋がりをもっとも感じることができる貴重な立場でもあります。
現代では家族の形や墓への思いが多様化していますが、伝統的な墓を守ることにも大きな価値があります。