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依り代って何?形代・御神体との違い・歴史・自然の依り代・つくられた依り代をご紹介
依り代とは神霊が寄り付く対象物
依り代(よりしろ)とは、神道による考え方の一つで神霊が寄り付く対象物のことです。依り代として挙げられる例はさまざまですが、主に人の魂に寄り付く依り代と自然による依り代の2種類に分別できます。
この記事では、依り代の大まかな意味、依り代と形代の違い、依り代と御神体の違い、依り代の歴史、自然の依り代、人に関係する依り代の具体例、よくある質問を紹介します。
依り代の例はさまざま
神霊が寄り付く対象物、つまり依り代の例はさまざまです。下記に主なものを挙げます。
・山
・岩
・御幣(神道の祭祀)
・動物
・人間
・柱
2種類の依り代
魂が寄り付くようにつくられた依り代、自然による依り代の2種類があります。
前者の依り代は、位牌や霊璽、神輿等が存在します。それに対して、後者は神社、岩、山など身近にある自然の産物を差します。
この2種類については、後で具体的に説明します。
依り代と形代の違い
依り代と似た言葉で形代(かたしろ)があります。形代は依り代の一種で、人形を用いて、人間の身代わりにする身代わり信仰です。依り代との違いは身代わりの意味の深さです。
ここで詳しく説明します。
形代は依り代の一種
形代は依り代の一種ですが、どちらかというと、身代わり信仰の意味が大きいです。過去には、人形を人間の身代わりとする儀式が多く行われていました。
行われるのは、人形を神霊が取り付きやすい形に整え、願いを込めて神様に差し出す儀式です。
人間と身代わりにされた
人間の身代わりにされた形代があります。たとえば、桃の節句で体の調子の悪い部分を形代でて穢れを遷し(うつし)、海や川に形代を流すなど。
その他の形代の例です。
・縄文時代の土偶
・弥生時代の土器
・古墳時代の人物埴輪
・川に流す七夕祭の短冊
依り代と御神体の違い
依り代と御神体は、同じ物を差します。つまり、依り代も御神体も神が宿るので、同じ意味ととらえて良いでしょう。
下記で御神体について詳しく説明します。
依り代と御神体は神が宿る
御神体と書くと神様そのもののように誤解されがちです。しかし、御神体は神様そのものではなく、依り代と同じで神様が宿っています。広い意味で言うと、神様が宿っているので、神様そのものととらえることも可能です。
御神体は古代からありました。御神木と言われる木も御神体です。その他、神様が隆臨(こうりん)※という霊石の磐座(いわくら)、そのものが御神体となる山があります。
※降臨:神様が地上に降りること
また、御幣や鏡、神像など、依り代とされるものも御神体と呼ばれます。
依り代の歴史
ここでは、依り代の歴史に触れます。最古の依り代と言われる土偶、八百万の神様、神様の立ち寄れる場について説明します。
最古の依り代は土偶
日本最古の依り代は、縄文時代の土偶と言われています。容易に魂が寄り付くように、人や動物の形に作られました。一種の形代と言っても良いでしょう。
この時代の人たちは、土偶に女神様や故人の魂を宿し、豊穣祈願の祭祀を行ったと考えられます。そして、肉体が滅んでも魂は永遠に家族の元に留まっていると信じられていました。
仮に家族やコミュニティに不幸なことが起こると、亡くなった人の祟りではないかと恐れました。
八百万の神が考えられた
「八百万の神」の存在は、道教の影響を受けていない古神道時代から考えられました。八百万の神は、すべての森羅万象に命が宿るという考えから生まれた多神です。神道の体系はここからつくられました。
自然の草木がある場所に神社が存在するのも八百万の神が存在するからです。たとえば「榊」も古来から依り代として祀られました。神道では、先端の葉っぱがとんがった部分に神様が存在すると考えられています。
榊が常緑樹で年間を通して葉が落ちないことから、魂の永遠と結びついたからでしょう。
神様が立ち寄れる場と依り代が考えられた
神様が地上に降りた際に立ち寄れる場として、依り代が考えられました。
まずは多くの神様の頂点に立つ天照大神(あまてらすおおみかみ)の依り代が考えられました。その依り代は八咫鏡(やたかがみ)、各神社など。また、各家庭の神棚には、天照大神のために鏡が備えられています。
そして、各神社にある依り代には注連縄(しめなわ)が張られるようになりました。
自然の依り代は神社・石・島・山など
ここからは自然の依り代には、具体的に何があるか考えてみます。神社や石、島、山などです。
・花窟神社の巨岩
・三輪山
・興玉神石
・沖ノ島
こうした自然の依り代をピックアップして説明します。
花窟神社の巨岩
花窟神社(はなのいわやじんじゃ)には、巨岩を依り代にした磐座があります。国生みの神様イザナギの妻で多くの神様を出産したイザナミノミコトが、火の神様カグツチノミコトを産み落として亡くなった場所です。火によって亡くなったと言われています。
日本最古の神社でユネスコ世界文化遺産に登録されました。紀伊山地の霊場、参詣道としても知られています。
大神神社の御神体である三輪山
奈良県の三輪山は大神神社の御神体です。そして、日本最古の大神神社は大物主大神(おおものぬしおおかみ)とも呼ばれる三輪明神を祀っています。三輪山は御神体であると同時に依り代です。
興玉神石は猿田彦大神の化身
興玉神石(おきたましんせき)は、三重県伊勢市の夫婦岩の先に沈んでいる、二見興玉神社の依り代です。この岩は猿田彦大神の化身とも言われています。
過去には、夫婦岩の間にありましたが、18世紀の地震が原因で海の中に沈みました。
神様の島である沖ノ島
沖ノ島は鹿児島県に位置する宗像神社の御神体です。年に1回、5月27日の大祭のみ上陸できる神様の島です。女人禁制の島としても知られています。
ユネスコの世界文化遺産に登録されています。
作られた依り代は人に関係するもの
作られた依り代は、人に関係するものです。以下の依り代について紹介します。
・位牌・霊璽
・神輿・山車
・大相撲
・巫女
位牌・霊璽は故人を祀っている
位牌は仏教、霊璽は神道の依り代です。位牌には仏様になった故人の霊、霊璽には守り神となった故人の御霊が宿っています。それぞれ、仏壇や祖霊舎で祀られています。
お祭りで知られている神輿・山車
神輿や山車は地域の祭典で用いられています。これらは神様の依り代です。
神様をお神輿に乗せ、山車でおもてなしします。神様は山車の先端で鎮座していると言われています。
横綱の土俵入りと大相撲
相撲は古事記の国譲りの話にまで遡ります。横綱の土俵入りで使用する「まわし」に白い注連縄(しめなわ)が見られるのは、横綱が依り代になっているからです。
そして、大相撲の土俵も神様の依り代です。場所前には土俵祭りが行われ、神様を招き入れます。今だ女人禁制になっているのもそのためです。
巫女
巫女は「かんなぎ」とも呼ばれ、神様に奉仕します。古くは神様からのメッセージを人に伝える役割も担っていました。
そんなことから、巫女も依り代と考えられます。
依り代のよくある質問
- 依り代の言い換えは?
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依り代は形代(かたしろ)と言い換える場合もあります。形代は依り代の一種ですが、人を形どった人形のように、神様が依りつきやすい形になっています。
- 人は依り代になりますか?
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人も依り代になります。代表的な例は神様に奉仕する巫女です。
- ものが依り代になる場合もありますか?
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ものが依り代になる場合も考えられます。木や岩などの自然の産物の他、注連縄、御幣、門松、お札、御守りなども依り代です。
- 依り代と神様は別ですか?
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依り代や御神体は神様が宿らなければ、神様そのものではありません。しかし、神様が宿ると神様そのものになると言われています。
- 流し雛(ながしびな)は形代ですか?
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流し雛は形代です。自分に見立てた人形をなでて自分の病気などを人形に移して川に流します。
まとめ:依り代は私達を守ってくれる
神霊が寄り付く依り代(よりしろ)は、自然のものと人に関するものがあります。また、依り代の一種である形代は、人形などが使われます。そして御神体は神様が宿るという意味で同じです。
こうした依り代は神社や岩、石、位牌、霊璽、神輿、山車、相撲などがあります。地域の祭典、相撲など人々を楽しませます。
依り代、形代、御神体など、神様はあらゆるものに寄り付き、私達を守ってくれます。