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離檀料を払わなければお寺を変えられない!?他人事ではない離檀トラブルとは

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最近、増えているお寺とのトラブル。その原因の一つになっているのが「離檀」をめぐってのトラブルです。

離檀とは、特定の寺の檀家を辞めること。日常生活では耳なじみのない言葉だと思いますが、墓がある人なら誰でも離檀を経験する可能性があり、決して他人事ではありません。

近年、墓を維持できない人が墓じまいをするケースが増え、それに伴って離檀による寺とのトラブルも増えています。なかには、数百万円もの離檀料を請求されたという話も!

世代が若くなるほど信仰心は低くなる傾向があり、今後はさらに寺と檀家との関係は変わっていくことが予想されます。檀家でいる目的は何なのか、離檀はどのようにしたら良いのか、万が一寺とトラブルになったときの解決策は?など、気になる疑問について解説していきます。

目次

まずは知っておきたい檀家制度の目的と仕組み

CHECK POINT POINT 1. 檀家制度の目的と仕組み

「檀家制度は江戸時代に始まった」

「檀家は金銭や実働で寺を支えるのが役割」 

そもそも檀家とは、どのような仕組みなのでしょうか?檀家でなければ、寺と大きなトラブルになるリスクは少ないのですが、多くの家庭がどこかの寺(菩提寺)の檀家になっているのが現状です。

なぜなのか?

それは、檀家になっていることにメリットがあるからです。なかでも最大のメリットは、葬儀を執り行ってもらえることでしょう。葬儀には僧侶の読経は不可欠。檀家になっていることが、いざという時の後ろ盾になるのです。

しかし、時代は変わり、最近では特定の寺の檀家になっていなくても、葬儀では葬儀社が手配する僧侶に読経をお願いすることも可能になりました。

現代の檀家の目的とは何か。考えていきましょう。

檀家制度の歴史

檀家は江戸時代に始まった檀家制度に端を発する日本固有の慣習です。それ以前から仏教寺院はもちろんありましたが、一般の家庭と寺院を強く結びつける制度はありませんでした。

檀家制度は必ずどこかの寺の檀家になるよう強制するもので、キリスト教信者の増加を抑制する目的があったと言われます。どこかの寺院の檀家にならなければ弾圧の対象になるので、檀家になることは必須でした。その結果、寺が強い力を持つようになりました。

檀家には金銭と実働によって寺を支えることが求められ、それと引き換えに寺は檀家の先祖を代々供養します。一見、檀家の負担が大きいように見えますが、先祖の供養を重視する日本では、先祖さらには自分の死後の供養を任せられる寺があるというのは大きな安心感にもなっていたようです。さらに、寺が地域のコミュニティとしての役割も果たしていたので、檀家同士のつながりが地域の結束にもつながっていました。

明治時代になると神道を推進する明治政府によって檀家の強制化は無くなり、火葬も一時的に禁止されましたが、すでに仏教が葬儀や死者の供養と強く結びついていたために寺と檀家の関係は残りました。

現代は家族の形や宗教観が多様化しているうえに、地方の過疎化が進み地域コミュニティーも縮小傾向にあります。そのため檀家制度を重く考える人は少なくなってきています。「墓が寺の敷地にあるから檀家になっている」というだけの人も多いのが現状です。

檀家に求められる役割

本来、寺は檀家の拠り所になるべき存在。つまり寺は、檀家のためにあるのです。そのため、檀家も寺を支えることが求められます。金銭面だけでなく、実働面でも檀家の支えなくして、寺は存続は困難です。

地域や寺によって、檀家の役割はさまざまですが、一般的には以下のような役割が求められます。

寺の行事などの手伝い

お釈迦様の命日をはじめ仏教で重要とされる節目の行事や、住職交代式(継職式)、寺の建物の建て増しや修復にともなう起工式・上棟式・定礎式などの手伝いや参列が求められます。儀式が大規模になる場合は、当日の参加はもちろん、事前の準備段階で手伝いを頼まれるケースもあります。

墓の管理費もしくは檀家料の支払い

寺の敷地に墓がある場合は、墓の管理費または檀家料を支払う必要があります。年間1万~2万円ほどが相場です。

葬儀や法要の依頼とお布施

寺の役割は、檀家の先祖を供養することです。そのため、月命日のお参りやお盆参り、年忌法要など、節目ごとにさまざまな供養をしてくれます。檀家はその都度お布施を渡す必要があり、月命日には3千円、お盆には5千円、年忌法要では3万~5万円くらいがお布施の相場です。さらに葬儀では、複数の僧侶に読経をお願いすることが多いので、お布施の額は20万円以上になることもあります。

寺の改修工事の費用の負担

寺を増築したり修繕する場合の改修工事の費用は、檀家にも寄付金が求めれられるのが一般的です。数万円から数十万円まで工事の規模によって寄付金の額は変わります。

いつもあることではありませんが、金額が高額になることもあり、檀家にとっては大きな負担です。

「檀家を辞めたい!」離檀に至るケース

CHECK POINT POINT 2. 離檀をする理由

「墓じまい」

「改葬」

「改宗」

「その他(寺との関係の悪化など)」

「家を継ぐ」ことが重視されていた時代には、地域コミュニティへの参加はとても重要で、同時に檀家として地元の寺に尽くすことは当たり前と考えられていました。

しかし現代では、若い世代は都市部に生活拠点を移すケースが多く、地方の過疎化が進むなかで、家制度の重要性は低下しています。実家を離れているので、地域コミュニティはもちろん、寺との関係も希薄になるのは仕方がないことです。そのため檀家としての役割を果たせなくなり、檀家を辞める=離檀をするという決断に至るケースも。

離檀をする代表的な理由について見ていきましょう。

墓じまい

墓じまいとは、文字通り、墓を閉じること。遺骨を取り出し、墓石を解体して元の更地に戻します。

墓じまいをする目的はさまざまですが、後継者の不在や墓が遠方で管理ができないなどの理由で、墓を維持することが難しい人が、墓じまいをするケースが増えています。墓を閉じてしまえば、寺に世話になる機会はほとんどなくなるので、墓じまいを機に離壇をする人は少なくありません。

改葬

改葬とは、遺骨を他の場所に納骨することで、基本的には墓じまいをしてから改葬となります。

改葬先の寺院にお世話になるため、これまで墓があった寺の檀家は辞めるのが一般的です。改葬先の霊園に指定の寺院がなく、これまでの寺に引き続き供養をお願いする場合は、そのまま檀家を続けても良いでしょう。

改葬には新たな墓を建てる以外に永代供養という方法があります。永代供養とは、墓の所有者に代わって墓地の管理者が供養を代行する方法です。

墓じまいをした後に、永代供養を同じ寺に依頼する場合は、永代供養専用の墓地に納骨をして、永代供養料を支払います。永代供養料は決められた期間中に必要な供養のすべてをお願いするための費用で、初回に一括でお渡しするのが一般的です。永代供養を依頼するということは、これ以上は墓の管理ができないという意味ですから、これまで通り檀家の役割を果たしていくことも難しくなります。そのため永代供養料を離壇料としてお渡しするケースもあります。

また、別の寺院や霊園に永代供養を依頼する場合は、改葬と同じく離壇の手続きが必要です。

改宗

改宗とは、これまで信仰してきた宗教を捨てて、他の宗教に改めることです。仏教からキリスト教のように他の宗教に改めることも改宗ですし、仏教の宗派を変更する宗旨替えも改宗に含まれます。つまり同じ仏教でも、宗派の異なる寺の檀家になることも改宗となります。その場合の多くは、墓じまいによって改葬をするケースで、檀家側には改宗をした意識がないことが少なくありません。

日本は信仰の自由が認められているので、宗教や宗派は個人の意思で選べます。一方、檀家は家制度のうえに成り立つものなので、個人を尊重する現代の法律とはそぐわない部分もあります。

その他(寺との関係の悪化など)

寺と檀家はお互いの信頼関係が大切ですが、なんらかの影響で信頼関係が崩れることもあり、それが原因で離檀に至るケースもあります。

例えば、「寺の住職が変わったことで方針も変更になり、檀家側が不満がある場合」や「葬儀の進め方に納得できなかった場合」など。こうした寺への不信感から、関係が悪化する場合があるのです。

一方、檀家が勝手に葬儀を他の寺に依頼したり、墓の管理費を滞納するなど檀家としての役割を果たしてくれないことに対して、寺が不信感を抱き離檀を言い渡すこともあります。

通常の人間関係なら、すっぱり付き合いをやめれば済むことですが、檀家であるということは先祖の墓を供養してもらっている可能性が高く、簡単に断ち切れない関係であるために、トラブルが悪化しやすいのが問題です。

離檀料をめぐる寺とのトラブルが増加

CHECK POINT POINT 3. 離檀料を渡す意味と金額相場

「離檀料とは寺の檀家を辞める時に渡すお布施」

「離檀料の相場は10万~30万円」

離檀をする際に寺とのトラブルに発展しやすいのが、離檀料をめぐる問題です。お金がからむので、解決に時間がかかることも。そもそも離檀するために、なぜお金が必要なのでしょうか?

離檀料とは

離檀料とは寺の檀家を辞める=離檀をする時にこれまでの感謝の気持ちをこめて渡すお金です。これまで世話になったお礼として本尊に捧げる点で、お布施の一種と考えられています。感謝の気持ちですから、必ずしも包まなければならないという決まりはありません。

一方、檀家に支えられている寺としては、檀家を辞めてほしくないのが本音。何の相談もなく、墓じまいや離檀の報告をされれば、気分を害する可能性があります。その結果、高額な離檀料の請求や、遺骨を人質かわりに墓じまいに応じないというトラブルに発展する恐れも。

寺の要求に応える義務はないので、裁判になった場合は檀家側に有利な判決が出る可能性が高く、離檀料を渡さずに檀家を辞めることも可能です。とはいえ、寺とのトラブルで因縁がついては気持ち良くはないものです。

その意味では、離檀料を支払うことは、遺恨を残さず離檀をするための方法とも言えるのです。

離檀料の相場

離壇料は、通常のお布施の2~3倍ほどが相場と言われ、10~30万円ほどを包むことが多いようです。例えば、回忌法要でお布施を5万円お渡ししているなら、離壇料は10万~15万円となります。

また、墓じまいで墓石から仏の魂を抜くために閉眼供養を依頼する場合は、閉眼供養のお布施もプラスすると良いでしょう。寺によっては、閉眼供養料と離檀料を合わせて渡す場合もあります。

離断料が数百万円!?【実録】本当にあったお寺トラブル事例紹介

CHECK POINT POINT 4. 寺とのトラブル事例4つ

ケース1「離檀料を数百万円請求された」

ケース2「墓じまいの請求額が不安」

ケース3「月参りの義務付け」

ケース4「住職の態度に不信感」

ここでは、現役のお坊さんにお悩みを相談できる「hasunohaハスノハ」に寄せられたお寺とのトラブル事例をご紹介します。

今すぐ離檀や改宗をするつもりはなくても、お墓を持つ人なら誰でもトラブルに巻き込まれる可能性があるので、ぜひ自分事として参考にしてみてくださいね。

ケース1「離檀料を数百万円請求された」

<状況>

・先祖代々お世話になっているお寺に永代供養を申し出たところ、法外な金額を請求された。

・日々の寄附金や檀家料もきちんと納めている。

・請求に納得ができないため離檀を持ちかけたところ数百万円もの離断料を請求された。

・墓守としてお墓を今後引き継いでくれる者がいない。

・今のお寺を離れて別なお寺に移りたい。

<質問>

・離檀料は必要なのか。

・離檀料の平均金額はいくら程なのか。

この質問に対してお坊さんからの回答は…

<回答>

・今回のように離檀料を寺院側から請求する場合「お布施」とは呼べない。

・何百万円もの離檀料は異常。

・改葬許可証への住職の署名捺印を断られる可能性あり

・役所や弁護士、石材店、もしくはそのお寺の本山への相談をするべき。

出典:hasunohaハスノハ|問答(Q&A)

https://hasunoha.jp/questions/2440

ケース2「墓じまいにいくら請求されるか不安」

<状況>

・父母が老齢のため、家族で相談して墓じまいをすることにした。

・相談のため寺から指定された時間に出向いたところ、住職が出てくるまで寒空の中20分も待たされた。

・墓じまいの供養料を20万円請求され、厳しい経済状況ではあるが仕方なく納得した。

・石材店を紹介してほしいと頼んでも名前を教えてくれず、いくら請求されるのか不安。

・前の住職から息子に代替わりして以来、寄付金が1口30万円になり、自宅のリフォームばかりに使われており信用できない。

<質問>

・墓じまいをするにはどうしたらいいのか。

この質問に対してお坊さんからの回答は…

<回答>

・石材店と寺とは別なので、紹介がなければ自分で選んで良い。

・特定の寺との檀家関係をやめたあとの、お骨の供養方法や両親の葬儀についても考えることが大切。

出典:hasunohaハスノハ|問答(Q&A)

https://hasunoha.jp/questions/24829

ケース3「月参りを義務付けてきた」

<状況>

・今までお世話になってきた寺から、檀家には月参りを義務付けると言われた。

・理由として、音信不通になった檀家があり、墓維持費も徴収出来ず、無縁墓トラブルで警察沙汰になったので、無縁墓対策だと言われたが、ズレがあると感じている。

・月参りで檀家との信頼関係が築けるのかはなはだ疑問。

・定期的な月参りを断るならば墓じまいをするように言われた。

・後継者がいないため、いずれは墓じまいを考えてはいたが、寺の一方的な言い分に不信感が募っている。

<質問>

・毎日家族が仏壇に手を合わせることが一番だと思っている(月参りは必要ない)が、それだけではいけないのか。

この質問に対してお坊さんからの回答は…

<回答>

・他の檀家や檀家総代などに相談してみた方が良い。

・自身の信仰にあわなければ、離檀も検討すべき。

・定期的な月参りが、高齢者の単独世帯の訪問機会になることもある。

・月参りの義務化が檀家総会の決議であれば、従う方が良い。

・他の檀家がみな従っている場合は、公平性の観点から従った方がベターなこともある。

出典:hasunohaハスノハ|問答(Q&A)

https://hasunoha.jp/questions/21273

ケース4「住職の態度に不信感があり離檀も考えている」

<状況>

・先祖代々お世話になっている寺に祖母の葬儀を依頼したところ、住職に不誠実な対応をされた。

・葬儀で咳払いをしながら読経し、落とした木魚も自分では拾わなかった。

・日頃から、住職の素行の悪さは噂になっている。

・葬儀の希望日を連絡した際に、「僕も忙しいからさ、疲れちゃうし」と言われ別日になった。

・相場の3倍以上のお布施を求められた。

・葬儀に自家用車で来訪した住職に、車代を渡したところ「タクシーだと1万じゃ足りないよね」と言われた。

・四十九日法要で、住職に位牌や遺影を雑に扱われたように感じた。

・住職に祖母を悼む気持ち、遺族に寄り添う気持ちは全く感じられなかった。

・田舎町のため、離檀をするとなれば噂が広まる可能性がある。

・両親が健在なので、でしゃばる気はないが、何かあった時には良い案を出せるようにしたい。

<質問>

・このような住職の対応を受け入れるしかないのか。

・先祖代々からのお寺を離檀するというのは良くないことなのか。

・離檀の際は今の住職にまず話をするべきなのか。

この質問に対してお坊さんからの回答は…

<回答>

・葬儀の希望日を断る態度としては、住職の言動は不誠実。

・位牌や遺影は丁寧に扱われるべきで、遺族の悲しみに寄り添うのが僧侶の役目。

・読経中に咳払いや木魚を落とすことはよくある。

・お布施の金額は地域や宗派によって慣習が違うので、一概に相場の3倍と決めつけない方が良い。

・離檀をする際は、必ず住職に話す必要がある。

・他の住職に仏事を依頼する場合に、離檀の理由によっては受けてもらいにくくなるので、慎重に考えることが大切。

出典:hasunohaハスノハ|問答(Q&A)

https://hasunoha.jp/questions/48812

お寺とトラブルになった時の対処法 

CHECK POINT POINT 5. 寺とのトラブル対処手順

1.「1対1で住職に相談する」

2.「複数の檀家で住職に相談する」

3.「離檀は最終手段」

お寺に不信感を抱きトラブルに至ってしまった場合、どのように解決したら良いのでしょうか?トラブルの原因によって対応は異なりますが、以下の手順で進めてみることをおすすめします。

1.まずは個人的に住職に相談する

僧侶といえども、同じ人間です。間違うこともあれば、勘違いすることもあります。寺とのトラブルはお互いの立場を理解できていないことが原因になりやすいので、まずはお互いに歩み寄り、相手の立場になってみることが大切です。

特に葬儀や法要の進行は素人ではわからない部分も多く、一方的に寺や住職に不満を募らせている可能性もあるので、疑問に感じることがあれば謙虚な姿勢で訪ねてみると良いでしょう。

寺に限らず、理解を深めるためにはコミュニケーションは欠かせません。寺との関係が希薄になっている現代では、お互いを知らないために起こるトラブルも少なくないのです。

2.他の檀家と住職に相談する

個人的に住職に話をしてもわかり合えない時や、単独で相談するのが不安な時は、他の檀家や檀家総代などにも相談して、住職に話してみても良いでしょう。

本来、寺は檀家のためにあり、住職と檀家は対応な立場なのですが、残念ながら住職が檀家に対して高圧的な態度をとるケースもあるようです。その場合は、1対1では話が進まない可能性があるので、同じような不満を持ち改善を希望する檀家を募り、住職に話を持ちかけてみましょう。ある程度、まとまった檀家の意見となれば、住職も耳を傾けるはずです。

3.最終手段は離檀

それでも折り合いがつかない場合には、離檀について検討しましょう。離檀=お寺との関係を絶つことなので、家族や親族ともしっかり相談したうえで、住職に話すことが大切です。

離檀に至った経緯や理由を説明することは大切ですが、これからはお付き合いはなくなるので、住職への不満などは伝えるべきではありません。正直に伝えたことで、かえって険悪なムードになり、離檀ができなくなっては大変です。

離檀をする場合、多く方は墓じまいもすることになるので、墓じまいの時期や方法、その後の遺骨の埋葬方法なども下調べをしておくと良いでしょう。離檀をした後の供養について見通しがないままに離檀をすると、後々困ることにもなるので墓じまいや改葬についての知識と情報は身に着けておくことをおすすめします。

円満に離檀をする方法

CHECK POINT POINT 6. 離断をスムーズに進めるコツ

「離檀の理由を説明し感謝の気持ちを伝える」

「離檀料を事前に確認する」

お寺との関係の良し悪しに関わらず、これまで付き合いのあったお寺との関係を絶つ離檀は、それ自体がトラブルに発展しやすいので、慎重に進めることが大切です。離檀を含め宗教に関する法律は定められていないため、事務的に進めることが難しい場面もあります。簡単に言えば、根回しが大切なのです。

離檀をスムーズに行うために、気をつけたい注意点について解説します。

離檀をする理由を丁寧に説明しお礼を伝える

まずは寺の住職に離檀や墓じまいに至った経緯を説明しましょう。墓の継承が難しくこのままでは無縁仏になり兼ねない事情や檀家料の支払いが経済的に厳しいなど、理由を丁寧に説明すれば理解をしてもらえるはずです。

墓じまいの際は、墓石の撤去や区画の整備を専門業者に依頼するので、寺と付き合いのある業者があれば、この際に紹介してもらいましょう。墓地の形や地形に慣れているので、墓じまいの工事がスムーズに進みやすく安心感があります。自分で安い業者を探すことは可能ですが、他の業者の使用を禁止している場合もあるので、まずは確認が必要です。

離檀料について事前に確認する

離檀料に限らず、お布施の金額を確認することは失礼ではありません。墓じまいや離檀の相談をする際に、いくらくらいお渡しすれば良いかを直接たずねた方がベターです。勝手に判断して金額を決めると、かえって失礼になることもあります。

もしご恩を感じていて、気持ちを表したい場合は、言われた金額に可能な範囲でプラスしてお渡ししても良いでしょう。

離檀料はお布施の一種なので、現金を金封に包み、表書きは濃墨の筆ペンで「お布施」と書き入れましょう。閉眼供養と兼ねる時には「閉眼供養料」でもかまいません。

離檀料をめぐるお寺トラブル解決策4つ

CHECK POINT POINT 7. 離断料トラブル発生時に相談すべき第三者

「自治体の役所」

「弁護士や司法書士」

「檀家総代」

「宗派の総本山」

もしも離檀をめぐって寺とトラブルになってしまった時は、どのように対処すれば良いのでしょうか。数百万円にも上る高額な離檀料を請求されたという事例もあるだけに、必ず離檀がスムーズにいくという保証はありません。

寺の要求に不服がある場合は、そのまま話し合いを続けても解決策を探りにくいもの。

特に墓じまいをする場合は、寺が遺骨を人質にとって離檀に応じないというケースもあります。このような場合は、第三者に相談した方が良いでしょう。

自治体に相談する

改葬には市区町村から発行してもらう「改葬許可証」が必要ですが、手続きには寺が発行する「埋葬証明書」を提出しなければなりません。改葬を希望しているのに、寺が埋葬証明書の発行を拒む場合は、自治体の窓口に相談してみましょう。

寺に正当な理由がない場合、埋葬証明書なしでも改葬許可証を発行してもらうことができるか、確認することをおすすめします。

法律の専門家に相談する

金銭に関わる話し合いはデリケートな問題です。争いも大きくなりやすいので、弁護士や司法書士など、専門家に相談するのもおすすめです。

離檀についての法律はありませんが、憲法では信仰の自由が認められているので、離檀も必然的に認められることになります。また離檀料は感謝の気持ちをあらわすお布施で、離檀に関する契約がなければ支払いも任意です。

法律の専門家は過去の判例にも詳しいので、離檀料の金額が妥当かを判断してくれます。

檀家総代に相談する

檀家総代とは、檀家を代表するまとめ役の人です。寺に頻繁に足を運び、貢献度もその他の檀家よりも高いのが一般的です。住職とも信頼関係を築いていることが多いので、寺への話も通りやすい可能性があります。

寺としても檀家総代の話を軽く扱うことはできないので、より親身になって耳を傾けてくれるでしょう。

本山に相談する

本山とは宗派の末寺を統括する寺のことで、いわば宗派のトップです。本山が離檀料を請求することはなく、基本的には離檀料の請求も認めてはいません。離檀に関する話し合いが紛糾した場合は、本山に相談することも検討しましょう。

ただし、これは上司に言いつけるような行為ですし、末寺の檀家が本山に直接連絡することも一般的とは言えません。本山の指導で寺が離檀を認めたとしても、わだかまりが残る可能性があります。

こちらは、他の方法を尽くした後の最終手段として考えておきましょう。

まとめ

できれば経験したくないお寺とのトラブルですが、少子化や地方の過疎化が進む現代では、これからも墓の継承ができずにお寺との関係が変化するケースが増え、それに伴いトラブルも増える可能性があります。

先祖の供養をする上で寺との関係をゼロにすることは難しいので、自分の死後の埋葬や供養方法も含めて、寺との付き合い方を見直してみても良いでしょう。もし寺に不満がある場合やトラブルを抱えている場合は、できれば第三者に相談しながら関係の修復に務めたり、場合によっては離檀についても検討したりする必要があります。遺恨を残さないために、時間をかけて忍耐強く解決策を探ることも大切です。

CHECK POINT一覧

ここまでに紹介してきたCHECK POINTをまとめました。現在、お寺との関係に悩んでいる方はもちろん、将来の墓の継承や寺との付き合い方を考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。

CHECK POINT POINT 1. 檀家制度の目的と仕組み

「檀家制度は江戸時代に始まった」

「檀家は金銭や実働で寺を支えるのが役割」

CHECK POINT POINT 2. 離檀をする理由

「墓じまい」

「改葬」

「改宗」

「その他(寺との関係の悪化など)」

CHECK POINT POINT 3. 離檀料を渡す意味と金額相場

「離檀料とは寺の檀家を辞める時に渡すお布施」

「離檀料の相場は10万~30万円」

CHECK POINT POINT 4. 寺とのトラブル事例4つ

ケース1「離檀料を数百万円請求された」

ケース2「墓じまいの請求額が不安」

ケース3「月参りの義務付け」

ケース4「住職の態度に不信感」

CHECK POINT POINT 5. 寺とのトラブル対処手順

1.「1対1で住職に相談する」

2.「複数の檀家で住職に相談する」

3.「離檀は最終手段」

CHECK POINT POINT 6. 離断をスムーズに進めるコツ

「離檀の理由を説明し感謝の気持ちを伝える」

「離檀料を事前に確認する」

CHECK POINT POINT 7. 離断料トラブル発生時に相談すべき第三者

「自治体の役所」

「弁護士や司法書士」

「檀家総代」

「宗派の総本山」

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