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もうお墓はいらない!?お墓を持たない選択をする人が増加する背景と新しい供養方法について

目次

お墓がいらないとはどういうこと?

「お墓はいらない!」

そんな人が増えています。

そう聞くと、お墓があるのが当たり前という方は、ドキッとするのではないでしょうか?なんとなく、死んだ後はお墓に入るものだと考えている人は多いと思いますが、そのお墓は既に用意してありますか?あなたの死後、誰かが供養してくれる見込みはありますか?

今はまだ、墓を継ぐことも、墓に入ることも想像できない人も、いつかは墓の問題に直面するかもしれません。そして、今現在、こうした墓の問題に直面して、墓はいらないと考える人が緩やかに増えているのです。

墓がなければ、先祖をどうやって供養すれば良いのか、自分の死後、遺骨をどうしたら良いのか、疑問に思うかもしれませんね。

この記事では、なぜ墓はいらないという人が増えているのか、墓なしでどうやって供養するのか、さらに現在の墓を閉じる「墓じまい」の方法についても解説していきます。

お墓がいらない人の事情とは(自分が墓に入りたくないと考えている人)

CHECK POINT  1. お墓がいらない人の事情は2種類

「墓の管理が難しい」

「墓を持つことににこだわらない」

そもそもお墓がいらないという結論に至る人は、どのような事情を抱えているのでしょうか。何か特別な思想や事情があるのだろうと思うかもしれませんが、現代社会では誰もが直面する可能性のある事情が多いのです。

ここでは、墓はいらない人の代表的な理由についてご紹介します。

墓の管理が難しい

CHECK POINT POINT2. 墓の管理が難しい理由

「墓が遠い」

「家族との関係が悪い」

「墓が高い」

「寺との関係が悪い」

墓を維持するためには、定期的な掃除や墓参り、管理費の支払いなどが必要です。管理せずに放置し荒れた墓を「無縁仏」や「無縁墓」と言いますが、無縁墓は増加傾向にあり社会的な問題にもなっています。放置された墓に雑草が生えたり、破損したりすると、近隣の墓に迷惑になるうえに、管理費の未払いは墓を管理する寺や自治体の財政を圧迫することにもなります。

裏を返せば、それだけ無縁墓にせざるを得ない事情を抱えている人が多いとも言えるのです。

墓の管理が困難になる理由については、次の3つが挙げられます。

墓が遠い

自分の生活拠点と墓が離れている場合、墓の管理は難しくなります。墓参りに行くためには、交通費がかかり、移動や帰省のための時間も確保しなければなりません。

出典:夏に関するアンケート調査を実施!|明治安田生命保険相互会社

https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2019/pdf/20190719_01.pdf

2019年に明治安田生命が行った「夏に関するアンケート調査」では、帰省にかける費用の平均は31,472円。子どもがいる家庭では、新幹線や航空便のように一人あたりの料金がかさむ移動手段ではなく、自動車で安く帰省をしたいと考える人が多いようです。

昔から、若者の田舎離れはありましたが、少子高齢化で地方の人口減少は前にもまして深刻です。進学や就職で地方を離れ、都会にそのまま住み続けるケースは多く、地方は過疎と高齢化が急速に進んでいます。それに伴い、墓守りの高齢化も進み、その負担が大きくなっているのです。

家を継ぐことさえできない子や孫世代にとって、遠く離れた場所にある墓を継承していくことは現実的ではありません。そのため、現在の墓を墓じまいして永代供養や散骨など、墓のいらない供養方法に切り替えることを希望する人がいるのです。

家族との関係が悪い 

両親や義両親などの家族との仲が悪く、同じ墓に入りたくない場合、自分は墓を持たず違う形の供養を希望するケースがあります。

先祖代々の墓はあるものの、家族間に解決しがたい確執があれば、死んでまで同じ墓に入りたくはないと考えても不思議なことではありません。

近年では、配偶者と死別した後にお互いの親族関係を絶つ「婚姻関係終了届」通称、死後離婚を選択する人が急増しています。死後離婚は正式には離婚とは異なりますが、配偶者との親族関係を終わらせることが主な目的です。この手続きによって、義両親の介護や扶養の義務が無くなり、墓や仏壇などの祭祀財産の継承の必要もなくなります。

また、配偶者と不仲だったものの、生前は離婚が難しかった場合は、婚姻関係終了届によって実質的に離婚ができることで精神的に解放されるというメリットもあります。

墓を継承する重責から解放された結果、改めてお金をかけて墓を建て、子や孫に墓守りの負担を引き継ぐことを、ためらうようになる…。そんな人が、自分の死後は墓はいらないと考えるケースも少なくありません。

墓を建てるためのハードルが高い 

墓を探し購入するまでは、さまざまな課題に直面します。実際に探しはじめてみると、自宅や子どもの住まいから離れていたり、墓の永代使用料(墓を建てるために、墓地や霊園に土地の使用を認めてもらうための料金)が高額だったりと、墓を建てるまでのハードルの高さを実感することもしばしば。

一般的な墓を建てる場合の費用相場は200万円前後と言われ、地価の高い都市部では300万円以上になることもざらです。

立地も!価格も!などとこだわっているうちに、墓探しに疲れて墓を持つことを諦める人もいます。墓はいらないとまでは割り切れない気持ちを抱えつつ、現実的には墓を持つことは難しいと感じ、墓以外の方法を模索する人もいます。

寺との関係が悪い

寺の敷地内に墓がある場合、寺との関係によっては、墓を維持したくないという場合があります。寺に墓があるということは、その寺の檀家になっている可能性が高く、檀家には寺を支えることが求められます。定期的な檀家料の支払いや、建物の修復や儀式の際の寄付金、大きな儀式では手伝いを求められることも。寺は檀家の葬儀はもちろん月参りや年忌法要を執り行い、檀家の法要全般をサポートしますが、ここでもお布施が必要です。そして、墓がある限り、この関係は続きます。

寺との関係が良好であれば問題ありませんが、問題が生じた時は、信頼関係を維持できず檀家を辞める「離檀」を選択し、墓じまいに至ることがあります。取り出した遺骨の供養方法として、墓は建てずに永代供養や樹木葬、散骨などにする人も少なくありません。

墓にこだわっていない

CHECK POINT POINT3. 墓にこだわらない人の事情 

「無宗教」

「墓守りの負担を子孫に残したくない」

墓の管理ができるかに関わらず、墓にこだわっていないから、墓はいらないという人もいます。

日本では信仰の自由が認められている一方で、信仰心の高さは全体で見れば高いとは言えません。墓は宗教と結びつくことが多いので、信仰心が特にない人の中には、宗教を葬儀のためと割り切っている場合もあります。年齢が若いほどその傾向は強く、宗教離れが墓離れにもつながっています。

墓にこだわりがない人に多い特徴を、2つご紹介します。

無宗教である

葬儀や遺体の埋葬方法は、宗教と深く関係しているので、無宗教で埋葬方法にもこだわりがないという人もいます。日本では墓を持ち管理していくためには、初期用を含め数百万円の費用がかかり、その負担は小さくありません。

特に信仰している宗教がなく、死後の埋葬や供養にこだわりがない人は、墓があることの方がむしろ負担に感じる可能性があり、その結果、墓はいらないという結論に至ることも。

墓守りの負担を後世に残したくない

墓を維持管理することの大変さを知っているからこそ、子や孫に墓守りの負担を引き継ぎたくないと考え、墓じまいをしたり、墓を持たない選択をしたりするケースがあります。

墓を維持管理するためには、手間も時間も費用もかかります。墓が家の近くにあれば、簡単に通えますが、遠方の場合は墓に移動するだけでも時間と費用がかかり、頻繁に通うことは難しいでしょう。さらに、寺の敷地内に墓があり、その寺の檀家になっている場合は、檀家の役目も求められる可能性があり、墓守りの負担は小さくありません。

こうした負担を引き継げるのかは、家族の状況から事前に判断ができます。

すでに墓を持っている人も先祖の供養に一定の区切りをつけ、永代供養や散骨などに切り替えた上で、自分の墓はいらないと選択する人もいるのです。

お墓がいらない人たちはどうやって供養している?

CHECK POINT POINT4. 墓以外の供養方法

「永代供養(えいたいくよう)」

「手元供養」

「散骨」

「樹木葬」

「0(ゼロ)葬」

日本では死後はお墓に入るのが一般的なので、お墓なしにどのように供養するのか疑問に思う人は多いでしょう。実際はお墓に埋葬する以外にも、供養の方法はあります。

ここでは、5つの供養方法の特徴と、どのような人に適しているかについても解説します。

永代供養(えいたいくよう)

【こんな人におすすめ】

  • 墓じまいをしたい人
  • 墓はいらないが、一定期間は個別に供養する場所がほしい人 

永代供養とは遺族に代わって、寺や霊園が故人の供養をしてくれる仕組みです。墓を管理する必要がなく、無縁墓になる心配もありません。現在の墓を墓じまいしたい人や、墓はいらないけれど、一定期間は供養できる場所がほしい人に向いています。

遺骨の埋葬方法には、個別と合祀(ごうし)あります。個別埋葬には、一般の墓のような墓石を建てるタイプ、永代供養用のスペースに埋葬し故人のネームプレートだけを建てるタイプ、屋内の納骨堂に埋葬するタイプなど、その方法はさまざま。個別埋葬の期間は33回忌などの節目の法要までと決まっていて、その期間を過ぎると合祀されるのが一般的です。現在、墓がなく、自分や配偶者の死後、大切な人を弔うための場所は欲しい、でも墓は持ちたくない場合は、永代供養は一つの選択肢になります。

一方、合祀は他の遺骨と合わせて埋葬する方法で、費用は個別に比べるとかなり安く、期間の定めもありません。ただし、一度合祀すると、遺骨は取り出せなくなるので合祀の前には十分検討することが大切です。墓じまいをした後に、複数の先祖の遺骨があり個別の埋葬が難しい場合は、合祀による永代供養も検討すると良いでしょう。

手元供養

【こんな人におすすめ】

  • 亡くなった後も故人を近くに感じたい人
  • 納骨先が決まっていない人

手元供養とは文字通り、遺骨を身近に安置して供養する方法です。自宅に祭壇を作り、骨壺に入れた遺骨を安置する方法や、遺骨を加工してアクセサリーとして身に着ける方法などがあります。

幼い子を亡くした親が子どもの遺骨を自宅に置き手元供養にする人は多く、墓ができるまで、一時的に手元供養にすることもあれば、墓は建てずに永代供養にするケースもあります。また、配偶者の遺骨を埋葬の際に分骨して手元に置いたり、遺骨の一部をダイヤモンドに加工して身に着けたりする人もいます。

手元供養は永久にできる供養方法ではないので、残された遺族の気持ちが落ち着くまでの一時的な方法と考えた方が良いでしょう。子や孫に手元供養を引き継がせることは大きな負担ですし、現実的ではありません。いずれは、遺骨の供養方法を検討する必要があります。

散骨

【こんな人におすすめ】

  • 亡くなったら自然に還りたいと考えている(故人が考えていた)人
  • 墓じまい後の先祖の供養方法を探している人

散骨とは、遺骨を粉状にして(粉骨)海や森林などに巻く供養方法です。遺骨を埋葬しないので墓はなく、手を合わせるための墓標もありません。まるで「千の風になって」を地で行く方法と言って良いでしょう。死後は自然に還りたいという願望がある人や、墓じまいで取り出した先祖の遺骨の供養先を探している人にもおすすめです。

散骨をする場所として人気が高いのは海ですが、森林、山、河川、宇宙での散骨も可能です。散骨についての法律の定めはありませんが、法務省の見解では「相当の節度をもって」行うことが大切だとされています。相当の節度とは、散骨によって周囲に迷惑をかけない場所と方法を選択すること、と考えれば良いでしょう。つまり、他の田畑や民家と地続きの森林や山などは、現実的には近隣の住民感情を考えると選択肢は狭いのが実情です。海洋散骨でも海水浴場や漁場を避け、沿岸部まで船で移動して散骨をするケースがほとんどです。

樹木葬

【こんな人におすすめ】

  • 亡くなったら自然(土)に還りたい人
  • 手を合わせるために墓標代わりになるシンボルが欲しい人

樹木葬は墓標の代わりとして、象徴的な木の周辺に遺骨を埋葬する方法で、散骨と同様に死後は自然に還りたいと願う人に人気の方法です。死後は家族が手を合わせる場所を残したいと考えている人には、散骨よりも樹木葬の方が良いでしょう。

樹木葬とは言っていますが、実際は永代供養のオプションとなっていることがほとんど。遺骨の埋葬は墓地や霊園などが管理する許可を得た場所と決まっているので、自宅の木の下に埋葬することはできません(違法です)。

樹木葬には、個別納骨、集合墓タイプ、合祀タイプがあり、個別納骨と集合墓タイプは個別の骨壺に遺骨を納め埋葬し、合祀タイプは他のお骨と一緒に納められます。

0(ゼロ)葬

【こんな人におすすめ】

  • 葬儀も供養も必要ない(故人が必要ないと言い残していた)人
  • 葬儀の負担をかけたくない人
  • 葬儀や供養の費用を節約したい人

0葬とは、通夜も葬儀も行わず、火葬だけを行い、その後は骨の処分も火葬場にお願いするという、新しい弔い方です。遺骨を持ち帰らないので、墓も必要ありません。

宗教学者の島田裕巳氏が著書「0葬 ――あっさり死ぬ 」の中で究極の死の形として提唱した形式で、メディアでも取り上げられ大きな話題となりました。島田氏は著書の中で、自身の葬儀やお墓をどうするか悩む日本人が増えていることに触れ、費用や手間など遺族に迷惑をかけない死に方として、0葬を提唱。0葬は葬られる側にとって、死後の不安を解消するための有効な方法だと説いています。

かかる費用が火葬だけということもあり、残された家族に葬儀の費用負担をかけたくない人や、葬儀や墓の費用の捻出が難しい遺族にも支持されています。

ただ0葬に対応している火葬場は限らていて、関東の多くの自治体では遺骨の全引き取りを義務付けているので、希望しても0葬ができない可能性があります。大阪をはじめ西日本ではもともと遺骨は一部を持ち帰り、それ以外は火葬場が処分するという文化が根付いたこともあり、0葬に対応してくれる火葬場もあります。

供養方法別費用一覧

CHECK POINT POINT5. 供養方法別費用相場

「永代供養の相場:20万~150万円」

「手元供養の相場:1万~200万円」

「海洋散骨の相場:5万~40万円」

「樹木葬(永代供養付き)の相場:5万~150万円」

「0(ゼロ)葬の相場:10万~40万円」

永代供養の費用相場&特徴 

埋葬方法   費用相場    特徴
個別納骨1体20万~70万円・個別、夫婦、家族単位での埋葬が可能
・墓標が設置されるので、どこに埋葬されているかがかわかりやすい
・一定期間が過ぎると、合祀される
合葬1体5万~30万円・最初から他の遺骨とあわせて納骨する(合祀)
・遺骨は取り出せない
・個別納骨のような期間の定めがない
樹木葬1体40万~100万円・死後は自然にかえるという思想を具現化
・墓標の代わりに象徴的な木や植物が植えられ、その周辺に納骨する
・個別納骨と合葬を選べる場合があり、個別の方が割高
納骨堂1体20万~150万円・屋内の施設に個別に納骨する
・気候や天気に関係なく、参拝がしやすい
・ロッカー型、仏壇型などが一般的(参拝スペースに自動でお骨が運ばれてくる自動搬送型もある)
・屋外の個別納骨よりも割高になることが多い

手元供養の費用相場&特徴

手元供養の種類費用特徴
自宅で供養する・ミニ骨壺:5千円~10万円
・ミニ仏壇:2千円~15万円
・ミニ骨壺(手の平ほどのサイズの骨壺)に遺骨の一部を分骨して、納めるのが一般的。
・ミニ仏壇はボックスタイプの仏壇に、写真立てや香炉、おりん、などがセットになっているものも。
遺骨をアクセサリーにして身に着ける・遺骨の一部をケースに納めタイプ:1万円~20万円
・遺骨をダイヤモンドに加工:50万~200万円
・遺骨を納めるケースは、素材をチタン、シルバー、ゴールドなどから選び、デザインを指定。
・遺骨をダイヤモンドに加工する加工費の他、ジュエリーにする場合は追加料金が5万円前後かかる。

海洋散骨の費用相場&特徴 

海洋散骨の種類       費用特徴
個別散骨15万円~40万円
※3つの中では、もっとも料金が高いタイプ。
・1組だけで船をチャーターし、散骨場所まで向かい、散骨する方法。
・遺族や親しい親族、友人などで、気兼ねなく散骨葬を執り行えるのがメリット。
合同散骨10万円~20万円
※乗り合わせる家族の組数によって、料金は変動する。
・何組かで船を乗り合わせて、散骨場所に向かい、散骨する方法。
・複数組で乗り合わせるため、日程調整が必要。
・費用を安く抑えられる。
委託散骨5万円~10万円
※3つの中で、もっとも料金が安いタイプ。複数の遺骨の散骨を依頼できるので、墓じまい後で遺骨が何体かある場合も対応してもらえる。
・遺族に代わって散骨業者に散骨を依頼する方法。
・遺族は散骨場所には向かわず、遺骨を預かった業者が代理で散骨を行う。
・遺族は散骨の様子を写真で確認。
・船には乗船しないため、日程調整の必要がない。

樹木葬(永代供養付き)の費用相場&特徴

樹木葬の種類     費用特徴
個別納骨50万~150万円・シンボルとなる樹木の下に、個別または家族単位で納骨するスタイル。
・一定期間が過ぎると、合祀される。
集合墓タイプ20万~60万円・シンボルとなる樹木は共有し、骨壺は個別に埋葬するスタイル。
・基本的には遺骨を取り出すことができる。
・一定期間を過ぎると合祀される。
合祀タイプ5万~20万円   ・シンボルとなる樹木を共有し、骨壺は用いず、他の遺骨と一緒に埋葬するスタイル。
・遺骨は取り出せない。
・期間の定めがない。

0(ゼロ)葬の費用相場&特徴

地域費用特徴
近場で0葬ができる火葬場がない地域(関東など)30万~40万円  ・遺体を0葬対応地域の火葬場まで移送する必要があり、その分の費用が追加でかかる。
・遺族が火葬に参列する場合は、交通費や宿泊費などが追加でかかる。
近場に0葬ができる火葬場ある地域(西日本など)10万~15万円・対応地域であれば、プランに遺体の搬送、安置所の確保、火葬まで組み込まれれる。
・火葬に参列してもしなくても良い。

現在の墓はどうしたらいい?

CHECK POINT POINT6 今ある墓の対策

「墓じまい」

「墓じまいは、事前~事後まで3段階の準備と手続きが必要」

「墓じまいの費用は数十万~300万円」

すでに今、墓がある人は、墓はいらないからといって、そのまま墓を放置するわけにはいきません。墓を閉じる「墓じまい」をする必要があります。

墓の後継者が減少している現代では、墓じまいを希望する人は増加傾向にあります。ここでは、墓じまいとはどのようなことをするのか、墓じまいをする人が増えている背景も含め、解説していきます。

墓じまいという選択

墓じまいとは、文字通り墓を片付け終いにすることです。墓じまいをする人が増えている背景にも、墓はいらないという人が増えている理由と同じく、墓の維持が難しくなっていることが関係しています。地方では過疎高齢化が進むとともに、墓守りの高齢化も進んでいます。いつまで自分が墓を守れるのか、不安を抱えている高齢者が増えています。

一方で、遠く離れた地に暮らす子や孫にとっても、故郷の墓を守ることは簡単ではありません。墓参りをしたくてもすぐには行けなかったり、帰省には交通費がかかったりと、墓参りが一大行事になっているケースも。両親亡き後に、果たして自分が墓を守っていけるのか、不安に感じている人は少なくないのです。

墓掃除や墓参りを怠れば、墓は荒れ、寺や近隣の墓の所有者から苦情が出るかもしれませんし、何より墓を放置して無縁仏にするのは、心理的に気持ちの良いものではありません。墓が、物理的にも精神的にもストレスの元になっている可能性があるわけです。

日本では先祖を大切にする文化が根付いているので、先祖代々の墓を墓じまいすることに抵抗がある人は多い半面、墓を無縁仏にするくらいならと、苦渋の決断として墓じまいをする人もいます。

その意味では、むしろ先祖供養を疎かにしたくないからこそ、墓じまいをしている人も少なくないのです。

墓じまいの方法

墓じまいには、現在の墓を撤去する作業の他にも、遺骨の移送先やこれまでの寺との付き合いなど、さまざまな準備が必要です。

ここでは、「墓じまいの前」「墓じまい」「墓じまいの後」の3つの段階で必要になる手続きについて解説します。

墓じまいの前

  • 墓じまい後の遺骨の供養方法を決める

墓じまいをする際は、取り出した遺骨の供養方法についても、同時に検討することが大切です。

遺骨を自宅に持ち帰り、手元供養をすることは違法ではありません。しかし、収容している遺骨が多かったり、心理的な負担になったりと、手元供養が難しい場合もあるでしょう。

新たに墓を作り納骨する(改葬)か、永代供養や散骨などにするかは自由です。墓じまいの目的にあわせた供養の方法を検討しましょう。供養方法が決まったら、依頼先を選定します。

  • 墓の管理者(菩提寺や霊園など)に墓じまいをする旨を伝える

墓を所有する菩提寺や霊園に、墓じまいをすることを伝え、手続きや日程について相談します。

墓じまいを機に、檀家をやめる際は離檀手続きが必要になるので、その際の手続きについても確認しましょう。離壇をする際は、これまでのお礼としてお布施をお渡しするのが一般的です。これを離壇料と呼びます。離壇料の相場は5万円前後~20万円までと幅広く、必ずしも定額ではありません。トラブルを避けるうえでも、事前に確認することをおすすめします。

  • 工事業者の選定と見積依頼

墓石の撤去や整地などの工事は、石材店に依頼するのが一般的です。寺や霊園が石材店を指定する場合もあるので、工事業者についても墓の管理者に相談すると良いでしょう。

特に指定業者がなければ、複数の石材店や専門業者から費用の見積もりをとり、サービス内容と併せて検討します。

  • 役所へ改葬許可申請書を提出する

遺骨を現在の墓から取り出し、別の供養先に納骨することを、改葬(かいそう)と言います。改葬には役所への届け出が必要です。散骨や自宅で供養をする場合は、基本的に必要はありませんが、自治体によっては求められることもあります。

届け出には、以下の3つの書類が必要です。

「改葬許可申請書」

市区町村役所のホームページからダウンロードするか、窓口で入手できます。申請書には、故人の本籍、住所、性別、氏名、死亡年月日、火葬の場所と火葬を行った年月日、改葬の理由や改葬先の住所などが必要です。自治体によって、記載内容は異なるので事前に確認して情報を集めておくとスムーズです。

「埋葬証明書」

現在の墓の管理者から発行してもらう書類です。

「受入証明書」

改葬先の管理者から発行してもらう書類です。

墓じまい

  • 閉眼供養

遺骨を取り出す際に、お墓から魂を抜くための儀式です。宗教者に読経をあげていただき、可能であれば立ち会うようにしましょう。お布施として閉眼供養料をお渡しします。

  • 撤去工事

遺骨を取り出した後に、墓石を解体撤去し更地に戻します。管理者に土地を返して、墓じまいが完了です。

  • 離檀料を渡す

改葬を期に、菩提寺の檀家をやめる場合は、離壇料を渡して、これまでのお礼を述べましょう。

墓じまいの後

  • 改葬先に納骨する

新たに遺骨を納める寺院や霊園で納骨をします。墓を建てる場合は、開眼供養(魂入れ)をしてもらうのが一般的です。なお、永代供養の場合は開眼供養は行いません。

墓じまいの費用

墓じまいには、墓の解体や閉眼供養料などさまざまな費用がかかります。

以下に、墓じまいの際に発生する費用の相場を紹介します。

内容費用相場支払先備考
墓石の解体・撤去工事     約8万~15万円/1㎡・石材店
・専門業者
墓の広さ以外にも、以下を考慮して料金が決まります。
・重機や運搬機が入れるか
・墓石の大きさや量
・遺骨の数
・作業日数
・作業人数
閉眼供養料3万~5万円・墓を管理する寺院の宗教者
・閉眼供養を依頼した宗教者
一般的な法要と同じく、お布施としてお渡しします。
書類交付1000~3000円・市区町村役所改葬許可書の発行手数料をはじめ、手続きに必要な費用です。
離壇料3万~20万円・墓じまいを機に檀家を離れる菩提寺離壇料に定額はありませんが、高額な離壇料を請求された場合は、弁護士などに相談しましょう。
改葬にかかる費用・一般墓:200万円前後
・永代供養-個別納骨:1体20万~70万円-合祀:1体5万~30万円-樹木葬:1体40万~100万円
・散骨-海洋:10万~50万円-山林:5万~10万円
・改葬先の寺院や霊園一般の墓の墓石や土地の価格は、地域によって大きな差があります。関東地方はいずれも高く、300万円を超える場合もあります。
開眼供養料3万~5万円・改葬先の寺院
・開眼供養を依頼した宗教者
一般的な法要と同じく、お布施としてお渡しします。

墓じまいをする時の注意点

CHECK POINT POINT 7 墓じまいをする際の3つの注意点

「家族や親せきからの理解を得る」

「寺の理解を得る」

「墓じまいの工事費用をしっかり確認する」

墓じまいをする人が増えているとはいえ、一般的とまで言える状況ではありません。先祖の遺体を扱うデリケートな作業なので、中にはトラブルに発展してしまうケースも。

たとえ墓を一人で管理していたとしても、墓じまいをする際は関係する親せきや周囲の人に相談することが大切です。まして、その後、墓はいらないとなれば、賛成する人ばかりではないことは予想できるでしょう。

ここでは、墓じまいでトラブルが起こりやすい場面や、実際のトラブル事例についてもご紹介します。

親戚とのトラブル(墓じまいに反対する親族とのトラブル)

もっとも注意したいのが、親族や周囲の理解を得ることです。特に先祖代々の墓の場合は、関わる親族も多いため、事前に相談をして理解を得ることが大切です。

墓を守ることが当たり前とされる地域では、墓じまいについて感情的に抵抗がある人は少なくありません。中には、墓じまいを無責任な行為だと非難する人もいるでしょう。

供養を絶やさないための苦渋の決断であること、物理的、経済的な負担が大きいことなど、相手の感情面に配慮しつつ墓じまいに至った事情を伝えましょう。

まずは、無縁仏にしないための選択であることを、根気強く説明することが大切です。

【トラブル事例】「父親の墓を母が勝手に墓じまいしていた」

・母から電話で、父の墓じまいについて突然知らされた。

・「今、某お寺の共同墓地に永代供養をしてもらう手続きが終わったから、今度からはそのお寺に行ったらいいから」と簡単に言われ、墓や父を粗末に扱われたように感じ激怒している。

・なぜ事前の相談がなかったのかと問い詰めても「後も先も一緒。なんで、文句言われないといけない」と跳ね返された。

・姉に相談したが、特に問題視しておらず、気が収まらない。

【イキカタ編集部】

お母さまとしては、子どもたちに墓守りの負担をかけないために、自分で判断しお父様のお墓を墓じまいされたのかもしれません。しかし、せめて事前に子どもたちには相談する必要はあったと思います。この件で、母娘関係にヒビが入ってしまう可能性もあるので、墓じまいは「独断しない」「家族に相談する」が、やはり鉄則!

出典:hasunohaハスノハ

https://hasunoha.jp/questions/49376

寺とのトラブル(離檀料をめぐるトラブル)

墓じまいを機に寺との関係も終わりにする場合は離檀の手続きをしますが、これが問題になる恐れがあります。

寺にとって、檀家からの支援は大きな収入源です。そのため墓じまいをしてほしくないのが本音です。気持ちよく墓じまいをするためには、経緯や理由についても丁寧に説明し理解を得られるよう努めましょう。相談する中で、閉眼供養料や離壇料についても事前に確認しておくことも忘れずに。

【トラブル事例】「数百万円の離檀料を請求された」

・墓の継承者がいないため、永代供養に切り替えたいと希望したところ、永代供養料が支払える金額ではなかった。

・檀家を辞めることを伝えたら、今度は数百万円の離檀料を請求された。

【イキカタ編集部】

墓の継承ができない事情を説明し、永代供養にしたいと相談しているのに、寺からこのような対応をされることは稀なケースかもしれませんが、実際にあった事例です。離檀料についてはお布施という位置づけなので、そもそも支払いの義務はありません。金額の根拠も示されないようなら、弁護士や司法書士に相談した方がベター!

出典:hasunohaハスノハ

https://hasunoha.jp/questions/2440

石材店とのトラブル(工事費用をめぐるトラブル)

墓石の撤去や整地を依頼する石材店は、できれば複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と価格を検討することが大切です。

墓石撤去にかかる料金は、基本的には墓の広さで計算されます。例えば、1㎡10万円の場合、墓が2mx2m=4㎡であれば、40万円です。しかし、墓の立地や状態によっては、追加費用を請求されることもあります。墓石を撤去するためには、特殊な機材が必要なので、機材が入れない場合は、人員を増やさなければなりません。さらに作業時間も長くなるので、その分費用が高くなる可能性があるのです。

墓の広さだけを計って見積もりを出してもらうと、作業後に高額な料金を請求されトラブルになる恐れがあるので、できるだけ現地に視察に来てもらい見積もりを出してもらいましょう。

また、複数の業者を比較することで費用相場がわかり、サービス内容も検討しやすくなります。

【トラブル事例】「寺が石材店からの見積書を開示してくれず、高額請求された」

・墓石の撤去費用は寺から石材店に支払うから、寺に支払いをするように言われた。

・石材店からの見積もりを見せてほしいと頼んだが、拒否された。

・石材店に確認したところ、寺の請求額の1/3の価格だった。

・寺に伝えたところ、近隣の墓を傷つけた場合の損害費用、重機侵入の費用を追加していると言われた。

・入金がない限り、役所への書類に押印しないと言われている。

【イキカタ編集部】

こちらは、石材店とのトラブルというよりも、寺とのトラブルですが、寺が指定する石材店であっても、撤去工事の契約は石材店と直接結ぶのが基本です。見積金額と寺からの請求額に3倍もの差があるのは異常です。役所への書類(埋葬証明書)に押印しない根拠としても不十分ですし、遺骨を盾に取った脅しとも取れます。石材店から個別に見積書をとったうえで、役所や弁護士に相談することも考えるべし!

出典:Yahoo!JAPAN知恵袋

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12217468187?__ysp=5aKT44CA5qWt6ICF44CA44OI44Op44OW44Or

まとめ

墓を持つか持たないかは、個人の自由です。宗教や墓に対する価値観が多様化する現代では、墓はいらないという選択をする人も増えてくることでしょう。墓に入るのが当たり前の時代ではなくなりつつあるわけです。

墓に対する思いは、夫婦でさえも異なる可能性があります。夫婦だからといって、相手の価値観や選択を否定したり、自分の価値観を押し付けるのはいかがなものでしょう。墓を疎かにして良いわけではありませんが、自分の死後の処遇を巡ってトラブルになるのは残念ですよね。

生き方と同じく、逝き方にも自分らしさを求める時代になっていくのかもしれませんね。

CHECK POINT一覧

ここまでに紹介してきたCHECK POINTをまとめました。現在、お墓はいらないと思っている方はもちろん、将来、墓を持つことや継承することに不安がある方も、ぜひ参考にしてみてください。

CHECK POINT POINT 1. お墓がいらない人の事情は2種類

「墓の管理が難しい」

「墓を持つことににこだわらない」

CHECK POINT POINT2. 墓の管理が難しい理由

「墓が遠い」

「家族との関係が悪い」

「墓をが高い」

「寺との関係が悪い」

CHECK POINT POINT3. 墓にこだわらない人の事情

「無宗教」

「墓守りの負担を子孫に残したくない」

CHECK POINT POINT4. 墓以外の供養方法

「永代供養(えいたいくよう)」

「手元供養」

「散骨」

「樹木葬」

「0(ゼロ)葬」

CHECK POINT POINT5. 供養方法別費用相場

「永代供養の相場:20万~150万円」

「手元供養の相場:1万~200万円」

「海洋散骨の相場:5万~40万円」

「樹木葬(永代供養付き)の相場:5万~150万円」

「0(ゼロ)葬の相場:10万~40万円」

CHECK POINT POINT6 今ある墓の対策

「墓じまい」

「墓じまいは、事前~事後まで3段階の準備と手続きが必要」

「墓じまいの費用は数十万~300万円」

CHECK POINT POINT 7 墓じまいをする際の3つの注意点

「家族や親せきからの理解を得る」

「寺の理解を得る」

「墓じまいの工事費用をしっかり確認する」

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