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墓守不在でお墓を引き継げなくなったらどうなる?墓を持たずに供養をする方法や新しい逝き方「墓友」について解説!

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目次

お墓を引き継げない人が増えている!?

CHECK POINT 1. 墓の管理が難しい事情を抱えた人が増えている

親が亡くなったら財産の相続をどうするのか、生前から相談をしたり、取り決めをしている家庭は多いでしょう。

では、お墓の継承については、どうでしょう?誰がどのように引き継ぐのか、話し合っていますか?

お墓を引き継ぐと、墓参りや墓掃除などの管理をはじめ、墓の管理費やお布施など、さまざまな手間と費用がかかります。そのため、なかにはお墓を引き継げないという人も。その割合は、年々増加する傾向があります。

墓守ができなくなる背景とは?

お墓を引き継げなくなる原因としては、墓守として墓の管理が難しいという人が増えていることが関係しています。具体的には、墓が遠方にあり頻繁に通うことが難しかったり、すでに自分が高齢で墓掃除や墓参りが難しかったりと、その事情はさまざまです。また、墓の管理費や檀家の負担が大きく、墓の継承が難しいという人もいます。

墓は宗教と結びついて考えられることが多いので、宗教への関心があまり高くない人にとっては、墓の負担ばかりが大きく感じられることもあるでしょう。

自分の生活を守るだけでも精いっぱいという人が多い現代では、墓のことにまで気が回らないという人は少なくないのです。

お墓はなぜ継承しなければいけないの? 

CHECK POINT2. お墓の継承に関する基本情報

「墓は祭祀財産」

「相続財産とは異なる」

「墓の継承は拒否できない」

お墓は正式には祭祀財産(さいしざいさん)と言います。祭祀財産には、系譜、祭具、墳墓の3種類があり、お墓は墳墓に含まれます。

ここでは、祭祀財産と相続財産の違いや、墓の継承を放棄ができるのかなど、法律上のきまりについて解説していきます。

墓は相続財産ではなく祭祀財産(さいしざいさん)

相続財産と祭祀財産は内容も継承の規定も大きく異なります。まずは相続財産と祭祀財産の違いについて見ていきましょう。

相続財産の種類と特徴

一般的な相続財産の対象となるのは、以下のようなものです。

・土地

・不動産

・現金や預貯金

・貴金属や宝飾品

・書や絵画などの美術品

・家財

・骨董品

・有価証券

・借地権や借家権

※借金や債務などのマイナス財産も含みます。

これらの財産を相続する場合は、相続人の状況によって「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを選択できます。

相続開始後、3か月以内にどれを選択するか意思表示をしなければなりません。意思表示をしなかった場合は、単純承認となります。

  • 「単純承認」

故人(被相続人)の残した財産のプラスもマイナスも全てそのまま引き継ぐこと。

  • 「限定承認」

相続人保護の目的で、マイナス財産が大きい場合に、故人のプラス財産の範囲内で弁済することを認める相続方法。

  • 「相続放棄」

相続に関する全ての義務や権利を引き継がずに放棄する仕組み。

祭祀財産の種類と特徴

一方、祭祀財産の対象となるのは、以下の3種類です。

・系譜:家系図をはじめ血縁関係のつながりを示した記録

・祭具:位牌、仏壇、神棚、十字架、盆提灯など

・墳墓:墓に関係する全般のもの(墓石、墓碑、棺など)

祭祀財産は一人でも複数人でも継承ができ、相続人や親族でなくても引き継げるのが特徴です。故人(被相続人)が継承者を指定しなかった場合は、地域や宗教の慣習に従って継承者が決まります。相続人のような利害関係のある親族が、継承者として優先的に選ばれるのが一般的です。

墓の相続は放棄できるのか 

相続財産と祭祀財産が大きく違うのは、相続財産は相続放棄ができるのに対して、祭祀財産は継承者になったら放棄ができない点です。つまり、断れないのです。

祭祀財産を引き継ぐことになれば、墓の管理費をはじめ経済的な負担がかかる可能性があります。だからといって、同じタイミングで発生するであろう相続財産に関して、その配分は全く別の話です。お墓を引き継いだからといって、相続財産が自動的に多くなるわけではないのです。この点に、不条理を感じるケースは多く、祭祀財産を継承する人には多めに財産を相続させるよう遺言で指定することがあります。

一方で、祭祀財産の継承者になったということは、仏壇も墓も処分する権利を得たということ。つまり、墓じまいをすることもできるわけです。とはいえ、墓への思いは人それぞれで、同じ家族の中にも墓じまいに否定的な感情を抱く人がいる場合も。勝手に墓じまいをして、トラブルになるケースもあるので注意が必要です。

墓の継承については、継承者が一人で責任を負うのではなく、家族や親族で相談しながら継承方法を含めて選択することが大切だと言えるでしょう。

そもそも墓守は何をすればいいの?

CHECK POINT3. 墓守りの5つの役割

「墓参り」

「墓掃除」

「管理費の支払い」

「年忌法要」

「檀家としての務め」

お墓を引き継いで、維持管理していく人を「墓守」と言いますが、具体的には何をすればいいのでしょうか。

基本の墓参りや墓掃除以外にも、墓守には役割があり、これがなかなか大変なのです。ここでは、墓守が果たすべき5つの役割について解説します。

墓参り

墓守のもっとも重要な役割として、誰もがイメージするのが、墓参りでしょう。お墓は亡くなった先祖を供養するための象徴なので、お墓参りこそが墓守の最大の役目といっても過言ではありません。

近年では、墓参りする人がいなくなり、荒れ果てて無縁仏になった墓が問題になっていますが、多くの人は罰当たりな行為と捉えるのではないでしょうか。逆に言えば、墓参りさえしていれば、墓守としての最低限の役目は果たしているともいえます。

定期的な掃除

墓参りと同じく重要なのが、墓の掃除です。定期的な墓掃除は、墓を整えることはもちろん、墓の状態をチェックする点でも重要です。

ほとんどの墓は屋外にあるので、放置すれば雑草が生え、墓石や墓札なども劣化していきます。雑草をそのままにすれば、墓の境界線を越えて近隣の墓にも増殖していくので、近くの墓の所有者に迷惑がかかります。また、墓石が破損して散らっていたら、気味悪がられるのは当然です。

墓地や霊園は共有のスペースなので、たとえ他の墓に直接的な迷惑をかけていなくても、墓が荒れていれば寺に苦情が来たり、トラブルの元になることもあります。こうした事態にならないためもにも、墓守は墓の状態に気を配る必要があるのです。

管理費の支払い

定期的な墓の管理費の支払いも、墓守の責任です。

多くの墓は、寺の敷地内にある墓地や自治体や民間が管理する霊園などにあり、管理費を支払うのが一般的です。1年に一度管理費を支払うところが多いようです。

墓地や霊園によって異なりますが、5千円~1万円程度が管理費の相場です。近年は、墓守の不在によって管理費の滞納や無縁墓が増加し、墓を管理する寺や自治体の悩みの種となっています。

年忌法要

仏教では一周忌、三回忌、三十三回忌などの節目に僧侶に読経をしてもらい、先祖を偲び供養をする年忌法要を行うのが一般的です。この際に、日程の調整や寺への依頼、親せきへの連絡などをするのも、墓を引き継いだ者の役目です。

年忌法要で僧侶に渡すお布施の相場は3~5万円ほど。さらに、食事の席を設ける場合は、会場費と食事代を用意する必要もあります。

檀家の務め

寺の敷地内に墓がある場合は、その寺の檀家になっていることがほとんど。そのため、墓を引き継ぐと自動的に檀家の務めも追うのが一般的です。

檀家とは寺を支える信者のことで、基本的には寺のある地域に住む人が檀家になります。檀家には檀家料の支払いの他、月命日や年忌法要の際のお布施、建物の修復や建設にかかる寄付金といった金銭的な支援の他、寺の行事の際の手伝いを求められることもあります。

過疎化が深刻な地域では、墓の継承はおろか家さえも引き継げないケースが増えており、離れた都会に住みながら檀家の役目までできないと、檀家離れが進み廃寺に追い込まれる寺もあります。

お墓を引き継げないとどうなる?

CHECK POINT4. お墓を引き継げない場合に起こりやすい問題

「墓が無縁仏になる」

「寺との関係悪化」

「親族との関係悪化」

「お墓を引き継がないのは、罰当たりな行為で、いつか先祖の祟りがある」

そんな迷信めいたことが起こるかどうか、定かではありませんが、お墓を引き継がず放置することは、もっと現実的なトラブルを引き起こす恐れがあります。

墓が無縁仏になる

誰も墓を引き継ぐ者がおらず、そのまま放置すれば、その墓は無縁仏になってしまいます。無縁仏になった墓は、誰にも供養されず、墓に雑草が生えたり、墓石が破損したりと、周囲の墓に迷惑をかける厄介な存在に。

また、墓の管理費の未払いで経営が圧迫される寺や霊園を救済するべく、平成11年の「墓地、埋葬などに関する法律施行規則の改訂」によって、墓地や霊園の管理者は管理費が支払われず放置された状態で一定期間が過ぎた墓の遺骨を掘り返して合祀ができるようになりました。

とはいえ、親族の合意なく遺骨を処理することに抵抗を抱くケースは多く、全ての無縁仏になった墓が、法律に基づいて処理されているわけではありません。

墓の所有者も、先祖の墓を粗末にしてしまったという悔いが残る可能性があります。

墓地の管理者(寺)との関係が悪化する

墓を引き継げず墓じまいをし、寺の檀家もやめる場合、寺との関係が悪化する可能性があります。寺の運営は檀家の支援に寄るところが大きいので、墓じまいをし離檀をすることに寺が難色を示すことがあるのです。

墓じまいには寺から発行してもらう書類が必要になるので、離檀の際の心象が悪いと書類の発行を渋られて、法外な離檀料を請求される恐れもあります。

親せきとの関係が悪化する

墓を引き継がないことに親せきが反発し、関係が悪くなる可能性があります。墓に対する思いは人それぞれなので、墓を大切に思う人にとって、墓を引き継がないことは許容しがたい行為と受け取られる場合があるからです。

特に先祖代々の墓のように、関係する人が多い墓ほど、調整が難しくなります。本来は墓を引き継がない人が口を挟むことではありませんが、説明をして理解を求める努力は大切です。

お墓を引き継いでいくのが難しい人の特徴

CHECK POINT5. お墓を引き継ぐことが難しい人の特徴

「住まいが墓から離れている」

「子どもや孫がいない」

「子どもや孫が離れた地域に住んでいる」

「すでに墓の管理が負担になっている」

決して他人事ではないお墓の継承問題。今は実感がなくても、墓がある家庭なら誰もが直面する可能性があります。

自分はお墓を引き継げるか不安な人は、次の条件に当てはまるかチェックしてみましょう。1つでも当てはまれば、墓を継承していくことが難しくなる可能性があります。

居住地が墓から遠い

お墓と住まいが離れている場合は、墓を引き継げなくなる可能性が高いでしょう。

墓を維持するためには、定期的に墓に通い掃除や墓参りをしなければなりません。墓に通うために、交通費や時間がかかれば、お墓の維持が大きな負担になることは目に見えています。すでに縁が薄くなった墓であれば、なおさらです。

例えば先祖の墓が地方にあり、親の代で離れた地域で独立している場合、親が亡くなれば、先祖の墓への足が遠いても不思議はありません。実際に墓のある地域に暮らしたこともなく、檀家といえども寺との関係も檀家料を収める程度となれば、お墓を引き継ぐことに現実味がない人は多いでしょう。

遠くの親せきより近くの他人、とはよく言いますが、遠く離れていれば、それがたとえ先祖代々の墓であって、気持ちは離れていくのは仕方がないのです。

子どもがいない

子どもや孫などがいない場合も、墓を引き継げなくなる可能性が高いでしょう。

墓の継承者は直系の家族でなくても良いことになってはいますが、現実的には家族以外が墓を引き継ぐというのは考えにくいもの。子や孫がない場合、たとえ他の親族が墓の継承者になったとしても、実際は墓を守れず墓じまいをする可能性があります。

家族の形が多様化して、未婚率も上がっている現代では、今後も墓を引き継ぐ子や孫がないという状況は増えていくことが予想されます。

子どもが遠方に住んでいる

子や孫と離れて暮らしており、墓の管理をしてもらうことが難しい場合は、墓を引き継げなくなる可能性があります。居住地から墓が離れているケースと同じく、たとえ子どもや孫がいても、すでに墓のある地域からは離れて生活しているので、墓参りのために費用と時間をかけて帰省するのは、大きな負担です。

また、子が結婚し、配偶者の墓を継ぐことが決まっている場合は、実家の墓までは引き継げないというケースもあるでしょう。よほど余裕がなければ2つの墓を維持していくことは難しいのです。

墓の管理を負担に感じている

すでに墓を引き継ぎ管理している場合でも、墓の維持が大きな負担になっている場合は、いずれは墓を引き継げなくなる可能性があります。

墓を引き継いでみて、初めてその負担の大きさに気づくこともあります。お盆やお彼岸などの他、月命日や年忌法要など墓に関連した行事もあり、墓を維持していくことは簡単ではありません。経済状況によってはお布施が負担になることも。

お墓を引き継げない場合の解決策は?

CHECK POINT6. お墓を引き継げない場合の解決策

「墓じまい」

「改葬」

「自然葬(散骨)」

「永代供養」

お墓は祭祀財産なので、基本的には相続を拒否することができません。そのため、一旦は墓を継承し、その後に次のような対処をすることになります。

ここでは解決策ごとの、手順や費用、注意点などを解説します。

墓じまい

【こんな人におすすめ】

・墓が住まいから離れている人

・その墓に自分も子や孫も入る予定がない人

墓じまいとは、文字通り墓を片付けることです。遺骨を取り出して、墓石を撤去し元通りの更地にして、墓地の管理者に返すまでを指します。墓の維持が難しくなった場合の選択肢として、多様化する家族の形や価値観の変化も影響して、墓じまいの希望は増加傾向にあります。

墓じまいの手順

墓じまいでは、「墓じまいの前」「墓じまい」「墓じまいの後」の3つの段階で、それぞれ手続きが必要です。

『墓じまいの前』

  • 墓じまい後の遺骨の供養方法を決める

墓じまいをする際は、取り出した遺骨の供養方法についても、同時に検討することが大切です。

遺骨を自宅に持ち帰り、手元供養をすることは違法ではありません。しかし、収容している遺骨が多かったり、心理的な負担になったりと、手元供養が難しい場合もあるでしょう。

新たに墓を作り納骨する(改葬)か、永代供養や散骨などにするかは自由です。墓じまいの目的にあわせた供養の方法を検討しましょう。供養方法が決まったら、依頼先を選定します。

  • 墓の管理者(寺や霊園など)に墓じまいをする旨を伝える

墓のある寺や霊園に、墓じまいをすることを伝え、手続きや日程について相談します。

墓じまいを機に、檀家をやめる際は離檀手続きが必要になるので、その際の手続きについても確認しましょう。離壇をする際は、これまでのお礼としてお布施をお渡しするのが一般的です。これを離壇料と呼びます。離壇料の相場は5万円前後~20万円までと幅広く、必ずしも定額ではありません。トラブルを避けるうえでも、事前に確認することをおすすめします。

  • 工事業者の選定と見積依頼

墓石の撤去や整地などの工事は、石材店に依頼するのが一般的です。寺や霊園が石材店を指定する場合もあるので、工事業者についても墓の管理者に相談すると良いでしょう。

特に指定業者がなければ、複数の石材店や専門業者から費用の見積もりをとり、サービス内容と併せて検討します。

  • 役所へ改葬許可申請書を提出する

遺骨を現在の墓から取り出し、別の供養先に納骨することを、改葬(かいそう)と言います。改葬には役所への届け出が必要です。散骨や自宅で供養をする場合は、基本的に必要はありませんが、自治体によっては求められることもあります。

届け出には、以下の3つの書類が必要です。

「改葬許可申請書」市区町村役所のホームページからダウンロードするか、窓口で入手できます。

「埋葬証明書」現在の墓の管理者から発行してもらう書類です。

「受入証明書」改葬先の管理者から発行してもらう書類です。

『墓じまい』

  • 閉眼供養

遺骨を取り出す際に、お墓から魂を抜くための儀式です。宗教者に読経をあげていただき、可能であれば立ち会うようにしましょう。お布施として閉眼供養料をお渡しします。

  • 撤去工事

遺骨を取り出した後に、墓石を解体撤去し更地に戻します。管理者に土地を返して、墓じまいが完了です。

  • 離檀料を渡す

改葬を期に、菩提寺の檀家をやめる場合は、離壇料を渡して、これまでのお礼を述べましょう。

『墓じまいの後』

  • 改葬先に納骨する

新たに遺骨を納める寺院や霊園で納骨をします。墓を建てる場合は、開眼供養(魂入れ)をしてもらうのが一般的です。なお、永代供養の場合は開眼供養は行いません。

墓じまいの費用

墓じまいには、墓の解体や閉眼供養料などさまざまな費用がかかります。墓じまいの際に発生する費用の相場を紹介します。

内容費用相場支払先備考
墓石の解体・撤去工事 約8万~15万円/1㎡・石材店
・専門業者
墓の広さ以外にも、以下を考慮して料金が決まります。
・重機や運搬機が入れるか
・墓石の大きさや量
・遺骨の数
・作業日数
・作業人数
閉眼供養料3万~5万円・墓を管理する寺院の宗教者
・閉眼供養を依頼した宗教者
一般的な法要と同じく、お布施としてお渡しします。
書類交付1000~3000円・市区町村役所改葬許可書の発行手数料をはじめ、手続きに必要な費用です。
離壇料3万~20万円・墓じまいを機に檀家を離れる菩提寺離壇料に定額はありませんが、高額な離壇料を請求された場合は、弁護士などに相談しましょう。
改葬にかかる費用・一般墓:200万円前後

・永代供養-個別納骨:1体20万~70万円-合祀:1体5万~30万円-樹木葬:1体40万~100万円

・散骨-海洋:10万~50万円-山林:5万~10万円
・改葬先の寺院や霊園一般の墓の墓石や土地の価格は、地域によって大きな差があります。関東地方はいずれも高く、300万円を超える場合もあります。
開眼供養料3万~5万円・改葬先の寺院
・開眼供養を依頼した宗教者
一般的な法要と同じく、お布施としてお渡しします。

墓じまいの際の注意点

墓じまいは先祖の遺骨を取り出すというデリケートな作業なので、いくつか気を付けたいことがあります。

とくに親族、寺、石材業者とは、少しの行き違いが大きなトラブルに発展しやすいので、注意が必要です。

『親族からの理解を得る』

先祖代々の墓のように関係者が多い墓ほど、それぞれの思いが交錯し、折り合いをつけにくいもの。とくに、墓を引き継ぐのが当たり前とされる地域では、墓じまいなどもっての外とばかりに感情的に抵抗する人がいるかもしれません。

墓を維持するためには物理的、経済的な負担が大きいことなど、相手の感情面に配慮しつつ墓じまいに至った事情を伝え、このままでは無縁仏にし兼ねないという現状を理解してもらう必要があります。

『墓の管理者からの理解を得る』

寺にとって、檀家からの支援は大きな収入源。墓じまいも離檀もしてほしくないのが本音だという寺もあります。墓じまいに至った経緯や理由についても丁寧に説明し理解を得られるよう努めましょう。相談する中で、閉眼供養料や離檀料についても事前に確認しておくことも忘れずに。

『石材業者から見積もりをとる』

墓じまいでは、墓石の撤去工事の費用がかかりますが、これがトラブルの原因になることがあります。思っていた金額よりも、高い請求書が届いたといった事例も。

トラブルを避けるためには、必ず見積書をとることが大切です。できれば、複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と価格を検討するのがベター。墓の広さを伝えるだけでは、正確な金額はわからないので、現地視察にも来てもらうとより安心です。

※墓じまいについて、詳しく知りたい人はこちらの記事もチェック

https://ikikata.nishinippon.co.jp/term/342/

改葬(かいそう) 

【こんな人におすすめ】

・現在の墓が遠いので、近くに墓を移したい人

・墓以外の供養方法に切り替えたい人

改葬とは、いわば墓の引っ越し。今の墓から遺骨を取り出して、新しい墓や納骨堂などに納める手続きです。さまざまな事情で現在の墓が引き継げない人が、墓じまいをした後に改葬するケースは増えていて、改葬の方法は新しく墓を建てる以外にも、永代供養にする方法などさまざまです。

改葬の手順

改葬には、現在の墓の管理者、改葬先、役所など、それぞれの手続きもあり、手間と時間がかかります。ここでは、基本的な1~9の手順について紹介します。

  1. 改葬について墓地の管理者に相談

改葬をすることにしたら、まず相談すべきは現在の墓地の管理者です。特に寺の墓地を使用している場合は、檀家としての付き合いもあるので、早めに相談することをおすすめします。

寺の住職に改葬に至った経緯を丁寧に説明し、理解してもらうことが大切です。この際、改葬の手続きに必要になる「埋葬証明書」も発行してもらいましょう。また、寺が契約している石材店があれば紹介してもらうと良いでしょう。

  1. 改葬先を探す

改葬の方法を決め、改葬を受け入れている寺や霊園を探します。改葬方法によっては、近くに改葬先が見つからない場合もあるので、いくつかの候補を見つけておくと良いでしょう。改葬が認められたら、「受入証明書」を発行してもらいます。

  1. 改葬許可証を役所から発行してもらう

改葬には役所での手続きが必要です。改葬申請書を提出して「改葬許可証」を発行してもらい、初めて改葬ができます。

改葬申請書を提出する際は、「埋葬証明書」と「受入証明書」もあわせて提出する必要があります。改葬許可証の発行には1週間程かかることもあるので、余裕をもって準備を進めましょう。

  1. 改葬許可証を墓の管理者や石材店に提示する

遺骨の取り出しには、基本的には改葬許可証は必要ありませんが、改葬許可証がないと遺骨の取り出しや墓の撤去工事に応じてもらえない場合があります。

  1. 閉眼供養の法要を行い遺骨を取り出す

遺骨を取り出す際には、墓石から魂を抜く「閉眼供養」を行うのが一般的です。寺の僧侶に読経をあげてもらうことで、安心して遺骨を取り出すことができます。僧侶には閉眼供養料としてお布施をお渡しします。

  1. 墓を撤去する

墓じまいをする場合は、石材店に依頼して墓石を撤去し更地に戻します。墓石を改葬先で使用する場合は、破損や事故のないよう専門業者に輸送を依頼しましょう。

  1. 改葬先に改葬許可証を提出し遺骨を納骨する

改葬先の寺や霊園に改葬許可証を提出し、新しい墓や永代供養墓など指定の場所に、遺骨を納めます。合祀すると遺骨は取り出せなくなるので注意しましょう。

  1. 墓石の設置

これまでの墓石を持ち込む(受け入れが認められた場合)か新たな墓石を手配して設置します。永代供養や樹木葬など、改葬先で指定の納骨場所がある場合は、そちらに従いましょう。

  1. 開眼供養の法要をする

墓に魂を入れる開眼供養を行います。僧侶は改葬先に紹介してもらうと良いでしょう。こちらも読経をあげていただくので、開眼供養料としてお布施をお渡しします。

改葬の費用

改葬に関係する費用の一般的な相場を紹介します。墓の引っ越し前(墓じまい)と引っ越し後(改葬)ごとに、発生する費用を確認しておきましょう。

改葬をする時の注意点

改葬に起こりやすいトラブルは、墓じまいの場合とほぼ同じです。

まずは、親戚に説明し了承を得ましょう。希望があれば、分骨も検討することをおすすめします。次に寺に改葬をしたいことを伝えます。その際は、これまで世話になったお礼を述べることも忘れずに。

また改葬先で現在の墓石を使用したい場合は、石材業者に撤去と移送が可能か確認することはもちろん、改葬先にも墓石の受け入れを許可しているか確認します。改葬先の寺や霊園によっては、新たな墓石の購入が条件になっている場合もあります。

改葬には、役所に提出する書類が多く、情報を集め手続きを完了するまでには、時間がかかる可能性があります。余裕をもって準備をすすめるようにしましょう。

※改葬について、詳しく知りたい人はこちらの記事もチェック

https://ikikata.nishinippon.co.jp/term/458/

自然葬(散骨) 

【こんな人におすすめ】

・現在の墓に埋葬されている先祖の遺骨が多数ある人

・墓じまい後も改葬や永代供養が難しい人

・存命中の家族(自分も含む)が死後は自然に還りたいと希望している

自然葬とは、死後は自然に還りたいという希望を具現化した供養方法で、中でも人気が高いのが散骨葬です。遺骨を粉状にして(粉骨)海や森林などに巻くので、墓は必要ありません。

散骨の場所は、海や森林、山、宇宙などがありますが、散骨によって他者に迷惑がかからない場所であることが条件となります。

ここでは散骨の手順や費用、注意点などについて解説します。

散骨の手順

散骨は最近広まった供養方法で、法律で定められていない部分が多いのが現状です。そのため、手順についても最低限のきまりしかありません。

基本の流れとして、場所の決め方や遺骨の扱いについて理解しておきましょう。

『場所を決める』

散骨する場所に決まりはないものの、どこでも散骨をして良いわけではありません。

海に散骨する場合は、漁場や養殖場、海水浴場などから離れた沖合いまで行く必要があります。散骨業者に依頼して、船をチャーターするかもしくは乗り合わせて、散骨ポイントまで行くのが一般的です。

一方、陸地の場合は土地の所有者や近隣の人に許可をとる必要があります。自分が所有する山林で、周囲に迷惑がかからない環境なら問題はありませんが、土地の所有者がいる場合や周囲に民家や田畑がある場合は、交渉は難航する可能性が高いでしょう。いくら粉末状になっているとはいえ、遺骨は遺骨。まして、他人の遺骨を撒かれて気持ち良い人は少ないからです。霊園や寺院が所有する山林では、散骨が認められるところもあるので、相談してみることをおすすめします。

『粉骨』

粉骨(ふんこつ)とは、遺骨を砕き粉末状にすることです。散骨では、必ず粉骨にする必要があります。紛骨は業者に依頼する方法と、自分で行う方法とがあります。

業者に依頼する場合は、粉砕に立ち会うことができ、立ち会いをしない場合は郵送で粉骨の委託もできます。立ち合いの場合は3万円ほど、委託の場合は1万円ほどが費用相場です。

また、自分で粉骨をする場合は、すり鉢に遺骨を入れてスリ棒で細かく粉砕していきます。費用はかかりませんが、遺骨を触ることに抵抗がある人にとっては、大きな精神的負担になります。

散骨の費用

ここでは海洋散骨についての費用の相場を紹介します。というのも、海洋散骨は自力で沖合まで行ける人が限られるので、専門業者を使うのが一般的で、一方の陸に散骨する場合は、自力で行けるところならほぼ無料で済むので費用相場自体がないからです。

海洋散骨を専門業者に依頼する際は、個別散骨、合同散骨、委託散骨の3つのタイプから選べます。

海洋散骨の種類特徴費用
個別散骨 1組だけで船をチャーターし、散骨場所まで向かい、散骨する方法です。遺族や親しい親族、友人などで、気兼ねなく散骨葬を執り行えるのがメリット。15万円~40万円
※3つの中では、もっとも料金が高いタイプ。
合同散骨何組かで船を乗り合わせて、散骨場所に向かい、散骨する方法です。日程は調整が必要になる可能性がありますが、複数の家族で船をチャーターするので費用を抑えられるのがメリットです。10万円~20万円
※乗り合わせる家族の組数によって、料金が変わります。
委託散骨遺族に代わって散骨業者に散骨を依頼する方法です。遺族は散骨場所には向かわず、遺骨を預かった業者が代理で散骨を行います。遺族は散骨の様子を写真で確認します。船には乗船しないので日程調整の必要がありません。5万円~10万円
※3つの中で、もっとも料金が安いタイプです。複数の遺骨の散骨を依頼できるので、墓じまい後で遺骨が何体かある場合も対応してもらえます。

散骨の際の注意点

散骨葬の認知度が高くなったとはいえ、多くの人が受け入れれているわけではありません。散骨に対してネガティブに捉える方もいます。散骨葬をしたことで、周囲の人たちとトラブルになってしまっては悲しいですよね。

法務省の見解にもあるように「相当の節度をもって」行うことが大切です。節度を持つとは、マナーを守ること。特に他人に悪影響となるような散骨葬は避けなければなりません。

自然に還すと言えば聞こえは良いですし、故人の遺志であれば尊重したい気持ちはわかりますが、第三者にとっては他人の遺骨はあえて見たくはないものです。散骨葬を表立って行うことは控えた方が良いでしょう。

他人の目には付きにくい場所を選び、移動の際には目立たぬよう喪服を着ないことも配慮のひとつです。

また、散骨後は遺骨が残らないので、後から手を合わせるために墓が欲しくなっても叶いません。その点では、まさに「千の風になって」いると捉える必要があるでしょう。遺骨を全て散骨することに迷いがある場合は、分骨にして手元供養や永代供養にするなど、後悔しない方法も検討することをおすすめします。

※自然葬について、詳しく知りたい人はこちらの記事もチェック

https://ikikata.nishinippon.co.jp/term/394/

永代供養

【こんな人におすすめ】

・墓守りの負担を後世に引き継ぎたくない人

・一定期間は供養をしたい(してほしい)人

永代供養とは、墓を引き継げない場合に、お寺や霊園などの専用スペースに納骨し、親族に代わって供養してもらう方法です。家族の形が多様化し、少子化も進む中、永代供養の注目度も高まっています。供養してもらえる期間が限られているので、従来のような墓の継承はできませんが、管理の手間がなく維持費も抑えられるのが特徴です。

永代供養の手順

永代供養の手順は、既にお墓がある場合とない場合で異なります。墓がある場合は、まずは墓じまいをする必要があり、墓がない場合に比べて手続きはより複雑で時間もかかります。

  1. お寺や霊園の選定

永代供養の依頼先は生前から探すこともできます。家族と相談しながら、お寺や霊園を巡ってみると良いでしょう。

  1. 申し込み

気に入った所があれば、申し込みをして契約書にサインをします。

  1. 受入証明書

永代供養をお願いする寺や霊園から、遺骨を受入れてもらうための「受入証明書」を発行してもらいます。

  1. 埋蔵証明書

現在、納骨している墓地の管理者に墓じまいをする旨を伝え、「埋蔵証明書」を発行してもらいます。

  1. 改葬許可申請書

役所への届出です。申請書は市区町村役所のホームページの他、役所でも入手できます。申請書には以下の項目を記入する必要があります。

・故人の本籍、住所、性別、氏名

・死亡年月日

・火葬の場所と火葬を行った年月日

・改葬の理由

・改葬先の住所

先祖代々の墓の場合、かなり時代をさかのぼらなければならなかったり、本籍地や死亡年月日がはっきりしない可能性があります。調査に時間がかかることを想定して、余裕をもって計画を進めましょう。

  1. 改葬許可証

役所で受入証明書、埋葬証明書、改葬許可申請書が受理されると、「改葬許可証」が発行されます。

  1. 墓じまい

遺骨を取り出す際には、宗教者に墓から魂を抜く閉眼供養をしてもらいます。また墓石を撤去し更地にする必要があるので、石材店に依頼して日程を調整します。

  1. 離檀(りだん)の手続き

改葬を期に、菩提樹の檀家をやめる場合は、離壇の手続きをします。これまで世話になったお礼としてお布施をお渡しするのが一般的で、これを離壇料とも呼びます。離壇料の相場は5万円前後~20万円までと幅広く、必ずしも定額ではありません。トラブルを避けるうえでも、事前に相談することをおすすめします。

  1. 改葬先に納骨する

永代供養をする寺院や霊園に遺骨を持参し、納骨してもらいます。

  1. 永代供養料の支払い

お寺に依頼する場合は、白無地の封筒の表書きに「お布施」または「永代供養料」と書き、管理者にお渡しします。中袋に、氏名、住所、金額も書き入れましょう。

民間の霊園は銀行振込で大丈夫な場合もあります。

いずれの場合も、支払いを済ませた証明書として領収書や振込明細書などを保管するようにしましょう。

永代供養の費用

永代供養の費用は、納骨方法によって異なります。それぞれの方法によって、費用は大きく異なるので、特徴とあわせて検討しましょう。

埋葬方法費用相場特徴
個別納骨 1体20万~70万円・個別、夫婦、家族単位での埋葬が可能
・墓標が設置されるので、どこに埋葬されているかがかわかりやすい
・一定期間が過ぎると、合祀される
合葬1体5万~30万円・最初から他の遺骨とあわせて納骨する(合祀)
・遺骨は取り出せない
・個別納骨のような期間の定めがない
樹木葬1体40万~100万円・死後は自然にかえるという思想を具現化
・墓標の代わりに象徴的な木や植物が植えられ、その周辺に納骨する
・個別納骨と合葬を選べる場合があり、個別の方が割高
納骨堂1体20万~150万円・屋内の施設に個別に納骨する・気候や天気に関係なく、参拝がしやすい
・ロッカー型、仏壇型などが一般的(参拝スペースに自動でお骨が運ばれてくる自動搬送型もある)
・屋外の個別納骨よりも割高になることが多い

永代供養の際の注意点

墓を引き継げずに永代供養にする場合は、墓じまいにともない、家族や親せきや寺の理解を得る必要があり、その点は、墓じまいや改葬の際の注意点と共通しています。

ここでは、永代供養ならではの注意点について解説します。

『期間が限られている』

永代供養では、個別の供養については期間が定められているのが一般的です。13回忌、17回忌、33回忌などの法要の節目ごとに期間が選択でき、期間が過ぎると合祀(ごうし)され、個別の墓標はなくなります。

最長で33回忌までとしている寺院や霊園が多いのは、33回忌が弔い上げ(とむらいあげ)と言われる最後の法要だからです。仏教では33回忌の法要で、全ての魂は極楽浄土へ行き、往生(おうじょう)するとされています。

『合祀(ごうし)されると改葬ができない』

他の遺骨とまとめて納骨することを「合祀」と言いますが、永代供養では一定期間を過ぎたお骨は合祀するのが一般的です。一旦、合祀したお骨は、改めて取り出すことができなくなります。改葬(遺骨を別の墓に移すこと)をしようと思っても、合祀後はでません。改葬を検討している場合は、個別納骨中に結論を出す必要があります。

※永代供養について、詳しく知りたい人はこちらの記事もチェック

https://ikikata.nishinippon.co.jp/term/334/

お墓がない人のための新しい選択肢「墓友(はかとも)」

CHECK POINT7. 墓友とは新時代の供養方法

「墓友の最大のメリット:家族に縛られず自分らしく自由な埋葬方法を選択できること」

「墓友の最大のデメリット:周囲の理解を得にくいこと」

「墓友探しは積極的に行動することが吉」

今のお墓は引き継げない(あるいは引き継ぎたくない)けれど、お墓を片づけてしまったら、自分はどこに埋葬されるのか・・・。

死後の不安は多かれ少なかれ、誰もが抱えているのではないでしょうか。未婚を貫く人もいれば、熟年になって離婚を選択し独り身になる人も増えていますが、その一方で、最後は誰かと一緒にいたいと願う人も少なくありません。

そんな中、注目されているのが「墓友」という新しい発想です。家族でも、親戚でもなく、友達と墓に入る。

墓は先祖代々引き継ぐものという概念をくつがえす、墓友という考え方について見ていきましょう。

墓友とは

墓友とは、日本の現代社会が抱える問題を背景に生まれた、新しい供養の考え方です。

少子高齢化により墓はおろか、姓を引き継ぐこともままならない家族は増えています。また生涯未婚率と離婚の増加で、老後を一人で迎える人は少なくありません。また、たとえ離婚はしていなくても、亡くなってまで配偶者や義家族との縁を持ちたくないとして、いわゆる死後離婚を選択する人も増加しています。

その一方で、「最後が一人では寂しい」そんな思いを抱える人が少なくないのも事実。一緒に墓に入れってくれる友達がいたらという願望を、具現化したのが「墓友」という形なのです。

墓友は死後の漠然とした不安から解放され、残りの人生をより良く生きるための支えになる可能性を秘めた方法とも言えるでしょう。

墓友のメリット&デメリット

墓友は新しい供養の形であり、自由度が高いところが最大のメリットと言えるでしょう。一方、認知度はまだ低く、その自由さゆえに違和感を抱く人がいるのも事実です。

墓友のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

墓友のメリット

『生前に墓友との交流が図れる』

墓友は基本的には、生きているうちに探すことになります。墓友になるということは共通の価値観を持っている可能性が高く、生き方はもちろん逝き方まで、深い部分を分かち合える存在がいることは、大きな心の支えとなるはずです。それは親友以上の存在と言っても良いでしょう。

墓友がいることで、残りの人生が豊かになり、親友と墓友になることで、さらに絆を強く感じられる可能性があるのです。

『墓の購入費を墓友と分割できるので安い』

墓友と共同で墓を所有するので、単独で墓を購入するよりも負担が小さく済むのもメリットです。

ただし、墓友の場合は一般的な墓を建てるケースは稀です。後々、墓を誰が継承するか問題になる可能性が高いからです。そのため、永代供養を選択するのが一般的です。永代供養も埋葬方法によっては150万円ほどかかる場合もあるので、墓友と分割すればかなりの費用削減になります。

『家や家族に縛られず、自分らしい埋葬方法を選択できる』

実家との関係が悪い、または配偶者や義家族との仲が悪く、死後は別々の墓に入りたいと希望する人にとって、墓友は家に縛れない選択肢になります。

墓友は一緒に墓に入る人を自分の意思で選べるという点で、これまでの家単位を基本とした墓とは大きく異なります。現在は日本の法律では認められていない、同性婚や別姓婚のカップルが同じ墓に入るのも、墓友の一種と言ってよいでしょう。

家族の形が多様化している今、墓友のような選択肢が増えること自体がメリットでもあるのです。

墓友のデメリット

『墓友とトラブルになる可能性がある』

せっかく墓友になっても、生きていればトラブルになることも。その結果、墓友を解消したり、墓の購入費がもどらなくなったりする可能性があります。

一度、墓友になると決めた相手と不仲になることは、精神的なダメージが大きいので、その後の墓友探しも難航する恐れがあります。

『墓を継承してもらうことが難しい(基本は永代供養)』

墓友の場合は、後継者がいないことが多いので、墓を引き継いでもらうことは難しいでしょう。後継者がいなければ、いずれは墓は荒れて無縁仏になってしまうので、墓友と一般的な墓を建てるのは現実的ではありません。

永代供養にして一定期間過ぎたら合祀してもらうのが無難です。

『家族や親せきなどの理解を得にくい』

家族や親せきが存命中で、さらに家族の墓もある場合は、墓友と別の墓に入ると説明しても、理解を得られない可能性があります。まして、配偶者や子どもがいるとなれば説得するには、かなりの時間と忍耐が必要になるでしょう。

まずは、なぜ、墓友と墓に入りたいのか、自分自身でじっくり見つめてみることが大切です。その上で、やはり墓友と埋葬されたいという気持ちが確かなら、家族には時間をかけて丁寧に説明し理解を求めるよう努めましょう。

家族と墓に入りたくないという否定的な理由は問題を大きくし、家族を傷つけるだけなので、避けましょう。

墓友の作り方

墓友がほしいと思ったら、墓友を探すために行動することが大切です。自然な流れで墓友に出会えることもありますが、まだまだ認知度が低い現在では、レアなケースです。

ここでは、墓友を探すための方法について紹介します。

古くからの友人に相談する

親友と呼べる友人がいるなら、その人と墓に入れるか想像してみてください。もし、墓も一緒で良いと思えるほど、信頼関係が厚いなら墓友になってもらえないか相談してみてもよいでしょう。もともと墓をどうするかといった話題を出していた仲なら、より自然に提案できるでしょう。

ただし墓友になるためには、自分の家庭環境だけでなく相手がどのような状況なのかも考えることが大切です。例えば、2人とも独身で実家の墓を継ぐ必要もない状況なら、墓友になるのに大きな障害はないかもしれません。一方、相手に家庭がある場合は困惑させてしまう可能性が高いでしょう。墓友の提案がきっかけで、疎遠になってしまっては悲しいですよね。

仲が良いというだけでなく、相手の環境にも配慮したうえで、墓友の相談をするようにしましょう。

終活の一環として墓友を募る

終活では、墓は切り離せないテーマ。終活をきっかけに墓友に興味を持つ方もいるでしょう。

そんな終活の一環として、墓友を募集するのも方法の一つです。例えば、自身のブログで終活の取り組みについて発信する中で、終活をしようと思ったきっかけや、この先どのように生き、どのように逝きたいかといった、これからの人生の核となるような内容をつづることで、そこに共感した人から連絡があるかもしれません。

また、現在は、エンディングノートを書くための終活サークルや終活セミナーなども開催されているので、これらに参加してみても良いでしょう。同じ地域に住み、同じく終活という目的を持った者同士なので、気が合う人に巡り会えるかもしれません。

老人ホームの入居者同士

同じ老人ホームの入居者同士で、墓友になることもあります。介護施設や老人ホームによっては、墓のない入居者の埋葬先として共同墓地を用意しているところもあります。身寄りがなく、老人ホームに入居した人にとっては、死後まで面倒を見てくれるありがたい仕組みです。

老人ホームでは数年単位で共同生活を送ることもあるので、ともに暮らす中で、この人となら穏やかな死後を迎えられると思える人に出会う可能性もあります。

共同墓地が主催する墓友イベントなどに参加する

共同墓地とは他の遺骨と一緒に埋葬することを前提としたお墓で、墓がない人や墓の継承が難しい人など、なんらかの理由で個別の墓を持つことが難しい人向けの埋葬方法です。

共同墓地を運営する団体は、定期的に共同墓地や終活についてセミナーを開催することがあるので、これらに参加して墓友を探してみても良いでしょう。

まとめ

少子化と地方の過疎化が進み、生涯未婚率も上昇している現代では、お墓を引き継げない人は、今後も増えていくことが予想されます。お墓を引き継げないということは、先祖の供養が途絶えるというだけでなく、自分の死後の埋葬先がないという問題でもあります。今はまだ、墓問題を他人事のように感じていても、いずれは誰もが直面する可能性のある身近な問題なのです。

墓じまいをするにしても、別の供養方法を探すにしても、場当たり的に独断してしまうと大きなトラブルになりやすいので注意が必要です。家族や親せきとも相談し、じっくり時間をかけて検討しながら、より良い供養の方法を見つけていけるといいですね。

CHECK POINT一覧

ここまでに紹介してきたCHECK POINTをまとめました。お墓を引き継げずに困っている方はもちろん、将来、墓を継承できるのか不安がある方も、ぜひ参考にしてみてください。

CHECK POINT 1. 墓の管理が難しい事情を抱えた人が増えている

CHECK POINT2. お墓の継承に関する基本情報

「墓は祭祀財産」

「相続財産とは異なる」

「墓の継承は拒否できない」

CHECK POINT3. 墓守りの5つの役割

「墓参り」

「墓掃除」

「年忌法要」

「管理費の支払い」

「檀家としての務め」

CHECK POINT4. お墓を引き継げない場合に起こりやすい問題

「墓が無縁仏になる」

「寺との関係悪化」

「親族との関係悪化」

CHECK POINT5. お墓を引き継ぐことが難しい人の特徴

「住まいが墓から離れている」

「子どもや孫がいない」

「子どもや孫が離れた地域に住んでいる」

「すでに墓の管理が負担になっている」

CHECK POINT6. お墓を引き継げない場合の解決策

「墓じまい」

「改葬」

「自然葬(散骨)」

「永代供養」

CHECK POINT7. 墓友とは新時代の供養方法

「墓友の最大のメリット:家族に縛られず自分らしく自由な埋葬方法を選択できること」

「墓友の最大のデメリット:周囲の理解を得にくいこと」

「墓友探しは積極的に行動することが吉」

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