本ページはプロモーションが含まれています。
死化粧は誰がいつ行う?プロの死化粧師や納棺師に依頼するメリットとデメリットについても解説
死化粧とは故人にメイクを施すこと
死化粧(しにげしょう)とは、遺体の状態を整え、顔にメイクを施すことです。
爪を切ったり、髪を整えたり、髭を剃ったりするのも死化粧の過程で行います。
この記事では、死化粧をする目的や死化粧を誰がいつ行うのか、さらに死化粧のプロである死化粧師や納棺師に依頼するメリットとデメリットについても解説します。
死化粧の目的と必要性
死化粧の目的は、故人の尊厳を守ることと、遺族の気持ちを癒すことです。
遺体に痛ましい損傷があったり、傷から血液や体液などが流れたりしたままで葬儀を行うのは、故人の尊厳を損なう行為です。
葬儀は故人があの世へ旅立つための大切な儀式なので、故人の身だしなみを整えることは最低限のマナーです。
また、それ以上に重要なのが、遺族の気持ちを癒すことです。
遺体に損傷がある時はもちろんですが、損傷がなくても生前と違う故人の姿を目の当たりにするのは、遺族にとって大きな悲しみです。
故人に死化粧を施し穏やかな姿にすることが遺族の慰めになり、故人を心置きなく見送るための励ましにもなるのです。
死化粧とエンバーミングの違い
死化粧では、遺体のケアとして体を拭く清拭などの作業も行います。
清拭と混同されやすいのが、エンバーミングという遺体処置の方法です。しかし、死化粧や清拭とエンバーミングは異なる作業です。
エンバーミング(Embelming)は、遺体を長期間保存するための処置で、土葬を行う欧米で発達した技術です。
日本では葬儀後に火葬を行うので、腐敗や感染防止のためというよりは、故人を生前に近い表情のまま見送りたいという遺族の想いでエンバーミングをすることがあります。
エンバーマーライセンスを持つ人か資格を持つ医療従事者のみ処置が可能で、エンバーミングでは遺体から血液や体液を抜き、防腐剤を注入して腐敗を防ぐ処置を施します。
エンバーミング処置は、遺体を安置している場所から専用施設に移送して3~4時間かけて行いますが、移送距離が長い場合は遺体が戻ってくるまでに1日程かかる場合もあります。
また、費用は20万円ほどです。
死化粧は誰が行う?
死化粧を誰が行うべきかは、特に定めはありません。
一般的には、以下のような人が死化粧を施すことが多いようです。
看護師
現在の日本では、ほとんどの人が病院で亡くなると言われています。
そのため、エンゼルケアと称する死後の処置や遺体ケアの一環として、看護師が死化粧を施す場合があります。
看護師は臨終後に遺体から医療器具の抜き取りや血液や排泄物の処理、口腔内のケアを行うので、その際に体をふき取る清拭や簡単な死化粧もお願いできる場合があります。
料金は無料の病院もあれば、有料のところもあり、相場はまちまちです。
例えば、エンゼルケアの内容が細かく分かれているような病院では、死化粧3000円という場合もあるでしょう。
一方、死化粧を含むエンゼルケアを一式15000円で提供している病院もあるようです。
葬儀社のスタッフ
葬儀社に葬儀を依頼する場合は、サービスに死化粧が含まれていることが少なくありません。
簡単な死化粧であれば、葬儀社スタッフにお願いすることも可能です。
その際、故人が生前使用していた化粧品などを求められることがあるので用意しておきましょう。
納棺師や死化粧師
納棺師や死化粧師と言われるプロに死化粧を依頼することもできます。
納棺師は納棺の儀式全般を執り行う専門職で、儀式の進行役という側面が強いものの、一連の儀式の中で遺体のケアとして死化粧も行います。
また、死化粧師は文字通り死化粧を専門に行う職業で、現在は美粧衛生師という民間資格も設けられています。
死化粧師は医学的な知識のもと遺体のケアを専門的に行い、遺族に寄り添う役目も果たします。
ただ今のところ、一般的には納棺師と死化粧師がそれぞれの仕事を兼務するのが一般的です。
納棺師や死化粧師を依頼した場合は、5~10万円ほどが追加でかかる可能性があります。
遺族
遺族が死化粧を施すケースもよく見られます。
遺族は故人が愛用していた化粧品や整髪料などを知っているので、それらを使用することで生前の姿に近づけやすくなります。
また、遺族が行うので料金がかからないのもメリットです。
ただ、遺体を扱う際はウィルスや病原菌の感染に十分に気を付ける必要があります。
特に感染症などで死亡した場合は、遺族でも故人に直接触れることはリスクが高いので避ける方が無難です。
また、死化粧に使った後の化粧品は同じく感染症のリスクを避ける上で、処分することをおすすめします。
死化粧の手順
死化粧は臨終後すぐに行うのでなく、まず遺体の処置をして整えた上で行います。
医療器具の抜去
闘病していた場合は、遺体に様々な医療器具が取り付けられていることが少なくありません。
まずは点滴やチューブなどを遺体から取り外し、傷口が目立たないように処置を施します。
排泄物の除去
胃や腸に残留物がある場合は、体内で腐敗したり漏れ出したりしないよう、排泄する必要があります。
鼻腔からの吸引や胃腸を圧迫して排泄させ、体内に残らないようにします。
口腔内のケア
口腔内にも胃腸からの残留物や血液などが残っていると悪臭の原因になるので、アルコールを含ませた脱脂綿などできれいにふき取ります。
歯が汚れていれば、歯もふき取って整えます。
清拭または湯灌
清拭(せいしき)とは、遺体を濡らした布できれいにふき取ることです。
お湯やアルコールなどを含ませた脱脂綿もしくはガーゼで、体の出ている部分をふき取っていきます。清拭は病院で行ってもらえることもあります。
もし眉毛や髭などが長くなっていたら、この時に整えておきます。男性は髭が残っている可能性があるので、剃刀できれいに剃りましょう。
湯灌(ゆかん)とは、専用の浴槽に逆さ水でぬるま湯を作り、遺体を入浴させることです。
湯灌は葬儀社または湯灌師に依頼するのが一般的です。
一般の浴槽で、遺族だけで湯灌をさせることは遺体を傷つける恐れがあるだけでなく、体内の内容物などが排出してしまった場合に感染のリスクがあり、そのまま排水するとパイプのつまりなどの原因になるので、必ずプロに依頼するようにしましょう。
死装束の着付け
遺体の状態が整ったら、死装束を着せます。
死装束には、葬儀社が用意する白い着物を使うことも多いです。
白は死をあらわす色であり、故人が穢れのない身体で旅立てるようにとの願いが込められています。
最近では故人が生前に希望していた服や愛用の服を着せることも多くなっています。
死装束はかつては家族が着せていましたが、現在は葬儀社のスタッフや納棺師などに着せてもらうことが一般的です。
死化粧
最後の仕上げに、遺体に死化粧を施します。
死化粧を施す際は肌の色や状態に応じて、できるだけ血色が良くなるようなファンデーションの色を選びます。
故人が生前使っていたファンデーションでも問題ありませんが、死後は顔色が変化しているので、必要に応じて色を調整すると良いでしょう。
また遺体は乾燥しやすいので、保湿剤などであらかじめ肌を整え、リキッドファンデーションを薄く塗るのが基本です。
固形のファンデーションは乾燥しやすい上に、ファンデーションを厚塗りにすると肌からファンデーションが剥がれやすくなります。
また女性であれば、チークや口紅など、生前に好んでいた色を付けると生前の印象に近づけやすくなります。
死化粧をプロに任せるメリット・デメリット
死化粧のプロとは、ここでは納棺師や死化粧師などを指します。
納棺師と死化粧師は厳密には専門性が異なりますが、葬儀では主に納棺の儀式に携わるという点で共通しています。
納棺の儀式は、故人の身支度を整える最後の時間なので、納棺師や死化粧師は故人の旅立ちの姿を整える重要な役割を担っています。
実際にどのようなメリットとデメリットがあるのか、見ていきましょう。
メリット
仕上がりが美しい
プロは遺体に化粧をする専門的な技術があるので、メイクの仕上がりが圧倒的に美しいのがメリットです。
やせ細った頬に脱脂綿を詰めて丸みを出したり、肌の艶を出すために乾燥防止剤を使ったりしながら、生前の姿以上に故人の良い所を引き出してメイクしてくれます。
遺族の意向を聞きながら死化粧を施してくれ
納棺師や死化粧師は技術が高いのはもちろん、死化粧をする機会が多く、多様なリクエストに応えてくれるのもメリットです。
納棺師や死化粧師ならメイク道具の機材も豊富に用意しているので、遺族のさまざまな要望に対応してくれる可能性があります。
一方、病院で看護師がエンゼルケアの一環として死化粧をしてくれる際に、ファンデーションや口紅の色を指定したり、細かい注文を付けたりするのは難しいものです。
死化粧をするために、死化粧師が故人の生前の様子や遺族の意向をヒアリングすることがありますが、これらはグリーフケアの一環にもなっていて、遺族の気持ちを癒すことにも繋がっています。
遺体の損傷が激しい場合にも対応してもらえる
事故や突然死などは、遺体に大きな損傷がある場合が多く、故人をなくしたことに加えて遺体の状態が遺族の悲しみに輪をかけることがあります。
納棺師や死化粧師は、傷口からの血液や体液の漏れを防ぐための処置や、メイクで傷を目立たないようにする技術もあるので、このような場合はプロに依頼することをおすすめします。
感染リスクを避けられる
死化粧をする際は遺体に触れるので、遺体から感染するリスクがあります。
葬儀会社のスタッフや納棺師、死化粧師などは常に遺体に触れる仕事なので、遺体の衛生管理についての高い知識を身に着けている点で安心感があります。
デメリット
追加費用がかかる
遺族が死化粧をする場合は、もちろん料金はかかりません。
しかし納棺師や死化粧師を依頼するとなると、葬儀会社の基本のサービスには含まれないので、追加で5万~10万円がかかる可能性があります。
故人を専用の浴槽で洗う湯灌を希望する場合は、機材の持ち込みが必要な上に、作業も長時間になることから10万円以上が追加になることもあります。
生前の顔とは異なる雰囲気に仕上がる可能性がある
納棺師や死化粧師は故人の魅力を最大限引き出して、死化粧をしてくれるはずです。
しかし、故人を見慣れてきた遺族からすると、メイクによっては生前の様子とのギャップに違和感を覚える可能性があります。
特に要望が無ければそれぞれの判断でメイクが施されるので、生前と同じ雰囲気に仕上げて欲しい場合は、生前の故人の写真を見せたり、故人が愛用していた化粧品や色の好みなどを伝えたりすると良いでしょう。
死化粧師になる方法
現在、死化粧師になるための国家資格はありませんが、より専門的な知識と高い技術を身に着けるために、民間資格として美粧衛生師の認定資格があり、日本では6人が美粧衛生師の認定資格を取得しています。
美粧衛生師には、感染予防対策上の死後の処置、美粧(化粧と着付け)、冷却管理の3つを専門分野として行うことが求められます。
認定資格を得るためには、エル・プランナーが開催する美粧衛生師養成コースの受講が必要です。
受講資格は、葬祭業就業年数3年以上の葬祭業従事者とされているので、まずは葬儀社などで経験を積む必要があります。
美粧衛生師養成コースの概要は以下の通りです。100時間の実技実習と1年間の実地訓練が必要です。
Lesson1. エンゼルメイクスクール基礎コース
Lesson2. エンゼルメイクスクール応用コース
Lesson3. 遺体感染管理士2種認定資格取得
Lesson4. 閉口技術講習
死化粧師と納棺師の違い
繰り返しになりますが、現在のところ死化粧師と納棺師はそれぞれの仕事を兼務することが多く、実際の仕事内容はほぼ同じということが少なくありません。
納棺師は納棺の儀式全体を取りまとめることがメインですので、死化粧はその中の一部という位置づけで行う傾向があり、死化粧師は遺体のケアを重点的に行うので、より繊細な死化粧にも対応してくれるのがs違いと言えるでしょう。
納棺師になるための専門学校もあり、こちらは6か月間のコースとなっています。
まとめ
死化粧は故人を旅立ちに相応しい姿に整えるための重要な役割があります。
故人に触れる最後の機会になるので、誰が死化粧を施すかは相談して決めると良いでしょう。
遺族が行う場合も、プロに依頼する場合もそれぞれにメリットとデメリットがあるので、希望や状況に合わせて検討することをおすすめします。