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姻族関係終了届と復氏届の違いは?手続き方法・一緒に出す際の注意・メリット・デメリット・よくある疑問をご紹介

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目次

姻族関係終了届と復氏届の違い

配偶者が亡くなった後、人によって必要になる手続きとして、姻族関係終了届(いんぞくかんけいしゅうりょうとどけ)と復氏届(ふくうじとどけ)があります。この2つは似ているようで異なる届です。それぞれの違いを説明します。

姻族関係終了届は亡くなった配偶者の家族と関係を終了させる届

姻族関係終了届は、亡くなった配偶者の家族との関係を終了させる届です。事例で解説しましょう。

たとえば、55歳のA子さんの夫Bさんが60歳で亡くなったとします。Bさんには、80代の両親と50歳の弟がいます。このケースでは、A子さんにとっての姻族は亡くなった夫の両親と夫の弟です。

A子さんが姻族関係終了届を出せば、亡くなった夫の両親や弟との関係を法律的に解消できます。

ただし、子供がいる場合、子供と親族の関係は法律上このまま続きます。

復氏届は旧姓に戻る届

復氏届は、配偶者が亡くなった時、配偶者の名字ではなく、旧姓に戻りたいときに出す届です。配偶者が亡くなった場合、残された方はそのまま配偶者の名字を名乗るか、旧姓に戻るか選べます。

たとえば、鈴木太郎さんが亡くなったとします。彼には、妻あさこさんがいました。あさこさんが、太郎さん亡きあとは旧姓の山田に戻りたいと思ったら、復氏届を出します。

復氏届を出した後は、あさこさんは山田あさこになります。

姻族関係終了届・復氏届それぞれの手続き方法

参考:春日部市

参考:春日部市

姻族関係終了届・復氏届の手続き方法を詳しく説明します。それぞれ配偶者の死後に役所で行うことになっています。

提出先タイミング
姻族関係終了届住所のある地域の区役所・市役所・町村役場、又は届出人の本籍地配偶者の死後、姻族関係を終了するとき
復氏届住所のある地域の区役所・市役所・町村役場、又は届出人の本籍地配偶者の死後、旧姓に戻るとき

姻族関係終了届・復氏届は配偶者の死後役所で手続き

それぞれ届出をする人の本籍地か住んでいる地域の役所に行き、書類に記入します。書類は上記を参考にしてください。用意するものや子供に関する注意事項を下記で説明します。

用意するものや提出期限

姻族関係終了届・復氏届それぞれの書類は、役所に行ってもらいます。またはホームページからダウンロードできる場合も。わからない場合は、問合せてみてください。書類が手に入ったら、必要事項を記載して手続きの際に持参しましょう。

①姻族関係終了届

  • 用意するもの:姻族関係終了届、戸籍謄本、印鑑
  • 期限:特になし。配偶者の死後であれば、いつでも提出できる。
  • 姻族の許可は特に必要ない。

②復氏届

  • 用意するもの:復氏届、戸籍謄本(届け先が本籍地であれば不要。仮に結婚前の旧姓に戻るのであれば戸籍に戻るため、婚姻前の戸籍謄本が必要。)、印鑑
  • 期限:期限は特にありませんが、配偶者の死亡届を提出後。

子供の復氏届は配偶者と別の手続きが必要

子供の復氏届は注意が必要です。配偶者とは別の手続きがあります。

仮に亡くなった配偶者との間に子供がいる場合、子供の名字は手続きをしなければ変えられません。

たとえば、先ほどの例ですと、亡くなった鈴木太郎さんには妻のあさこさんと10歳の息子の次郎さんがいたとします。

次郎さんをあさこさんと同じ山田姓にするには、手続きが必要です。手続きをしなければ、次郎さんは鈴木姓のままです。

手続きは以下です。

  1. 家庭裁判所に行き「子供の氏の変更許可申立書」を提出します。
  2. 許可審判を受けたら、「入籍届」を出して戸籍を移動させます。

申立方法です。

  • 申立人:子供ですが、15歳未満であれば子の法廷代理人
  • 提出先:子供の住所地にある家庭裁判所
  • 必要なもの:子の変更許可申立書、子供やその両親又は法定代理人の戸籍謄本、印鑑
  • 代金:800円の収入印紙や連絡用の郵便切手

姻族関係終了届と復氏届を一緒に出す際の注意

仮に姻族関係終了届と復氏届を一緒に出す場合は注意が必要です。姻族関係終了届を先に出すか、復氏届を先に出すかで戸籍の記載が変わります。

姻族関係終了届→復氏届の場合

役所に書類を持参して届けを出すケースで、姻族関係終了届を先に提出して、そのあとに復氏届を提出する場合は、戸籍がどのようになるか解説します。

役所の窓口の混み具合などで、提出の順番を決めてしまいがちですが、ここはちょっと考えてから出した方が賢明です。

戸籍は前のまま

姻族関係終了届を出し、その後に復氏届を提出となると、戸籍は前のままです。

なぜならば、姻族関係終了届のみですと、戸籍や氏の移動がないからです。つまり、戸籍はそのままになっています。戸籍も移動したいのであれば、復氏届を提出しなければいけません。

復氏届→姻族関係終了届の場合

復氏届を姻族関係終了届より先に提出する場合について説明します。同じ日に提出するケースでも、復氏届を先に出すか後に出すかで新しい戸籍への記載が変わることに着目しましょう。

姻族関係終了の記載あり

復氏届を提出することで生存している配偶者の名字が変わり、戸籍も変動することになります。そのため、新しい戸籍には姻族関係終了の記載があります。

たとえば、先に想定したケースですと、生存している配偶者のあさこさんは、息子の次郎さんとともに山田姓に変わります。仮にあさこさんのご両親が亡くなっている場合は、次郎さんと新しい戸籍を作成することになり、そこには姻族関係終了と記載されます。

因みに上記のケースで、仮にあさこさんのご両親が健在であっても、結婚前の戸籍に戻りたくないと考えたら、「分離届」を提出して息子とともに新しい戸籍を作成することもできます。

姻族関係終了届・復氏届のメリット・デメリット

姻族関係終了届、復氏届には、それぞれメリットやデメリットが存在します。いろいろと考えた上で決めることですが、その前に考えられるメリットやデメリットも知っておきましょう。

姻族関係終了届・復氏届のメリット

姻族関係終了届、復氏届のメリットとして考えられることをご紹介します。

姻族関係を終了しますと、亡くなった配偶者の親や兄弟姉妹を扶養する義務はなくなるので、今後は自分の人生を生きることができます。

亡くなった配偶者が残した遺産などについても影響がありません。

亡くなった配偶者の親への責任がなくなる

もしも姻族関係終了届を出さずに復氏届のみであれば、亡くなった配偶者の親、兄弟姉妹を扶養する義務は残ります。しかし、両方提出すると戸籍も変わり、相手の親や兄弟姉妹を扶養する義務もなくなります。

家に縛られたくないという考えのある方であれば、姻族関係終了届や復氏届を提出して、亡くなった配偶者との良い思い出を胸に今後の人生を送るのも良いでしょう。

また、結婚は本人同士なので、相手の家族との関係はここですっきりと終わらせたいという考え方もあります。そんな考えを持つ方にとっても、姻族関係終了届や復氏届は大きなメリットです。

再婚するなど新しい人生を送れる

姻族関係終了届、復氏届のどちらも出してしまえば、亡くなった配偶者の血縁者との縁はなくなる上に姓も変わるので、自由になれるという考え方もあります。

再婚したり、新しいパートナーを見つけて同居したりするのも自由です。考え方はいろいろありますが、新しい人生を送れるということをメリットとしてとらえるのも良いでしょう。

財産の相続権、遺族年金の受給資格に影響がない

姻族関係終了届、復氏届を提出しても、亡くなった配偶者が残した財産の相続権、遺族年金の受給資格に影響がない点もメリットです。

亡くなった配偶者との間に子供がいる人もいらっしゃるでしょう。また、老後の人生も長いものなので、受け取れるお金があるのは、ありがたいことです。

姻族関係終了届・復氏届のデメリット

姻族関係終了届、復氏届にはデメリットも考えられます。それは、亡くなった配偶者の家族との感情的な問題や子供がいる場合の問題です。

どちらも気持ちの問題と言えます。後悔が残ったり、関係がこじれたりすることは避けたいものです。

亡くなった配偶者の家族に言いにくい

考えられるデメリットは姻族関係にある方々との感情的な絡みでしょう。亡くなった配偶者の了承を得ている、自分自身は割り切って考えているとしても、姻族関係にある亡くなった配偶者の家族には、言い出しにくいものです。

しかし、黙っているよりは、きちんと向き合った方が後々のためです。機会を見つけて話してみましょう。その際は、これで何も連絡しないという言い方はせず、何かあれば力になるということを言っておいた方が賢明です。

何事も相手の気持ちを第一に考えたいものです。

子供に理解させなければいけない

子供に理解させることの難しさも考えられるデメリットです。

子供の理解を得られてから、姻族関係終了届や復氏届を出すという方法もあります。いずれにしても、子供との話し合いも必要です。

姻族関係終了届・復氏届のよくある疑問

姻族関係終了届・復氏届のよくある疑問をご紹介します。理解を深めるのに役立ててください。

亡くなった夫の親に内緒で姻族関係終了届は出せる?

姻族関係終了届は、生存している配偶者の意思のみで出すものなので、亡くなった配偶者の親族の了承は必要ありません。

民法728条第2項によると、夫婦のどちらかが亡くなった場合、亡くなった側の親族との関係を解消する意思があれば、意思表示のみで親族関係を終了し、扶養義務をなくすことができるとあります。この意思表示が姻族関係終了届です。

しかし、上記のデメリットでも説明しましたように、人には感情があります。こじれないようにするには、きちんと話をした方が相手の感情を逆なでしないでしょう。

再婚する際に姻族関係終了届は必要?

配偶者に先立たれて再婚する際に、姻族関係終了届は必要ありません。

男性の場合、配偶者が亡くなって再婚するのに、日にちの成約はありません。しかし、女性の場合は配偶者の死後100日たってからと決められています。

姻族関係終了届を出したら自分のお墓はどうなる?

姻族関係終了届を出したら、亡くなった配偶者の家族が入るお墓には入れません。結婚前のお墓に入るか、新たにお墓を建立するかです。

国際結婚の場合も復氏届を出すのに期限はない?

国際結婚で復氏届を出す場合は、期限があるので要注意です。

配偶者が亡くなった日の翌日から3ヶ月以内の復氏届を出さないと、家庭裁判所の許可を得なければいけません。手続きなどで大変なことになるので、復氏届を出すと決めたら、早めに行動しましょう。

まとめ:姻族関係終了届と復氏届の手続きは配偶者の死後・周囲への配慮を忘れずに新しい人生を歩もう

配偶者に先立たれた場合、人によっては姻族関係終了届や復氏届を出すことがあります。姻族関係終了届は亡くなった配偶者の血縁者との関係を終了させる手続き、復氏届は配偶者が亡くなった後に旧姓に戻る手続きです。

どちらの手続きも配偶者の死後、本籍地があるところか住んでいる地域の役所に書類を出して行います。

新たな人生を歩めるなどのメリットはありますが、周囲への配慮は忘れずにしたいものです。

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