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テロメアは長寿の鍵?染色体の末端「テロメア」と長寿の関係を解説!

目次

テロメアでノーベル賞受賞!テロメアとは染色体保護が本来の役割*1

染色体の末端部分に染色体を保護するテロメアがあります。2009年にテロメアの研究でカルフォルニア大のブラックバーン氏が、ノーベル医学・生理学賞を受賞しましたが、それはテロメアが染色体を保護する仕組みを解明したものです。この記事では「細胞分裂の回数券」と呼ばれるテロメアと長生きとの関係や、テロメアの長さと癌・心臓病との関係、そしてテロメアを長くする方法について解説します。

細胞分裂すると短くなるテロメア

細胞が分裂するとき遺伝情報が記録された染色体が現れます。この染色体の末端がテロメアと言われています。テロメアは染色体同士が接合などしないように保護する役目があります。細胞が分裂するたびにテロメアは短くなっていきますが、テロメアには遺伝情報がないので短くなってもかまわないのです。

テロメアは「細胞分裂の回数券」?

細胞分裂が繰り返されてテロメアが段々短くなっていくと、やがて細胞分裂が止まってしまいます。それでテロメアは「細胞分裂の回数券」と言われたりするのです。ここではテロメアと老化、そして長寿との関係について解説します。

細胞分裂が終わると老化

細胞分裂が繰り返されテロメアがある程度の短さになると、細胞分裂は止まってしまいます。これが細胞の老化で、シワができて傷の治りが遅くなると言われています。

テロメアが長いと長生きする?*₂

テロメアが長いからといってと長生きするというわけではないようです。ネズミのテロメアはヒトの10倍の長さがありますが、ネズミの寿命はだいたい3年くらいです。サルもヒトより長いですが、寿命は20~30年です。これらのことからもテロメアの長さと寿命は関係しないとされています。

ヒトの場合

赤ちゃんとお年寄りではテロメアの長さが違って、赤ちゃんのほうが長いです。しかしテロメアの長さを調べれば、あとどのくらい生きられるかがわかるということはないようです。テロメアの長さには個人差があり、同じ年齢でも人によってテロメアの長さと短くなる速度は違います。

テロメアの長さと癌・心臓病との関係*₂

テロメアが短くなり、細胞分裂が終わると炎症しやすくなります。この炎症は、心臓病や癌などにかかりやすくなる要素と言われています。テロメアの長さを測って、健康な状態か病気発症に近い状態かを調べる検査もあるほどです。ここではテロメアの長さと動脈硬化、そして癌との関係について簡単に解説します。

テロメアと動脈硬化

血管の内側にはシートのような薄い膜がありますが、喫煙や高血圧などが原因となって、血管の内側に傷がついてしまいます。するとこのシートが細胞分裂して傷が修復されます。何度も何度も修復が繰り返されるとテロメアは短くなっていき、細胞分裂が止まって血管の内側は修復されなくなってしまいます。テロメアが短くなったことが原因と断定はできませんが、テロメアが短いと動脈硬化が起こりやすくなることや、脳や心臓で出血したり血管が詰まるリスクが高くなるという報告がされています。

テロメアと癌

慢性肝炎は炎症を修復しようと細胞分裂が繰り返される結果、肝硬変、肝癌につながると考えられています。このようにテロメアが短くなって、染色体がつながるなどすることは、癌を引き起こす1つの原因とも言われています。

テロメアを長くするテロメラーゼの働き*₃

テロメラーゼという酵素が働くと、テロメアは短くなりにくかったり、伸びたりします。特にテロメラーゼの働きでテロメアが短くなりにくいとされるのが生殖細胞と癌細胞です。ここではテロメラーゼの働きと生殖細胞や癌細胞との関係を解説します。

生殖細胞でテロメアが短くならない証明

生殖細胞ではテロメラーゼの働きでテロメアは短くなりません。よって若い両親から産まれた赤ちゃんと、若くない両親から産まれた赤ちゃんとでテロメアの長さを比べても変わらないのです。

テロメラーゼと癌細胞の治療

癌細胞はテロメラーゼが働きすぎるためテロメアが短くなりません。これにより、癌細胞がどんどん増殖してしまうとされています。このテロメラーゼの働きを阻害できれば癌を治療できるとされています。

テロメアを長くする方法*1

先のブラックバーン氏が書いた「細胞から若返る!テロメアエフェクト」によると、テロメアを長くする、つまりテロメラーゼの働きをよくする方法があるとされています。基本的には禁煙など健全な生活を心がけてみるとよいようです。ここではテロメアが長くなるとされている方法について解説します。

精神状態がいいとテロメアが伸びる!

ストレスはテロメラーゼの働きを弱くするので、精神状態をよくすることが大切です。瞑想することやぐっすり眠ることが効果的で、睡眠時間が7時間以上の高齢者は5~6時間の高齢者よりもテロメアが長いそうです。

いわゆるヘルシー食で

高脂質の食事を控え、野菜を積極的にとりましょう。コレステロールの多い食事は細胞分裂を起こす時間が早いので、その分テロメアが早く短くなるとされています。

歩くことも大事

激しい運動というより有酸素運動を、コンスタントに続けるといいようです。過去10年間に運動をしていた人としていない人で比較すると、運動をしていた人のほうがテロメアが長いという統計がとれています。激しい運動は体内に酸素を取り入れすぎて、酸化ストレスとなり細胞を傷つける原因の1つとされています。傷ついた細胞は修復しようと細胞分裂を繰り返すのでテロメアが短くなってしまうのです。

まとめ

細胞分裂のときに現れる染色体の末端部分にテロメアがあり、テロメアは老化に関係していると考える研究者もいます。

細胞分裂が何度も繰り返されてテロメアが次第に短くなると、細胞の老化や組織での炎症が起こりやすくなり、心臓病や癌にかかるリスクが高くなることが報告されています。

病気にかかりにくくするにはテロメラーゼの働きをよくしていくことが重要です。例えばそれには瞑想や良質な睡眠を心がけ、禁煙や高脂質な食事を控え、有酸素運動をするなど健康的な生活スタイルが挙げられます。これは様々な病気のリスクを下げることに繋がり、結局のところ健康的に生きることこそが長生きの秘訣なのかもしれません。

【出典】ニュートン「死とは何か」2020年7月号

*1:日本経済新聞夕刊2017年6月8日付 https://style.nikkei.com/article/DGXKZO17445410Y7A600C1NZBP01/?page=2

*2:研究所地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター「テロメアの長さは寿命と関係があるのでしょうか」

https://www.tmghig.jp/research/topics/201306/

*3:東京薬科大老化が起こるしくみ その2

https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/departments/applife/knowledge/article-030.html

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