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低栄養が実は怖い!低栄養が原因で引き起こされる諸問題を解説!

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目次

低栄養とは体を動かすためのエネルギーとタンパク質が不足した状態

エネルギーやタンパク質を取りすぎた過栄養の場合は、メタボリックシンドロームと言われ、糖尿病になりやすいなど何かと問題視されています。実際、高齢者はメタボリックシンドロームの有病率は高いそうです。しかし後期高齢者になると過栄養よりも低栄養のほうが問題。

摂取エネルギーやタンパク質が不足している低栄養は、臓器などの機能が低下して健康に問題をきたしているそうです。老年医学会は筋力が落ちて活動が少なくなっている虚弱状態をフレイルティと呼び、後期高齢者の虚弱した状態は低栄養と関連があるとしています。今回は高齢者の低栄養が健康に与える影響をみていきましょう。

深刻な低栄養

後期高齢者が要介護となる原因は、主に転倒、認知症、衰弱の3つがあげられます。そのうち転倒と衰弱の2つは低栄養が原因となる場合があります。また認知症も栄養状態が問題となって発症するケースがあるそうです。

高齢者の衰弱が問題とされる理由

高齢者が衰弱してしまうことは要介護の前段階でおこる低栄養が原因と言われています。つまり食事をとっても消化器系の臓器機能が落ちているため、栄養が吸収されにくいのです。また衰弱は老化だけでなくさまざまな病気も影響しています。なかには生活習慣病の食事療法によって虚弱した状態になることもあるそうです。

例えば、糖尿病の治療のために摂取エネルギーを制限することや、高血圧の治療のために塩分を控え目にすることで食欲が減退してしまい、結果として低栄養が引き起こされることもあります。さらに1人暮らしや経済的な困窮、配偶者など近しい人との別離も食欲減退、ひいては低栄養状態を招いてしまうことも。実際要介護になるのは、脳卒中よりも低栄養のほうが原因となることが多いそうです。

低栄養と筋肉量減少の関係

筋肉量が減少すると活動量が減り、食欲が落ちてしまいます。食欲が落ちれば低栄養状態に。そして低栄養となればさらに筋肉量が減少。筋肉量の減少と低栄養の悪循環です。

低栄養と診断される基準

低栄養状態にあるかどうかは、体重と血液検査の数値が診断基準となります。具体的に言うとBMIとアルブミン値です。

体重とBMI

低栄養にならないためには、身体測定を定期的に行い、体重が減少していないかをみることが大切。数週間などの短期間で体重が大幅に減少していないか、さらにBMIの数値を把握しておくといいようです。

BMIは体重÷身長² で求められ、肥満化どうかを測る指数。BMIが18.5未満は「痩せ」で低栄養状態です。しかし高齢になると身長が実際よりも低く計測されるなど、BMI数値は正確ではないことが多いそうです。

ただ、BMI数値は死期が近づく5年前頃から減少するとも言われています*₂。BMI数値が正確ではないから身体測定をしても意味がないとするよりも、BMI数値を「痩せ」や「死期」をはかる目安として知っておくといいかもしれません。

採血結果のアルブミン値*₁

健康診断で採血した検査値のうち、アルブミンの数値が3.5未満のときも要注意です。アルブミンはタンパク質の1つ。アルブミンは血液中の総蛋白の6割を占めると言われ、アルブミンが少ないことによる影響はむくみが出ることと免疫が下がることがあげられます。

高齢者の衰弱の定義

①体重減少

②主観的疲労感

③日常生活活動量の減少

④身体能力(歩行速度)の減弱

⑤筋力(握力)の低下

3項目以上あてはまるとき衰弱が問題なレベルだそうです。

若者の低栄養

飽食の日本では若者の栄養が足りていないと考えにくいですが、若者の栄養状態にも警鐘が鳴らされています。

実際に若者が摂取するカロリーは十分に足りているそうですが、ビタミンやミネラルは不足した状態です。いわゆるジャンクフードやお菓子などで手軽に食事をすませている人や極端なダイエットをしている人は要注意。

日本が長寿国になったのも、一汁三菜の食事がよかったからとも言われています。今の若者世代が老年期に入ったとき、今のまま日本が長寿国でいられるかどうか問題だそうです。

低栄養によって引き起こされる問題

低栄養状態では筋肉量が減り、免疫力も落ちるのでさまざまな問題が引き起こされます。ここでは低栄養によって引き起こされる問題を具体的にみてきいましょう。

転倒して寝たきり状態になりやすい

転倒して寝たきりになるのは骨折してしまうためです。転倒するのは筋肉量が減少したためで、タンパク質の摂取不足が原因であり、骨がもろくなっていると骨折しやすくなります。骨がもろくなってしまう骨粗しょう症はカルシウムとビタミンD不足が原因です。低栄養状態は筋肉量の低下と骨折の根本的原因になりうると言えます。

傷がなおりにくく、風邪など感染症にかかりやすい*₁

低栄養状態では、些細な傷がなかなか治らないと言われます。また脂肪が減るので、骨によって皮膚が圧迫されて褥瘡(じょくそう)、わかりやすく言えば「床ずれ」が起きやすくなるそうです。

「低栄養と診断基準」で述べたように、タンパク質(アルブミン)が不足した状態は免疫力が落ちている状態。風邪などの感染症にかかりやすくなり、さらに風邪をこじらせて肺炎に。その他に足や腹部がむくみやすくなることがあげられます。

認知症の発症と関連がある

脳血管性の認知症だけでなくアルツハイマー病もは生活習慣病と強い関連があるそうです。ビタミンB₆やビタミンB₁₂、葉酸などビタミンが不足すると認知症を発症しやすいのではないかと言われて、研究が続けられています。

また、他にオメガ3系脂肪酸も認知症に関係しているという研究報告もあります。しかし予防効果があるかどうかの見解が一致していないなど、さらにデータをとる必要があるとされています。とはいえ、認知機能や認知症発症には栄養素が関連していると言えるようです。

低栄養となってしまう原因

低栄養となってしまう原因はさまざま。病気や薬の副作用で食欲が落ちることもあります。ここでは低栄養となる原因をみていきましょう。

病気の問題

癌などの病気にかかると食欲減退となりますが、薬の副作用のために食欲が落ちることもあります。さらに病気の治療としての食事制限や薄味にしたことが原因で食欲が落ちることでも、結果として低栄養となってしまうそうです。病気を治すことばかりを重要視して、低栄養となってしまわないように治療と食事のバランスが大切。

精神的・経済的な問題

認知症やうつ病を発症していると、1人で買い物に出かけられないために食材を安定して獲得できず、低栄養となりやすくなります。また1人暮らしが長いと食事を簡単にすませてしまいがちなことや、配偶者に先立たれた喪失感から食欲が減退することも。また、経済的な問題から栄養のある食事をとれないケースもあるそうです。

飲み込みの問題

高齢になると、咀嚼筋が衰えるうえに歯が抜けるなど噛みにくくなることが多いようです。そのため柔らかい物ばかり好んで食べるようになってしまいがち。

また、うまく飲みこめなくなるために、食事をするとむせて苦しくなります。次第に食事をとることを嫌がるようになってしまうため、トロミをつけて飲み込みやすくするなどの工夫が必要です。

消化機能の問題

胃酸の分泌が低下して酸が少ない状態を低酸症といい、高齢者では低酸症が多くなります。低酸症は鉄の吸収が妨げられ、小腸では細菌が異常に増えるそうです。また消化酵素であるペプシンが減少。低酸症とペプシンの減少は加齢というよりヘリコバクター・ピロリ菌が原因と言われています。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているかどうか、受診して適切な治療を受けましょう。

小腸での栄養吸収は高齢になってもあまり低下しないそうですが、大腸では便の移動が遅くなるため水分を吸収しすぎて便秘になりやすくなります。適切な排泄がなされないことが、食欲の減退に結びついてしまうそうです。

低栄養に対する対策・治療*₂

後期高齢者にとって低栄養は深刻な問題です。低栄養に対して、どのような対策や治療があるのかをみてみましょう。

1日3食をしっかり食べる:栄養価の高い食品を取り入れる

散歩などの運動量を増やして、1日に3食をしっかり食べるように心がけましょう。治療を優先させて減塩などをするよりも栄養をとることが目標。しっかり噛んで食べられるように歯周病など歯科での治療が必要となるかもしれません。

またすぐに膨満感を感じるときは、1回の食事量を減らして、何度かに分けて食事をとることも1つの手段。ちりめんじゃこや卵など高タンパクな食品を取り入れてみるなど工夫をしてみましょう。栄養のバランスを悪くさせないことが肝要です。

栄養補助食品を取り入れる*₂:運動直後に摂取する

どうしても食事から栄養をとりきれない場合は、栄養補助食品で補ってみましょう。栄養補助食品の形態は、ドリンクタイプやゼリータイプなどさまざま。1日の摂取エネルギーを確保できるように食間や睡眠前、活動する前後に栄養補助食品を取り入れてみてください。特に体を動かした直後に栄養をとることは、筋力を高める効果が期待されています。

医師と相談する*₃:薬量の調節や薬に頼る

食欲がわかない場合は、医師によって食欲を刺激する薬や筋肉量を増やす薬が投与されることがあるそうです。またうつ病や癌、心不全、高血圧などの治療のために出される薬の中には、食欲が減退することや下痢などを引き起こす副作用があります。

食事をとる気になれない場合は、今後自身としてどうしていきたいのかを明確にしながら医師と相談してみましょう。

まとめ

日本の後期高齢者にとって、要介護になる可能性が高い低栄養。昨今では過栄養が問題視されることが多く、病気の治療で塩分や脂肪のとりすぎに注意するあまり低栄養となってしまうことがあります。

健康に影響する低栄養。健康寿命を延ばすには、まずは「老いていく」体と向き合う必要があるようです。低栄養状態が深刻となり口から摂取できなくなると、胃ろうなどの処置を検討しなければならなくなります。病気から回復するために医師の指示に従うことは大切ですが、今後、自身としてはどのような生き方をしていきたいのかを考え、医師に伝えることも大切です。

出典 高齢者 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042643.pdf

*1高齢者の低栄養 健康長寿ネットー公益財団法人長寿科学振興財団

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/tei-eiyou.html

*2リハビリテーション栄養ー横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科                日本リハビリテーション栄養研究会 会長 若林 秀隆・監修

https://www.clinico.co.jp/medical/rehabilitation/pdf/180516_01.pdf

*3低栄養ー11. 栄養障害ーMSDマニュアル家庭版

https://www.msdmanuals.com/ja-jp

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