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呼吸停止を招く疾患とは?死戦期呼吸は呼吸と言えるのかを解説

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呼吸停止とは死の三兆候の1つ

呼吸停止は心停止、瞳孔反応の消失とともに死の三兆候の1つです。呼吸停止にいたる前に引き起こされる呼吸障害。その原因は急性と慢性で違います。急性のときは自身でも呼吸状態の悪さに気がつきますが、慢性のときには意外と自身では気がつかないことも。今回は呼吸に関しての疾患や正常な呼吸状態について解説します。

呼吸停止をまねく呼吸障害の原因

呼吸困難の症状は人それぞれ。息苦しい、詰まった感じがして息を吸いにくい、息を十分に吸った感じがしないなどです。呼吸が苦しいと感じると不安ですが、「気のせい」ですませないでください。重篤になると呼吸障害をまねく可能性がるからです。ここでは呼吸障害の原因をみていきましょう。

急に呼吸困難になるとき

餅など大きな塊の異物を飲み込めないとき、詰まって呼吸ができなくなります。またアナフィラキシーショックなど、のどが腫れて気道が狭くなって呼吸ができなくなることも。

その他には肺炎があります。肺が炎症して酸素と二酸化炭素のガス交換ができにくくなるためです。肺の表面に穴があき空気がたまってしまう気胸の場合は、息を吸っても肺が広がらず、呼吸困難になってしまいます。エコノミークラス症候群とも言われる肺血栓塞栓症も、肺の血管が血栓で詰まることによって呼吸困難を引き起こします。

慢性的に呼吸困難な状態とは?*₁

肺の生活習慣病と言われるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)。喫煙が原因とされていますが、大気汚染や遺伝なども原因です。それなのにあまり認知されていないため、適切な治療を受けていない人が多いとされています。症状としては息を吐きにくくなることがあげられ、数年にわたって病気が進行。一方で、風邪を引いたときや心不全などとの合併症によって、急に呼吸状態が悪くなることがあります。

その他に間質性肺炎や肺癌、または姿勢が悪くなっただけでもも慢性的な息苦しさの原因となります。

間質性肺炎と肺炎は違う * ₂

肺炎は肺の中の小さな袋(肺胞)の炎症です。肺胞が炎症すると酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなります。

肺炎に対して間質性肺炎は肺そのものの異常。肺の中の肺胞と肺胞の間にある組織を間質といいますが、その間質が炎症した状態を間質性肺炎と呼びます。間質での炎症が起こると肺胞壁が硬くなって、酸素と二酸化炭素が通りにくくなるそうです。しかし間質性肺炎は「肺炎」の二文字がつきますが、肺胞が炎症を起こすわけではないので肺炎ではありません。

呼吸停止を判断する

呼吸が停止したと思われるときは、素早く正確な判断が必要です。呼吸停止して数分で脳や臓器の機能が低下、停止してしまいます。それではどのように判断すればいいのでしょうか?

呼吸停止の判断の仕方と処置

正常な呼吸をしているかの判断は、胸や腹部に動きがあるかどうかをみます。横たわった状態で上下に動いているかどうか、10秒以内で判断してください。

呼吸停止と判断した場合は、早く適切な処置が望まれます。しかし、心停止の前後や心臓の動きが極めて弱いときに酸素だけ送ると、かえって容態が悪くなるそうです。まずは気道内の異物があればそれを取り除き、気道を確保、呼吸を促します。このとき心臓マッサージをして、心臓の動きを悪くさせないようにすることが肝心。

死戦期呼吸は呼吸ではない

死戦期呼吸は呼吸ではありません。しかし顎や首が動いているので呼吸をしていると勘違いすることも。その呼吸が正常なものとどう違うのか、またどのように対処すればいいのでしょうか。

死戦期呼吸のときの様子

死戦期呼吸は正常な呼吸とは明らかに違います。下顎や首が動いていて、しゃくりあげるように見え、場合によっては声が出ていることもあるそうです。しかし、正常な呼吸のときにみられる胸や腹部の動きはありません。

死戦期呼吸時は心肺蘇生が必要

死戦期呼吸は正常な呼吸ではないため、生死に関わる非常に危険な状態です。この呼吸をしているときの心臓は心室細動と言われ、痙攣して正常な拍動をしていません。言い換えると、心臓から血液を送り出せていない状態。このため死戦期呼吸は心停止の状態とも言われます。

AEDを使わず、死亡?*₃

2017年新潟県にある高校野球部で、熱中症にかかったマネジャーが死戦期呼吸を発症したケース。周囲が死戦期呼吸とわからなかったためにAEDを使わず、低酸素脳症で死亡したという傷ましい事故です。

救急搬送された病院で「心室細動が起きていた」という医師の説明があり、AEDを使用して心肺蘇生するべきだったとされています。

AEDを使うかの判断基準は?

AEDは心臓に電気ショックを与えて、心臓の動きを正常に戻す医療機器です。AEDが操作方法をすべて音声で伝えます。その通りに患者の胸に電極パッドをあててボタンを押すだけ。

とはいえAEDを使うことで患者にかえって負担になるのではないかと不安を感じるかもしれません。しかし電気ショックを与えるべきかどうかはAEDが自動解析して判断し、電気ショックが必要な人にだけ作動します。AEDを使うべきか迷うとき、答えは「使うべき」です。

まとめ

COPDや間質性肺炎など、慢性的な呼吸困難状態があります。ゆっくりと病気が進行するので、息苦しいことを実感しづらいとも言われ、他の病気と合併して一気に症状が進行することもあるそうです。健康状態は自身で管理することが大事。また私達は呼吸に関してあまり知識がないために、死戦期呼吸をみてもそれが危険な状態と判断できないかもしれません。正常な呼吸が停止すれば数分で脳の機能も停止することも。いざというときにはAEDを臆することなく使いましょう。

*1COPD(慢性閉塞性肺疾患)ー東京都福祉保健局

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/copd

*2専門医による医療解説 間質性肺炎Q&A

http://www.inoue-byouin-fukuyama.jp/kanshituseihaien.html

*3女子マネージャー死亡、「呼吸」誤解?AEDを使っていれば:朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/articles/ASK8G31QDK8GUOHB001.html

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