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「老衰」は穏やかな死なのか?体内での変化や突然訪れる老衰死もあることを解説

目次

老衰とは高齢になって心身の機能が衰えること

老化によって生命維持に関わる肺や心臓・脳などの臓器が機能低下し、生命の維持ができなくなれば死に至ります。80代以上の場合、診断されることが多くなる老衰死。今回はゆっくり穏やかに訪れるとされる老衰死について、またその死が突然訪れた事例をあげながら解説します。

老衰は筋肉量の低下が先か?低栄養が先か?*₁

老化によって筋肉量が減少すると、歩くのが遅くなるなど身体機能は衰え、さまざまな不調が起こります。実は筋肉量の低下には、低栄養の問題が潜んでいるとされ、ここでは筋肉量の低下と低栄養が老化にどのように影響を与えるかをみていきましょう。

老衰と低栄養は同じ意味になる?

低栄養状態では体が衰弱になり、日本の場合は認知症や転倒と同じように「高齢による衰弱」が問題視されています。老衰は医学的に説明すると、老化によって細胞や組織が機能低下し、生命の維持が難しくなっていくことで、このとらえ方は栄養障害や虚弱と同じだそうです。

筋肉と肺や心臓の関係

筋肉量が減ると、呼吸に関係する筋肉の働きも弱くなる。そうなれば呼吸状態が悪くなるそうです。また老化によって心筋が硬くなると、心臓が広がりにくくなるなどの問題が生じます。呼吸状態が悪いことや心臓の病気になれば安静にして過ごさなければいけないので、ますます筋肉量が低下し食欲が落ちます。

筋肉量の低下と消化器の機能低下*₂

口から食事をとれば、胃で消化され腸で栄養が吸収されますが、老化によって消化機能は低下するそうです。口は唾液の分泌が減り、咀嚼力が弱くなってしまうので柔らかい物ばかり食べるようになる、舌の味蕾(みらい)が萎縮して味を感じなくなると、食欲が落ちてしまう、さらに食道や胃腸の蠕動(ぜんどう)運動は弱く小腸での消化液が分泌されにくくなるので、栄養が吸収されにくくなります。栄養状態が悪くなれば、筋肉量はますます減少していくでしょう。

老化と脳の栄養*₃

栄養のバランスと認知症の関係が話題に上ることが多く、脳と低栄養の問題は関係があるとされています。特に高齢者の場合は、食欲が落ちれば認知機能が低下するなど、低栄養は問題です。いよいよ食事をとれなくなって脳に栄養がいかなくなれば、生命の維持は難しくやがて呼吸や心臓が停止。しかし死の間際に関して言えば、脳が機能低下しているために老衰によるさまざまな苦痛をあまり感じないのではないかと考えられています。

穏やかと言われる老衰死*4

老衰は、年単位でゆっくりと進み、死因となるような病気がないこととされています。ここでは老衰で死を迎えるとき、次第に体調がどのように変化していくかをみていきましょう。

やがて寝たきりの状態に

毎日の日課をやる気力がなくなるようです。生きる気力がなくなるさからとされていて、ウトウトと眠っている時間が増えるようになります。

口から水分をとらなくなると死が訪れる

食欲がなくなり、食事をとらなくなっていきます。さらに眠っている時間が増えて、次第に口から水分もとろうとしなくなり、水分をとらなくなると、だいたい1週間で死が訪れることが多いようです。また臨床医によると、何らかの病気で腹水がたまっていても点滴をしなければ亡くなるときにはその腹水がなくなり、それは最後の生命維持のために腹水を使いきったと考えられています。

実は突然迎える老衰死もある*₅

穏やかにゆっくりと訪れる老衰死ばかりではないようです。老衰死の場合は、本人や家族に心の準備ができると思われているかもしれません。しかし実際は、次のように突然訪れた老衰死の例もあるのです。

83年間健康だった男性に突然訪れた老衰死

3週間で老衰死を迎えた男性がいます。その男性は大きな病気をすることなく、83年間大きな病気をすることなく、快活で孫と遊ぶことや庭いじりが楽しみという毎日でした。

突然食欲がなくなった

ところが、ある日突然朝食を食べたくないと言い出したそうです。その後も食欲のない日が続き、それでも男性は時間をかけて何とか食事をとり、嘔吐することはなかったと言いますが、体重はどんどん減っていきました。

「ぼんやりと座っている」から「布団で眠る」

男性は孫と遊ぶことや庭いじりをすることもしなくなり、ただぼんやりと座っていることが増えていきました。本人も家族もどうしてこのような状態なのか理解できないまま、ただ日ごとに男性は衰弱していき、次第に布団で眠る時間が増えていったそうです。

3週間で死が訪れた

朝食を突然食べたくないと言い出してから3週間後、男性は眠るように逝きました。癌などにかかって余命宣告を受ければ、ショックを受けますが、本人と家族は、まだ死に対して心構えができるかもしれません。家族は、老衰死がこんなにも早く訪れる場合があると思っていなかったそうです。

老衰死と死亡診断書

2019年に厚労省が発表した死因の順位は老衰死が第3位*₆。死亡診断書は死因の直接的な原因を記すこととされ、それは社会全体で、どのような病気に気をつけるべきかを把握するためです。また、死因は医師の診断によりますが、その定義がまだあいまいな点が多いと言われています。ここでは死亡診断書に「老衰死」と書かれる場合とそうでない場合についてみていきましょう。

「多臓器不全」や「肺炎」は実は老衰死かも?

老化が原因で多臓器不全や肺炎になった場合は、死亡診断書に「老衰死」と書かれることが増えてきました。しかし「多臓器不全」や「肺炎」と書く医師もいます。実際の老衰死の数は、もっと多いのかもしれません。

老衰死という診断が実は違う可能性もある

たとえ「記載すべき死亡の原因」が老衰以外にないとされていても、実は老衰死ではない場合があるのかもしれません。老衰死と診断された後、解剖してまで死因を探ることはほとんどないからです。このため3週間で老衰死したとは考えにくいとする医師は、誤嚥性肺炎など他の死因とする可能性があります。

まとめ

老衰はゆっくり穏やかに進むとされています。老衰と診断されることが多いのは80代以降。食事をとらなくなり寝てばかりいるようになれば、それは老衰死の前兆かもしれません。老衰死は年単位でゆっくり死へ向かう場合が多いとされていますが、そうとも限らない場合もあります。75歳以降から老衰死の可能性があると言う医師がいるように、老年期に入れば死は「まだ先のこと」ではなく、「いつ訪れてもおかしくないこと」です。また、穏やかな老衰死を迎える人もいれば、そうでない場合もあります。老衰死は高齢の場合の様々な死の形態を含み込んだ表現だという認識が正しいかもしれません。

*1高齢者ー厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042643.pdf

*2健康長寿ネット「消火器の老化」ー公益財団法人長寿科学振興財団

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/taberu-nouryoku.html

*3眠るような穏やかな最期? 「老衰」による死の定義とは 多臓器不全と違いは?

https://news.yahoo.co.jp/articles/51ffb2c0905c5b096394e396aa6e5d7491a5bbed

*4現役看護師の僧侶が語る、死の予兆が現れ始める「死の3か月前」頃から起こる3つのこと

https://honsuki.jp/pickup/13694.html

*5週間現代 2019.08.14

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66385?page=5

*6令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の結果

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai19/dl/kekka.pdf

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