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BMIで死期がわかる!?BMIと死期との意外な関係を解説!

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BMI(Body Mass Index)とは肥満度を表す指数

BMIは大人に関して肥満かどうかの判定に用いられる世界共通の指標ですBMIを求める計算式が割合簡単ということもあって、BMIは世界中で用いられています。

ここでは成人男女のBMIと病気の関係、また死期とBMIとの関係についてもみていきましょう。

BMIを計算で求めるとき身長の単位に注意!*1

BMIは体重と身長から求めます。ただし、身長はm(メートル)に直してから計算しましょう。例えば165㎝であれば1.65mです。

BMIの式は次のように表されます。

BMI =(体重kg )÷(身長m)²

BMIの求め方は男女とも同じ!

BMIの求め方は、男女とも同じ計算式を用います。女性のほうが男性よりも脂肪が多いので、肥満判定が出やすくなります。

日本とWHOのBMIを比較*₂

BMIによる肥満かどうかの判定基準は国によって違っており、日本とWHOでのBMIの比較は、次の表のようになります。

WHO                   日本

  ~ 18.5以下低体重 ~18.5未満低体重
18.50~24.99以下普通体重18.5~25未満普通体重
25.00~29.99以下前肥満25~30未満肥満(1度)
30.00~34.99以下肥満(1度)30 ~ 35 未満肥満(2度)

BMIが高いと生活習慣病にかかりやすい

厚生労働省の2020年「国民健康・栄養調査」*₃によると、成人男性は3割、女性は2割が肥満となっています。肥満は生活習慣病になりやすいと一般的に言われていますが、ここではBMIの値と生活習慣病の関係を解説します。

BMIの値と具体的な生活習慣病の関係*₄,₅

肥満は糖尿病や高血圧症などになりやすく、さらに心疾患や脳卒中を引き起こしやすくなるためBMIが高いと死亡リスクが高くなると言われています。

イギリス・ロンドン大学の報告には、BMIが30以上で男性は4.2年、女性は3.5年寿命が短くなるとされています。また、心血管疾患による死亡リスクが最も低いのはBMIが25、癌による死亡リスクが最も低いのはBMIが21です。

日本肥満学会はBMI 22を推奨

日本人を含むアジア人は、BMIが25以下でも2型糖尿病や循環器系の病気を発症し得るとされています。そのため日本肥満学会が最も病気にかかりにくいとしているBMIは22です。

BMIはメタボ予備軍かどうかの基準

ただし、BMIが高いから肥満というわけではありません。なぜなら筋肉の多い男性はBMIが30を超えることがあるからです。逆に、BMIが低くても内臓脂肪が多くついていることがあります。実際、BMIの値が同じでも脂肪や筋肉の量、骨の重さは人それぞれ違います。

特定健康診断や特定保健指導の基準では、メタボリックシンドローム予備軍かどうかを判断するためにBMIが指標とされています。このようにBMIはあくまで「メタボリックシンドロームの予備軍かどうか」の目安という認識が正しいです。

実はBMIが低くても死亡リスクが高まる*₅

前述したイギリスの報告では、BMIが低いと心血管疾患や呼吸器疾患、アルツハイマー病、自殺などで死亡したケースが多いされています。ただし、BMIが高いから死亡リスクが高く、逆BMIが低いから死亡リスクが低いというのは早計です。実のところBMIが高くても低くても死亡リスクはあります。

死期が近づくとBMIは減少する!*₆,₇

年代ごとのBMIを見てみると、多くの高齢者はBMIの数値は低く痩せ型です。中年期で太りやすくなりますが、60歳を過ぎると痩せた人が多くなります。

東京医療有明大学が行ったBMIの推移と死期に関する研究があります。この研究では5年間にわたって介護保険施設の入所者について、BMIの推移を調査。BMIの値から死期の推定ができるのかどうかを調べました。

ただし、口から食事をとって自然な「死」を迎えた高齢者だけを調査対象としています。胃ろうなどの経管栄養の場合は調査対象外です。ここでは死期が近づいたときBMIがどのように減少していくかみていきましょう。

亡くなる5年前からBMIはゆるやかに減少*₈

亡くなる5年前から一定量の食事をとっていても、ゆるやかにBMIが減少していきます。2年前になると減少の傾向がさらに大きく、8ヶ月前では食事量が極端に減って、体重や体格の変化は見た目でわかるほどです。2ヶ月前になれば水分の摂取量が大きく減り始めていきます。

BMIが減るの原因の1つは嚥下がうまくできなくなること*

高齢者は次第に口から食事をとることが難しくなります。それはBMIが減っていく原因の1つで、嚥下(飲み込み)がうまくできなくなってしまうのです。嚥下をコントロールするのは延髄。延髄は生命を維持する脳幹の一部です。

嚥下がうまくできなくなった場合、胃ろうを作って直接、胃に栄養剤を注入する場合があります。しかし胃ろうを作って口から食事をしなくても飲み込んだ唾液は肺に入ってしまうので、誤嚥性肺炎をさけるのは難しいと言われます。肺炎は日本の死亡原因の第3位。誤嚥性肺炎になれば命を落とさなくても、肺炎をきっかけに高齢者は体重が大きく減少します。

亡くなる間近のBMIは10.7?12.0?

前述の介護保険施設での調査によると口から食事をとる場合は、BMIが10.7に近づくように減少していきました*₆。一方で12を致命域とする報告もあります*₇。そういった数字が生命の終わりなのかもしれません。ただし胃ろうなどの経管栄養に頼った場合は、BMIが10.0未満でも生存することが確認されています。

BMIの減少から死期を予測できるとは言い切れない

BMIが減少し始めた場合でも、それは死期が近いとも限りません。高齢者は風邪を引いたときなど、すぐに体重が減少してしまいます。またBMIの減少の仕方は、誰もが同じ経過をとるとも言えません。死期を予測できるようになるには、さらに多くのデータが必要です。

まとめ

BMIが高いと肥満であると判定されることが多く、生活習慣病にかかるリスクが高くなります。日本ではBMI 22を病気にかかりにくい値としています。しかし、日本のこうしたBMIの見方を疑問視する臨床医もいます。臨床医としての経験から言うと、BMIが25~27ぐらいのほうが長生きしているそうです。

またBMIが高いときだけが問題ではないようです。BMIが低くても死亡リスクは高くなります。高齢者の場合は亡くなる5年前頃から、BMIはゆるやかに減少し始めるようです。

とはいえ、BMIの数値に縛られすぎるのは良いことではなく、ある程度BMIを意識した生活を送るほうが健康的です。BMIは健康面でも死期についてもあくまで指標ではありますが、このBMIという数値がいろいろな観点で私たちの健康を表現しているのも知っておいていいでしょう。

*1表 肥満度分類WHO基準

http://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/chart_A.pdf

*2一般財団法人 日本予防医学協会 検査結果の見方

https://www.jpm1960.org/exam/exam01.html

*3厚生労働省の2020年「国民健康・栄養調査」

*4健康年齢 検査値の解説

https://kenko-nenrei.jp/bmi.html

*5 LINK DIET ほとんどの原因による死亡に関連する肥満指数(BMI)

http://www.nibiohn.go.jp

*6 東京医療有明大学雑誌Vol. 6 13-19、2014「BMIの推移を根拠とした高齢者の看取り時期および死期の推定」                         川上嘉明 前田樹海

*7「体格指数(BMI)からみる生と死のはざま」          新谷冨士雄 新谷弘子

*8ニュートン2020年7月号「死とは何か」 

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