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早老症とは何か?ダウン症との違いと2020年ノーベル化学賞を受賞した研究に期待されることを解説

目次

早老症とは実際の年齢よりも早く老化が進む病気

早老症は早期老化症とも言われ、実際年齢よりも早く老年病で苦しむ病気です。ここでは早老症の具体的な症状や原因、治療法など、また同一視されるダウン症についてもみていきます。

早老症患者の6割が日本人!?*₁

早老症には主に6タイプがありますが、早老症のうちの1つ、ウェルナー症候群は日本では700~2000人いるとされ、世界中の同患者の6割を日本が占めているそうです。

日本の指定難病に認定されていますが、ここでは早老症の診断基準や患者数が700~2000人と幅がある理由をみていきましょう。

早老症の診断基準は老化の進み具合と遺伝子の検査による

ウェルナー症候群は10歳~40歳までに、アキレス腱などの石灰化、白髪、白内障、しわがれた声など老化の進み具合と遺伝子の変異があるかどうかで診断されます。

早老症を診断できる医師はまだ少ないために適切な治療を受けられない

早老症は患者が少ないこともあり、早老症を診断できる医師がまだ少ないのが現状。このために患者数が700~2000人とされ、実際の患者数はもっと多いとも言われています。日本に6割もウェルナー症候群の患者がいるのは、診断できる医師が日本に比較的多いからとも言われています。

また、早老症患者は認知症が進まないので、ただ老化が早いだけとされて適切な治療を受けられない場合もあります。

早老症の原因は近親婚だけではない

早老症患者の遺伝子には変異がみられ、その遺伝子は特定されています。ウェルナー症候群は常染色体の8番目の染色体が変異しているそうです。この症候群が日本に多い原因として、山が多い地形があげられます。山に囲まれて集団が孤立化、その集団の中で子供が生まれることが多いため。つまり、遺伝子が近い関係の2人から子供が生まれることも遺伝子が変異する原因の1つです。

しかし近親婚だけが原因ではありません。私達は症状がみられなくても変異した遺伝子をもっているかもしれません。変異した遺伝子をもった2人から子が生まれれば、子の4人に1人は症状が出るとされています。

他の早老症の病気 色素性乾皮症の症状*₂

色素性乾皮症の患者は、皮膚癌にかかりやすいそうです。

日光に少しあたっても皮膚が赤くなって水ぶくれができやすく、その症状が治まるのに何日もかかってしまいます。また日光にあたることを何度も繰り返すと、日光にあたった皮膚が乾燥し、皮膚癌を発症します。

皮膚癌にかかるリスクは患者ではない人と比較すると、数千倍と言われるほど。日本の患者数は300~600人。

ダウン症とは違う?*₁

遺伝子の病気として知られるダウン症。ここではダウン症の症状や原因、ダウン症は親からの遺伝なのかどうか、また問題視されていることをみていきましょう。

ダウン症の特徴は顔にはっきり表れる

目が細く吊り上がっているなど顔に特徴が表れ、知的な発達はゆっくりです。他に心臓や呼吸器などの合併症がありますが、医療の進歩によって普通の社会生活を送るようになってきました。

ダウン症は親から子への遺伝ではない

ダウン症は染色体が通常より1本多いことが原因です。遺伝子の変化で発症する病気は親から子へ遺伝するものと突発性のものがあり、ダウン症は親から子へ遺伝した病気ではなく、偶発的な病気とされています。600~800人に1人の割合で発症。

ダウン症の老化についてはよくわかっていない

ダウン症は心臓病や白血病などの合併症のためもあって寿命が短かったのですが、近年は医療の進歩によって寿命が60歳を超えています。ダウン症は30代、40代で老化が始まるとされている一方で、老化が早くない人がいるそうです。

またダウン症は肥満が多いわりには高血圧や動脈硬化が少なく、血液の癌と言われる白血病は多いのに、胃癌や肺癌など臓器での癌は少ないとされています。実のところダウン症の老化は、まだよくわかっていません。

ウェルナー症候群の治療法

遺伝子の病気を根本的に治す治療法は、まだ見つかっていません。したがってそれぞれの症状にあわせた治療、つまり対症療法となります。ここではウェルナー症候群の患者の現状をみていきましょう。

傷ができないように予防が重要

ウェルナー症候群の患者は傷ができると治りにくいのです。これを皮膚潰瘍といいますが、皮膚潰瘍にならないように傷の予防が重要。アキレス腱やかかと、肘、膝を保護します。皮膚潰瘍になりやすいのは、皮膚とその血管の老化が原因。

ウェルナー症候群の寿命はのびている

皮膚潰瘍性を繰り返して足を切断するなど、ウェルナー症候群の患者は厳しい生活を強いられているそうです。しかし適切な治療により寿命はのびて、1996年頃は42歳だった平均寿命が近年は55歳前後、60代の人もいます。

死亡の主な原因は悪性腫瘍と動脈硬。日々の健康チェックや定期健診で病気を早期発見、早期治療することが肝要です。

2020年ゲノム編集で新しい手法を開発した研究者がノーベル化学賞を受賞*₃

アメリカとフランス出身の研究者2人が、これまでのゲノム編集よりも簡単に遺伝情報を書き換える手法を開発し、ノーベル化学賞を受賞しました。この手法はすでに癌の新しい治療の開発などに用いられています。

倫理的な問題も発生することになりますが、遺伝子の病気の治療には期待したいところです。

早老症の研究が老化を解明

早老症患者のQOL(Quality of Life)は老年病が早く発症するなど、苦痛が強いられています。しかし早老症の遺伝子研究は、老化システムの解明などに貢献。ここでは早老症患者でありながら、病気の解明に協力し治療の道を開いた少年を紹介します。

サム君は発明家になる夢をもっていた*₄

アメリカで生まれた早老症患者の少年サム君。サム君は17歳で亡くなったのですが、高校のマーチングバンドで演奏を楽しみ、将来はマサチューセッツ工科大学に進んで発明家になる夢をもっていました。

サム君は自分の使命を自覚

両親が医師ということも影響して、サム君は自身の果たすべき使命に気がついていたようです。高校生としての生活を楽しみ一方で、サム君はドキュメンタリー番組に出演。サム君の病気は広く知られ、同じ病気の子供たちが世界中で適切に診断を受けられるようになりました。サム君は同じ病気の人に勇気を与えたというわけです。

さらにサム君はヒトゲノム研究所に協力して、サム君の病気の原因を突き止め、早老症の治療の道を開きました。早老症の研究者は「サムは自らの才能、人としての成熟度、そして使命を持って生まれたことを自覚していた」と言います。

まとめ

早老症は実際年齢よりも早く老化が進むので、老年病に苦しめられます。実際のところ早老症患者はあまりいないので、診断できる医師もまだ少ないというのが現状です。

しかしサム君のおかげで早老症の病気は広く知られるようになり、早老症の研究が進んで老化の仕組みも解明されるようになりました。17歳で亡くなった少年に生き方を教えられたと研究者は言います。

サム君や早老症患者の頑張りを知ると、早く根治療法が見つかることを願うばかりです。また、そのことで老化の仕組みが詳しく解明されるかもしれません。長寿遺伝子の研究やゲノム編集の新しい手法など、さらなる研究に期待しましょう。

*1健康長寿ネット 早老症のケアー公益財団法人長寿科学振興財団

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/werner/care.html

*2色素性乾皮症(指定難病159)ー難病情報センター

https://www.nanbyou.or.jp/entry/112

*32020年ノーベル化学賞に「ゲノム編集」の研究者2人ーNHK

https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize2020/chemical/news/news_08.html

*4早老症患者サム君の短くも輝かしい生涯

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8776/

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