MENU

低酸素症は命に関わる!低酸素血症や喫煙、コロナとの関係を解説!?

目次

低酸素症とは体内の酸素が少ないこと

呼吸によって得た酸素は血液によって全身に運ばれますが、十分でないときは低酸素状態となり、さまざまな症状が表われます。さらに重症化すれば命の問題に。体内の低酸素状態を表す言葉として低酸素血症と低酸素症の2つがあり、それは混同されがちです。今回は低酸素血症と低酸素症の違いと、低酸素状態が命にどのように関わっていくかを解説します。

低酸素血症の特徴*

低酸素血症とは動脈血中の酸素が不足している状態のと₁を言います。低酸素血症が引き起こされる原因と症状をみていきましょう。

低酸素血症を起こす代表的な2つのケース

低酸素血症は、肺を流れる動脈の血液に酸素が十分にとけていないときに引き起こされます。肺そのものに問題があるときと肺には問題がないときの2つのケースがあるのですが、2つのケースはどのようなときでしょうか?

肺の疾患があるとき

肺炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、無気肺など肺の病気によることが多いです。肺に問題があると、肺で酸素と二酸化炭素の交換が十分にできなくなり、肺の毛細血管を流れる血液に酸素を十分に送り出せなくなるそうです。

肺の問題ではない

肺に問題がなくても低酸素血症を引き起こすことがあります。

貧血の場合、血中のヘモグロビンが少ないことが問題です。ヘモグロビンが少ないために運搬できる酸素が少なくなり、低酸素血症を引き起こします。

また高熱が出た場合は、肺を流れる血液が十分な酸素を受け取れなくなることが原因。高熱によって心拍数が増えて血液の流れが速くなるためです。

さらに高い山に登ったときも低酸素血症を引き起こしやすくなります。登るという運動で体が酸素を必要とするにも関わらず、高山では酸素が薄いため。

低酸素血症の症状を軽症・重症に分けて紹介

急性で低酸素血症となったとき、軽症と重症ではその症状は大きく違ってきます。慢性の低酸素血症では、軽症のときには体調の異変に気づかず、いきなり重症化してしまうことがあるそうです。

軽症の場合の症状

低酸素血症となったときの軽症としては、まず坂道などでの息切れ。他にも頻脈、チアノーゼ、発汗がみられます。ただし貧血があるとチアノーゼになりにくいそうです。チアノーゼは酸素と結合していないヘモグロビンが多い状態のこと。貧血の場合はもともとヘモグロビンが少なく、たとえ血中の酸素が不足していても、酸素と結合していないヘモグロビンが少ないことから、チアノーゼが出にくいとされています。

重症化した場合の症状

低酸素血症が重症になったときは、肺がもつ本来の役割を果たせなくなっています。言い換えると酸素を体内に取り込んで二酸化炭素を体外に出しにくい状態。脈が遅くなり昏睡状態となる場合があり、肝機能や腎機能が低下することもあるそうです。

低酸素症は要注意*₂

低酸素症は体内の組織で酸素不足となった状態。場合によっては、体が低酸素状態ということを感知できずに進行するので、要注意です。

低酸素症を起こす代表的な3つ原因

低酸素症を起こす原因として主に3つあげられます。まず酸素を運ぶ血液の問題、また血液を送り出す心臓の問題、そして運ばれた酸素を処理する細胞の問題です。

低酸素血症:血液の問題

前述したように低酸素血症は動脈中の酸素が不足しています。肺に問題があれば酸素の取り込みが悪いために血液中の酸素は不足。また貧血はヘモグロビンが少ないために、運搬できる酸素が不足しがちです。

組織に酸素が十分に行き渡らないとき:心臓の問題

血液中の酸素は十分でも心臓が機能低下すると、組織では酸素が不足しがちです。つまり心臓の拍動が弱いため送り出される血液の量が少なくなり、体全身に運ばれる酸素の量も減ってしまうわけです。

組織が酸素を十分に使えていないとき:細胞の問題*₃

細胞に問題があるために、酸素を十分に使えないことがあります。例えば火災に巻き込まれたとき、細胞は酸素を処理できなくなるそうです。カーテンなどの化学繊維が燃焼するとシアン化水素が発生し、シアン化水素を吸い込んで低酸素症を発症するとされています。細胞内のミトコンドリアが酸素を処理しますが、シアン化水素によってミトコンドリアが機能できなくなるとされ、低酸素症を引き起こすそうです。

相対的低酸素症

低酸素症は、酸素の需要と供給のバランスが崩れていることが原因です。つまり、供給される酸素以上に組織で酸素の需要があれば、低酸素症を発症します。例えば感染症にかかって高熱が出たときや敗血症の場合。組織に運ばれた酸素量が正常値でも、組織では極度に酸素を必要とするため、組織では酸素不足の状態になります。

「幸せな低酸素症」とは?

低酸素症となっても辛いと感じないことがあり、正確な判断ができなくなっているときの状態を、「幸せな低酸素症」と言われています。「幸せな低酸素症」は航空医学で使われていたようですが、コロナ患者にもあてはまる場合があるようです。

「幸せな低酸素症」はパイロットにとって日常的な問題*₄

極めて高度な環境に身を置くことが多いパイロット。高い所では酸素が薄いために人の体にとっては酸素不足となります。低酸素状態に陥ったとき、最初に影響を受けるのが脳。このために判断力が低下し、自身が低酸素状態になっていることさえもわからなくなるとされています。それどころかむしろ心地良くなるそうです。

1999年にアメリカで墜落事故がありましたが、パイロットが「幸せな低酸素症」を引き起こしていたためではないかと言われています。

一部の人が苦しいと実感しないまま重症化する恐怖!

コロナに感染して、軽症のために自宅待機という場合があります。注意が必要なのは「幸せな低酸素症」の場合。症状が悪化しても苦しいという自覚がなく、気がつかないうちに重症化してしまうそうです。

ただし低酸素症を引き起こしても息苦しさに気がつかないのは、一部の人だけ。すべての人が「幸せな低酸素症」状態になるわけではないようです。

喫煙者は要注意!*₄

タバコを吸うということは、一酸化炭素を吸うということ。血液中のヘモグロビンは酸素と結びつきますが、一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすく、結合しやすさは210倍ともいわれます。

要するにタバコを吸うとヘモグロビンは酸素ではなく一酸化炭素と結合するために、低酸素症になりやすいわけです。

低酸素状態がわかるSpO₂

SpO₂とはヘモグロビンと結合している酸素の割合のことで、SpO₂を表す数値は血中の酸素飽和度です。SpO₂を簡単に計測するパルスオキシメーターは、指先にはめるだけ。パルスオキシメーターが表示する数値がSpO₂で、96以上なら正常、90台前半では受診が必要な状態です。90台前半というのは息苦しさを感じる状態と言われています。

SpO₂ではわからない:貧血や心疾患など

貧血の場合はヘモグロビンが少ないために、たとえSpO₂が正常値でも酸素が不足しているかもしれません。また心疾患がある場合は、心臓から送り出される血液の量が少ないために運搬される酸素の量も少なくなるそうです。つまり心疾患がある場合もSpO₂値だけでは血中の酸素がと十分と判断できません。

さらに一酸化炭素中毒となっているときやタバコを吸ったときも、SpO₂が正しく計測されないので注意が必要です。

まとめ

命に関わる低酸素症。低酸素症を引き起こすのは肺に病気があるときだけではありません。貧血や心疾患がある場合、さらに喫煙者は低酸素症になりやすいといえます。

また低酸素状態にあるとき脳が最初に影響を受けるために、自身が危険な状態にあると判断できない場合があるそうです。

私達は呼吸のことをあまり意識することなく、毎日を過ごしています。でも当たり前の毎日には心臓の動きや肺の状態、血液のヘモグロビンなどさまざまな要素が絡んで健康が維持されているようです。もしかすると、生きていることが奇跡なのかもしれません。

*1低酸素血症 病院検索ホスピタ

https://www.hospita.jp/disease/2185/

*2低酸素症 日本救急医学会

https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0214.html

*3室内火災の現場より救出され, 一酸化炭素中毒を合併したシアン中毒傷病者の 1例

                                 ー岩崎 泰昌他

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam/25/10/25_797/_pdf

*4パイロットのための航空医学 低酸素症ー医学博士 三浦靖彦

https://www.aeromedical.or.jp/pilot/pdf/2002-6.pdf

目次
閉じる