弔花とは死者を弔うために贈る花
弔花とは、葬儀や法要などに贈る生花や花輪のことで、死者を弔うことが目的です。
葬儀に関連する花には、供花と花輪の他に、枕花や献花があり、これらを弔花に含めるかどうかは意見が分かれますが、ここでは死者を弔う花という点で、枕花や献花も弔花に含めます。
この記事では、弔花の種類ごとの特徴や弔花を贈られた時の対応について解説していきます。
弔花の種類と特徴
弔花には、葬儀の祭壇に飾る供花(きょうか)、葬儀会場の外に飾る花輪、故人の枕元に供える枕花(まくらばな)、参列者が一人一輪ずつ故人に花を手向ける献花(けんか)の4種類があります。
まずは一覧表で、それぞれの大まかな特徴を紹介します。
種類 | 供える場所 | 費用相場 | 一般的な贈り主 | 贈るタイミング |
供花 | 葬儀会場の祭壇の脇 | ・スタンドタイプ(1基):1万5千円~3万円 ・アレンジメントタイプ(1基):5千円~1万5千円 | ・葬儀に参列できない人 ・故人の友人、親族、故人または喪主・遺族の仕事関係者 | 葬儀開始前までに |
花輪 | 葬儀会場の入口付近 | 1万5千円~2万円 | ・故人または喪主・遺族の組織の代表者 ・故人または喪主・遺族が所属する組織のグループ(〇〇株式会社XX部一同など) ・親族が連盟で(孫一同など) | 葬儀開始前までに |
枕花 | 故人の枕元 | 5千円~3万円 | 故人や喪主・遺族の親族や特別親しい友人 | 通夜開始前までに |
献花 | 祭壇 | 喪主が用意 | 葬儀・告別式の参列者 | 献花式 |
供花
供花は、祭壇やその周囲を飾るために贈る生花のことで、スタンドタイプとアレンジメントタイプの2種類から選ぶのが一般的です。
供花は1基単位で数え、2基で一対と数えます。
かつては祭壇の両サイドをバランスよく飾るために1対で贈るのがマナーとされていましたが、現在は1基で贈ってもマナー違反にはなりません。
供花を贈る際は、葬儀社または花屋に直接注文をします。
葬儀社によっては、指定業者以外からの供花を受け付けない場合もあるので、まずは葬儀社に確認することをおすすめします。
故人の好きな花を贈る場合もあれば、祭壇全体の雰囲気を統一するために花が指定されることもあります。

花輪
花輪は、葬儀会場である斎場の入口や自宅の外にスタンドを立てて飾る大型の弔花です。
基本的に造花で作った花輪を繰り返し使用するので、費用は生花を使用する弔花に比べて抑えられています。
花輪を贈るのは、会社や組織の代表のようにある程度地位のある人物が個人名で贈るか、部署やグループに所属する複数の人または親戚の中で子や孫など同じ立場の人などが連盟で贈るのが一般的です。
花輪の手配は葬儀社に依頼するのが無難です。
花屋に依頼する場合は、花輪の設置場所や設置作業などについて現場で混乱が起こらないように、葬儀社に外部の花輪を受け入れているか確認する必要があります。

枕花
枕花は、遺体を安置する際に枕元に供える花で、訃報を最初に受けたごく近しい人が贈る弔花です。
枕花を贈る際は通夜までに届くように手配します。
故人が病院や施設などで亡くなった場合は、自宅や遺体安置所に遺体を移送するまでの時間を考慮して、枕花を贈ることが大切です。
遺体を安置する前に届いてしまうと、まるで亡くなることを予測していたようにとられてしまう恐れがあるので、手配のタイミングには細心の注意が必要です。
また、枕花に添えて贈り主の氏名と故人への哀悼の意や遺族への慰めのメッセージを書いたカードを贈ることも忘れずに。故人や遺族と近い人からの言葉は遺族の癒しになるので、必ずメッセージを添えるようにしましょう。
また、枕花を葬儀後に自宅の遺影の脇に飾る遺族も多いので、邪魔にならない程度のボリュームにすることも大切な配慮です。
花の種類によっては寂しい感じになる可能性があるので、白にブルーや淡い色の花を組み合わせたものが好まれます。

献花
献花は、主にキリスト教の葬儀で行われる作法で、参列者が一人ずつ祭壇に進み花を手向ける儀式です。
仏式の焼香、神式の玉串奉奠のような意味があります。
献花の花は喪主が用意するので、参列者が持参する必要はありません。
献花の方法は、自分の順番が来たら祭壇に進み出て花を一輪受け取り、祭壇の前で遺影に一礼し、献花台に横一列に花を並べるようにして供えます。
献花に使う花の種類は、茎のしっかりした菊やカーネーションなどを使用するのが一般的です。

弔花のお返しについて
弔花を贈られた場合は、贈り主が辞退の意志を示していない限りは、香典返しと同じく返礼品を贈るのがマナーです。
返礼品の金額は、贈られた弔花の半分~3分の1くらいが相場です。
品物は食品や消耗品などの、いわゆる”消えもの”を贈るのが一般的ですが、タオルやカタログギフトなども人気があります。
返礼品を贈るタイミングは、四十九日の忌明け後から2週間以内というのが一般的です。その際は、礼状を添えて贈るようにしましょう。


まとめ
弔花とひと口にいっても、その種類は様々で、贈る目的も供える場所も異なります。
また弔花によって贈るのに適した人物や金額が変わるので、故人との関係を考慮して贈ることが大切です。
また、弔花を贈られた場合はお返しの品を贈るのも喪主のマナーです。
マナーに縛られ過ぎる必要はありませんが、贈る側も贈られる側もそれぞれのマナーを抑えることで、安心して故人に花を供えることができるのではないでしょうか。